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(短編集)

東京湾景



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【この小説が収録されている参考書籍】
東京湾景
東京湾景 (新潮文庫)

東京湾景の評価: 3.83/5点 レビュー 81件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全55件 21~40 2/3ページ
No.35:
(4pt)

悩ましい、すっきりしない、混沌とした、だから面白い小説

この“恋愛小説”をどう読めば良いのか実は判断がつかない。作者は愛、男女の繋がりというものを結局のところ信じているのだろうか。

 女性の勤める「お台場」と男性の働く「品川埠頭」の距離はたったの1キロ。でもあいだを東京湾が隔てておりアクセスは悪い。これは明らかに主人公男女の距離関係だ。話の途中、りんかい線が開通し男女の距離は接近したかに見えるが、愛の永遠を証明するためには“泳いで渡って見せる”しかない。小説は男性がこの途方もない行動に出たのかどうかを描かずに終わる。

 携帯メールというメディアで男女の関係を象徴的に示したり、お台場、品川港南口、天王洲アイルと言った東京の新しい風俗を観光ガイド風に記述したり、セックスを幻想的に描いたり、かなり“通俗的な恋愛小説”のコーティングを施してるけど、作者の真意はどこにあるのだろう?これまでの“一筋縄ではいかない吉田修一”を意図的に回避し、わかりやすすぎるシチュエーションや言葉を使っているが、それはどうしてなのか?この小説は「なぜの嵐」である。

 小説中に、“主人公男女を主人公とした”雑誌連載小説というものを登場させ、その連載小説の筋書きを現実がなぞる、といったメタな仕掛けがあったり、一見シンプルでいて実は仕掛けの多い小説だ。小説中の連載小説は作者の「私にはまだ傷がない」という理由により休載になるのだが、結局傷を負ったり、東京湾を泳いで渡るしか、愛とは手に入らないものなのか。大体愛ってなんだ?幻想か?信じるってことか?と色々考え込んでしまう、悩ましい、すっきりしない、混沌とした、だからこそ面白い小説である。会話における若者達の言葉遣いや、若者達の“文学”に対するスタンスがよくスケッチ出来ていて、そういった点も感心した。
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4101287511
No.34:
(5pt)

気持ちの形

人を好きになるということ。それだけで尊ぶべき感情なのに、どうしても形式にとらわれる。出会い方、職業、進むべき順序、そしてゴールまでも。

今という瞬間を自分の気持ちに正直に生きることが出来る主人公。他人の目を気にすることも無く、ただただ相手への想いのみがある。

形に出来ないほどの気持ち、そういう気持ちを持ち続けていたい。
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No.33:
(5pt)

主人公に恋をしました

「お台場なんて仕事じゃなかったら絶対来たくない」と

主人公の女性・美緒が言っていたけれど、

「お台場」「レインボーブリッジ」「東京モノレール」などなど

地方しか知らない私から見れば、やはりお洒落なイメージの場所で、

恋愛の舞台としてはなんとなく美しく感じる。

そんなお洒落な場所を舞台に、

けれど描かれている恋愛はごくごく普通で

どこにでもありそうな身近な恋のお話。

しかもその場所設定は、ただ単にお洒落なだけでなく、

その地形に、主人公たちの心の距離が投影されているのだと

途中で気付かされ、はっとさせられた。

主人公の男性が、今自分が恋をしている人と同じ名前だったという理由で

この本を選んだということもあって、

自分も主人公と同じように悩み、切なくなり、そして喜びながら

東京湾を舞台に一緒に恋愛を経験したような

素敵な錯覚に陥ってしまった。

読書を通じて、自分自身も何かを経験したような気持ちになったのは

久しぶりだった。恋に悩む人にはお勧めだ。
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No.32:
(4pt)

