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錦繍



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【この小説が収録されている参考書籍】
錦繍
錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

錦繍の評価: 4.41/5点 レビュー 179件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全179件 61~80 4/9ページ
No.119:
(4pt)

混濁した世界を混濁した自分を抱えて生きる

愛と憎悪、生と死、過去と未来。そういった一見対極にあるように思われるもの同士が肉薄し反転し混ざりあう。
そういった混濁した世界を混濁した自分を抱えて生きていくことを往復書簡により反芻し決心していく二人の物語。

重要な部分は、モーツァルトを聞いた亜紀がもらした言葉「生きていることと死んでいることは同じかもしれない」を聞いた店主が言った「世界、宇宙のからくり」という言葉だろう。
由加子との出会いも、亜紀との結婚も、無理心中も、発達障害の子供も、猫が鼠を食すのも、そしてゴンドラでの邂逅も、すべて偶然である、けれども人は時としてそこに、必然を、物語を、宇宙のからくりを読み取ってしまう。そしてそれは亡霊となり心に坐りこむ。
「生きていることと死んでいることは同じかもしれない」だから、生きてみようということではない。それならば死んでみようということにもなるだろう。
けれども二人は、いや、宮本輝は、由加子の死を引き受けた二人が、亡霊に取りつかれながらも、最終的にはささやかな希望を抱いて生きていくという物語の結末においてそれを否定している。
店主が「モーツァルトが分かれば音楽が分かったということです」と言ったにも関わらず、亜紀の言葉によって全く別のモーツァルトが立ち上がったという場面。これは、宇宙は不可思議なからくりを秘めているが、それは決して解き明かすことができないということを暗示している。別の言い方をすれば、人には亡霊が見えないがゆえ、逃れることができないということだろう。
彼の生死観、倫理観、宗教観が散りばめられたこの小説のどこで、それでも死を否定するだけの理由が書いてあるのか。最後の手紙で亜紀は、久しぶりにモーツァルトに耳を傾けます。と書いて筆を置く。ここに彼がこの小説で書きたかった骨子を読み解くことができる。この小説におけるモーツァルトとは世界のからくりそのものであり、逃れられない亡霊である。それに耳を傾けるというのは、決して解けない謎を解こうとすることである。それは苦しく絶望的だが、時として美しく悦びに満ちたものである。それがまさにモーツァルトという音楽であり、この小説のささやかな希望の理由なのだろう。
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4101307024
No.118:
(5pt)

良い本に出会えました!

石田ゆりこさんがこの本を何度も読み返しては泣くと自書で書いてあったので、読んでみました。久しぶりに良い本に出会えました。
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4101307024
No.117:
(4pt)

石田ゆり子さん推薦!

石田ゆり子さんの『Lilly』に中学生時代に出会い今も読み返している愛読書とあり興味を持ちました。往復書簡で綴られ相手を思いやりながら美しい日本語で進む物語は、新感覚であっという間に読むことができました。思いやりながら言いたいこと伝える、人との距離感も学べた気がします。
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4101307024
No.116:
(5pt)

手紙でのやり取りのお話

数年前に、文庫本で購入し、また読みたくなり、捨てずに、無くさなくて済むkindleで購入。何度読んでも切ないです
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4101307024
No.115:
(5pt)

淡々としているのに

全編、男女の手紙だけのやりとりですが、最初から最後まで
読んでいて楽しかった。宮本輝さんの本は一時期ハマり、し
ばらく子育てで読書が出来ない日々が続いて久しぶりに手に
取りました。やはり爽やかな気持ちになれて好きです。最後
の終わり方、普通なのにとても印象に残りました。またいつ
か読み返してみたいです。
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4101307024
No.114:
(2pt)

過大評価されていますね。

純文学として優れている、ということで過大評価されていると思います。
たしかに、往復書簡で語り合う形式は、当時としては少し新鮮味のある試み
だったかも知れません。ただ、それで語られる内容は、特に大きな抑揚があ
るわけでもなく、ぐいぐいと引き込む魅力があるわけでもありません。
 その淡々としたのが良いのだ、という人もいるかも知れませんが、宮本輝
ファンとか一切の先入観なしに読んだら、退屈なだけです。しかも、後半に
なると急に新規の仕事の話とかが始まって、せっかく作り上げてきた雰囲気
をぶちこわしています。
 はっきり言います。「過大評価されているだけです」と。
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4101307024
No.113:
(5pt)

