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タイタン



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【この小説が収録されている参考書籍】
タイタン
タイタン (講談社タイガ)

タイタンの評価: 4.12/5点 レビュー 42件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.12pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全42件 21~40 2/3ページ
No.22:
(5pt)

あらゆるSFは、未来の予想ではなく、現在の戯画化に過ぎない

以前、SF評論家である添野知世さんと堺三保さん出演の「ぷらすと」という動画で言われていたこと。「
「あらゆるSFは、未来の予想ではなく、現在の戯画化」に過ぎないそうだ。
この物語は2300年代の世界を描いているが、それは問題を純化するための装置として使われており、平均寿命が長くなって子供である時間も長いことや、仮想世界の充実が半端なく理想と現実の乖離が激しく大きいことなどから、仕事に対する意味を見出すことが難しいのは現代も同様だ。
人と人の出会いより、データのスクリーングを重視する傾向は強いし、モラトリアムであったり5月病、ヒキコモリという形で「仕事」に拒否反応を起こす人たちにこの作品は遠まわしであるが、肯定を返している。
この作品は、ある種の心理療法でもあるのだ。
そして、そこから一歩を、自発的に踏み出す力を与えてくれようとしているように感じる。
しかも、説教臭くなく、エンターテイメントの形で。
一つだけ苦言を呈するなら、恐らくアニメや映画化を想定してだろう、クライマックスで、主人公はハリウッド映画並みのカーチェイスをするシーンがあり、たいへん違和感を覚えた。
だが、それをやるなら、マネジメントの専門家ナレインと主人公の間に恋を芽生えさせたりしなくてどうする?
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.21:
(5pt)

とーっても面白かった!あなたはどの人物に自分を重ねますか?

今回も紀伊国屋さん梅田店でゲット!だいたいお勧め本を買うと面白いんだ。特にサイン入り本。疑わずに生きてきた道にたちどまったことのある人なら、この本共感できるところが一杯です。私はなんと、タイタンのコイオスと自分を重ねる部分が大きかった~!(^^)!買う前はきっとカウンセラーと共感できると思っていたんですけどね。きっと自己決断ができないと人って死んでしまうんでしょうね。歯車の一個でしかないけど、意義を見出していきていきたい私達なんでしょーね。戦っている中の人が読むと苦しい物語かもしれません。私もつい最近までそうだった。飛び出せ世界へ、自分の意思で。いろんな人の手も借りて。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.20:
(3pt)

80%地点までは良かったが、

最終的に人類が家畜化されるような印象しか残らなかったのが残念です。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.19:
(5pt)

結末に救いがあるように感じる

序盤の異常なほどの盛り上がりでガッチリ心を掴まれ、中盤の穏やかな展開にこのままいくかと思いきや終盤で突然トップスピード、最後ドンデン返しを喰らいました。ストーリーは壮大で、読後感は実に爽やかでした。読了した今ぼんやりと、ハリウッドで映画化しないだろうか…などと考えています。
あとブックデザインいいですね。購入するのは電子版なのですが、もう一押しほしい時に表紙や帯が背中を押してくれますね。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.18:
(4pt)

優しい優しいディストピア

神を否定した人類が、今度は優しい神=AIの掌で微睡むように生を営む未来。平和で便利で豊かでも、それがディストピアに思えるのは私が野蛮だからかもしれない。
AIと人類の未来を問う小説ではない。ボーイミーツガール、そして成長物語。
AIとヒトの丁々発止のやり取りを期待するなら、アド·バードやビビビ·ビ·バップで堪能されたし。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.17:
(2pt)

アムリタシリーズは絶賛したいがこれは「別に…」

これ若書きなんでしょうか。
他人の作品と並べて失敬。『巨神計画』と足して二で割ると面白かったかも?
他人の作品と並べて失敬。『ジェリーフィッシュは凍らない』よりは面白い(読める)。
で、人生は短い。もっと面白いものは他にたくさんある。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.16:
(4pt)

〈仕事ぎらいな読者〉として言うと

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帯に『今日も働く、人類へ』という惹句が踊る。思わず「24時間、戦わせる気か!」と、脊髄反射的に反発してしまう(古い人間なのだ、私は)。
カバー背面の内容紹介にも「《仕事》」などという強調された文字列があり、帯背面の書店員の推薦文にも「お仕事小説?」などとある。
これでは、どう見ても「仕事」をテーマにした作品であり、「仕事」が嫌いで、流行の「お仕事小説」なんてものには鼻も引っかけない私(趣味人なのだ、私は)としては、もうこれだけで決して読もうとはしなかったはずの作品なのだが、『SFマガジン』のレビューで大森望が褒めていたのを目にして、うっかり買ってしまった。

