■スポンサードリンク
(短編集)
黙過
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
黙過の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
医療の進歩はほんらいの生態系とは別の狩猟を生み出してしまった。これは進化としていいのか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
短編としての未完成さが最終章で収束する連作のお手本のような良作。 といいたいところだが、豚女のような小ネタはよかったのに、そんな重要なところは単なる偶然だったの!?という落胆が勝ってしまう。 また根本的な問題として、動物の臓器が体内に入ることに全く抵抗のない人間も一定数存在することを考慮すべきだったかと。 何なら知らんおっさんの腎臓をもらうより、安心安全な無菌の子豚ちゃんの心臓のほうが気分的にいいな、私は。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
消えた重篤患者、パーキンソン病だと偽って職を辞する厚労省の高官、養豚場の母豚の胎内から消えた 多数の子豚、そして細胞研究所の准教授の自殺、この4つのエピソード、短編と言ってもいい、がまず 描かれる。私を含めて、多くの読者はこの作品は短編集なのかと思うかもしれない。その割には この4つの「短編」にはもう一つ切れがないなあ、とか落ちが分かりにくいなあとも思うだろう。だが、 これら全く関係のなさそうな4つのエピソードが、「究極の選択」という章において、一気に収斂、収束 していく。この手法と筆力には驚いてしまう。この流れはかなり一流の推理小説と評価出来る。 だが、作者の狙いは、現代の医療の抱える問題点と人間の命の大事さをどのように考えていくべきか ということにある。推理小説の枠を超えたテーマである。いずれにせよ、前半のけだるさを一気に 吹き飛ばして、収束するストーリーテリングの巧さは、この作家の底力を見せつけられた気がする。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読んでよかった。 評判通りの内容。 いろいろ考えさせられました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
とても面白かったです。 家業が大動物開業獣医師なのですが、余りの情報の詳しさに驚きました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文庫ではなく、新刊本が100円なのはとても得した気分 内容はどんでん返しがあってないような・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めての作家の初めての作品を読了。病気や移植に関する病院で起こる事件にミステリー性があるのか?、どうやら短編集みたいだしこれはミステリーか?と思って読み進めると…。最後で、それぞれの出来事や登場人物がつながっているんだぁ、なるほど。移植という医学の倫理に絡んだテーマで内容が重いです。知っていながら黙って見逃すことも必要ですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下村作品は全て読破しています。 途中まで短編集なのかと思えるような構成、それも中途半端な内容に残念な気持ちに。 最終章で今までの伏線回収と、良い意味で裏切られるいつも通りの下村ワールド炸裂。 過去作品と比べても上位に入る良い読後感。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
連作の形をとっていますが、実質的には一つの長編です。 4編目まで読み終えた段階では、どれも謎の解決の部分が腑に落ちないという感想で、その上、帯にある「「生命」の現場を舞台にしたミステリー」としては、文体や会話が軽く、コミックを読んだような印象を持ちました。 ところが5編目に入ると、それまでの各編の結論が覆り、また、各編の繋がりが見えてきて、驚かされました。 リアリティーの無さを指摘する向きもあるようですが、巻末の「謝辞」によれば、東京慈恵医大の教授による、医学的な誤りの訂正とアドバイスを経ているようですから、フィクションとしては許容範囲なのではないでしょうか。少なくとも、素人の当レビュー子は違和感なく読めました。 かつて一連の乱歩賞受賞作が「お勉強ミステリ」と呼ばれた時代がありました。その頃を思い出させる良質の作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
連作短編集とはこうあるべき、というお手本のような一冊です。 全部で5つの短編から構成されており、4作目まではそれぞれが独立したお話かと思っていたら、5作目でそれらが見事にまとまる様はまさに圧巻です。伏線も全て回収されます。驚きです。 しかも、扱っているテーマが重いし新しい。全く知らなかった分野で、著者の社会派としての面目躍如といったところでは。とにかく、何から何まで素晴らしいの一語です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
