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悪魔はすぐそこに
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悪魔はすぐそこにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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大学の職員という経歴からか、この作品の舞台である学内の人間関係、細やかな心理的描写が生き生きと描かれていると思います 五番目の~とそして医師も~両方読んでイマイチだったのですが、クリスティーの毒殺物のように作者自身職業柄詳しいことを書いたものの方がやはり面白いということですかね。 | ||||
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著者のディヴァインは1930年生まれ、この作品の出版は1966年だそうです。英国ミステリのクラシックスと言っていいと思います。 舞台は地方都市ハードゲート。そこにあるハードゲート大学で殺人事件が起きる。殺されたのは老年の経済学講師。そんなに能力があるわけでもないし年も年だし、やめてもらいたいと考えていた大学のマネージメントが、ちょっとした会計上の落ち度を突いて彼を追及しようとしていたところだった。が、講師は濡れ衣だと主張し、自分をやめさせるならあれこれ都合の悪いことを暴露してやると捨て台詞を吐き、その夜に殺されてしまった。数学講師ピーターにとって彼は亡父の友人であり自分の恩人でもあった。彼の婚約者で経済学講師ルシール、そして法学部長のラウドンと事務職員のカレンらは、自分たちでも犯人の見当をつけてみようとするのだが・・・事件にはどうやら過去の女子大生妊娠、堕胎死亡事件のスキャンダルがからんでいるらしい・・。 著者自身が大学の職員として働いておられたそうで周知の世界だからか、大学内の実態がとてもうまく描かれています。事なかれ主義でやる気のない骨董品のような老年教師や、出世欲でギラギラしていて人の足をひっぱることしか考えていない野心家の教授、能無しの上司にうんざりしながらもこき使われている事務職員などなど。実際にいかにもいそうな人物、ありそうな出来事ばかりです。英国の大学の重厚な雰囲気もいい感じですし、良い意味で古き良き時代の古典ミステリの面影があります。50年前の作品にしては古びてもいず、真相を追う楽しみ、意外な犯人、納得のいく犯行理由など、ミステリの王道のおもしろさがあります。 著者はミステリ小説コンクールの応募で作家デビューしたのですが、審判員だったアガサ・クリスティは、処女作”兄の殺人者”を「最後まで読んで楽しめた極めて面白い犯罪小説」と絶賛したそうです。確かに、たとえば秋の夜長にゆったりと読書するにはうってつけの小説だと思います。すでに2つめの翻訳「ウォリス家の殺人」も読みましたが、こちらもなかなかの出来でした。こちらの後書によると、ディヴァインの作風は水戸黄門や韓ドラのように類型的なパターンや登場人物が見られるそうですが、それを味わって読むのもまたいいかと思います。ミステリ・クラシックスの風情が好きな方にはおすすめの作品です。 | ||||
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本作『悪魔はすぐそこに』(1966年)を読み終わり、『兄の殺人者』(1961年)、『三本の緑の小瓶』(1972年)の2作を、評者は少し前に読んだのだが、ディヴァインの才能を少し過少に評価していたようである。 本作は、『兄の殺人者』でデビューしてから5作目でありディヴァインも油がのってきたころの作品ではないかと思ひながら読み進んだのである。 探偵小説+犯罪小説ともいえる新しいジャンルとして読むことも出来るが、やはり「伝統的な探偵小説」の側に軸足を置いて書いている、と巻末の解説で法月綸太郎氏が評価していたことに異論はない。 本書『悪魔はすぐそこに』は、大学内で起きた事件であるから、かってディヴァイン自身が大学事務職員だったことから、自家薬籠中で書くことも可能だったかもしれないが、登場させる人物の巧みな性格描写などについ引き込まれてしまった。 犯人探しをする読者を、ミスデレクションに導くプロットにも嫌みがなく、ヒントもそこここにちりばめられていて、“犯人はこの人物しかありえない!”と思わせながらも読者を先へ先へと読み進めさせる才能に脱帽した。 巻末の解説で法月綸太郎氏が「温故知新」との言葉を使っていたが、『悪魔はすぐそこに』は、半世紀近く前に書かれたにも拘わらず久しぶりに楽しませてくれた作品であった。 | ||||