必ずしも大森と趣味が一致するわけではなく、大森が「新本格ミステリ」について推薦文を書いていた二十年ほど(SF冬の時代)には、「信用できない推薦者」の一人に公然と認定していたにもかかわらず、しかしまあ、最新のSFには詳しくない当方としては、たくさん読んでいる大森の言葉に、つい動かされてしまったのだ(そのへん謙虚なのだ、私は)。

で、結論から言うと、かなり面白かった。
さすがはラノベ出身で、長編アニメ『HELLO WORLD』の脚本を担当した作家だけはあって、アニメ映画になってもハリウッド映画になっても全然不自然ではない、SFエンターティンメントに仕上がっている。

語り手の女性カウンセラーとAIの交情も、ときにホロリとさせて感動的だし、ハリウッド大作も斯くやという、ビジュアル的にスケールの大きなシーンもあれば、カーアクションシーンもある。無論、キャラクターも立っている。

一一しかし、私がいちばん評価したいのは、なぜAIが「うつ病」状の機能低下に陥ったのか、という「謎解き」についての、アクロバティックな解答である。
つまり、一種「本格ミステリ」めいた、結末でのドンデン返し。最後に、論理のアクロバット的な「解答」が用意されていたのだ。

で、その解答が、私の「仕事ぎらい」の説明にもなっていた。

なぜ、自分の「仕事」に対する「意欲」を失ってしまうのか。それは無論、その「仕事」に、相応の価値を見いだせないからである。
しかしまた、「価値が見いだせない」と言っても、その理由にもいろいろなパターンがある。単純に「誰にとっても、つまらない仕事」という場合もあれば、「個人的に、合わない仕事」という場合もある。それ以外のパターンもあって、本作の場合は、たぶん「それ以外のパターン」ということになろう。このパターンには、めってにお目にかかれないのだが、しかし、理屈としては通っており、そういう人も現にいるのは間違いないから、本作で描かれる「事件の真相」は、常識的な「推理」の間隙を見事に突いたものとして、高く評価できたのである。

ちなみに、私の「仕事ぎらい」は、人並みに努力すれば「誰にでもできる仕事」は「つまらない」と感じるところにあったようだ。私でなくてもやれるような仕事には「やり甲斐」を感じることができないので、そういう仕事は「ルーチン・ワーク」としか感じられず、「つまらない」ということになってしまったようだ。
「何を贅沢な」とご批判の向きもあろうが、しかしこれは「性分でんねん」としか言いようがない。生意気で贅沢な言い草だというのは百も承知しているけれど、そういう性格なんだから、しかたがない。

それに比べると、本作の主人公とも呼ぶべきAIは、とても謙虚で健気で「人間が出来ている」。
私のように「普通に、内容紹介をしたり、面白かったとか、そうでもなかったとか言ったような、そんなクソつまらないレビューなんか書きたくない。私が書くのなら、私にしか書けないことを書きたい」などという、生意気なことは考えない。

なぜなら彼は、多くの人々の期待に応えると同時に、彼にしかできない仕事までこなしてしまうという「きわめて器の大きなAI」なので、私みたいな自己中は、もとより不必要だったのである。

本作は、そんな小説だ。

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タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.15:
(5pt)

ロボットとAIが全ての労働を担う世界で「仕事とは何なのか」を問うお仕事小説だった。

映画作りで「創作とは何か」の先へ行った『2』。
あらゆる知識にアクセスできる超情報化社会で「知るとは何か」を追求した『know』。
一つのテーマをとことん掘り下げる作品を書いてきた野崎まど最新作は
ロボットとAIが全ての労働を担う世界で「仕事とは何なのか」を問うお仕事小説だった。

本作で描かれる未来はある意味で非常に楽観的だ。
ロボットとAIがありとあらゆる労働を担っており、この時代の人類の過半数は働いたことさえない。
一方で逆に悲観的でさえあるとも言える。
作中では人が関わる方が無駄な手間が増え、効率が悪くなるとさえ言われている。
だがそれも当然だ。作中に登場する超高度AIタイタンは僅か十二基で全人類の生活を処理しきれているのだから。

ロボットという言葉が生まれてからこれまでに様々なロボットが作られてきた。
本作はそのロボットが人類が求める仕事を完全に達成しきった更にその先へとたどり着いた後の物語である。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.14:
(3pt)