黙過:知っていながら黙って見逃すこと。(大辞林 第三版より)――カバーのそでにこうあります。 ◆『優先順位』 :光西(こうさい)大学付属病院に轢き逃げ被害者が意識不明で運ばれてくる。若き医師・倉敷敬二は肝臓移植をすれば一命はとりとめると見るが、指導役の進藤准教授は患者が臓器移植に同意していたことを知り、心臓などの移植を考えるべきだと主張する。そこへ女医の都准教授がやってきて、肝移植を検討すべきと進言。板挟みとなる倉敷だが、そうこうするうちに患者が忽然と姿を消す。同じ日、進藤医師による心臓移植手術の予定が入って…。 ミステリー調で物語は進み、倉敷医師ならずとも読者の疑惑の目は進藤准教授に当然向けられるでしょう。しかも患者が轢き逃げに遭った晩、進藤が飲酒運転で病院に駆けつけていた映像が見つかる始末。 しかし、最後に明らかになる事の成り行きに万人が納得いくのか、私には疑問に感じられました。それは<黙過>のひとつの形であるとはいえ、現代の医師はもっとドライに厳格にルールに則った医療をおこなうのが常だと思います。患者の失踪のからくりはいくらなんでも都合がよすぎると思いますし、その後の患者の行く末まで考えると、<黙過>で済ませられるほど事は単純に終わらないと思うのです。 ◆『詐病』 :総司は兄から老父が行方不明になったと連絡を受け、実家へ戻る。父に勘当されてから初めての帰郷だ。兄が言うには、1年半前に父はパーキンソン病を患って厚生労働省事務次官の職を辞していた。果たして父はどこへ行ったのか…。 タイトルに『詐病』とあるので、父のパーキンソン病が偽りであることは早い段階で予測できます。問題はその理由ですが、最後に父が明かす真相には、全く納得がいきませんでした。父は詐病によって世の中を動かしたいと壮大な計画を立てていたのですが、「それで世の中が動くのか?」と総司が問うのも当然です。父の介護のために大手広告代理店での仕事を休まざるを得なかった兄の不憫を思うと、<黙過>で済ませられるほど事は単純に終わらないと思うのです。 ◆『命の天秤』 :仙石養豚場は動物愛護団体から過激な抗議を受けていた。そんなある日、出産間近だったはずの母豚たちの体内から胎児が抜き取られる事件が起きる。その数およそ100頭。犯人は誰なのか。そうこうするうち、次々と豚たちが感染症にかかり始める…。 豚畜産農家にかなり徹底した取材をしたうえで書き上げた一編なのでしょう。豚は人間と異なり、胎盤を介して免疫を受け継ぐことができないが、生まれた直後に初乳に免疫抗体が含まれているのでそれを生まれて3時間以内に与えると抗体吸収能力が100%であるとか、子豚は尻尾をかじられると細菌感染を起こすので尻尾を焼き切る必要があること、子豚が母豚の乳頭を噛まないように歯切りをほどこす必要があること、去勢して肉質をやわらかくすること、などなど養豚の舞台裏が様々垣間見られる面白さがあります。 しかし豚舎に感染症が広がった理由にあまりにもひねりがなく、豚の胎児の抜き取り事件の背景に意外性が見られないので、ミステリーとしてのおもしろみがありません。仙石養豚場が選択した<黙過>が、真に消費者の利益になるのかが疑問でした。 ◆『不正疑惑』 :精神神経医療研究センターの医師・小野田は有名大学の細胞研究所に勤める友人医師・柳谷彰浩の自死に衝撃を受ける。柳谷の幼い娘は心臓の移植を受けた後に急変して亡くなっていて、さらに彼自身も死を選んだのだ。ところが真崎という医療ジャーナリストによれば、柳谷は娘の移植順位を不正に操作していた疑いがあるという…。 これまでの三作に比べれば多少なりとも移植をめぐる柳谷の疑惑の真相が知的に明らかにされていく過程に引き込まれました。とはいえ、この『不正疑惑』はこの書の中では最も短い一編で、わずか40頁ほどしかありません。ですからミステリーはいささか短時間で解決される点が残念に思えます。 ―――と、ここまで読み継いできて、ミステリーとしてのクォリティーの低さ、論理展開の強引さばかりが目につき、不平をたれながら頁を繰る読書になってしまいました。残念な時間を過ごすことになってしまったなと思いつつも、ここまで読んだのだからと、最終作『究極の選択』に足を踏み入れて、私は目を見張らされることになりました。 ◆『究極の選択』 :これまでの『優先順位』『詐病』『命の天秤』『不正疑惑』それぞれの終幕で真相とされたことが、一気に覆されます。いかに自分が騙されていたのかを思い知り、同時に、作中の探偵を騙すだけでなく、読み手も騙す手立てに長けたものこそが上質のミステリーの名にふさわしいことを再確認させられました。 そして書を閉じたときにまず思ったのは、私自身が前4作に向けた疑念がごく当然のものであったという安堵、そして次に心をよぎったのは、作者・下村氏の大胆不敵で見事な構成力、さらに考えてしまったのは、読者の多くが最終作にたどり着く前にこの書を放擲してしまうのではないかという、作者に成り代わっての懸念でした。 この最終作の内容には敢えて触れません。どうか前4作は少しの間辛抱しながら読み進めて、この最終作まで到達することを多くの読者に薦めておきたいと思います。 ----------------------------- 一か所校閲漏れがありました。文庫化の折に修正されることを期待します。 *262頁:「改ざんしている可能がある」と書かれていますが、「可能」ではなく、正しくは「可能性」でしょう。 . | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
とにかく最後まで読んで!しか言えません。 構成が本当に素晴らしかった。 人はどこまで許されるのか――考えさせられる作品でした。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!