■スポンサードリンク
陰獣
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
陰獣の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全40件 21~40 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小学校の図書館で読んで以来疎遠だった乱歩が、大人になった今、再びこんなに面白いとは。 内容の妖艶さと時代的な文体があいまってエロスタイリッシュである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ミステリとしての矛盾や破綻など、不満な点は多々あるかもしれない。だが、本作は乱歩だからこその作品であり、乱歩らしさがいかんなく発揮された、まさに乱歩ミステリの傑作である。 主人公が美女の魅力に惹かれ、異常な世界に巻き込まれる、というのは乱歩以外でもよく見る設定である。だが、その惹かれるところが“みみず腫れ”というのが、いかにも乱歩らしい。そして、妖しい雰囲気のなか、ストーリーは主人公を中心として動いていく。そう、ラストまで読めば、主人公中心というのが必然であった事が分かるのだ。 そして、あの有名なミスディレクションというのか、レッドヘリングというのかもまた、乱歩だからこそのものである。最後の不明快さには賛否両論があるだろうが、これもまた乱歩らしい。中途半端に放り出されたような感じがまた、独語の印象がいつまでも続く要因なのだ。 かつて松竹だったかで映画化された。あおい輝彦主演であり、「サスペリア」とどちらを見ようかと迷った末に「陰獣」を見たものだった。しかし、いかにも乱歩らしい雰囲気の、期待にそぐわない良い映画化作品だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
陰獣・蟲ともに、或る女に魅せられ、深く惚れたがために、破綻する男の話。 久々に読んだ乱歩作。 全体を覆う妖しいヴェール感は健在です。 例の如く、気づかない間に、物語に入り込んでしまいます。 究極に愛し合った濃厚な一時と、女に会わなければ失わずに済んだもの。 男にとって、果たしてどちらが良かったのであろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
提灯の火のやっと届くか届かぬかの薄暗がりに 生い茂る雑草の間を真っ黒な一物がのろのろと蠢いていた。 その物は不気味な爬虫類の格好でかま首をもたげじっと前方を窺い押し黙って胴体を波の様にうならせ 胴体の四隅についたコブみたいな突起物で、もがく様に地面を掻きながら極度にあせっているのだけれども 気持ちばかりで身体がいうことを聞かぬといった感じで、ジリリジリリと前進していた。 私は乱歩の文体は文学だと思います。芥川龍之介や夏目漱石とならび称される名文だと常々思っているのですが、あまりそんな事を聞いたことがない。 まあ、そんな所も乱歩らしいところだと思いますし、ある意味そこが好きなんですが・・・。 私は何度も読み返す、そして読み返してあきない。 だから、いつまでも不気味で怪しい光を放つ続ける乱歩作品は語り継がれ読み継がれるのであります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何の気なしに買ってきて、読み始めたら止まらずに、気がついたら夜も更けていた…。表題作はもちろんだが、同時収録の「蟲」はこれまで読んだ乱歩作品の中で最も惹きこまれた。厭人病の主人公が、初恋の相手に恋焦がれながら裏切られ、憎みながらも忘れられず、ついにはその手にかけてしまう。しかし物語はそれで終わらず、どうしようもない狂気の迷路へと主人公は堕ちてゆく。狂気に到るまでの描写が恐ろしいほどリアルで一文字たりとも目が離せなかった。江戸川乱歩は畏ろしい人だ。この人は狂気を識っているのだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
そこで終わるの? と思いましたね。まだ犯人はっきりと分かってないのに。事件は結局、誰の仕業だったのか。分からないまま幕引きに。 最初に読み終わったときはなんだかイライラしました。今まで散々推理が二転三転しておいて読者に答えを与えないまま終わるなんて。不安だけが残って、どうにもすっきりしない。 おかげで何度も読み返す始末。トリックを見落としたかな、伏線を拾い忘れたかなと何度も読んでしまう。 それこそが作者の罠だと気付いたころにはすっかり物語世界から抜けられなくなっているという。 いつの間にかイライラが感嘆にすり替わっているのがすごいです。さすがとしか言いようがない。安直な答えを与えてくれないのが憎いけど、とても印象深い演出です。世にあふれる推理小説の一つだと思って読むと痛い目に遭いますね。もちろん、読書好きには嬉しい痛さですが。 