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カルカッタの殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
カルカッタの殺人 (ハヤカワ・ミステリ)

カルカッタの殺人の評価: 4.22/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

読みやすい歴史ミステリー

翻訳者の力量か、作家の力量かどうかは分かりませんが大変読みやすかったです。大昔、世界史で習った東インド会社をはじめとした英国統治下のインド(カルカッタ)が舞台の歴史ミステリー。こういう歴史もののミステリーは、割と当時の風俗や文化の解説が仰々しく読みにくい作品が多いと思うのですが、こちらは普通の警察小説として読めました。心に傷のある敏腕警部、駆け出しの部下、怪しい同僚、軍幹部、ミステリアスなハーフ美女だったり、ストーリーも最後までどこに落すか分からないけど、どこか読んだことのある感じもしなくもないですが、王道ミステリー、前述の登場人物やカルカッタの街も魅力的なのでシリーズ化、納得です。
カルカッタの殺人 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:カルカッタの殺人 (ハヤカワ・ミステリ)より
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No.8:
(5pt)

いま一番注目の作家。

よくできたミステリ、おもしろいです。インド帝国警察の英国人ウィンダム警部と、インド人刑事部長バネルジーのコンビによる一作目です。アビール・ムカジーはこのコンビによる作品をすでに四作書いているようですが、本書を含む三作がCWAゴールド・ダガーの候補になっており、本書と四作目の『Death in the East』でCWAヒストリカル・ダガー賞を二度受賞していますね。このコンビ、ホームズとワトソンになぞられるのでしょうが、わたしは市川崑の角川映画で「よーしわかった」の等々力警部(加藤武)に対し「あのう~」と遠慮がちに意見する金田一耕助(石坂浩二)を思い出しました。田村義進さんの訳はテンポよくたいへん読みやすいです。ときたま「瞋恚の炎(しんいのほむら)」などといっためったにお目にかからない言い回しが出てきたりしますが、この方の翻訳は『窓際のスパイ』などミック・ヘロンの3作品でも堪能しました。
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No.7:
(4pt)

インディアン・シャーロックホームズの歴史小説

心に傷を負いロンドンからイギリス占領下(1919年ごろ)のカルカッタ警察まではるばる赴任してきた主人公が、帝国主義ならではの差別、欺瞞、腐敗、支配と被支配、官僚機構、現地の風俗などと戦いながら殺人事件を解決に導くまでのミステリー小説。

主人公が魅力的なのはシニカルでストイックな英国人を徹底的に演じているからであり、助手のシャイなインド人はさながらワトソンのような気もしてくる。さらに「見てきたような」当時のカルカッタが活写されており、古きよき時代の映画を観ているような錯覚にさえ陥るのが作者の力量であろう。

台詞まわしも魅力的で「警察官としては、戦うより話すことを好む者のほうが断然好ましい。」「ドーベルマンがテリアに吠えられて尻尾を巻いたようなものだ。」「多くのインド人はヴィクトリア朝時代の英語をところどころに交えて話す。」「(インドはイギリス人の男を)いびつに変える。」「すべてのものを偽善者に変える。」「ときには自分自身を信用しないこともある。」などたいへん秀逸です。
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No.6:
(5pt)

英国支配下のインドを理解するのに最上の教科書

最近は忙しくて小説を読む機会が少なくなったのだが、この本は非常に読みやすく、あっという間に読んでしまった。
舞台設定は1919年のインド・カルカッタと全くなじみがなく、風景すら目に浮かんでこないが、非常に狭い中での出来事なのでそれほど混乱せずに読み進めることができた。
私はイギリス支配下のインドに興味があったが、この小説はその状況が非常によく描かれていた。
推理小説というよりも、社会小説、時代小説としての価値が高いと思った。

支配者であるイギリス人が書いたものではなく、被支配者の末裔のインド系イギリス人が書いたというころに価値がある。
それにしても、イギリスとはひどい国で、世界中の富を食い物にし、世界中の文化・歴史破壊してきたことがよくわかる内容だった。
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No.5:
(3pt)

次作に期待

作家はロンドン在住のインド系イギリス人二世で、会計士をしていたのを40歳を機に本作を小説コンテストに応募してデビューしたようです。

さて、白人のウィンダム警部がカルカッタに赴任するなり、イギリス人高官の殺人事件が起きます。

ウィンダム警部は作中でも言われていますが、純粋過ぎる人です。現地での人種差別に憤慨しているのに、部下のバネルジー(インド人)に高飛車な物言いをしてしまい、後悔します。

バネルジーも少年のような好人物で、二人は良いコンビになります。二人の関係がこの小説の目玉かと思います。

事件は最終盤でバタバタと解決します。伏線もなく唐突でした。ミステリとしては物足りないのですが、本国ではシリーズ化して三冊目まで出ているそうなので、次作への期待を込めて星3つにします。
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No.4:
(2pt)

