ヘヴン

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評判

ヘヴンの評価:

3.42/5点 レビュー 157件。 B ランク

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平均点3.42pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全314件 241〜260 13/16ページ
No.74
(4pt)

この御時世に。

なんだか、この本について「善悪」について書かれている方が多いようですが。
自分は、全くそういうことではない、と思う。
即ち「このご時世に善悪二元論的内容を書くこと」で、その考え方そのものを打破しようとしているし、
その試みは当たらずも遠からずな印象。
と言っても、それ自体も目新しいものではない。

が、別にこれはポスト構造主義的な啓蒙書ではなく「それ自体」を加工せずに切り取るスタイルの文学、
として枠組みをすればそれなり以上だと感じた。

決して、いじめが云々、という教育的ものでもなければ、瑞々しさ故の歪んだリアルなんかでもない。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.73
(4pt)

この御時世に。

なんだか、この本について「善悪」について書かれている方が多いようですが。
自分は、全くそういうことではない、と思う。
即ち「このご時世に善悪二元論的内容を書くこと」で、その考え方そのものを打破しようとしているし、
その試みは当たらずも遠からずな印象。
と言っても、それ自体も目新しいものではない。

が、別にこれはポスト構造主義的な啓蒙書ではなく「それ自体」を加工せずに切り取るスタイルの文学、
として枠組みをすればそれなり以上だと感じた。

決して、いじめが云々、という教育的ものでもなければ、瑞々しさ故の歪んだリアルなんかでもない。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.72
(5pt)

苦心作ですね

テレビドラマで見たことがあるノリを、上手な文章で奥の深い小説にしてしまっているので溜飲が下がる。

今までの作風は、題名や突飛な文体があざとくて取っつきにくかった。スタンダードに切り替えたことで、やっと川上さんの才能が見えた。

芥川賞は、取る前の実力、取った時の実力でなく、その後が大切だ。
審査員は、そこまで見越していたのだろうか。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.71
(5pt)

苦心作ですね

テレビドラマで見たことがあるノリを、上手な文章で奥の深い小説にしてしまっているので溜飲が下がる。

今までの作風は、題名や突飛な文体があざとくて取っつきにくかった。スタンダードに切り替えたことで、やっと川上さんの才能が見えた。

芥川賞は、取る前の実力、取った時の実力でなく、その後が大切だ。
審査員は、そこまで見越していたのだろうか。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.70
(3pt)

苦心がうかがえるもそれ以上のものはない

著者の特徴である文体を徹底的にそぎ落として没個性化を行い、
あくまで物語の構造と主題に向かいあうという姿勢は、
読むほどに強くその苦闘が感じられる。

コジマ的な世界観(いじめにより傷を受ける自分たちだけが本当の真実を知っている)、
と百瀬的な世界観(要はゲームのルールの中で、たまたまそうであっただけ)
の間で主人公の僕が最終的に選択するのは、どちらも拒絶する道。

しかし、そこに新しい世界観があるかと言えば疑問であり、
僕が見る、その新しい世界も「しかし、ただ美しいだけ」
というカタルシスを抱えたまま終わる。

文体にしても、主題にしても、苦労の末の行き場の無さが感じられてしまう。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.69
(3pt)

苦心がうかがえるもそれ以上のものはない

著者の特徴である文体を徹底的にそぎ落として没個性化を行い、
あくまで物語の構造と主題に向かいあうという姿勢は、
読むほどに強くその苦闘が感じられる。

コジマ的な世界観(いじめにより傷を受ける自分たちだけが本当の真実を知っている)、
と百瀬的な世界観(要はゲームのルールの中で、たまたまそうであっただけ)
の間で主人公の僕が最終的に選択するのは、どちらも拒絶する道。

しかし、そこに新しい世界観があるかと言えば疑問であり、
僕が見る、その新しい世界も「しかし、ただ美しいだけ」
というカタルシスを抱えたまま終わる。

文体にしても、主題にしても、苦労の末の行き場の無さが感じられてしまう。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.68
(3pt)