第二の主役が魅力的

恋に足踏みしている男女―品川埠頭の倉庫で働く亮介とお台場のビルで働く美緒―が東京湾を挟んで関係を築いていく物語。

東京湾をはじめ、場所の描写がよかった。品川埠頭、船積貨物倉庫、お台場、品川駅港南口、モノレールから見える光景・・・ 東京湾は二人を隔てる象徴的意味合いをもつが、それだけに止まらず、描写そのものが魅力的でずっと読んでいたくなった。場所が第二の主役の小説だと思う。

それだけに不満も残った。例えば・・・(詳しい内容にもふれていますのでご注意を) 二人は出会い系サイトで知り合うのだが、亮介が美緒(涼子という偽名を名乗っている)のことをあまりにも自分から知ろうとしないのは、いかに過去の恋愛の躓きを引きずっていようとも、不自然ではないか。

美緒は美緒で、「心/からだ」二元論(?)に拘り過ぎていると思う。内心では「心と心で繋がれる相手」を求めつつ、それは幻想だと自分に言い聞かせている。最後の最後で亮介が心で繋がれる相手だと気づくのだが、美緒にそう思わしめた亮介の過去のエピソードはちょっと非現実的で、「心/からだ」に拘る美緒のキャラクターに合わせて無理に作られたもののように思えた。

また、本作には同名の小説内小説が登場し、その中で美緒の知らないことが明らかになるという趣向が凝らされているが、その作家像に魅力がないためか、関連する部分が安っぽく感じられてならなかった。 ・・・など。

不満が多くなってしまったが、せっかくの二人のリアルなやりとりも、場の描写も、やや作為がかったプロットのせいでうまく活かされなかったのが残念だ。正攻法で読ませる恋愛小説だったらよかったのに・・・と思った。
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No.31:
(5pt)

わかるんです。

恋愛モノ。

ハッピーエンドじゃないんだけど。すごくすごくよくわかった。

メル友からの始まり。すごい軽さを感じたんだけど。二人はどちらかというと古いカタイタイプだったかも。

ちょっとのすれ違いだったのに。って。自分の気持ち。相手の気持ち。ベクトルの方向が同じだといいのにね・・・。
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No.30:
(5pt)

切なく哀しい恋愛小説

東京の臨海地区を舞台にして展開する切ない恋愛小説。

著者はこれまで比較的クールな人間関係を描いてきたが、この作品ではもっと突っ込んだ人間関係を描いていている。そのてめ、思いのたけの一片さえ伝えられない言葉のもどかしさや誤解から互いを傷つけてしまうすれ違いの哀しさが、切なくなるくらい良く伝わってきた。

ふたりが働く品川埠頭とお台場の距離感は、近いようで遠いふたりの距離感をそのまま投影しているようだし、そこをつなぐモノレールも心もとないふたりのつながりを象徴しているかのようで、舞台背景をふんだんに活かした作品だと思う。

また、作中使われる同名の小説も、直接打ち明けられない部分を代弁するアイテムとして、効果的に用いられていると思った。
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No.29:
(4pt)

終章から始まる物語

出会い系サイトで本当の恋愛なんか、できるわけないじゃないか。そんなためらいを、登場人物たちと、読者と、作者自身が払拭しきれずにストーリーが進む。ストーリー内に「青山ほたる」という流行作家が二人の恋愛を小説化し、作り話めいた物語を一層虚構化することによって、かえってリアリティーを持たせている。

 かなり修羅場な恋愛が、過去と現在とで描かれている割には、淡々と読める。それは登場人物の心情が独白として長々と語られないせいだ。これが吉田作品の特徴である。登場人物は、小説家の頭の中で整理され区分された感情に沿って動くのではない。自分でも良くわからない情動に突き動かされて、ただ行動してしまうのだ。

 正面から恋愛に向き合えない二人が、終章で本当のドラマを始めようとする場面は、情景や表情が浮かぶようで印象的だ。
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No.28:
(4pt)