最も好きな作家

人知れぬ闘い。誇りなど抱きようもない人生。間に合わなかった良心。誰かの為の祈り。誰かによる許し。
「生きる」ということを、何と言い表せばいいだろう。「生きる」ことに対する宮本輝氏の眼差しにいつも共感している。
肯定と祈りが美しい文体によりエンターテイメントに仕立てられている。
大好きな作品である。
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No.112:
(3pt)

作家の手がみえる

先日、本書を久しぶりに手にした。
前回の読書のときは読後、どうかなと感じたが、今回の読書で、作品のどの部分に”どうかな”と感じたのかがわかったような気がする。

始まりは良かったのだが、途中から登場人物たちが、恣意的に動かされているのを強く感じるのだ。
残念ながら、僕は、こういうのに強く反発してしまう。。。

でも、この作家の日本語は美しく、他に素晴らしい作品がいくつもあるので、僕と同じようにこの作品がだめだった人も、自分の好きな作品を探してみてください。
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4101307024
No.111:
(5pt)

「命そのもの」に絶望しない

本作のテーマは、「命そのもの」である。
離別した夫婦の往復書簡を通して、過去現在未来とつながっていく命の不思議
と逃れられない人間の運命を軸に物語は展開していく。
離別後の二人の人生は暗転する。
靖明は臨死体験を経て、永遠に生き続ける自らの命に触れたことで、
生死の曖昧な境界を歩むような、諦めと絶望の時間を生きる。
一方、亜紀は漠然とした不幸の予感に怯えながら、目の前にあらわれる不幸の数々に
うちひしがれる。 再婚後に授かった清高は障害をもって生まれて、本作では
亜紀の不幸の象徴として描かれている。
二人は10年を経て、書簡のやり取りを通じ、お互いの過去を昇華していく過程で
生命の不思議なからくり、人間の生まれ持った業といった抗がえない力の存在に辿りつく。
二人は立ちはだかる運命の前に無力感を感じながらも、絶望するのではなく、
ささやかな希望で未来を見据え、現在を生きることを選択する。
靖明には令子が命の光となり、亜紀には清高が命の理由となる。
そうして、二人は再生される。
宮本氏は本作で、命という不思議なからくりに支配される我々の生き方を問うたのではなかろうか。
人間は無力であるが、その無力に絶望することなく、ささやかでも希望をもって現在を生きていくことに価値があるのではなかろうか。
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4101307024
No.110:
(4pt)

なんだかよく分からないけど、とってもよかった

15年ぶりに高校の国語の先生にお会いした際に、ご自宅の本棚の中で「俺、これ好きなんだわ、オススメだよ」と紹介してもらったのがきっかけで初めて読みました、宮本輝(さん)。

最初はいきなり始まる女性からのお手紙が、なんだかじれったいような、遠慮がちというか、はっきりしてないようなものの言い方が気になって「なんだかなぁ、まさかこれ、このお手紙がずっと続くわけ?この先おもしろくなるの?」という心境でだらっと読んでましたが、さらりと私のしょーもない予想を裏切り、あっという間に読んでしまいました。

14通のお手紙に、いろんなことが書いてありました。
男女のこと、命のこと、仕事のこと、音楽のこと、夫婦のこと、親子のこと、とにかくたくさんいろんなことがあって、わーっとまとまらないように見えるんだけども、なんだか全部まとまってる。

人生の底と思えるような経験から、希望に溢れたこれからの未来まで、濃密で素直な普通のふたりの人生をしっかり受け取ったような気持ちになりました。

「錦繍、どうだった?」と先生に聞かれたら、「なんだかよく分からないけど、とってもよかった。面白かった。」と答えよう。さわやかであたたかな読了感が、まだ残っています。
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4101307024
No.109:
(1pt)

最悪

電子書籍は校閲してないのか同じ文章が何度も繰り返されたり後戻りしたりグチャグチャ。わたしの端末が悪いのか。でも他の書籍はきちんと入っている。何処へ苦情を言ったら良いのやら。本なら本屋へ持って行くだけで済むことが電子書籍は手軽だけど不便。
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No.108:
(5pt)

再読で更に感動

再読ですが、また新たな感動があります。
離婚した二人が偶然出会い、その後の手紙のやりとりが綴られます。
少しずつ過去が解け、自分と相手の未来を思えるようになっていきます。
大人の小説です。
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4101307024
No.107:
(5pt)

やはり、素敵な本❗

若い頃に、読んで、大好きな一冊で、再度、読みたい❗と、購入。年を重ねて、中味の深さが分かるようになったのか、読む度に、涙が止まりません。宮本輝さんの本は、ほとんど、読んでいますが、感動します。お勧めします。
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No.106:
(5pt)