いい意味で普通

一般の人が理解しにくい絵ばかりを描く画家に
普通の風景画を描かせたらやたら上手かった。

という感じ。良く出来てると思います。

これまでの作品は個性がありすぎてついていけませんでしたが、
今作は文体とかについては読みやすかった。

とはいえ長々と続くいじめ描写を読むのはしんどいですね。

作中の「いじめる側の論理」が印象的でした。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.67
(3pt)

いい意味で普通

一般の人が理解しにくい絵ばかりを描く画家に
普通の風景画を描かせたらやたら上手かった。

という感じ。良く出来てると思います。

これまでの作品は個性がありすぎてついていけませんでしたが、
今作は文体とかについては読みやすかった。

とはいえ長々と続くいじめ描写を読むのはしんどいですね。

作中の「いじめる側の論理」が印象的でした。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.66
(3pt)

アンビバレンスと

川上未映子作品、三度目の挑戦にして、はじめて通読できました。なさけないことに、いままではあの独特な文体についていけず…。そういう意味で、これまでとはちがう平易な文体でかかれた本作は、川上作品とふれるよい機会になりました。

「いじめ」というなんとも人間的な行為の渦中にある登場人物たちの描写から、善と悪、意味と無意味、信仰とニヒル、愛と暴力などという一見アンビバレンスにおもわれることが、じつはどこかアナロジーを孕んだもの、さらにいってしまえば、コインの裏表のような同一のものの異なった両側面のようにみえてきました。それは、いじめの加害者と被害者である論理的でニヒルな百瀬とかたくなに「しるし」をまもる殉教者のようなコジマという対照的な二人の声が、「僕」の前でいれかわる雨の公園の場面によくあらわれている気がします。さらに、そうした観念的なアンビバレンスとその統合がこの小説の一側面とかんがえるとクライマックスではもうひとつの側面が提示されます。百瀬に無意味とされ、反対にコジマにはスティグマとされた、世界を二重にうつしだす斜視の手術をおえ、睡眠障害による境界の曖昧な夢と現から脱した「僕」がはじめて出会う「ただ」の世界、そして、その美しさ。ここで視覚、感覚も統合されるのです。そうしてかんがえると、観念と感覚もひとつになったといえるのかもしれません。

もうすこしコンパクトだったらよかったなとのきらいもありますが、はやくも次回作がたのしみです。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.65
(3pt)

アンビバレンスと

川上未映子作品、三度目の挑戦にして、はじめて通読できました。なさけないことに、いままではあの独特な文体についていけず…。そういう意味で、これまでとはちがう平易な文体でかかれた本作は、川上作品とふれるよい機会になりました。

「いじめ」というなんとも人間的な行為の渦中にある登場人物たちの描写から、善と悪、意味と無意味、信仰とニヒル、愛と暴力などという一見アンビバレンスにおもわれることが、じつはどこかアナロジーを孕んだもの、さらにいってしまえば、コインの裏表のような同一のものの異なった両側面のようにみえてきました。それは、いじめの加害者と被害者である論理的でニヒルな百瀬とかたくなに「しるし」をまもる殉教者のようなコジマという対照的な二人の声が、「僕」の前でいれかわる雨の公園の場面によくあらわれている気がします。さらに、そうした観念的なアンビバレンスとその統合がこの小説の一側面とかんがえるとクライマックスではもうひとつの側面が提示されます。百瀬に無意味とされ、反対にコジマにはスティグマとされた、世界を二重にうつしだす斜視の手術をおえ、睡眠障害による境界の曖昧な夢と現から脱した「僕」がはじめて出会う「ただ」の世界、そして、その美しさ。ここで視覚、感覚も統合されるのです。そうしてかんがえると、観念と感覚もひとつになったといえるのかもしれません。

もうすこしコンパクトだったらよかったなとのきらいもありますが、はやくも次回作がたのしみです。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.64
(1pt)