読み進むうちに

読み始めは、主人公が存在感が薄いように思え、ひどく退屈な作品に思えたが、読み進むうちに、次第に主人公に共感し、物語に引き込まれた。吉田修一さんの小説は、そういう作品が多く読みはじめで退屈だと投げ出してしまいそうになるのだが、読み進んでいくといい意味で裏切られる小説が多いなと感じた。
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No.27:
(5pt)

熱を秘めたクール

吉田修一さんは今注目している作家の1人です。
何冊か彼の作品を読みましたが、これは一番いいです。
本気になるのが怖くて、カラダだけの付き合いに甘んじていた時の、二人の冷めた目。「本気になろう」と決めた時、一気に熱が高まっていくキモチ。
クールなんだけど、奥深いところで熱を秘めている。その感覚が気持ちいい作品。
先日ドラマ化されましたが、タイトルと設定の一部だけ原作にそっていて、あとはすべて韓国ドラマの真似。「吉田さん怒って!」と、何度心の中で叫んだことか。
今度は原作に忠実な映像化を望みます。
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No.26:
(5pt)

一日で一気に読みきちゃいました!!

無性に恋愛小説が読みたくなって・・・そんな時に東京湾景を見つけました!ドラマの内容は大体知っていて、同じかと思っていたら全く違っていました。読んでいくうちにどんどんはまっていって勉強なんてそっちのけで、一気に読みきちゃいましたー!!亮介の飾らず、自分の気持ちにストレートなとこにすごい惹かれました☆忘れがちな思いを気がつかせてくれる作品です。
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No.25:
(5pt)

良かった

同名のドラマはリタイアしましたが、こっちはかなり面白かった。
女性の私には亮介の性格というか、人と柄というかが最後の最後まで見えてきませんでした。しかし、ラスト2つの章で、
いきなり亮介のことが理解できるようになるのには鳥肌が立ちました。
それはもう、彼のことを何もしらなかった美緒がいきなり彼を知り始めるのと同時で、大変感情移入してしまいました。
女性の方にはぜひこの感じを体験していただきたいです。
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No.24:
(4pt)

いい物語。休日のペーパーバックかなあ

~いい物語です。恋愛小説。
~~
心をいかに通わせるか、そんなことがテーマになっているように思います。カラダを通わすことの方が簡単だから、カラダを通わすことと、心を通わすこととは違うことだから、だから心を解放して「好き」になっていくことに臆病になっていく。そこをどう乗り越えていけるのか、乗り越えていけれる相手なのか、おっかなびっくりの駆け引きのような、さめたような~~心、二つ。
~~
上手なまとめ方だなあと思う一方、なんというのか、だからこの二人、もうお互いに飽きてしまうことなく、そばにいられる二人になるのかと言われると、なんか違うというのか、脇役で登場する二組のカップルの方がよほど、現実的には続いていくんだろうなあと、思ってしまうところが、ちょっと残念なところというか、「物語」「おはなし」で終わってしまってい~~るところに感じた。~
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4101287511
No.23:
(5pt)

おもしろかった!

恋愛小説があまりすきではありませんが
一気に2時間ほどで読んでしまいました。
今までこの人の作品は「パレード」「パークライフ」
「日曜日たち」を読みましたがこちらが一番好きです。
人を好きになることの単純さと難しさ、好きでい続けることなど
かんがえさせられました。
終わりかたもすごく好きです。
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No.22:
(4pt)

読みやすいですね

最後までスムーズに読むことができました。リラックスしたい週末に読むととてもいいかなと思う。
「東京湾」というシチュエーションがいいですね。この本を読んでその場所に行ってみたいと思いました。スクーターがあればもっといいかも。。。
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No.21:
(5pt)

乾いた恋心に…。

ドラマの影響で読み始めました。
ドラマとは全然ちがうのですが、原作には原作の良さがあって、読んでよかったな…と思いました。
恋したいな…と思いつつ、あと一歩が踏み出せない…恋に臆病になってしまってる現代OLには、ジンと染みるものがあると思います。
自分という立場だと無理だけど、自分以外の人という設定なら恋にはまれるかもしれない…そんな美緒の心境は何となく分かる気がしました。
細かな心理描写や、すれ違う歯がゆさ…そういうのが、きれいに表現されていて、
思わず主人公に感情移入してしまいました…。
読後感の良い、作品です。ぜひ、一読を!
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No.20:
(5pt)

