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雪の階



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【この小説が収録されている参考書籍】
雪の階 (単行本)

雪の階の評価: 4.24/5点 レビュー 25件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.24pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21~25 2/2ページ
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No.5:
(5pt)

物語の企みに満ちた傑作

これは物語の企みに満ちた実に面白い小説だった。 まずはその設定が三島由紀夫風で、いかにも彼が書きそうな美文が随所に現れるのも楽しいし、劇画的に描かれる惟佐子の父の政治家や婚約者の姿は丸谷才一の小説を思わせる。 一人の女性を愛する二人の男の関係性には夏目漱石の『こころ』の構造が透けて見える。 そして鉄道のトリックを中心に据えたミステリーの部分は松本清張そのもの。 そんな様々な文学作品へのオマージュを楽しみながらゆっくり楽しめる名著の誕生を喜びたい。
雪の階 (単行本)Amazon書評・レビュー:雪の階 (単行本)より
4120050467
No.4:
(5pt)

数年後また読み直したいと、 読んでる最中に思いました。

減点ポイントまるで無し
完全無欠の大名著。
大大大満足の昭和ロマンミステリ人情小説。

数年後また読み直したいと、
読んでる最中に思いました。

読み応え充分、
重厚でプロフェッショナルな
文体を堪能しながらも
物語の本筋は自然と理解され、

何よりも評価せずにいられないのは、
登場人物の中でも
最も一般的な二人の関係が
この小説をより一層
親しみのある物語に
してくれているところです。

読み始めれば誰もが
直ぐにわかりますよ、
ちっとも長く感じない
一気読み必至の著書であると。
雪の階 (単行本)Amazon書評・レビュー:雪の階 (単行本)より
4120050467
No.3:
(4pt)

堪能

意匠を凝らした娯楽大作として、読む方もゆったり構えてページを繰ると、楽しめます。
作者のほかの長編に「鳥類学者のファンタジア」というのがあって、
私はこれが奥泉作品の中で一番好きなのですが、そういえば本作と同じ、女性が主人公でした。
作者の長編は、読み進むに従い小説内エントロピーが増大していき、最後は大団円、となりがちなのですが、
本作も「鳥類学者」もそうはなっていないのは、この、女性が主人公、というところがミソなのではないでしょうか。
女性の存在というのは、たとえそれが浮世離れした華族の令嬢でも、地に足の着いた職業婦人でも、
やはり現世にしっかと実在するものであります。
男性のように、存在というよりもむしろ現象としてそこにあるのでは、と思わせる(失礼、個人的な男性観です)
危うさがない。
それが小説にいい意味での抑制を与えているのだと思います。

これ、映画になると面白いだろうなぁ。
衣装も楽しめそうだし、ボーイズラブもあるし、さわやかな男女の恋もある。
製作費かかりそうだけど、どなたか名乗り上げてくださいませ。
 

あ、そういえば、この作品は三人称複視点。わたしこれ、大好き。
浅田次郎氏の「高く長い壁」もそうですね。
ただ浅田氏の場合は読んでいて、あれ、これ誰の視点で書いてるんだっけ、という立ち止まっての確認が数か所ありましたが、
奥泉氏の本作では、視点の問題を考えなくてもいいくらい自然にスラスラ読み進めました。
雪の階 (単行本)Amazon書評・レビュー:雪の階 (単行本)より
4120050467
No.2:
(5pt)

物語の世界観に圧倒されます。

久しぶりに読み応えのある本格派の小説を堪能しました。
時代性に合った文体・文章、登場人物の語り口調、そして物語の展開に走るだけではなく、随所に散りばめられた美しい自然や仕草。
物語や当時人物の身分とは関係なく、時代考証を無視した、今の学生が普通に話すような言葉で書かれた(携帯小説や市販されている多くの小説、それらやそれが内包するパワーを否定するわけではない)小説とは一線を画した作品で、隅々まで楽しめました。
主人公の女性の個性が匂い立ちます。
昭和のこの時代の歴史について、知識はあっても関心のない私が、この物語にはとても惹き込まれました。
描かれた世界観に圧倒されます。
ゆっくりと時間をかけて読んで欲しい作品です。
雪の階 (単行本)Amazon書評・レビュー:雪の階 (単行本)より
4120050467
No.1:
(5pt)

一気読み必至の面白さ

著者の前著”ビビビ・ビバップ”とほぼ同じ長さの作品だ。前著は錯綜したプロットを持つが、本作は結末まで一直線に進む。奥泉先生によくある宇宙的大風呂敷をラスト近くで広げて収拾がつかなくなる、ということもなかった(愛読者ならご存知のいつものアレ)。2.26事件前夜を背景にするので、それに合わせた格調ある文体で、テーブル、ハイヤー、ランプなどの外来語の名詞は漢字表記にカナルビという凝りかた、なおかつ生真面目すぎる文章表現がところどころユーモアを醸し出す(クワコー調、今作は推理ものだからなおさら)。微妙にずれる会話と内心の齟齬から生まれる妙味も楽しめる。女性カメラマンのお転婆ぶりや、数学好きの華族のお姫様のトンデモ男性調査、男性のつむじへのこだわりなど実におかしい。ある人物や事情に関連した関係者が、しかしお互いの事情は知らぬままそれぞれ別の事情で一箇所に集まり始め、全てを知る一人のみがだんだん青ざめてゆく、というところなど最高におかしい。極右政治思想を持つ人物が突き抜けてしまい強烈な反天皇制に傾いていき、さらにヒックり返される、というのも実に皮肉が効いている。”グランドミステリー”からSF要素を除いた雰囲気である。傑作。
雪の階 (単行本)Amazon書評・レビュー:雪の階 (単行本)より
4120050467

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