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錦繍
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錦繍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全179件 81~100 5/9ページ
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この本で描かれる壮大な宇宙観は、生きる勇気を与えてくれる。前脚の折れた競走馬、ガンは自分自身なんや、女の声は大事や、生きていること、死んでいることは同じ。ええ男やった有馬、懐かしい字で手紙をよこす有馬。名言が詰まっている。お父さんであり会社のオーナー社長でもある父親の厳しさと優しさ。憎めない関西弁。二人の出会いは、阪神間にある大学の陽光降り注ぐ明るい大学のキャンパス。学生だった無邪気な2人は初夏の眩しい日差しの中、芝生の上で談笑する。神戸出身の宮本先生は、2人の出会いの場面は、関西学院をイメージして創作したのではないかと私は勝手に思っている。明るい大学生活と、その後の様々な困難。今の自分と重ねてみる。芦屋の高級、東大阪の雑多感、裏日本と呼ばれる寂しい舞鶴。今も昔も変わらない。街の息吹をそのまま切り取っている。数年前に鹿賀丈史、余貴美子で舞台化されたこの作品。見たいと思いながら見れずじまいだった。また機会があれば見てみたい。数ページごと、読む人に人生への示唆を与えてくれる素晴らしい作品。 | ||||
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有馬靖明さんは、中学時代の同級生と心中未遂事件を起こして、妻の亜紀さんと離婚しますが、その十年後、二人は晩秋の蔵王で偶然再会します。それをきっかけに始まった往復書簡がそのまま物語になっています。 出だしが紅葉の蔵王なのでそう思ってしまったのかもしれませんが、何か美しく切ない物語が始まるようで、期待は高まりました。靖明さんの事件は女性主導の無理心中のようだし、実は嵌められたのではないか?、それでも自分のミスには違いないので言い訳せずに責任を取ったけれども、未だに心は亜紀さんで一杯なのだとか・・・。 しかし、物語が進むにつれ、期待は萎みます。事件で亡くなった同級生とは、結婚間もなくからの不倫ですし、”男は浮気するものと思ってくれ”のような下世話なセリフが出るあたりで、当初の期待が見当違いだったことがはっきりします。そもそも、その浮気する生き物である男の相手は女ですし、男女がほぼ同数のわが国で、女が浮気しないのでは計算が合わないではありませんか。 その浮気の話の他にも、”モーツアルトの楽曲は、生きていることと死んでいることは同じだと言っているように思う、どういうことかは説明できないが”とか、非論理的なフィーリングだけの、禅問答のような文章が出てきて困りました、ワタシはですが。 それらが物語の重要な位置を占め、有馬靖明さんの境遇が冴えなくなるに従い、ワタシは斜め読みの術を使ってしまったのでした。 | ||||
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ネタバレになるのであまり書きませんが 十年ぶりにケイブルカーの中で偶然に再会した元の夫婦 それをきっかけに書簡形式で交流が再開される 二人の関係が関係だけに、なんと儚いことか そのやり取りが書簡によって行われてゆく だから当然二人の会話は無いのです 誰でも、あの時もし何だったら今はこうだったなんて事は今でも皆が思った事は有るでしょう そんな処を上手く物語にしてしまうあたりに宮本氏の凄さが有ります 私は宮本輝氏の作品大好きですが またまた楽しい本書を読ませて頂き有難う御座いました | ||||
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過去への執着を解き放ち、兎に角、自分の足で前を目指そうというメッセージを感じた。 過去の続きではなく今日の続きである未来に、腹をくくって立ち向かえるか。 そこが人生の分かれ道の気がする。 冒頭、主人公が息子と蔵王に旅行にいくいきさつが述べられる。 私はその場面に感化され、数日後、娘との二人旅に出かけた。 忘れられない本となった。 | ||||
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錦繍を久しぶりに読みました。人生は辛く、そして悲しい。思わぬところから人生の転落は始まる。全てを失い打ちひしがれ、諦め、どん底に落ちてこそ、幸せや生きていることの喜びを鮮やかに感じることが出来る。全編を通して主人公たちの葛藤に心を合わせ、暗くなってしまう場面が多いが、次第にどんなに辛くとも前を向いて、雨風を耐え忍びながら進んでいこという希望が自分の中に芽生えてくる不思議な小説。 | ||||