ドラマの話とは・・・

今フジTV系でドラマやってるのとは、少しストーリーは違うけど、読んで感動しました。亮介と美緒とのちょっと変わった関係が周りを少しずつ狂わしていき、でも今まで恋愛をバカした美緒が、徐々に亮介の昔の話に動揺し、本当に亮介を好きになり、そういう自分がとても怖くて、寂しくて・・・なんとも言えない自分の気持ちが亮介に伝わらない苛立ちなんかが、とても素直に読めた。わずか、2日で読めてしまった私自身もすごくびっくりするくらい、のめり込めた本です。愛だの恋だの言わなくなった私以外の人にも読んでもらいたいなぁ・・・なんて思います。
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No.19:
(4pt)

先を知りたかったのですが・・・・。

月9でやってますよね。ドラマを見ていて自分なりに先が少し見えてきたので原作を読んでみようと思い読みました。でも、原作とドラマは大夫違い、原作は原作で面白かったです。仲間さんと和田さんと、その他いろいろの俳優さんたちをイメージしたりして面白く読めました。
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No.18:
(5pt)

現代的人間関係の複雑

わたしは吉田修一さんの書く小説が大好きです。吉田さんの作品を読んでいると、ストレートなものと、そうでないものがありますが、この小説はとってもストレート!
 インターネット、ケイタイ・・etc たくさんのコミュニケーションツールがあって、意思疎通を図るために障害になるのは自分の意志だけという、すごく複雑な逃げ場のないというか、現代的な人間関係を描いた小説でした。でも、どんなにツールが進んでも、複雑化しても、やっぱり他人を求めずにはいられないんだなぁなんて考えちゃいますよ。わたし的には「合コン」もこの複雑な人間関係の1つのような気がいたします。
 きっと月9ドラマとは違う内容だけど、ぜひオススメです。まさに大人が泣く本。
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No.17:
(5pt)

東京の風景は綺麗なのかもしれないと思わせる小説

東京湾景は私の中で一番好きな恋愛小説です。吉田修一さんの作品の中で一番共感できる描写や感情表現が多かったせいかもしれません。
 男女の恋愛を東京湾をはさんだ品川埠頭とお台場の距離間とリンクさせていることが一つの面白いところです。小説を読んでいくと分かるのですが、お台場と品川埠頭は見た目は近いけど、そこまでいくのに電車などを利用して手間や時間がかかるので実際は遠いんです。お互い欲しくてたまらずに体を重ねあうけど、心ではどこか信じあうことができないもどかしさ抱えている恋愛です。そのほかにも心惹かれる要素がいくつもあります。
 今「世界の中心で愛を叫ぶ」がとても話題になっていますが、これは純愛で綺麗すぎて、なんだか現実離れしたような話だなと感じました。東京湾景は下心や本音など、心と体を絡ませた男女の日常生活をリアルに描いていると思います。私は東京湾景が好きです!読後感がとても良い作品。東京湾景を見に行きたくなりました。
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4101287511
No.16:
(4pt)

これはなに

小説になぞらえて展開していくのは、かなり今ひとつな感はある。
けれど出会いが出会いなだけに、そして信用することにどこか
一歩距離を置く二人が溺れていく体の関係と、
だから残りつづける信頼できない孤独感が後でぶわっと出てきているところは
かなりリアル。言葉の端々にだけどお互いはお互いを愛していることが
散りばめられていて痛々しい。そして救われる余地がある。
お互いを探る恋愛。
全部委ねてみたいのに委ねられない人に読んでみて欲しい。
東京湾景 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:東京湾景 (新潮文庫)より
4101287511

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