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天地に燦たり



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【この小説が収録されている参考書籍】
天地に燦たり
天地に燦たり (文春文庫)

天地に燦たりの評価: 4.17/5点 レビュー 18件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全18件 1~18 1/1ページ
No.18:
(5pt)

はたして人は「天地と参なる」ことができるのだろうか

本作は川越氏のデビュー作にして松本清張賞を受賞したという。そして二作目『熱源』が直木賞を受賞したというのだからすごい。
 正直なところ直木賞受賞作『熱源』より本作のほうがより私の好みに合う。登場人物がこちらの方が魅力的だからである。
 戦に次ぐ戦、凄惨な殺戮に倦む大野七郎久高。島津家の重臣である。幼いころから学んできた儒学では天地万物はすべて「理」によって統べられる、人は生来「至善」であって、不善や悪に陥らず誠を尽くし続ければ人は「天地と参なる」と教えられたのに、現実は人は人たることを捨て、禽獣と変わらぬ行いを続けている。はたして人と禽獣を別つという仁や礼をそなえた王に仕えることは出来るのだろうかと疑問を持っている。また朝鮮に被差別民の白丁として生まれた明鐘。儒学を学び、いつか仕官して理由もなく虐げられる白丁たちを自由にするという夢を持つ。
 いつか二人は「天地と参なる」人をみることができるのだろうか。諦めずに人の誠と道を信じ続けることができるのだろうか。そうした問いかけが本作の肝なのだろう。ワクワクしながら読ませていただいた。
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4163908706
No.17:
(1pt)

話自体は面白い。

最後の方のページで1枚だけ変な形のがあった。長方形ではなく、紙の上部が三角形みたいになっていて、それを隠そうとしたのか折りたたんでいた。ネットで買うと、こういう落丁本が平気で定価で売られてるから信用できなくなるんだよな。
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No.16:
(4pt)

戦国時代末期の日中韓の創造的関係性

戦国時代の小説となると、どうしても京都や近畿が中心となる。権力者の集まるところだからだ。
この作品の特異な点は周辺からの視点で描かれていることだ。しかしその周辺は外国との接点という意味ではダイナミックで国際的なドラマが作れて面白い。確かに周辺も中央からの影響は無視できない、いやむしろその影響を否が応でも受けている。その交わる地域で生きる者はその渦に巻き込まれてしまう。
この作品はそんな運命に翻弄されながらも、最終的には「生きる」という解を提案している。
それこそが矛盾や二者択一の厳しい状況の中で人が選ぶべきものではないだろうか。
読者は大いに励まされるに違いない。
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No.15:
(4pt)

粗削りではあるけれど骨太な物語

文庫版の巻末の解説で担当編集者が書いているように、「粗削りではあるけれど骨太な物語」というのが読後の感想である。
著者は文章があまり上手ではない。特に前半はたどたどしささえ感じられ、比喩が適切ではなく、読みにくさすら感じた。だが、中盤過ぎあたりから的確な単語が散りばめられるようになり、読ませる文章にレベルが上昇したように感じられた。
文治、礼による平和な世の中を希求しながらも、戦わざるを得ない主人公たちの葛藤と生きざまは、読んでいてとても熱く感じられた。結末の出来事も印象的だが、慶長の役における泗川の戦いで、朝鮮人の明鍾が丸腰のまま樺山久高へ近づき、「俺の世界を、元通りにしろ」「小父さんと靴を作らせろ。先生に学ばせろ。信石を生業に戻してやれ。国に帰れ。今すぐ、帰れ」と叫びながら久高の頬を拳で殴る場面が圧巻だった。
著者の筋立ての構想力はすごいと感じたが、文章力が今一つなので、☆ひとつ減である。
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No.14:
(5pt)

思わず

思わず涙がでてきました。単なる日本の武士の生きざまを描いたのではなく、当時の世界事情を取り込んで物語が展開していったのが、私には斬新でした。現実もこんな交流ができればいいのに、と切に願います。
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No.13:
(5pt)

「熱源」から先に読みました

島津の侍大将、朝鮮の白丁、琉球の密偵の視点を寄せていって、「武」による征服と「礼」の普遍力を対比するという主題を描いている長編でした。なんだか憲法9条に関する論争を読んでいるようで、全体的に「薬臭い」気がしました。地の文に難読漢字を多用する反面、会話文がちゃらく、ちぐはぐ感もありました。
 けれども、これを会社員がデビュー作として書いたことを知ると、称賛・驚嘆せざるをえません。編集者の解説がすごくよかった。
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No.12:
(4pt)

まあまあかな!

