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プードル・スプリングス物語
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プードル・スプリングス物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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第4章まではチャンドラーが書いたということなので買って読んでみた。「長いお別れ」のリンダと結婚するというのは、その後の作品の中でリンダとの思い出についての書き方からみて、素直に納得できるし、億万長者の娘を妻にもつ私立探偵というのも、なにやら面白い設定でどういうマーロウになるのかわくわくさせるものがある。だから遺作にならずにチャンドラーが全部書いておいてくれたら、すごく面白い本になっただろうと思う。しかし、R・パーカーという人が完成させた第5章以下の物語はお粗末極まりない。事件へのマーロウのかかわり方が全くマーロウらしくない。安っぽい感傷的な理由でマーロウが動き回るなど考えられない。リンダとの関係も陳腐な進行の仕方だし、終わり方も高校生の恋愛小説のようで読むに耐えない。文章もチャンドラーのような意表をつく比喩や表現は出てこないし、描写もチャンドラーのように冗長になる直前で切り上げる独特の感覚がないから、ダラダラしたものになっている。結論として第4章まで読んで、チャンドラーはこういう設定で書きたかったのだ、あるいは、リンダとの関係をこういう風にしたかったのだ、ということがわかればチャンドラーを愛する読者としては、それでいいのではないかと思う。第5章以下は読まなくても良い。 | ||||
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チャンドラーの急死により長い間未完のままとなっていたのをロバートBパーカー氏が完成させた本書。 チャンドラーが書いた4章はいままでのマーロウの雰囲気と違いシットコムのような感じで明るくコメディチックで、かなり驚かされたと同時になんか変なワクワク感を感じさせられた。マーロウが皮肉れた親父ギャグをとばす中年男になった姿もまた少し可笑しかった。しかしパーカー氏が筆をとったとこれから雰囲気は一変する。いままでプードルスプリングスという街の名前はパームスプリングスからとり、そこを舞台としていただろうと私は勝手に思っていて、独自の別荘地的雰囲気を楽しみにしていたのだがいつのまにか舞台はカルフォルニア北部の街になり、なぜかマーロウ自身もパームスプリングスではなくオフィスをハリウッドに構えることになってしまう。またいままでの春ぽい季節感は冬へと変わってしまう。 物語の内容とは直接関係ないじゃないかと思う人もいるかもしれないがチャンドラー小説の魅力の一つはカルフォルニアの街の雰囲気を感じることであり、ああ、ここはきっとそこだね、と地図を見ながら物語を読んでいくのが一種の醍醐味と感じている私のようなマニアックな人間には耐えられないのである。 さて物語に話をうつすと、苦労して書いたのが分かるくらいいままでのマーロウの雰囲気がよく書けている。しかしそれはあくまでいままでのマーロウであり、おそらくチャンドラーがこの物語で書こうとしていたマーロウの世界ではないのは明白だ。もちろん本人じゃないんだから、という意見もあるだろうが、やはり最初の雰囲気のまま書き続けてくれたらなと、どうしても読んでいて思ってしまうのである。気楽なバカンス的なおバカ小説でよかったのである。 | ||||
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