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目の前に人参がぶらさがっているのに、殆ど気がつかないまま最後まで読んでしまったという感じ。 読後思い出してみるとあちこちに犯人を示唆する手掛かりが沢山転がっているのに、怪しげな人間たちの怪しげな言動にすっかりミスリードされてしまった。もう1度読み直してみるといかに作者がフェアに勝負したか、どこに罠が仕掛けられていたのかより一層理解できると思う。 それにしても結末にはアッと驚かされた。 最近はクライムノベル的な推理小説が多く、こういう正統派的なものが殆どない。 その意味でこの1冊は非常に希少価値が高い。 | ||||
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目の前に人参がぶらさがっているのに、殆ど気がつかないまま最後まで読んでしまったという感じ。 読後思い出してみるとあちこちに犯人を示唆する手掛かりが沢山転がっているのに、怪しげな人間たちの怪しげな言動にすっかりミスリードされてしまった。もう1度読み直してみるといかに作者がフェアに勝負したか、どこに罠が仕掛けられていたのかより一層理解できると思う。 それにしても結末にはアッと驚かされた。 最近はクライムノベル的な推理小説が多く、こういう正統派的なものが殆どない。 その意味でこの1冊は非常に希少価値が高い。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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大学のキャンパスという閉鎖的な“場”を背景に、過去の醜聞が現代に影を 落としたことで発生した殺人事件とその解明をサスペンスフルに描いた本作。 本作では三人称多視点の叙述形式が採られており、主要人物達の内面と外面、 その両面が克明に描写されることによって、それぞれの人物像が立体的に確立 させられています。そして、そうした人物たちに、血の通ったリアルなドラマを 演じさせることが、そのまま、事件の真相から読者の目を逸らさせる、巧妙な ミスディレクションとなっているのが素晴らしい(各人物の、内に秘めた心情 まで描写されていることで、つい誤魔化されてしまいますが、たとえ心の内で あっても、犯人が犯行を“自白”する、なんてことは当然ありはしないのです)。 また、本作では、特権的な名探偵のような存在がいないため、主要人物の中で、 誰が最終的に事件を解明するかについて予断を許さず、最後までサスペンスを 途切れさせないようにしているところも見逃せません。タイトルに込められた意味 が鮮やかに浮かび上がるクライマックスまで、読者は、誰が犯人で、誰が探偵だ ったのか、手に汗握ることになります。 あと、序盤でさりげなく示される犯人の“クセ”が真相究明の ための、決定的な手がかりであったことには、唸らされました。 | ||||
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ミスディレクションに長けた作品という評判と、本文中にも序盤でかなり明確に示唆している箇所があるので、感の良い、ミステリを読みなれた読者であれば、犯人の目星はつくかと思います。 しかし、本書の優れた点は多視点の描写を取り入れてそれぞれの内面を描くことで、真犯人を隠すだけではなく、登場人物を重層的で深みのあるキャラクターとして描くことに成功している点だと思います。 「彼は○○である」という描写と本人の内面を描いたパートを組み合わせることで、見た目どおりではない人間の奥深い性格を示唆しています。事件の真相は明らかにされ、真犯人も明示されますが、登場人物の心のひだを読み解くことは読者にゆだねられています。 その意味において、二読三読に耐えられる作品だと思います。 | ||||