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ある一定の時間が経てば客観的に自分に起こった出来事を分析することが出来る。 相手の許せなかったところや信じられなかった行動も理解できるようにもなる。 百田尚樹氏が'作家の読書道'でお薦めしていたので読んでみました。 | ||||
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離婚した元夫婦が偶然観光地で出会い、その後書簡を交換する関係になり、2人が会わなかった時間の様々な絶望や喪失を吐露しながら、やがて、自らを取り戻していく小説。 物語の全体を包むこの世の不条理。人は人と関わることで死に至ることもあれば、人と関わることで生を得ることもある。それには理屈などなく、単なる偶然でしかないと言わんばかりの世界観が背景となり、物語を浮かび上がらせる。 「生きていることと死んでいることは同じようなことかもしれない」と言う繰り返される台詞があるが、一方で、2人が蘇生していく結末はやはり、人と関わることによって希望を見いだしたいとういうことなのか。 全文が書簡でのみ構成されており、作家としては表現がかなり制限されたと思うが、見事に文学を形成している。 | ||||
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ずっと昔に読んで、特によかった本です。そのうち誰かに貸したか手元になくなりましたので、改めて買いました。読後感がとても良いです。 | ||||
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知人が「ある女優がいいと言っていた」というので、「くだらないよ」と言っておいたが、こんなのを評価する人がかなりいるようなので、一言書きたくなった。 宮本の古い作品で、女(元妻)と男(元夫)の偶然の再会後の文通だが、別れた女が自分のことを忘れられずに不幸でいるというオジサンの妄想、少年時代に好きになった大人びた美少女が自分に好意を寄せてくれたというオジサンの妄想、あるいは、昔の大切な思い出(気持ちワリ~)、落ちぶれた自分を健気な女が支えてくれるというこれまたオジサンの妄想と、オジサン臭全開小説なのだ。 男は元の義理の父に一度は後継者と認められたわけだし、女にももてるわけだが、単なるグズのダメ男でその魅力に説得力が全く無い。 女のほうも男を見る目がないのかアホなのか、間抜けな感じ。 「川」ものや「青が散る」はまだ良かったが、私はこれで宮本をやめました。 | ||||
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著者は、兵庫県神戸市生まれ、追手門学院大学文学部卒の宮本輝。 (S60.5.25 - H1.7.15 13刷) 「前略 蔵王のダリア園から…」運命的な出会いから、手紙のやり取りをするようになった離婚した二人が、書簡を往復しながらそれぞれの過去を織りなす。 全てが手紙形式の文体をとる、言ってしまえばありきたりなものだが、その表現が繊細で、映像ではなく、文章だからこそ想起させる鮮やかな世界が広がる。 途中まで鬱蒼とした話が展開されるが、靖明が令子に出会ってからというもの、話に光明が差したようにユーモラスなキラキラしたものが微かに見え隠れする。 手紙はお互い約1年に亘って14通展開されるが、終わり方は何とも切ないままも、お互いが将来に向かって“生命”を感じる温かいものが感じられた。 ───私が笑っていると、タクシーの運転手が、「何かええことおましたんか」と訊いてきました。「女に騙されたんや」。私は言いました。「見事に騙された」。すると運転手は、「女はお化けですさかい」と答えてバックミラー越しに私を見つめてにやっと笑いました。(p.178) | ||||
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10年ぶりに再開し、それぞれにパートナーはいるものの、手紙のやりとりを通じて離婚に至った事情と後悔が徐々に分かち合われる。しかし、懸案が晴れた後は、それぞれの人生を歩むのみ。二人のやりとりを切っ掛けとした新たな展開はほとんどなく、種明かしで終わるのか、という印象。男性側については不貞を思い返す様子も悪びれない点、まじめな小市民としては共感する余地も乏しい。特に、 ・結局男は新しい女と関係を持つ(惹かれる、だけでなく。しかも現在の夫や父親まで) ・女性は男女関係については受け身で弱い存在 といった設定にやりきれなさと古さを感じざるを得ない。 | ||||
