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少女葬
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少女葬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 21~23 2/2ページ
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実際に本当にこういうことはあるんだろうなと思った。貧困ビジネスの実態についても学んだような気がした。 よくできている小説だと思ったけれども、一番考えてしまうのが冒頭の少女のことについてだった。主人公の少女とどこで違ってしまったかって。それは最初から。主人公は現状から逃げてきて、事態を自分で解決すべく動いてた。そうしないと飲み込まれてしまうから。だけど、冒頭の少女は、現状から逃げてきて、はっきり意識しないまま、現状を解決するという考えが浮かびもせずに楽しい方向に流れてしまった。冒頭のようになってしまったのはもちろんひどいことで、そんなことをされるほどひどいこともしていないのに、でもそれは彼女の行き着く当然の帰着だった気がする。底辺に近い状況で、自分が置かれている状況に気がつかず、問題意識を持たないがために、また状況は途中で帰られたかもしれないのに、それに流されるということは罪であるということをはっきりと理解した気がする。もし彼女が彼女が彼女の満足できる状況にいたとすればチャームポイントであっただろう素直さが別の意味で悲しい。 ちょっと間違うと誰のみにも起こる得るのかなと考えるとちょっとこわい。 主人公については、ちょっとリアリティーに欠ける気がする。現状認識能力や危機管理能力が高く頭の回転が速いというのはあると思うけれども、ひどいなりに普通の生活をしていてすぐあの状況になれて対処していけるというのは… ネタバレになってしまったらごめんなさい。著者の作品は「死刑に至る病」から入って、すごく引き込まれたんだけど、その後何冊か読んだけど面白い作品に合えなかったけれども、これは、自分の生きる姿勢を考えるという意味でも、ぜひ読んでほしい作品です。 | ||||
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偶然の機会に手に取った本だが、いわば拾いものだった。現代の悲惨を題材にした物語としてたいへんよくできており、久しぶりに一気読みした。 最初に、若者たちの凄惨なリンチによって一人の少女が死ぬ。その写真を、かつて彼女の友人だったもう一人の少女が眺めるのがプロローグになっている。この部分には固有名がない。第一章から、固有名を持った二人の少女を主人公にして筋が運ばれ、どっちが先の事件の被害者となるのか、早いうちに見当がつく。最後になって逆転を食らわせるつもりかな、とも予想したが、そんな小技は使われていなかった。いつ何が起きても不思議はない不穏な雰囲気の、サスペンスを盛り上げる要素になるだけで、また確かに、それで十分である。 二人は家出少女で、似たような境遇の者が集ういかがわしいシェアハウスで知り合う。家出は経済的な理由に依るものではない。毒親、と呼ばれ得るような、精神的に子どもを圧迫する者はけっこういて、高校も出ないで、つまり中卒の資格でそこから逃げ出した子どもにこそ、収入の道はない、という意味で金銭上の問題が大きくのしかかる。彼らは社会的弱者となって、餌食にしようとつけ狙う悪人たちの手にどう捕えられるか、どう逃れるか、が物語のポイントになる。 弱者であればこそ、甘えや同情はいっさい通用しない。それは最初の段階で明らかにされる。日本のような穏やかな国でも、このようなキツイ部分は、昔から今まで、絶えることなく存続してきたろう。それをきちんと納得させてくれるリアリティーがあり、一方それでもなお残る人間的な情愛で物語がしめくくられる。もう一度言うが、よくできていて、感心しました。 | ||||
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櫛木さんの作品では、「死刑にいたる病」や「瑕死物件」など、心底怖くなるものを読んできたが、本作品はホラー的な要素とは違った恐怖感があった。 劣悪な環境のシェアハウスを舞台にストーリーは展開する。 抵抗できない弱者とみるや、骨の髄まで食い物にする貧困ビジネス。そうした搾取され人生を踏みにじられる層と、弱者を食い物にして生きる層の生き様を巧く描いている。 本書を読んで、同じように貧困ビジネスを題材とした作品として「東京難民」(福澤徹三)があったことを思い出した。これと比較すると本作品では閉鎖されたシェアハウスの中での弱者の苦悩、苦痛、困難を正確に、詳細に描いてる点で、優れている気がする。 読み始めたら一気読み必至の作品だと思う。 | ||||
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