とはいえ、全然堅苦しくもなく、読みにくくもないのが江戸川乱歩の魅力だと思います。始まりの一文を読めば最後まで読みたくなる。気付けば、どんなふうに驚かせてくれるのかワクワクしながら読んでいる。改めて言うまでもないことだけど、本当にすごい書き手です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分は乱歩作品のなかで最も好きな作品である『芋虫』を読みたくてこの本を買いましたが、 文字の大きさは初めて芋虫を読んだ時に手にした講談社版の全集よりも大きくて読みやすかったが、講談社版には無かった伏せ字がちょっと邪魔に感じました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分は乱歩作品のなかで最も好きな作品である『芋虫』を読みたくてこの本を買いましたが、 文字の大きさは初めて芋虫を読んだ時に手にした講談社版の全集よりも大きくて読みやすかったが、講談社版には無かった伏せ字がちょっと邪魔に感じました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「陰獣」と「孤島の鬼」の2本の中篇が収められている。 いずれも傑作であり、一冊で読めるとは贅沢。 「陰獣」は、あっと驚く犯人で驚かされる。乱歩のトリックのなかでも、出色のものだろう。また、自身を戯画化して登場させており、そうした点も楽しめる。 「孤島の鬼」の異常さもすごい。いまではとうてい許されないようなテーマだが、この時代ならではというか。鬱々とした迫力があり、結末にいたっても救われたような気がしない。 おすすめの一冊。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
当初、作家である大江春泥のストーカーぶりは、極度にネチネチとしていて、大変興味深い。 著者の作品には、度々「変な人」が登場するが、その程度が凄まじいところが面白い。 しかし、犯人は簡単には分からない。 その点では、最後まで悩まされ、どんどん引き込まれてゆく。 他の収録作品は、著者の作風が色濃く出ていて、大変楽しい。 私は、本書に収録されている様な、著者の中編や短編作品が好きだ。 それらは、綿密なプロットのもと、非常に精緻に仕上がっている。 それで、本書の様な、著者の中編短編集を好んで読んでいる。 著者の場合、長編と中編短編とを比較すると、作風が異なる様にも感じる。 それぞれに、深い味わいがある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
数ある乱歩の文庫本の中で、春陽堂のものが一番紙質が薄く、従って黄ばみやすいものであります。また注書き、挿絵、解説もない。その分、乱歩の世界に文字面だけから入っていけるものです。あたかも昭和初期に戻ったような感じもしないでもありません。編集となると作品の発表順序を無視し編集方針も不明でありますが、とにかく理屈ぬきで乱歩世界に入れるようにできています。第一巻は「陰獣」という、エロスと論理とが錯綜した物語に「踊る一寸法師」などE・A・ポーの作風に近いようなものもあり、初めて乱歩を読むという方、すでに読んだけれどまた読み返したいという方におすすめであります。「陰獣」は読むほどに作者・探偵・犯人がもつれ合って。いつ入れ替わっていてもおかしくない世界。思春期、思秋期の読者に特にお勧めしたい次第であります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
江戸川乱歩全集全30巻のうちの第3巻にあたります。この中に収められているうちの代表作といえば陰獣と芋虫でしょう。陰獣は、半ば過ぎでなるほどと思える謎解きがありそれがまた、最後でひっくり返る展開ですが、見事であります。前半の短編は乱歩自身が述懐しているように原稿を催促されて苦しまぎれに書いたようなものもあるのでよほどのファンでない限り代表作だけを選んで読めばいいと思います。全体的に大正から昭和にかけての怪しい雰囲気も味わえます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
推理小説界に「奇妙な味」と称して 非常に後味を引く作品を激賞したことで知られる 江戸川乱歩ならではの 非常に「奇妙な味」の推理小説集。 耽美的な世界で繰り広げられる 妖しい出来事は別世界での話のようです | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