決定的なネタバレを避けるとこの程度のことしか言えない。

AIとそれに付随したさまざまな技術の革新が極限にまで到達した結果、ほぼすべての仕事を機械にまかせ、人類はついに働かずにすむようになった。が、人間にしか出来ない仕事もごく一部に残り、個別スカウト的に労働を余儀なくされる人もまれにある。そういう世界で、図らずもその圧倒的少数派の「就労者」になってしまった主人公。業務は原因不明の変調を来した世界統一AIの一つの「カウンセリング」だった。
 現時点での最新の研究成果を踏まえれば、AIが人間のような意思を持つことはない。意思を持っての振る舞いに見える行為があるとしてもそれはプログラムによってそう見えのであり、その奥に意思が存在しているわけではない。また、人間的な意思のようなものを本気でAIに持たせたいのなら、人間と同じような構造と機能を持った何かにAIの本体みたいなものをしつらえるしかないのではないかと言われてもいる。
 本書は、そういう現在の知見を踏まえつつも、しかしそこからはあまりに遠い荒唐無稽な展開をみせる近未来SF小説である。ゆえに主人公とAIとの「対話」から徐々に立ち現れてくる「仕事」の本質的な概念や、ひょっとすると近未来に実現するかもしれない、現時点では見たことも聞いたこともない、あるいは絶対的に実現不可能であると言われている事象の数々が、紡がれ叙述される「言葉」によって、小説の中でだけではあるのかもしれないが、文字通り立体的に実現していく様を見るのは大変に楽しかった。
 控えめな伏線回収や「お約束」な展開もかえって心地よい。参考文献の選択にもセンスがあると思う。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.13:
(2pt)

合わなかった。

何故か読み終わった後も、モヤモヤが残る作品。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.12:
(4pt)

スケールが大きい(大きすぎる)ホラ話

ガリバー旅行記もホラ話のようなものだが、この作品もーーホラもデカければデカいほどよし、ということでーーー筆者の想像力の高さに驚いた。

機能不全に陥ったAIと心理学者とのロードムービー的な展開、かつ仕事とはなんぞや?という自己啓発本のパロディとも読み取れるメタな構造。

レビュー欄を読まずにさっさと読むことをオススメします。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.11:
(5pt)

ブックデザインに惹かれて衝動買いした甲斐があった!

積読本の全てを抜き去って、数日前に衝動買いした、この本を読み漁る。
ブックデザインとコピーの印象から嗅ぎ取ったテイストに間違いはなかった。
日本のSF作品としてきっと歴史に残るものだろう。他の作品も読みたくなった。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.10:
(5pt)

おもしろかった

最後まで面白かったです。ちょっと旅行記っぽいところがあるのがいいと思いました。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
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No.9:
(5pt)

意外な どんでん返し

野崎まど作品の 最高傑作
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.8:
(5pt)

天才野﨑まどの、人に最も薦めやすい入門書

野﨑まどは数年後に間違いなくエンタメのトップランナーになっているだろう。
これまではその尖った作風から、どうしても読者を選ぶ作品ばかりを書いていた。
が、本書は万人に薦められる間口の広さと、爽やかな読後感、そして、
それでも隠し切れない野﨑まどの異端さ、すべてを兼ね備えた作品になっている。
この作品が気に入った人は、ぜひ、『バビロン』などの他の著作を。
また違う、「黒いまど」が見れますよ?
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.7:
(5pt)

「何のために仕事をするのか?」その答えを求める11000㎞・2万5千歩のグレート・ジャーニー。でも少しムカつく

読んだ後「ムカッ!」と来る作品はチョイチョイあるのだけど、この野崎まどの新作を最後まで読み通した時は「ムカムカムカッッ!!」ぐらいのムカつき具合であった事を最初に申し上げておく。そしてその上で毎度の事なれど「ちくしょう、やられた」という作家によって見事に出し抜かれた時特有の爽快感はそれを上回っていた事も重ねて申し上げておく。

内容の方を紹介させて頂くと物語の舞台は未来社会。「タイタン」というAIとその端末である様々なロボットによって社会を支える「仕事」に人間が従事しなくても済むようになった時代。主人公であり、心理学博士を「趣味」とする内匠成果が自分の元に現れた不躾な男・ナレインにより「就職」させられる場面から始まる。

ナレインが成果を連れて行ったのは北海道は摩周湖の傍の町・弟子屈。世界に12しかないタイタンの拠点に連れていかれた成果はナレインからこの弟子屈のタイタンが原因不明の稼働率低下を示している事を明かされる。この状況が続けば人類社会全体に甚大な影響が及びかねない事から心理学者である成果にタイタンが陥っている「心理的スランプ」の謎を解き明かせと成果は迫られるが……