話の筋立てと主人公が巧く絡み合っていない。
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No.11:
(5pt)

設定の妙と卓越した結末

本作品は16世紀の終わりの10年ぐらいと17世紀の最初の10年弱の極東地域を舞台に、島津家の上士と李氏朝鮮の被差別民出身の下級官吏、琉球の密偵の三人が主人公であり、共通する儒教的教養を媒介に三人が交錯する。秀吉の朝鮮出兵や島津家の琉球討ち入りなどの歴史的事件がその背景・舞台設定となる。これだけでものすごい着想だと安心してしまう。
 本作品において戦闘場面の迫力や歴史的事物の描写のリアリティが決して少ないわけではないのだが、その辺の印象はあまり残らない。やはり印象に残るのは主人公格の3人は当然として、それを取り巻く主要な人物が儒教思想について云々する場面である。とは言え、純文学・思想小説として登場人物の議論や内話が延々と展開するわけでもない。物語自体の緩急やその展開する速度もあって、娯楽小説として気楽に読み進めることができた。
 物語の結末には娯楽小説的爽快さと優れた純文学作品のような強靭さの両方を垣間見ることができた。そこで道具立てとしての儒教思想が効いている。そもそも儒教思想がこの21世紀前半においても日本列島人の思想や価値観に大きく影響していることは間違いない。筆者自身、子供の頃に論語やなんや感やに出てくるフレーズのいくつかを習字の先生だった祖父から暗記させられたのを思い出してしまった。このような普遍的な芯が通されたことで、作品世界のスケールがさらに拡大された。
 総じて面白かった。しかし個々のエピソードをもっと肉付けして、名前が登場人物(名前がついたレベルであれば)の背景や心情をもっとしつこく描写すれば、5倍ぐらいの長さの長編大河作品も可能なのではないかと夢想してしまった。
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No.10:
(5pt)

大河ドラマにぴったり

NHK大河ドラマで採用して欲しいお話です。
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No.9:
(4pt)

現代東アジア情勢を連想させられる歴史小説

「人と人が分かり合うっていうのは、いかにもくさい。でも分かり合えない者同士が一緒に生きていくための思想が当時の儒教だったと思うし、それは現代にも通じる。今後もこうした人が抱えている問題や意識を掬い上げて書き続けていきたいです」

 儒教をテーマにした理由を問われた当時の著者の発言である。日本、琉球、朝鮮と中国が国境で入り乱れる様子は現代の東アジア情勢に通じていてダイナミックかつスリリングである。また、各々が儒教国家でありながら儒教の教えに反する争いを展開する時代に翻弄される登場人物達の苦悩や諦めに読者が共感できる点は、作家自身の思考がストーリーを裏打ちしているからだろう。

 星を一つ削ったのは登場人物たち、特に久高の描写から彼の風貌やビジュアルが浮かんでこなかったから。視覚的な鮮やかさが加わったら、完成度が更に上がったと思うが、十分読ませる作品である。
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No.8:
(5pt)

新品同様

中古品とは思えない汚れ、傷なし、状態良く気持ちよく読んでいまする
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No.7:
(5pt)

最後まで興味深く読めた。

倭・朝鮮・琉球の青年久高(ひさたか)と明鐘(めいしょう)と真一(まいち)の三人を描く。久高は島津家の重臣で勝つためにのみ生きる武士、明鐘は白丁ではあるが儒学を学び、戦に紛れ戸籍を焼き壮丁として生きる、真一は商人を装う官人で琉球を守る。それぞれの立場で命をかけ生きていく姿がうまく描写される。全編を通し、自分が「何のために生きるか」を考えさせてくれる。三国の特色と関係も歴史的にうまく示している。興味深く読め、とてもよかった。

「なあ、礼を知らぬ樺山(久高)よ」
棘のある言葉だが、洪(明鐘)の声は諭すような和やかさがあった。
「礼を説く大明国を目指し、礼を尊ぶ朝鮮国を攻め、礼を守る琉球国を獲る。この後、倭は、どこへ行くんだ」

最後のところで三人が出会う場面、とても印象に残るところだ。いろいろと考えさせてくれる。
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No.6:
(5pt)

近隣国を知る

朝鮮の制度、言葉、琉球の言葉などが詳しい。
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No.5:
(3pt)

知識量が「面白さ」につながっていない

これを書いた人は、かなりの知識人だと思われる。戦国時代の島津、沖縄、朝鮮などの事情に精通している
ようだ。松本清張賞の授賞は、その「膨大な知識量」に対するご褒美か?
 だが、エンターテインメントとして考えた場合、「すごいなあ、けどイマイチ面白くない」としか言えない。
戦国物が好きな人は多いと思うが、儒学だとか覇だとか礼だとか、理屈っぽい部分が多く、次のページをめく
らせるだけのパワーがない。辞書にもなかなか載っていない熟語や表現が多々見受けられ、スピード感が削が
れている。たとえば、「薬臭い」という言葉など、何を意味しているかすらわからない。また、戦いの最中に
儒学的な問いをするために、わざわざ敵の武将に会いに行くなど、実際にはあり得ないこと。
 ラストは沖縄の首里城のシーンで終わるが、そこの門の扁額を取り替えることにどれだけの意味があるのか。
それを納得させるには、登場人物の心理面を読者に共感させる必要があるのだが、私はあまり共感できなかった。
 これだけの知識があるのなら、もっとハラハラ・ドキドキ・ワクワクという要素を高めて欲しい。そうしない
と、一部のマニアックな読者以外は離れていくのではないか? これが処女作だそうだから、それなりの力はあ
るのだろう。が、作家として続けていけるかどうかは、2作目以降にかかっている。作者には、上記の部分を学
んでもらいたい。
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No.4:
(2pt)