最低。

結論から言えば、この作者は
「善悪を相対化するためにこの話を書いた」のではない。
いじめを肯定し、奨励し、加害者を擁護するために、
この書物を著したのである。
もし善悪を相対化するというのなら、主人公が幸福感を味わう瞬間などで
話を終わらせはしない。
被害者も加害者も等量に書く。
主人公が手術を受けようといじめは消えず主人公は自殺し、
その後も加害者らはまったく反省せずへらへらしているというところまで
描写するであろう。
そういうラストを読んでなおも、善悪とは何ぞやなどと
考えていられる読者がいたらお目にかかりたいとも思うが。

出てくる中学生の像がリアルでないという指摘は、ある意味的外れであろう。
なぜならこの作者は、
いじめのリアルを書くつもりなどさらさら無いのだから。
斜視を直したところでいじめは止まないとか、
あるいはいじめの被害者が加害者に向き合うと怯えて
何も言えなくなってしまうというような実態を反映した描写は
読者にいじめへの反感を起こさせてしまうから
作者としては都合が悪いのである。
もっとも、実在感のある展開を書く技量などこの作者には無い。

以上の考察の正否を判断するには、作者の次の発言で充分であろう。
「善悪を書くに当たって、戦争や犯罪では善悪がはっきりしてしまうけど、
いじめはそうではないからいじめを題材に選んだ」
作者にとって、いじめは悪ではないのである。

追加:2010年10月、小学生の女の子がいじめを苦にして自殺するという
悲しい事件が起こってしまいました。
そして今11月にも、中学生の少年がいじめを苦にし自殺という報道がされました。
教育現場は何人子供を殺せば気が済むのでしょうか……。

こういう事件にあける被害者の最後の瞬間の心境を思いやると、
文学って何の意味も価値もないなと思ってしまいます。
いや、文学に価値はあるのかもしれないが、このヘヴンにはないですね。
この本の作者、出版を許可した編集者、この本を褒めた評論家や読者はみな、
上の事件について、また自殺した子の霊に対して何かいう義務があると思いますよ。

「こんなもんただインテリ感にひたるための言葉遊びだ、現実の世界なんて関係あるか」
というのがいちばん欺瞞でないと思うのですが。
それとも「死んだ子は心が弱くて勝手に過剰反応して勝手に死んだだけ」
とでも言うんですかね?
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.63
(1pt)

最低。

結論から言えば、この作者は
「善悪を相対化するためにこの話を書いた」のではない。
いじめを肯定し、奨励し、加害者を擁護するために、
この書物を著したのである。
もし善悪を相対化するというのなら、主人公が幸福感を味わう瞬間などで
話を終わらせはしない。
被害者も加害者も等量に書く。
主人公が手術を受けようといじめは消えず主人公は自殺し、
その後も加害者らはまったく反省せずへらへらしているというところまで
描写するであろう。
そういうラストを読んでなおも、善悪とは何ぞやなどと
考えていられる読者がいたらお目にかかりたいとも思うが。

出てくる中学生の像がリアルでないという指摘は、ある意味的外れであろう。
なぜならこの作者は、
いじめのリアルを書くつもりなどさらさら無いのだから。
斜視を直したところでいじめは止まないとか、
あるいはいじめの被害者が加害者に向き合うと怯えて
何も言えなくなってしまうというような実態を反映した描写は
読者にいじめへの反感を起こさせてしまうから
作者としては都合が悪いのである。
もっとも、実在感のある展開を書く技量などこの作者には無い。

以上の考察の正否を判断するには、作者の次の発言で充分であろう。
「善悪を書くに当たって、戦争や犯罪では善悪がはっきりしてしまうけど、
いじめはそうではないからいじめを題材に選んだ」
作者にとって、いじめは悪ではないのである。

追加:2010年10月、小学生の女の子がいじめを苦にして自殺するという
悲しい事件が起こってしまいました。
そして今11月にも、中学生の少年がいじめを苦にし自殺という報道がされました。
教育現場は何人子供を殺せば気が済むのでしょうか……。