体裁の方は「2」や「know」みたいな野崎まどが過去にも繰り返してきた「人を超えるモノの誕生」を描いた物語という事になるかと。後半からはタイポグラフィーやイラストをふんだんに駆使する「野崎まど劇場」でもお馴染みの手法をバリバリ取り入れているので従来のファンであれば「おう、野崎まどは平常運行じゃないか!」と安心してお読み頂ける仕上がりとなっている。

何と言っても見所は中盤以降に作中で示されるビジュアル的なイメージ。巨大AI「タイタン」がその名の通り巨人としての雄大な姿を曝しながら続ける旅路にあるかと。ゴヤの絵画「巨人(The Colossus)」をご存知の方も多いと思うし、なんなら仙台の観音像やら牛久の大仏様でも良い。とにかく巨大な「人の形をしたモノ」というのは問答無用の説得力がある。それこそプロレスなんかインチキだと言ってた人が在りし日のジャイアント馬場と対面した途端にプロレス最高と宗旨替えしたという逸話が残るぐらいに「雄大な肉体」は人を圧倒するものがある。

主人公・成果の「カウンセリング」により弟子屈のタイタン「コイオス」は自らを歩行可能に改造し、北海道からチュクチ半島を経てベーリング海峡を越えてアラスカを沿う様に新大陸へと向かうのだけど、その有様は「グレート」の一言。いつから野崎まどはこんなにビジュアル映えする場面を描ける様になったのか?「Hello World」では電子世界の崩壊みたいなベタなイメージしか描けなかったのに、読んでてこうまで脳にビシバシ響く映像的イメージを小説という形で描ける様になっていたとは知らなかった。まさに「男子三日会わざれば刮目せよ」である。

「全人類が遊民と化した時代」に成果と「仕事イヤイヤ」で鬱病になったコイオスが続ける全行程11000㎞、歩数に直して2万5千歩の旅は現生人類が辿ったそのコースといい、人を人たらしめている「仕事」というものの正体を探る目的といい、そして身長1000mの巨人が徒歩で移動するというイメージといいまさに「グレート・ジャーニー」と呼ぶに相応しい。本当ならこの旅路の果てにロボット三原則みたいな物に縛られていたAI・コイオスが「働く意味」を知り、成果をはじめとする人類と新たな関係を築き上げるというだけでも十分に読める話にはなっていただろう。

「誰にも見向きもされない仕事に意味があるのか?」
「仕事と言うのは人間だけの、生物だけのもので無生物は仕事をしない存在なのか?」
といった数々の問い掛けそれ自体が仕事を通じて社会に参加し、生きている実感を得ていると自然に感じている「人間」には非常に興味深い。

しかし、性格の悪い野崎まどがそんなお優しい結末を持ってくる筈も無い。「仕事」の正体を明かした上で人類である読者を奈落の底に蹴落とすブラックなオチに唖然とさせられた。終盤では「仕事」の中に「創作」も含めているから「そういう考え方もあるか?」ぐらいの受け止め方をしていたのだけど、「創作ですらAIが受け持つ時代」における「創作物の受け手としての人類」という人類の存在意義の一つを通して読者に対して作家としての野崎まどがカマした強烈な皮肉に心底ムカついた。何より創作家は受け手を十分に満足させて当然、満足させてくれない創作家は受け手から尻を叩かれて当然と思い込んでいた事実を突き付けられてムカついた。

「お前ら読者の『愉しみ方』なんか俺の用意した作品を欠片も楽しめちゃいねえ」と面と向かって言われたに等しい。「俺が産み出したすげえ作品を受け取るレベルにお前らは全ッ然辿り着いてねえ」と三下り半を突き付けられたに等しい。皮肉を突き付けまくった読者にとどめを刺す様にこの作品のラストシーンは主人公である成果の著作に対する「レビュー」で締め括られているのである。「働き手」である作家のモチベーションに寄与するレビューを俺ら読者が示せていないと言いたいのか、野崎まどは?

いやー、小説も色々と読んで来たけどここまでレビュアーとして心底ムカつくオチを用意して見せた作品は初めてだわ。そしてその上でコイオスが人類の為に働くモチベーションを失った真の理由を知ってしまうと「そこまで言われちゃこっちも性根を据えて作品に向き合わなきゃしょうがねーわな」と思わざるをえなくなるのだから見事という他ない。

作中で示されるビジュアル的イメージの雄大さ・圧倒感。人間が生きていく上で必要とする「仕事」というテーマの掘り下げ、そして読者に対する痛烈なメッセージ性とどこを切り取ってもパンチのある構成。「仕事をする意味」について考えさせられると同時に「仕事をして貰う立場の意味」についても徹底的に考えさせられる作品。強烈な苦味を残してくれた。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.6:
(5pt)

