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乳と卵



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【この小説が収録されている参考書籍】
乳と卵
乳と卵(らん) (文春文庫)

乳と卵の評価: 3.35/5点 レビュー 153件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.35pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全74件 21~40 2/4ページ
No.54:
(5pt)

おもしろかったです。

表現がとてもおもしろい小説でした。友人からのすすめで呼んでみました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.53:
(5pt)

文章の身体性を感じさせられる傑作

とても好きな小説のひとつです。
いろいろなレビューにも書かれているように、まどろっこしい長回しの文体にクセがあり、テーマとしても女性性というナイーブなものなので、身構えたくもなってしまいますが、、、そういったことは一旦置いておいて。
生き生きとした登場人物たちの描写/言動がいちいち笑えるし、長回しの文章も大阪弁の小気味良いリズムも相まって、するすると心地よい読書感覚に変わっていく瞬間があります。
文章の中身(テーマ)以上に、文章の身体(文体)という側面が前面化されていくのです。

人間(女性)の身体と文章の身体(文体)という
2つの「身体性」が巧妙に重ね合わせられている作品だということに気付かされ、作者の技巧には圧倒させられます。
「乳と卵」というタイトルにしても「父取らん」という別の意味が浮かび上がってきますよね。

言葉というものと向き合い尽くし作られた渾身の一作ではないかと思います。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.52:
(5pt)

大阪的なるもの

あっははは、何ともパラノチックな滑稽さがあっておもしろいです。
言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書くことで思いを伝える緑子という娘とホステスをしながらシングルでその子を育てる巻子。その母と娘が東京暮らしの妹のところに上京してくる夏の三日間の話だ。
どういうわけか巻子は豊胸願望がありその手術を考えている。言葉と身体、この三人の女たちは切羽詰まった状況にありながらどこか偏執狂的なところがあって否応なく過剰な感情が露出する。それ故にシリアスでありながらも滑稽さがつきまとう。
そのような状況を描いたこの作品で芥川賞を受賞し川上未映子の名を知らしめたのだが、とりわけ言葉と身体を軸にした描写がなんとも言えないおもしろさがある。それは本当に見事でありほど良いリズムさえ感じさせる。
冒頭、緑子はこのようにノートに書いている。

卵子というのは卵細胞って名前で呼ぶのが本当で、ならばなぜ子、という字がつくのか、
っていうのは、精子、という言葉にあわせて子、をつけているだけなのです。(p9)

などと図書室でいろいろ調べてはその度ごとにしらけきっている。
また、次のようにも書き記している。

クラスのだいたいに初潮、がきているらしいけど、今日はことばについて考えると初潮の初は初めてという意味でわかるけど、じゃあうしろのこの潮というのはなんで、と思いますに調べたら、初潮でははじめての月経、としか説明がなくてなんやごまかさされたような気分ですから、潮というのを調べたら、いろいろ意味がおおくて、書いてあることは月と太陽の引力のあれやこれやで海水が満ちたり引いたり、まあ動くこと、波、それのことで、いい時期、ともあって、んでわからんのがほかにはなぜか愛嬌、とかも書いてあって、愛嬌を調べたら、これにもいろいろあったけれど目にはいってきたのは、商店で客の気を引く、とか、好ましさ、を、感じさせる、とかがあり、なんでこれが、股んとこから血のはじめて出る、初潮と関係があるのかさっぱりわからんでなんとなくむかつく。(p16)

とくるから、本当にいい子だなあと感心するし笑えてくるのである。
一方、豊胸手術を決意させるほどの願望をもつ緑子の母巻子の並々ならぬ思いは強烈なのだ。それはそれは妹や娘も及ばない徹底ぶりである。

「いわゆるシリコン入れるのと、ヒアルロン酸注射して大きくするのと、それから自分の脂肪を抜いてそれ使って膨らますやつ、で、シリコン入れる方法がやっぱいっちゃん高いねんな、んでこれ、これみたいに」・・・(p35)

と捲し立てるようにいうのだ。
やれ男性精神だの男根主義だの、さらには化粧や儀式、文化や魔よけの知恵までもちだして胸を大きくしたい側とそれを冷ややかにみる側の論争(P40~44)もおもしろいのだが、一事が万事この三人のこだわりも相当なものでどこか共通するところがある。