陰獣、素晴らしい。果たして犯人は一体誰なのか? 最後の最後まで疑念の渦に落ちていく快感。 話に登場する大江春泥の作品の題名などが 乱歩自身の作品をパロってるのが思わずニヤリとさせられる。 盗難、個人的に好みの作品。盗みの手口が実に洒落ている。 踊る一寸法師、なんとも狂気の光景が目に見えるようです。好きか嫌いか分かれそうだが個人的には好き。 覆面の舞踊者、読み始めはまた乱歩らしい感じだと思ったが 読み終わるとあまり印象に残るものでは無かった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「芋虫」は強烈過ぎる! こんなに衝撃を受けた小説は初めてだ。読了後何日もあとをひく。 これは江戸川乱歩にしか書けない。 「怖さ」「気持ち悪さ」「悲惨さ」「哀切さ」が、わずか20ページの文章に凝縮されている。 乱歩作品のベスト3に入る傑作だろう。 他にも乱歩作品の最高傑作との呼び声も高い「陰獣」 摩訶不思議な世界を描く「鏡地獄」 背筋が寒くなる恐怖を覚える「踊る一寸法師」 等々が収録されている。 乱歩ワールド満載の一冊だ。必読。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本の最大の目玉はなんと言っても表題作「陰獣」の別バージョンです!その「陰獣」前々から自作自解などで乱歩自身が初出時に結末が不評だったので一部を改変した別バージョンを作ったことが知られていたが、それが収録されているのだ。さすがに別バ全編は収録されてないが、改変された箇所(冒頭と結末部分)のみ巻末の解説中に収録されています。で感想はと言うと…これはこれで有りかなと。もちろん現行のオリジナルバージョンの輝きには及ぶべくもないが、これはこれで面白いし充分魅力的だし、けして取って付けたような出来の悪い改変レベルにはなっておらず自然に乱歩らしい味のあるモノになっています。尚、この光文社の乱歩全集シリーズには他にも「地獄風景」「猟奇の果」の二作品が別エンディングバージョンも収録されています。このように今まで陽の目を見なかった貴重な別バージョンが特典収録されている光文社の乱歩全集は乱歩ファンにとっては非常に嬉しいコレクターズアイテムだと思います! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本に収録されている陰獣と孤島の鬼は、ともに乱歩の最高傑作にあげられることも多く、非常に贅沢な本といえよう。 ほかの文庫では、この2作は別々に収録されているようなので、乱歩をとりあえず読んでみたいという人は、見つけたら、買いだと思う。 陰獣は、乱歩らしい耽美な雰囲気と本格物の推理との、完璧な結合といってよい。見事な一本である。 孤島の鬼は、同性愛、畸形、閉鎖空間などの、乱歩イズムにあふれながら、そこにおぼれることなく、しっかりとストーリーを作っていて、完成度の高い作品である。 なお、孤島の鬼は本格推理ではない。怪奇小説、あるいはサイコ小説と分類できるだろう。 ところで、念のためにいっておくと、この2作には、明智は登場しない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読み進めると、人間関係がどんどん変わる(SとMの関係が特に)。 カスタマーさんの言葉を借りると、本当に『「論理的には全て謎が解けるが、それは推理の上の話であって実態は結局断定できない」という不安が最後に描かれているのが興味深く思います。』です。 SM関係はもちろん、不倫やストーカーなどが妖美に書かれています。 読み終えると吐き気や悪寒がしそうな『踊る一寸法師』。 耽美的な世界が印象的な『覆面の舞踏者』。 『盗難』は印象が薄いです。 江戸川乱歩世界を一番表現していると思うカバーデザインは、一見の価値有り。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「陰獣」・実業家・小山田六郎氏を殺害した犯人は誰か?次々と展開が変わり、最後の最後まで犯人がわからず、また、最後に新たな謎、恐ろしい疑惑が浮上する。そういう意味でかなりレベルが高い作品。 「盗難」・なかなかシリアス(?)な作品。ただ、最後にあと一つオチがあれば良かったなと思う。 「踊る一寸法師」・非常に残忍な作品。最後はかなり恐ろしい。個人的に江戸川乱歩の短編では一番おもしろい。 「覆面の舞踏者」・話自体があまりおもしろくなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『陰獣』において、作者乱歩は、「理論的な探偵小説家」を自認する主人公の探偵小説家に、「変態的・心理的なことに偏りすぎている」などと、そのライバル探偵小説家の「大江春泥」の悪口を言わせていますが、大江春泥の作品として上げられている小説名をみると、大江春泥というのが明らかに乱歩自身のことであるのがひねくれていて面白いです。『陰獣』『盗難』ともに、「論理的には全て謎が解けるが、それは推理の上の話であって実態は結局断定できない」という不安が最後に描かれているのが興味深く思います。(それで同じ巻に編集したのだと思いますが。)『踊る一寸法師』と『覆面の舞踏者』はなかなかブラックな作品でした。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!