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普段乱れているであろう日本語を使っている私には、綺麗な言葉で書き綴られている 文章(この本でいうならば手紙)に入り込みました。 静かなやり取りの中にもお互いに自分の過去を整理できていない混乱、そして人生の 折り返しの歳に差し掛かり若い時には考えてもいなかった現状を生きて行く決意。 同じような年代の私は夜中にポロリと涙が出てしまいました。 | ||||
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1円で購入して、手元に届くまでどんな状態の本かしんぱいでした。きれいな本だってので、安心しました。ずっと以前に読んだのですが、読み直してみて、思っていた内容が違っていたところが多かった。今度は良く味わう事が出来ました | ||||
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手紙のやりとりのみで進むはなし。かつて不倫によりすべてを失った男と、その元妻がふいに再会するところからはじまり、ひたすら書簡が往復される。珍しいパターンのようであり、使い古したパターンのようでもあるこの形。自分の中では、小説のなかにふいに出てくる手紙は、最終兵器のような位置づけである。感動を100%誘い出す、アイテム。それが不思議だったが、この小説を読んで、もはや手紙とは、書き手の内部を嘘いつわりなく映し出してしまう、そういう特殊なモノであると気付いた。 読まれているのかもわからない、返信があるかもわからないということが、心の内を暴露させる、それは確かにメールとも違う、電話とも違う、手紙という媒体がもつ特殊な力かもしれない。そうやって、交わしあった文の節々でああこういった人間だったのだと、各々の男女が気づいていく過程が、じんわりと染みてくる。途中の死への考察や、運命への考察も興味深かった。 | ||||
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もっとも回数を多く読んでいる本です。たぶん20回以上読んでます。 亜紀と同じ境遇の人はすくないでしょうけれど、亜紀と同じ感情は誰の心にもあると思います。 全編が亜紀と元夫靖明との往復書簡です。美しく気高い文章は内容と相まっていつまでも余韻を味わえます。私の心に永久保存したいです。宮本輝の最高傑作だと思います。 | ||||
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文学です。こんな風に書けること事態が才能というか、与えられた使命なのでしょう。素晴らしいです。 | ||||
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かつて夫婦だった2人が次第に以前のような関係を取り戻していくような展開に引き込まれた。手紙のやりとりだけで、2人の現在に至るまでの人生が描かれていたが、表現の深みによってそれらが映像化され、臨場感を覚えた。 | ||||
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主人公の女性を取り巻いて、父親、元の夫、元夫とその昔関係のあった女性、今の夫などが、それぞれの欲を隠しながらも隠しきれず、行き着くところまでいった先に、諦めにも似た悟りを得てなおも生き続けて行く様を描いていると思いました。最後の父親との会話のシーン、背景の音まで聞こえてくるかのような錯覚を覚えました。作家の名前は知ってはいたものの読んだのはこれがはじめてで、何というさみしさをその身体に染み込ませておられるのかと推察しました。関東出身の身としては、関西ってちょっとミステリアスです。 | ||||
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読み終えて久しぶりに小説を読破したと言う気持ちにさせてくれました。これぞ宮本小説といえる何とも言えない哀愁?が漂う中に希望の光が見える。 | ||||
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有馬靖明と勝沼亜紀、2人の男女の14通の手紙で構成された、 珍しい書簡体の小説でした。 夫婦だった2人がひとつの事件をきっかけに離婚。 互いにそれぞれの人生を歩み始め、二度と会うこともなかったはず。 しかし偶然にも巡り会ってしまったことから手紙のやりとりが始まります。 手紙の中で語られる事件の真相、今の互いの生活。 過去から現在、そしてそれぞれの未来へと展開されていきます。 亜紀がモーツァルトの音楽を聴いて感じた 「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれない」 という感覚。 事件で死にかけた靖明も激しく共鳴します。 小説の中で2人が会ったのはわずか。 それで小説が成り立つのだから凄いです。 | ||||
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