巻子は湯に浸かってる間、風呂場を行き来する女々の体を舐めるように観察し、それは隣のわたしが気を遣うほど無遠慮に視線を打ち続けるので、ちょっと巻きちゃん、見すぎ、と思わず小声で注意するも、ああとかうんとかの生返事をして、その目は入ってくる体、出る体、泡にくるまれる体をじっくりとせわしなく追うのであった。(p51)

笑えてくるほどのこの巻子の体に対する執着がどこからやってくるのか定かではないが当然のことのように日常の混乱を招くことになる。
最後の場面、これまでの鬱憤を晴らすように捲し立てる描写、台所で二人して卵を自分の頭にぶつけて次々と割っていく過剰な感情表現はさすがに圧巻といっていい。

ああ、巻子も緑子もいま現在、言葉が足りん、ほいでこれをここで見ているわたしにも言葉が足りん、云えることが何もない、そして台所が暗い、そして生ゴミの臭いもするなどを思い、緑子の口の辺りの緊張した様子うぃ見ながらに、しかしこんなこと、なんかが阿保みたいだ、なんかがどうでもいいのだという気持ちがあって、わたしは台所の電気をぱちんとつければ蛍光灯が台所の隅々を浮かび上がらせ、巻子は真っ赤になった目を細め、一瞬まぶしそうな顔をしたが、緑子は自分の大股に手をぎゅっと押しつけたまま巻子の首のあたりをみつめ、突然に、お母さん、とすぐ隣に立っている巻子に向かって、大きな声を出した。(p97)

おしまいには二人してまた大阪に帰っていくのだが全体的には何となくさわやかな滑稽さに包まれている。それゆえにと云うべきか読後には不思議な爽快感もあり応援したくなってくるのである。
また、大阪弁で感情を露わにする描写などこの作品に大阪的なるものがあるとすれば、大阪って何だろうとも思えてくるからもしかして厚みのある傑出した小説ということなのかも・・・
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.51:
(4pt)

女性そのものの小説

これは、本当にタイトルどおりの小説です。ファッションとか、日本が誇る「かわいい」、意識高い系、フェミニズム・・・とかを全て取り去って、まじ、女性・・という生き方というか、生活を、なまなましく、べったっとした感じで、大阪のおばさんとその娘に演じさせた、みたいな小説です。乳・・カッコ良い乳首とは。貧弱な胸はいやだ・・。卵。授精卵の話から、初潮、うっときそうな生理・・汚したシーツの洗濯とか。

サブテーマは、大阪の母子家庭の反抗期の娘。でも本当はお母さんを心配しているのがありあり。お母さんが病気らしいことも、それとなく記されています。夏の数日、東京の妹のアパートに来た数日間の母子の姿。

全く飾り気がなくて、大阪弁丸出し、ひらがなが多く驚くような作品でした。飾りを取った、女性の本丸、みたいなところをえぐっているので、すごいですね。庶民的な人達が主人公ですので共感を呼びます。おもしろい読書体験でした。
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No.50:
(5pt)

衝撃

このような文体は饒舌体というのでしょうか、あまり読み慣れていなかったため衝撃でした。
頭の中にぶわっと浮かんだ言葉を脈絡など無関係に羅列していったような文章です。そういう違和感みたいなものも、混とんとした脳内で浮き沈みする言葉を並べれば当然なので、自分の思考の流れを読んでいるような妙なリアリティを感じました。比喩の表現などに作者のオリジナリティが感じられます。日本語の正しい文章になっていないこともありますが、作者は当然計算して書いているのです。
女性の体のパーツについて、辛辣な表現がありますが、さすがに女性作家!!とうなりました。極端なほど辛辣なのは故意でしょう。
豊胸さえすればバラ色の人生が取り戻せると胸に執着する姉の痛々しさ、第二次性徴への冷静な視点と潔癖さを抱えた姪(姉の子)は閉口する(文字通り)。不安や不満を口にせずにはいられない母としゃべらない子はとうとう爆発して消費期限の切れた卵まみれになります。

一つ残念な部分。消費期限の切れた卵を捨てようとしますが、あくまで生食の期限なので、火を通せばなんら問題はありません。期限切れはもう食べられないと断言されたような書き方だったので、それまで小説の中に埋没していたところを、すっと引き戻されてしまいました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.49:
(4pt)