こういう事件にあける被害者の最後の瞬間の心境を思いやると、
文学って何の意味も価値もないなと思ってしまいます。
いや、文学に価値はあるのかもしれないが、このヘヴンにはないですね。
この本の作者、出版を許可した編集者、この本を褒めた評論家や読者はみな、
上の事件について、また自殺した子の霊に対して何かいう義務があると思いますよ。

「こんなもんただインテリ感にひたるための言葉遊びだ、現実の世界なんて関係あるか」
というのがいちばん欺瞞でないと思うのですが。
それとも「死んだ子は心が弱くて勝手に過剰反応して勝手に死んだだけ」
とでも言うんですかね?
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.62
(3pt)

ライ麦系?

川上未映子作品を初めて読み、最初がこれで良かったと安堵。どうやら「いじめ」という事柄を借りて、何か話されている印象。
後半にいくにしたがって、ライ麦畑でつかまえて、を思い出しつつ、(もちろん、見る角度はまったく異なります)
自慰行為シーンでは、銀杏BOYZの曲を思い出しつつ。(私にとっては、あのはき違えた閉塞感、よく似ていました)
ヒロインと加害者側(百瀬)の世界観の違いが印象的。それによって主人公が、別角度から3つめの世界の像を結ぶ。
象徴的な世界観3つが描かれているんだな、と。そして、世界観をしっかり持った人の方が、世の中強いよなと改めて。
とはいえ、星は3つ。
百瀬、しゃべりすぎだし、主人公の斜視の見え方の描写が少なすぎて、最後、感動が伝わりにくかった。
感動を、言葉で無理やり伝えられような。序盤からもっとどう見えているのか、伝えて欲しかったなあ。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.61
(3pt)

ライ麦系?

川上未映子作品を初めて読み、最初がこれで良かったと安堵。どうやら「いじめ」という事柄を借りて、何か話されている印象。
後半にいくにしたがって、ライ麦畑でつかまえて、を思い出しつつ、(もちろん、見る角度はまったく異なります)
自慰行為シーンでは、銀杏BOYZの曲を思い出しつつ。(私にとっては、あのはき違えた閉塞感、よく似ていました)
ヒロインと加害者側(百瀬)の世界観の違いが印象的。それによって主人公が、別角度から3つめの世界の像を結ぶ。
象徴的な世界観3つが描かれているんだな、と。そして、世界観をしっかり持った人の方が、世の中強いよなと改めて。
とはいえ、星は3つ。
百瀬、しゃべりすぎだし、主人公の斜視の見え方の描写が少なすぎて、最後、感動が伝わりにくかった。
感動を、言葉で無理やり伝えられような。序盤からもっとどう見えているのか、伝えて欲しかったなあ。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.60
(5pt)

どう読むか

ただ読んで見ると、単純なイジメについての小説だと思うと思います。けど背景には善と悪という問題があるのですね。善と悪は絶対的な物では無く相対的なものと私は思うのだけど、この難しい問題をうまく小説で表現しています。独特の表現がなくなり、個性が無くなったという批判もあるようですが、この表現方法も彼女の個性であるし、いろいろな表現方法を通じてこれからも良い本を書いてくれると思います。背景を知ってから読むと、見方が変わりますね。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.59
(5pt)

どう読むか

ただ読んで見ると、単純なイジメについての小説だと思うと思います。けど背景には善と悪という問題があるのですね。善と悪は絶対的な物では無く相対的なものと私は思うのだけど、この難しい問題をうまく小説で表現しています。独特の表現がなくなり、個性が無くなったという批判もあるようですが、この表現方法も彼女の個性であるし、いろいろな表現方法を通じてこれからも良い本を書いてくれると思います。背景を知ってから読むと、見方が変わりますね。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.58
(1pt)

