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(短編集)

あなたに不利な証拠として



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あなたに不利な証拠としての評価: 3.98/5点 レビュー 45件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.98pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全45件 41~45 3/3ページ
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No.5:
(4pt)

淡々としたリアルな描写からヒロインたちの苦悩が切なく伝わる

「ハヤカワポケットミステリ」(通称「ポケミス」)から久々のヒット作が出た。それが本書である。今年2月の発売以来、静かに売れ続け、各大手書店のフィクション部門のベスト10に入って、版を重ねている。
MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞’05年最優秀短編賞受賞の「傷痕」をはじめ、警察官である5人のヒロインたちを描いた10編を収録した短編集である。
タイトルはアメリカの警察官が被疑者逮捕の際に読み上げる、相手の権利、「あなたには黙秘する権利がある。あなたの発言は法廷で不利な証拠として扱われる可能性がある」からとられている。
このタイトルからも分かるように、どの作品も、自身が警察官だった著者の実体験に基づいて、彼女たちの警察官としての日常の職務が写実的かつ生理的でリアルに描かれており、すぐれたドキュメンタリーを読んでいるように生々しく読者に迫ってくる。
銃を持った被疑者を射殺した話(「完全」)、被害者の死体のすさまじい死臭が、制服から身体中に至るまでいつまでも消えない話(「味、感触、視覚、音、匂い」)、夫婦そろって警察官で、ふたりとも殉職する話(「キャサリンへの挽歌」)、若者の無残な交通事故と自分も交通事故に遭って辞職する話(「場所」)、いまは夫となった当時の刑事の捜査がずさんだったとして、当事者から6年前の事件の再調査請求を受ける話(「傷痕」)、武器を持たない相手を誤って射殺する話(「生きている死者」)、その事件の後遺症で逃げ出すヒロインの話(「わたしがいた場所」)。
これらの、あえて静かで淡々とした記述を通して、常に死と向かい合わせの過酷な世界に生きる5人のヒロインたちの、切ないまでの苦悩が伝わってくるのである。
本書は、味読に値する傑作であり、今年の各ミステリーランキングの上位ランクインは間違いない作品だと思う。
あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.4:
(5pt)

警察小説を超えるもの

 ルイジアナ州バトンルージュといえば日本人学生がハロインで誤って射殺された物騒な街として知られている。日本人の偏見どおりに暴力が横行するこの街で、主人公の女警官は、日本でいう婦人警官(交通違反の切符を切ったり、老人会で交通安全の講師を勤めたりする)とは全くイメージが異なり、防弾チョッキを着用して犯罪者と格闘し、場合によっては相手を射殺せざるを得ない羽目に陥る。だが、この物語は単なる暴力の描写ではなく、彼女らの心の動きを捉える。
 「Lemme Tell・・」という小品にもその苦悩が表現される。近所に住むベトナム戦争の退役軍人である中年男は、警察官の仕事の厳しさはよく理解していると口にする。離婚したばかりの女警官は、警察仕事への同情へ丁寧にお礼を言いながらも「あなたの想像しているのとは違う厳しさよ」と思う。しかし、彼はベトナムで、敵のベトコンではなく仲間のアメリカ人を射殺したことを告白する。「Lemmeは言うんだ。悪夢に悩まされているだろう、と。だが俺はちっとも後悔はしていないさ。」
 ぜひとも読むべき作品です。
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No.3:
(4pt)

警官という特殊な職業を物理的に描いて成功

 警官は、兵士同様、人命を奪う可能性のある職業だ。そして、人を撃たざるを得なかった状況を、当事者以外に比喩的に説明することは難しい。なぜなら「銃にたとえられるものは一つもない」から。
 この、複数の女性警官を主人公とした短編集は、警官という特殊な職業を、物語やレトリックではなく、現実的、物理的に描いて成功している。
 殺すか殺されるかの状況でやむなく人を撃った女性警官には、射殺された犯罪者の亡霊が貼りついて離れない。石鹸や香水を何度使っても、制服を何度洗っても“死の匂い”は拭えない。そして主人公は、死の匂いがすでに自分のからだの一部になったことに気づくのだ。
 この短編集は、多くのミステリーがあえて触れない、物理的な匂いや手触り、音や味覚を有り体に描写する。曰く「死体はものすごく臭い」「他のどの匂いとも似ていない」「言語に絶する匂い」...。「死」が常に日常にある警官という職業にとっては、観念より先に物理的な事柄が重要なのである。「上映が始まっている映画館へ入ったように何もわからない状況に放り込まれたら」、度胸と勘と経験が頼りであり、「何がどういう理由で起こったのかは、終わってから少しずつわかる」のだ。だからこそ、警官は、手と耳と目の感覚を磨くのである。
 こうした警官の日常の物理的なディティールや、そこから導かれる感覚、思考は、経験者だからこそ書けるものである。しかも冗長さ、あいまいさが無く、簡潔な文体もいい。もちろんそのベースには男社会に女性の視点、生理で切り込む部分があり、そこが最大の魅力となっている訳だけど。
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No.2:
(1pt)

だまされました

「あなたに不利な証拠〜」読了。純文学ですなあ。低レベルの。
書評家は商売だから仕方ないと思うけど。ミステリとしては
駄目でしょ。こんな本がミステリとして認知されたなら何でもありです。で、心の謎、皮膚感覚の謎、生き方への思いを表そうとしてるのなら技術が低すぎます。翻訳者のレベルが低いのかもしれませんが…。それと藤沢さんのハードボイルド論を引用していた書評家もいました。
本気ですかなあ?藤沢さんは「あなたに不利な〜」みたいな泣き言など決してかかなかった小説職人ですよ。まあ、毎月本に関する雑誌出してる書評家とつるんでくそおもしろくもない本を薦めてるんでしょうな。
勘弁してよ。
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No.1:
(5pt)

独特の雰囲気がある

表現が難しいのですが、物語を事実として淡々と語っていることもあり、妙に澄んだ感覚を残す短編集。この感覚をシンプル過ぎてつまらない、と感じるかリアリスティックだ、と感じるかで評価が分かれるでしょう。でも、『読ませる』という点は作者(と訳者)の筆力が優れているのだと思う。久々に印象に残った本だった(特に前半部分が)。現実的な警察小説が好きな方、ちょっとユニークな雰囲気の本を捜し求めていた方にはお勧めです。
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