平凡なフェミニズム小説になりがちなところを巧みに回避していると思いました。

人が、たまたま女の体に生まれ、それはわかっていながらもこの体に執着してしまう、というようなところまでこの小説でかけているところがさすがだなあ、と思いました。女を考えるにあたって女が前提となってしまいがちですが、そこを回避しているのは知的ではないとできないだろうなあ、と思いました。
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No.48:
(5pt)

好みの饒舌文体

主人公のもとを訪れてきた姉とその娘。姉は豊胸にご執心で、娘はそんな母との会話を拒否している。そんな二人を前になすすべなしの主人公の、夏の数日が饒舌文体にて軽快に描かれる。

大きな出来事は起こらないが、日常の些細な一コマ一コマに、主人公の脳内を言葉が駆け巡る。読み進めると会話の捉え方、ものの見方に主人公のひととなりが表れてくるのだ。言葉の奔流に身をまかせると実に愉快な気持ちになる。ふふふ。

収録作「あなたたちの恋愛は瀕死」は、旦那はん(阿部和重)が書いたかのような作品だね。

【芥川賞】
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No.47:
(4pt)

かつ、そこを村上は

村上春樹と川上未映子の対談で本書が紹介されていたことで読む機会を得た。

 村上は本作に関して「『乳と卵』は文体だけだ」と断言している。これは「内容が無い」ということを
言っているわけではない。ちょうど村上と川上が「文体こそいかに大切なのか」という文脈で議論している
中での村上の発言であり、むしろ高く評価した一言である。その村上の断言を読んですぐに本作を購入した
次第だ。

 ではどうなのか。

 本作で川上が展開する「女性の感覚と論理」というものを男性の僕が実感することは極めて難しい。
同じ人間でも男女によって、全く違う点があることに驚いた。
 ボーボワールは「女性は女性として生まれるのではなく、生まれた後に女性になっていく」という
ようなことをどこかで書いていたと聞いている。本作はある意味では、その言葉を乗り越えた地点での
「女性とは何か」を指し示しているような印象を受けた。その「乗り越え」る為の手段が川上の
本作における「文体」ではなかろうか。かつ、そこを村上は評価しているのではないか。僕は
そんな風に読んだ。

 川上の本を読むのは初めてだ。もう少し読んでみようと思った次第である。

 
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.46:
(4pt)

思春期少女と母の女としての性に考えさせられた

川上ワールド炸裂でした。思春期の娘が豊胸手術をしたがる母とノートでしか意思表示をしない、不思議な関係。母からの愛情を欲しがっているが拒むということでしか表現できずに悩んでいる娘と卵によるぶつかり合いの表現には圧巻されました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.45:
(5pt)

気持ちよいお話し

某雑誌で著者のコラムを読み、気になってこちらの小説を読んでみました。
東京生まれ東京育ち、関西出身の親しい友人がいるわけでもありませんが、この本の文体(口調?)は全く気になりませんでした。
それどころか、声に出してみるとなんと気持ちの良いこと!私は、憧れの関西弁ってやつを手に入れた気がして楽しくなりました。
母であること、女であること、一生まとわりつく「女性であること」という事実に、登場人物それぞれが向き合っていたり、ぶつけていたり。
著者の本をもっと読んでみたくなりました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
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No.44:
(5pt)

関西弁で読みにくいかなと思ったけれど・・・

関西弁で読みにくいかなと思ったけれど、ぐいぐい引き込まれていって、あっという間に読んでしまいました。
川上未映子さんの作品を初めて読みましたが、とっても感動しました。
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No.43:
(4pt)

母と娘の細やかな心の中を感じました。

到着、早々あっという間に読み終えてしまいました。
母と娘の心のあり方をのぞき見したような感じです。
ありがとうございました。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.42:
(5pt)

話芸 お見事!