がっかり

TVで川上未映子さんの特集のようなものを見て、彼女に興味を持って読んでみたのですが...
全く伝わってきませんでした。正直がっかりです。
言っていることはわかるし、おもしろいとは思うものの、いじめに対する評論のようにしかイメージできませんでした。
中学生の主人公が語る内容にしてはどの台詞も理知的で大人の言葉にしか感じられず、
物語としてリアリティが欠如しているように感じました。
どいつもこいつも賢すぎる。悟りすぎてる。こんな奴らがいじめられたりするかと・・・
どれもこれも作者の口から発せられているかのような台詞ばかりで、どうもしっくり来ませんでした。
物語として役を与えるならその物語の中で主張を展開して欲しかった。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.57
(1pt)

がっかり

TVで川上未映子さんの特集のようなものを見て、彼女に興味を持って読んでみたのですが...
全く伝わってきませんでした。正直がっかりです。
言っていることはわかるし、おもしろいとは思うものの、いじめに対する評論のようにしかイメージできませんでした。
中学生の主人公が語る内容にしてはどの台詞も理知的で大人の言葉にしか感じられず、
物語としてリアリティが欠如しているように感じました。
どいつもこいつも賢すぎる。悟りすぎてる。こんな奴らがいじめられたりするかと・・・
どれもこれも作者の口から発せられているかのような台詞ばかりで、どうもしっくり来ませんでした。
物語として役を与えるならその物語の中で主張を展開して欲しかった。
ヘヴン (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ヘヴン (講談社文庫)より
4062772469
No.56
(2pt)

これが川上未映子?

芥川賞受賞作の「乳と卵」は独特な文体とリズム感が印象的で、
いい意味でも悪い意味でも記憶に残る作品だったけど、今作には正直「これが川上未映子?」と思ってしまいました。
「乳と卵」に比べると読みやすくなったけど、川上さんの場合はこれがいいこととは思えない。
彼女の素敵なセンスが・・・個性がなくなってしまった(泣)

単純に中学生のいじめを描いているだけじゃない。
もっと精神に訴えてくるようなメッセージも発しているような気がしつつも、それが何なのかきちんと伝わってこない。
だからきっとこの本は長く記憶には残らないだろうなぁ。
百瀬という同級生を、あの病院での場面だけでなく、もっとしっかりと描いてくれたら違っていたかもしれませんが。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721
No.55
(4pt)

いじめをする者、される者の心理を徹底的に描いた他にない作品

まず、『乳と卵』のような独特の文体ではありません。私達が普段使っている言葉で書かれています。
『乳と卵』ではわかりにくかった、著者の言葉の使い方の上手さ、感性の鋭さを、私はこの作品からは感じることができました。
この著者は「上手い文章を書く人」というよりは、「上手く表現する人」なのかもしれませんね。
特に、「日頃、感じたり頭で考えたりはするけど、言葉で言い表すことはない感覚、感情」を言葉で表現する術を持っている方であると感じました。

この作品で取り上げているのは「いじめ問題」であり、残忍ないじめの光景も出てきますが、それは他の著者もやっていること。この作品は他にはないほど、「いじめをする者、される者の心理状態」に徹底的にフォーカスを当てています。それゆえ、コジマ(いじめをされる者)や百瀬(いじめをする者)が語る言葉が、小説が本来持つべき「ドラマ性」からちょっと離れて独り歩きしている印象がありますが、コジマの自分がおかれている立場を客観的に語っている言葉や、百瀬の矛盾した自己肯定だらけの言葉は、この「いじめをする者、される者の心理状態」をリアルに言い表しています。

ちなみに主人公はコジマと同級生である「僕」で、こちらもいじめを受けています。そして徹底的な「僕」目線で、いじめを受けることの苦痛と、心の動き、そしてコジマとの交流により、コジマに対する心情の移り変わり(同じ「いじめられっ子」として、そして、異性としても)も、他の著者の場合、言葉で描かず素振り等でなんとなく表すような些細な感情までをも、あますことなく描いている印象がありました。
ヘヴン Amazon書評・レビュー: ヘヴンより
4062157721