過大評価

レビュー高評価のため購入。期待はずれ。最後まで読みましたが、著者の力不足を感じます。
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No.3:
(5pt)

すらすら読める海外警察ミステリ物。

私にとっては不思議なほどすらすら読めた翻訳小説です。20世紀初頭のカルカッタを舞台にした歴史ミステリで、作者はインド系英国人2世。その視点で語られる、訳あり英国人警部と部下のインド人部長刑事コンビが活躍します。設定から最初想像したような重いストーリーじゃなかったです。人気TVドラマになりそうなそんな感じ。次作が楽しみです。
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No.2:
(5pt)

良心に自分を問うとき、それは正義への道となる。歴史ミステリの傑作!

現地人居住区で凄惨な殺人の犠牲となったのは、インド帝国の白人高級官僚。それも娼館に隣接する路地でのことである。群衆の見守る中で現場検証を行うは、インド帝国警察の警部ウィンダムと、インド人青年にして帝国警察採用試験上位三名内の成績を持つ部長刑事バネルジーのコンビだ。二人は急遽、警視総監に呼び出される。異例尽くしの捜査命令、したたかな娼館の女主人、介入する軍の諜報機関、不穏な雰囲気を醸し出す現地の独立運動……。
48時間を過ぎてもいっこうにつかめない事件の手がかり。被害者の秘書アニー・グラント嬢、ジュート王、牧師、ベンガル副総督。誰もかれもが何かを知っているのではとの疑念は膨れ上がる。突如命じられた郵便列車強盗殺人事件。時期を同じくして起きた二つの事件は、重要なリンケージを持ち……。前半はユーモアを交えつつ、政府高官殺人と列車襲撃事件の容疑者「テロリスト」センの逮捕劇。後半は「愛国者」センの供述にはじまる、イギリスとインドの確執の物語。センは本当に犯人なのか?
「苦労好きな」イギリス人が作り上げた人工の交易都市、高湿・高温のカルカッタを舞台に、物語は少しずつ動き出す。
・20世紀になっても、多くのインド人はヴィクトリア朝時代の英語を使用していたとは、なかなか興味深いな(p121)。
・ベンガル・ルネッサンス(p135)の華やかさと誇りはどこへやら。アニー・グラント嬢に代表されるインド人とイギリス人の間に生まれた「アングロ・インディアン」の存在と、その哀しみが伝わってくる。
・インド人3億人に対し、現地のイギリス人はわずか15万人。支配する者とされる者。白人の優位性幻想と支配原理。アイルランド出身イギリス人の言葉は、ウィンダムにどのような印象を与えたのだろうか(p173)。
・カルカッタの名門出身にしてケンブリッジ大学卒のインド人、バネルジー刑事部長も好人物。警部のジョークを理解できず「理屈」で返答したり(p227)、女性への接し方がまるで子供だったりと、なかなか憎めない。
・「真実にたどりつきたかっただけだ。そういう意味では古い人間なんだろうな」(p402) 額に拳銃を突き付けられながらも、こういうセリフを吐ける男になりたいな。

後半、ウィンダムが自分を問う展開(p260-261)は、同時にイギリス人によるインド統治の根幹を揺るがすものだ。良心に自分を問うとき、それは正義への道となる。
イギリス支配に反感を抱く「愛国者たち」が非暴力運動に転じ、その日暮らしの貧しい民衆の支持を得ると何が起こるのかを、われわれは十分に知っている。だからこそ、戦間期の彼らの苦闘こそ、本書の影の主役であるともいえよう。歴史ミステリの傑作!
ウィンダム警部とバネルジー部長刑事のコンビはまだまだ活躍しそうで、続編が実に楽しみだ。
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No.1:
(5pt)

秀逸な歴史ミステリ

長編ミステリ。
1919年イギリス統治下のインド。元上司に招かれ、インド帝国警察に赴任した経験豊富な捜査官であるイギリス人のウィスダム警部は、新人だが優秀な部下であるインド人のパネルジー部長刑事たちと、着任早々発生した殺人事件と列車襲撃事件の捜査に当たりますが、その過程で様々な障害に見舞われます。
捜査の障害は、慣れないインドの習俗、インド人とイギリス人との民族間の格差、軍部の圧力等さまざまですが、ウィスダム警部に内在する優越意識もあります。それらを意識しつつ、大事な人を亡くした過去により神を信じられなくなったウィスダム警部は、アヘンの誘惑に惑いながらも、あくまでマイペースにときにシニカルに事件解決を図ろうとします。インドのカルカッタの熱気が伝わってくる力作。理知的な革命家やインド人とイギリス人のハーフの美女、懐の深い上司など登場人物も魅力的。二転三転する謎とその解明も良いです。
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4150019452

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