レビュアラーのどなたかがおっしゃっていたけれど、関西芸人のテレビ進出がなかったらこの本は読み進むのに難儀しただろう。彼らのおかげでこの本に対処するリテラシーが自然に培われていたのだった。わざわざ入門書や文法などを学習しなくても本書を楽しめたことに感謝。芸人たちもそうだけれど、著者の語りも物凄いものがあった。さすが芥川賞受賞作品だ。津軽弁も物凄い語り力があるのだが、残念ながら日本人の多くがそれを学習していない。大阪弁が第二標準語に迫りつつある現状で本文学は成立した。
表題を見たときどうして「ミルク&エッグ」とか、今風な言葉づかいをしなかったのかと思ったのだが、冒頭からそのわけが分かった。
胸のことを大阪では乳といい、卵(らん)は卵子と卵(たまご)が掛けてあったのだ。
レトリックというのだろうか、大阪弁のリズムでヴァイタリティックにまくしたてているなかで、斬新な比喩が次々と連発し、豊胸手術をする女の心理を掛け合い(弁証法)で分析し、大阪の下町を全国的に紹介し、姉妹、母娘らの心理を描写し、最後の大乱闘へ山場を持って行く構成・・・お見事です。

作品の出来とは関係ないけど、賞味期限が切れたばかりの卵を捨てようというのは違いますからね。全然、食べられますからね。うちの娘も捨てようとするけど、おとーさんは食べておなか壊してませんからね。もったいないことしないでね。
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4163270108
No.41:
(4pt)

明確でないものを

この本で、作者は明確でないものを表したいということだろうと思う。
改行のない文体、織り交ぜられる口語関西弁。うまく使って、
言葉にしにくいことを表現できているような気がする。
賛否両論あって、それだからこそ、この作品の良さだと思う。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.40:
(4pt)

文体とは裏腹な綿密さ

文学好きならば、「文体がすごい」とは思わないのではなかろうか。ありていに言えば「ありきたり」である。実際に「ありきたり」かどうかは、検証してみないとわからないが、少なくとも「走るような文章を読点なしで、口語調に滑らせていく」ような文章に、真新しさは感じない。
そもそも文章の修辞法で文学にチャレンジするのは、なかなか難しい。それは、すでにそういう類の小説が出揃っているという意味以上に、文学が新しい「言葉づかい」をけん引して作り出していくという役割から一抜けしてしまっているからである。衰退しつつある文学に、風俗的に言葉づかいを変えていくエネルギーはもはやない。そういう時代に、一風変わった文体で小説を書くのは、ハンディだ。
  文体を選ぶ際、そういう時代的な見地から、この作者が無意識だったとは考えがたい。感覚頼りに「この文体意外あり得ない」という発想だった可能性は、否定できなくはないが、一部「若書き」な箇所は残しつつも、綿密に配置されたであろうプロットを追う限り、文章の自由奔放さは仮の装いに他ならず、よくよく耳を澄ませば、本作の文体は、抑制のきいたプロットと不可分であり、文体自体も充分に「抑制」が効いている。

あるいは「抑圧」と言ってもいいかもしれない。

妹に一方的に語られる姉「巻子」と、その娘「緑子」は、完膚なきまでに社会に抑圧されている。それは彼女たちの「母子家庭」という状況に起因した「抑圧」ではない。ひとことで言えば母巻子の「器量の悪さ」からくる抑圧だ。「格差社会における貧困」とか「生活保護受給者」であるとか、私たちが、テレビや新聞でよく見るあの種の抑圧である。
巻子は、その抑圧からの解放の道筋として、「豊胸手術」に活路を見出す。読者はもちろん、その活路にこそ抑圧の本質を観ることになる。「うわぁ、豊胸手術とか悲劇ぃ・・・」と、もはや痛々しい。でも、これが笑えない。笑わせない。これには、本当に綿密な主題選びが見て取れる。まだ、伏線や素描に未熟さは残るし、ラストの収まりがキレイ過ぎるところには、疑義を挟まぬでもないが、将来が楽しみな作家である。佳作。
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4163270108
No.39:
(4pt)

現代美術みたいなもの?

