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雪の階
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雪の階の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 21~21 2/2ページ
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著者の前著”ビビビ・ビバップ”とほぼ同じ長さの作品だ。前著は錯綜したプロットを持つが、本作は結末まで一直線に進む。奥泉先生によくある宇宙的大風呂敷をラスト近くで広げて収拾がつかなくなる、ということもなかった(愛読者ならご存知のいつものアレ)。2.26事件前夜を背景にするので、それに合わせた格調ある文体で、テーブル、ハイヤー、ランプなどの外来語の名詞は漢字表記にカナルビという凝りかた、なおかつ生真面目すぎる文章表現がところどころユーモアを醸し出す(クワコー調、今作は推理ものだからなおさら)。微妙にずれる会話と内心の齟齬から生まれる妙味も楽しめる。女性カメラマンのお転婆ぶりや、数学好きの華族のお姫様のトンデモ男性調査、男性のつむじへのこだわりなど実におかしい。ある人物や事情に関連した関係者が、しかしお互いの事情は知らぬままそれぞれ別の事情で一箇所に集まり始め、全てを知る一人のみがだんだん青ざめてゆく、というところなど最高におかしい。極右政治思想を持つ人物が突き抜けてしまい強烈な反天皇制に傾いていき、さらにヒックり返される、というのも実に皮肉が効いている。”グランドミステリー”からSF要素を除いた雰囲気である。傑作。 | ||||
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