何かウソくさい

戦闘シーンはたしかに迫力あるが、登場人物の言動や主張が嘘臭くて、儒学だ礼だと主張するが最後まで「なんかなあ」という気持ちが消えない。テレビドラマの脚本ならいいだろうけど、小説ならもっとうまくやれよ、と言いたい。また難しい漢字を使いたがって、無理して力を出している感じ。それにしてもS新聞の書評は誉めすぎである。
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No.3:
(5pt)

島津クラスタ必見

島津氏有力一門の子弟、朝鮮王朝の最下層白丁身分の若者、琉球王国下級官吏で朝鮮担当の密偵、3人の主人公が、異なる立場で儒教を学び「礼」とは何かを模索しながら、戦国末から近世初頭の戦乱を生き抜く様を描いた作品。根底に流れるのは「礼」とは何か?であろうが、とにかく戦闘シーンに迫力がある。無敵の島津勢の戦いをここまでリアルに描いたものはないだろう。特に朝鮮での戦闘シーンは必見。
個人的には、沖縄の歴史好きの方がこれをどう感じたのか、聞いてみたい。
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No.2:
(3pt)

ジャケットのザラザラ感は好きだが・・・

ダイナミックな歴史小説が好みの方には、この小説は向かないでしょう。

動より静な作品です。朝鮮出兵はもっと壮絶で悲惨であり、そこまで踏み込んだ描写はありません。

戦時に仁や礼をテーマにしてありますが、ちょっとスマしたお上品な出来に、私の味覚・肌には合いませんでした。

もっと激しい寒暖差がある内容ならば深みが出たと思います。
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No.1:
(5pt)

みんな大好き!! 高橋紹運が出てくるよ!!(ひどい誤解を招くタイトル)

第一章だけだけどね!! というか、こんなレビューが一番槍でよろしいの!?
いやぁー、島津対大友。熱い、熱いよね。この九州地方の派遣争いは、戦国末期を避けて通れない熱さがありますよ。
そんな戦いの中、岩屋城で壮絶に討ち死にした紹運パッパが「王に仕えよ」とか、敵方の島津武士に言っちゃったからですよ。

王とはなんだ。人は王になれるのか。天地と参なることはできるのか。
そんなことをもんもんもん主人公の島津武士――大野七郎久高は考える。

戦国のキリングマシーン集団島津。けれども彼らにはちゃんとした心があった。
苦界の日々に、仏も神も信じられず、俺たちはなんなのだと久高は自問自答する。

今で言うところの自分探しですな。
まぁ、それは冗談として、誰だって一本筋の通った生きるための根拠を求めるのは、時代という荒波を生きる男の常。
彼は「高橋紹運」の残したその言葉の意味を追って、多くの経験を積み重ねていきます。

そして、時代はすでに決まっているもの。彼に待ち受ける運命もまた決まっている。
朝鮮出兵・琉球制圧。逃げ場のない戦場と戦いの中で、必死に彼はそれが何なのかを探し求める。
物語の最後の最後まで――。

一方、彼の周りに現れた、朝鮮人と琉球人。彼らもまた、自らの信じる王を求めてこの時代をうつろう。
時にこの三人が交差し、同じ王を求めながら、憎しみあい、拳を交え、あるいは談笑する。
そんなやり取りの果てに待っていた最後の結末は。
天地に参することが人はできるかは――。

本のタイトルでお察しください。

帯にある通り、礼に始まり礼に終わる話。
礼を知りたいと獣の生を駆け抜ける島津。
礼を知ってなお憎しみに突き動かされて戦場を行く朝鮮人。
そして、礼に生きると腹を括りながらも、礼に生きるとはなんなのかと自答する琉球人。
儒学はよくわかんないですけど、男たちが、生き方に悩み苦しみ、最後の最後まで何に殉じるのか、それを思い悩む姿は激熱です。
ちょっと漢語とか出されても難しいですしおすしとか言わずに、読んでみると意外と面白いですよ。
熱い戦国モノを読みたいのであれば、今はこれという作品です。
天地に燦たりAmazon書評・レビュー:天地に燦たりより
4163908706

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