私は国語の偏差値が47だったのでこの文章の良さを理解することが出来ず、きっと日本語を使いこなせる達人ならばこの文章が放つ魅力に気がついて新たな文学の楽しみを見つけることが出来るにちがいないので自分もその仲間入りをしなければと目に蒸気機関をつけたように休めること無く読み進めたけれども、ついに最後まで理解することは出来ずあーあ本当に無駄な時間を過ごしたなと後悔した。
 これはセットで売られている『あなたたちの恋愛は瀕死』を読んだ感想である。一番はじめに短いほうから読んでみるかとと思って先に読んでみたら糞つまらなかった。このレビューにおいて最も評価されている人が「関西弁で無ければ成立しない」と書いたがまさにそれ。『あなたたちの恋愛は瀕死』は関西弁では無く標準語の作品でこれは本当に読み進めるのが困難なのだ。
 では、『乳と卵』に関してはどうかと言えば、実際関西の女性にはこれと同じくらい思ってることをフィルター無しにこちらに伝えるような傾向があるようにおもえるし、この文章を読んでもまったく不思議には思わない。
 それどころかまるで関西の女性の友人が一人で来て自分の近辺の話しを聞かせて貰っているような感覚を覚えて魅力的だと感じました
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4163270108
No.38:
(5pt)

いや,という漢字には厭と嫌があって厭のほうが本当にいやな感じがあるので,厭を練習。厭。厭。緑子

今更ながら,ああ,嬉しい。
 自分好みの文体の作家を発見したときは本当に嬉しい。
 町田康の「くっすん大黒」を初めて読んだときの喜びを思い出す。
 
 大阪に住む姉「巻子」が,その娘「緑子」とともに,東京に住む「わたし」を訪ねてきて,そして帰って行く。
 巻子は,豊胸手術を真剣に考え,そんな巻子に納得いかない緑子は,言葉を一切しゃべらずノートで筆談する。
 ただそれだけの物語なのですが,関西弁の中に時々混じり込む「です。ます。」文がなんともおかしくて,にやにやしながら一気読み。
 特に,緑子のノートに書かれる内容が抜群です。
 たとえばこうだ。
「胸について書きます。あたしは,なかったものがふえてゆく,ふくらんでゆく,ここにふたつあたしには関係なくふくらんで,なんのためにふくらむん。どこからくるの,なんでこのままじゃおれんのか。」

 レビュータイトルの文章「厭を練習。厭。厭。」は,冒頭の緑子の日記からの抜粋ですが,この一文立ち読み後,即レジへ。インパクト大。
 傑作です。
 
 
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108
No.37:
(4pt)

話題に共感します

川上未映子の作品はこれが初めてです。なんとなく図書館で目に留まりました。
他の人の書評にもありますが、最初の文体はとっつきにくさはありますが、
徐々に心地よくなります。
内容というか、話題も多分女性からすればどこか共感できる内容だと思います。
話題のせいか分かりませんが、人間を一言で言いきらない文体や安直に割り切ら
ない表現に、彼女の人間に対するやさしさのようなものが感じられて私は好きです。
これから他の作品も読んでみたくなりました。
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4163270108
No.36:
(4pt)

もう一丁頼みます

読み終えて、正直、何となく他の作品も読んでみたいと思った。終盤は少し駆け足で運ばれてしまった思いがあり、それが良かったのか、物足りないものなのか、判断できずにいる。消化不良のままなのである。もう一丁頼みます。しかしながら、魅力的な作家であるので、楽しんでみたい。最後の数行が、自分にとっても吉なのか、凶なのかは、時が答えてくれよう。
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4163270108
No.35:
(4pt)

この人、かなりイタイ頭の持ち主ですね

個人的には前作『わたくし率 イン 歯ー、または世界』の、ぶっ飛んでる女の怒濤の大阪弁語りで繰り出される狂気と哲学の入り交じった世界の方が好きだが、こちらも十分に読ませる。思春期の誰もが感じる自分の身体への違和感に苦しむ娘と、老いていく身体へ抗うように豊胸手術に拘る母、その親子が卵の黄身や白身にどろどろになりながら必死に答えを探す姿に圧巻の美しさを覚えざるを得ない。それを中立的な立場で見守る主人公の姿は、永遠に答えのでない謎にうち震える作者の姿だろう。この作者のものの見方は、凡人のそれとは遥かにずれたところにある天才肌の作家のそれだろう。後の長編『ヘウ゛ン』で、それはますます深化してゆく。余談だが、作者は最近同じく芥川賞作家の阿部和重と結婚なされた。こちらも一歩も二歩もものの見方のずれた天才肌の作家なので、この結婚がお互いの作風にどんな影響を与えることになるのか楽しみに見守っていたい。
乳と卵Amazon書評・レビュー:乳と卵より
4163270108

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