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ミスディレクションに長けた作品という評判と、本文中にも序盤でかなり明確に示唆している箇所があるので、感の良い、ミステリを読みなれた読者であれば、犯人の目星はつくかと思います。 しかし、本書の優れた点は多視点の描写を取り入れてそれぞれの内面を描くことで、真犯人を隠すだけではなく、登場人物を重層的で深みのあるキャラクターとして描くことに成功している点だと思います。 「彼は○○である」という描写と本人の内面を描いたパートを組み合わせることで、見た目どおりではない人間の奥深い性格を示唆しています。事件の真相は明らかにされ、真犯人も明示されますが、登場人物の心のひだを読み解くことは読者にゆだねられています。 その意味において、二読三読に耐えられる作品だと思います。 | ||||
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帯に「クリスティも絶賛のパズラー」とある。舞台はイギリスの二流大学で、主人公は天才数学者デズモンドを父に持つ数学講師ピーター。ピーターは天才の父と独占欲の強い母のため気弱な性格で、能力も見劣りする。恋人のルシールは正反対に能力も高く、性格も強い経済学講師。デズモンドは8年前、ヴェラと言う堕胎した女子学生との醜聞の噂が元で狂死する。そして、ピーターは横領容疑で免職の危機にある年長の講師ハクストンに助力を乞われる。だが審問の場でハクストンは、教授達に「8年前の真相をバラす」と仄めかした後で変死する。事務員のカレンはピーターのかつての恋人で、ルシールと同居している。カレンは8年前の調査資料を自宅に持ち帰った直後、何者かに襲われる。次いで図書館で学生ケネスが殺される。大学を舞台にしているためか、これだけでは説明出来ない程、登場人物とその関係は多彩。 ここまでは静かな進行。主人公の性格の弱さも含め、「ウォリス家の殺人」同様、作者の作風らしい。パズラーに徹しているとも言えるし、アクが無さ過ぎるとも言える。だが、ルシールがヴェラの妹だった事が判明し、しかも、ルシールとケネスは姻戚関係にあった事から、一転ルシールは容疑者の筆頭に。ピーターとカレンの努力もあってルシールの容疑は一応晴れるが...。そして、カレンが事務局として奮闘する次期名誉学長就任会宛に脅迫状が届く。そこには、8年前の関係者が揃う。ここまで来ると、問題はヴェラの相手が誰だったかに収斂するだろう。デズモンドか、それ以外の人物か ? 結末で明かされる真犯人は拍子抜けする程予想通り。途中で不自然なシーンがあるし、強力なミス・リードも無いので、必然的とも思える結果。だが、奇を衒わず、英国ミステリの香気を感じさせる作品で、一読の価値はあると思う。 | ||||
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帯に「クリスティも絶賛のパズラー」とある。舞台はイギリスの二流大学で、主人公は天才数学者デズモンドを父に持つ数学講師ピーター。ピーターは天才の父と独占欲の強い母のため気弱な性格で、能力も見劣りする。恋人のルシールは正反対に能力も高く、性格も強い経済学講師。デズモンドは8年前、ヴェラと言う堕胎した女子学生との醜聞の噂が元で狂死する。そして、ピーターは横領容疑で免職の危機にある年長の講師ハクストンに助力を乞われる。だが審問の場でハクストンは、教授達に「8年前の真相をバラす」と仄めかした後で変死する。事務員のカレンはピーターのかつての恋人で、ルシールと同居している。カレンは8年前の調査資料を自宅に持ち帰った直後、何者かに襲われる。次いで図書館で学生ケネスが殺される。大学を舞台にしているためか、これだけでは説明出来ない程、登場人物とその関係は多彩。 ここまでは静かな進行。主人公の性格の弱さも含め、「ウォリス家の殺人」同様、作者の作風らしい。パズラーに徹しているとも言えるし、アクが無さ過ぎるとも言える。だが、ルシールがヴェラの妹だった事が判明し、しかも、ルシールとケネスは姻戚関係にあった事から、一転ルシールは容疑者の筆頭に。ピーターとカレンの努力もあってルシールの容疑は一応晴れるが...。そして、カレンが事務局として奮闘する次期名誉学長就任会宛に脅迫状が届く。そこには、8年前の関係者が揃う。ここまで来ると、問題はヴェラの相手が誰だったかに収斂するだろう。デズモンドか、それ以外の人物か ? 結末で明かされる真犯人は拍子抜けする程予想通り。途中で不自然なシーンがあるし、強力なミス・リードも無いので、必然的とも思える結果。だが、奇を衒わず、英国ミステリの香気を感じさせる作品で、一読の価値はあると思う。 | ||||