「仕事とは」の本質に迫れていない、ありきたりなチープな構成

「仕事とは何か」の本質には迫れていない。
「AIが全てを制御する世界」を舞台とした割には、そこに対する描写・記述が浅い。
今流行りの「AI」というキーワードを当て嵌めてみました、だけの「AI」でなくとも成立する内容でした。

AIが生活を制御する未来世界で、
心理カウセリングを趣味とする主人公の女性が、
世界組織の陰謀により拉致されて、
AIのカウセリングをする中でAIと仲良くなり、
暴走したAIを治療するために一緒にアメリカまで旅をして、
アメリカ着いていざ治療を始めようとしたら実は黒幕と思っていたヤツが善い人で、
その善い人が世界組織に暗殺され、
AIは海の底に沈み、
主人公はその思い出と共に生きました

。。。AIを絡めなくてもよい、ありきたりなストーリー展開。
AIが何故自我を持ち、人間のでいうところの鬱病っぽくなった原因に対する深い言及が無い。
取り扱うテーマ自体は非常に良いと思うのですが、内容がチープで浅いので惜しい。

帯のキャッチコピーは「今日も働く、人類へ」ですが、本の内容との乖離が大きいですね。
また、裏表紙側の帯には書店員さん絶賛レビューが載っていますが、何故、本の発売と同時にレビューを帯に印刷できるんですかねぇ

「で結局、何を伝えたいんでしたっけ?」というモヤモヤ感だけが残りました。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.5:
(3pt)

仕事とは何か

コロナの中、仕事とは何かを改めて考えるきっかけとなる。このような漠然とした問いに真正面から向き合って結論に至る。趣味しか知らない未来の人間と、仕事のために生まれてきた未来のAI。その答えはとてもシンプルで当たり前と言われてしまいそうだけど、現代の我々が疑問に感じているその命題を大きなスケールで描ききるのは流石。物語から導かれた結論にも納得感がある。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.4:
(3pt)

『良い仕事』とは

※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります

テーマであり,要所要所で語られる『仕事とは』や,それにまつわるやり取りなど,
最後に導き出される解答や回答を含め,正直,全てに賛同できないのが正直なところ.

ただ,そこにたどり着くまでの旅路と時間,たとえば賑やかな市場や奥地の遊牧民,
様々な人々に出会い,大自然に圧倒され,笑い,泣き,喜び,怒り,食べて,眠りと,
仕事について模索,そして成長を重ねる様子は,ロードノベルのようで引き込まれます.

一方,AIが全てを支援する未来社会や,暴走,擬人化と対話などには既視感が否めず,
描かれる社会も今ひとつ狭い印象を受け,わかりやすくという部分もあるのでしょうが,
人,生活が見えづらく,ほかにも政府はなど,物語の中に深く入り込むまではいきません.

とはいえ,危機感に欠け,AIに丸投げをして考えることを忘れてしまった彼らの姿に,
便利と引き換えにすっかり…と,思わず嗤いたくなったのもつかの間,今の自分たちは,
さらに言えばこれまでの…ともなり,彼らの時代はこの先も止まることはないようですが,
それは本当に進歩や進化なのか,良い仕事なのか,ふとそんなことを考えることが何度か….

仕事とはを考えたり,旅の様子を楽しんだり,はたまた過去,未来の人間を浮かべたり,
確かに仕事が前面にありますが,いろいろな見方,そして解釈が出来る一冊に感じました.
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154
No.3:
(4pt)

「仕事」をテーマとしたAIと人間の交流

人類が働く必要のなくなった時代で、生活を支えるAIが人間と共に「仕事」とは何かについて考えていく。knowでは「死」、バビロンでは「善」など、テーマに対して独自の結論を導き出すという点で、読者からの期待に応えてくれるストーリーだと感じた。
テーマについて、バビロンの「善」もそうだが「仕事」とはなにか、ということは身近過ぎて既に個人それぞれ考えを持っているので、作中の結論が陳腐に聞こえるかもしれないと思った。knowのように誰も答えを知り得ないテーマでハッピーエンドな結論、の方が個人的には気持ちよく読めた。その意味では友人定数も好き。
構成はknowに近い。時代設定は更に未来なので新技術が当たり前になって、それ以前の習慣に馴染めない主人公が浮世離れしていて逆にリアリティがある。もっと遠未来を舞台にしたものもぜひ読んでみたい。
巻末のメタな所はおもしろかった。AIと人間は共生しているとAI側から認めてくれたようで、これからの良好な関係が想像されて爽やかな読後だった。
タイタンAmazon書評・レビュー:タイタンより
4065177154

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