日本語って美しいね

日本語って美しいね。
昔付き合ってた彼女が読んでました。
村上春樹ばかり読んでいる自分にとっては、美しい日本語の小道に出会った気持ちです。
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No.105:
(4pt)

綺麗

以前から本屋さんで手にとってはいましたが、読んでいませんでした。
雑誌に良さそうな本で載ってたので読んでみました。
読後、綺麗な気持ちになった。
さっくり読めます。
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No.104:
(5pt)

人の人生の不思議に思いが至ります。

元夫婦の男女が独白する数奇な人生に、不思議さとともに人の生きることの尊厳のようなものを感じ入りました。
兎に角、人物描写が深い、と思いました。
これ、映画化してくれないかな。
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4101307024
No.103:
(5pt)

宮本輝の作品では一番おし!

若き頃に読んで 涙した本。
蔵王という景色が 目に浮かぶほどの人間模様。
心のひだにはいる言葉の積み重ねとやり取り。
手紙って こんな風に書くのだと感心した一作。

老境に入り 再度読んでみた。
離婚をして 10年経った段階で、
偶然会うことになり 手紙を書きたくなった。
そして,離婚当時は 質問できなかったことを
素直に聞くことで 物語は始まる。

はじめは かたくなな態度を示していた わかれた夫も、
少しづつ,溶け始め、
現在の 令子との生活の充実感をかたる。

読み終わった段階で、二人の思考方法がよく似ている。
気遣いの言葉が 類似しているような気もする。
別れても,好きな人 という 歌があったね。

『生きていることと、死んでいることとは、
もしかしたら同じことかもしれへん。』
という 諦観が 底流に流れながら、
けなげに 生きようとする 姿が 浮き彫りとなる。

宮本輝の作品では やはり一番押しの作品ですね。
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No.102:
(5pt)

数年ごとに読みたくなる本。

大学時代の友人に宮本輝ファンがいて、その人が一押ししていた作品を読んだら、好きになった作品です。
何年かごとに読みたくなるので、
以前は文庫本を持っていましたが、
電子書籍にしてみました。

自分の年齢も重なっていくにつれ、
印象に残る部分が変わっていったりします。
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4101307024
No.101:
(5pt)

人の心の奥深さ

2019年9月2日
おそらく3回目か4回目ですが、やっぱり良い本だと思いました。
もしかしたら読めば読むほど良い本なのかもしれません。
又は歳をとると、でしょうか。

2015年9月14日
錦繍 という文字が良く似合う物語です。
人間は時々、本心とは違ったことを言ったり、行動をしてしまったりします。
それが大切な人の前であればあるほど。
手紙というものは、時間をかけられるので、その影響が少なくなります。
手紙って良いですね。
読書の秋にぴったりの本ではないでしょうか。
宮本輝さん、すごいなって思います。
モーツァルトのレコードしかかけない喫茶店にも惹かれます。
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No.100:
(4pt)

束の間の休息日

宮本先生の文章は、手紙という形式を使いながらも亜紀と靖明の心の不満足感と安定を求めたい気持ちを良く描けていると思います。ストーリーも、蔵王で再会する、というところはやや強引ですが、悲惨な事件を挟んで興味深い展開をし、少しひねりもあるので最後まで読ませてくれます。

ただ、私はこの2人のキャラクターにはどうしても共感を覚えられませんでした。靖明は、由加子さんがなぜあのような事件を起こさないといけなかったのか、手紙を読む限り全く分かっていませんし反省もできていません。この人は自分が何のために生きているのか、何がしたいのか自分というものを全く持っていないように見受けられます。必死で頑張る令子さんがありながら、こんな長い手紙を未練たらたら亜紀に書いている。一体なにを考えているんでしょうか。これでは令子さんとの関係も短時間のうちに、きっとうまくいかなくなるでしょう。

もっとひどいのが、亜紀です。この人はお父様の影響から全く出ることができない、子供のまま。結婚して家族を作ったのに、その責任感とか持てないでいます。靖明や勝沼さんに浮気される理由が自分にあることが全く理解できていませんね。お子様が可哀想です。そのうち、100%信じて頼っているお父様が高齢になった時、どうなるんでしょうか。会社は他の人の手に渡り、障害を持つお子様を亜紀一人で育てられるとは到底思えません。私には、このように二人の破局の直前の小春日和を描いた作品、と読めました。
錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)より
4101307024

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