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横領の嫌疑をかけられた大学の上級講師が自宅で謎のガス中毒死。 どうやら8年前女性スキャンダルで失脚した天才数学教授の事件が関連しているようです。 正にお作法に則った展開なので読み易いです。 丹波「グッパ連発」義隆さんや黒澤「千秋実門前払い」久雄さんや長嶋「勘違い」一茂くんや林家「結局こぶ平」正蔵くんや「所詮いっ平」三平くんたちのように 天才数学教授を父に持ち いじけ気味の主人公ピーター・ブリームくんに少しイライラしていたのですが... | ||||
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大学の事務職員の傍ら1960年代から亡くなられる1980年までに秀作13作を発表して活躍された英国本格ミステリー界の職人作家ディヴァインの創元推理文庫初登場となる巧緻な第5作です。本書は読み始めると、大学を舞台に恋する2組の男女が過去に端を発する謎に挑んで行き、幸せなゴールに向かって突き進む学園恋愛ミステリーと言えそうな雰囲気ですが、実は著者は後半に一筋縄では行かない恐るべき企みを用意しています。ハードゲート大学の数学講師ピーターは、亡父の友人ハクストン教授から自分が横領容疑で免職の危機にあると相談される。しかしハクストンは審問の場で教授達に奇妙な脅迫の言葉を吐いた後自宅で変死してしまう。その後、ピーターの婚約者ルシールの暮らす家に泥棒が入り同居する事務局員カレンが襲われる事件、深夜の図書館で学生が殺される事件、名誉学長の暗殺を予告する手紙、と大学を震撼させる出来事が次々に起こる。やがて、事件にはピーターの父を死に追い込むきっかけとなった八年前の女子学生の死を巡る醜聞が関係する事が明らかになる。 著者は緊迫して行く事件を追いながら、全く違うタイプの男女2組の恋愛模様を描いて恐怖に怯える気分を和らげています。父ほど優秀でないピーターは完璧で冷たく傲慢な大学講師の婚約者ルシールに反発しながらもつきあい続け将来尻に敷かれそうな気配が濃厚です。一方、数年前妻を事故で失った38歳の法学部長ラウドンは10歳年下の事務局員カレンに惹かれ遠慮がちに純情な恋を育んで行きます。この四人の視点による推理が交互に記され、頼りにならない地元警察を尻目に誰が一番に真相に到達するのかが焦点ですが、遂に明かされた真実は予想を遥かに超える非常におぞましくショッキングな内容でした。本書は厳しい玄人ミステリー通の方も完全に満足させる出来栄えで、人間の光と闇の領域に踏み込む稀な傑作ですので、ぜひ一読をお奨めします。 | ||||
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大学の事務職員の傍ら1960年代から亡くなられる1980年までに秀作13作を発表して活躍された英国本格ミステリー界の職人作家ディヴァインの創元推理文庫初登場となる巧緻な第5作です。本書は読み始めると、大学を舞台に恋する2組の男女が過去に端を発する謎に挑んで行き、幸せなゴールに向かって突き進む学園恋愛ミステリーと言えそうな雰囲気ですが、実は著者は後半に一筋縄では行かない恐るべき企みを用意しています。 ハードゲート大学の数学講師ピーターは、亡父の友人ハクストン教授から自分が横領容疑で免職の危機にあると相談される。しかしハクストンは審問の場で教授達に奇妙な脅迫の言葉を吐いた後自宅で変死してしまう。その後、ピーターの婚約者ルシールの暮らす家に泥棒が入り同居する事務局員カレンが襲われる事件、深夜の図書館で学生が殺される事件、名誉学長の暗殺を予告する手紙、と大学を震撼させる出来事が次々に起こる。やがて、事件にはピーターの父を死に追い込むきっかけとなった八年前の女子学生の死を巡る醜聞が関係する事が明らかになる。 著者は緊迫して行く事件を追いながら、全く違うタイプの男女2組の恋愛模様を描いて恐怖に怯える気分を和らげています。父ほど優秀でないピーターは完璧で冷たく傲慢な大学講師の婚約者ルシールに反発しながらもつきあい続け将来尻に敷かれそうな気配が濃厚です。一方、数年前妻を事故で失った38歳の法学部長ラウドンは10歳年下の事務局員カレンに惹かれ遠慮がちに純情な恋を育んで行きます。この四人の視点による推理が交互に記され、頼りにならない地元警察を尻目に誰が一番に真相に到達するのかが焦点ですが、遂に明かされた真実は予想を遥かに超える非常におぞましくショッキングな内容でした。本書は厳しい玄人ミステリー通の方も完全に満足させる出来栄えで、人間の光と闇の領域に踏み込む稀な傑作ですので、ぜひ一読をお奨めします。 | ||||
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翻訳されたのは出版されてから随分たっているのですが、こんなに面白い作品がまだ数多くあるイギリス推理小説界の懐の深さは、やはりたいしたものです。 | ||||
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翻訳されたのは出版されてから随分たっているのですが、こんなに面白い作品がまだ数多くあるイギリス推理小説界の懐の深さは、やはりたいしたものです。 | ||||
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○○の所は、ネタバレ対策伏字です。まともに紹介するとすぐネタが割れるので、ごく簡単に。 犯人の意外性はあまりありませんが、フェアかつ情緒ある描写とレッドへリングに優れた佳作です。読み終わった瞬間「やっぱり犯人はあいつか。でもこれってアンフェアじゃないか」と思ったのですが、再読してみると… 最初の一ページから計算された騙しの技法に、満足感でいっぱいになります。 | ||||
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数学講師のピーターは、亡父の友人であったハクストン教授から助力を乞われる。なにものかが自分を大学から追い出そうとしているのだと。 横領の容疑をかけられたハクストン教授は大学の審問の場で、今まで大学の事を思って口にしなかった事を公にすると脅迫まがいのことを言ったあと、自宅で死体となって発見される。 1966年の作品でありながらも古さを感じる事なく読み終えました。 人物描写がとても巧みで、それが古さを感じさせなかった要因の一つかも知れません。 パズラーとしてもサスペンスとしても人間ドラマとしても楽しめました。 | ||||
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物語の舞台は大学だ。ここで描かれる殺人は決して派手なものではない。きわめてオーソドックスな殺人でそういった意味ではそこに奇妙な謎もトリックの妙味も存在しない。 いわゆる本書の眼目はフーダニットである。いったい誰が犯行におよんだのか?最終的には容疑者は五人にまで絞られる。しかし、わからない。いったい誰が暗躍している犯人なのか?誰もが犯人に見えるなんていうクリスチアナ・ブランドが得意としたファルス的状況に陥らなかったのが残念だが、決め手となる事実が最後の最後まで出てこなかったので、やっぱりぼくにはわからなかった。ミステリとしてのカタルシスはいささか弱めなのだが、犯人の意外性はなかなかのものである。解説で法月綸太郎がいうように、本作は二度読むのが一番正しい楽しみ方なのだろう。真相がわかってから読みなおすと作者の仕掛けたミスディレクションや犯罪者心理の妙味が存分に味わえるというわけだ。そうするとタイトルの「悪魔がすぐそこに」という意味が十二分に理解され、あらためて背筋が寒くなるということなのだ。 仰々しいトリックの妙味や雰囲気で酔わせるケレン味はないけれども、純粋な推理物としてのおもしろさは期待以上だった。驚いたのは本書が書かれたのが1966年だというのに、いま読んでもまったく古臭さを感じさせなかったことだ。たとえ本書が今年書かれた新刊書だといわれたとしても、まったく違和感のない読み応えだった。 | ||||
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