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屍人荘の殺人
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屍人荘の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.97pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全202件 201~202 11/11ページ
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一見してありがちな「閉ざされた環境での殺人事件」だが、本作には奇抜な「設定」が盛り込まれており、新鮮な驚きに満ちた事件と推理が展開する……というのが作者の目論見であり、読者の期待なのだが、肝となるべき「設定」が活かされているとは言い難い。 どんな設定でもそうであるように、設定が斬新=トリックが斬新、という方程式は成り立たない。変わった食材を使えば変わった料理はできるが、味は別問題だ。 本作に登場する複数のトリックは、それ自体を抽出すれば新奇と呼ぶのは大げさで、よくあることだが、必要性と実現性に乏しい。特に本作最大の物理トリックについては疑わしく、審査員たちが激賞するほどの発想とは思われない。驚くべき幸運と長い時間と努力だか根性だかを駆使した回りくどいトリックには、一読して感心するよりも、「そんなことできる?」と疑問符が浮かんでしまう。 「なぜそのトリックを用いなければならなかったのか?」「どうやってそのトリックを成し遂げたのか?」の説得力が決定的に不足しているため、「設定」が活かされているという実感につながらない。「設定ありき」で無理やり不自然なトリックを用意したため、あちこちに破綻をきたしている印象を受ける。せっかく用意した「設定」が足枷になり、全体的に空回りしているのだ。 そして、登場人物がことごとく記号的。良く言えば戯画化されているが、悪く言えば現実的な人物を描けないライトノベル。 漫画やライトノベルではありきたりだが、登場する女性が(理由はあるにせよ)全員極めて美形。逆に、男性は主人公以外ほぼ不細工。なお、美形については「美しい」としか形容されないが、不細工の面々はというと、能面顔で傲慢な金持ち、にやついた体育会系、犯罪者そのもののモヒカン、吃音持ちでコーラしか飲まない肥満したオタク等々、程度の低い偏見に基づく記号的人物の目白押し。 手抜きか筆力不足か知れないが、こうした陳腐な造形は全編を通して枚挙に遑がない。故意に偏向した描写をしているという言い訳を通すなら、ミステリなどと気取らず、俗なエンタメとして割り切ればいい。 美人揃いの女性陣のなかでも最も美形のヒロインが、初対面に等しい主人公(語り手)にすぐさま好意を寄せて強引に迫り続けるという展開ひとつとっても、みんなが笑い飛ばせる馬鹿馬鹿しいエンタメ向きである。 そもそも目新しい「設定」といっても所詮ミステリの世界だけのことで、漫画や映画等では手垢のついた代物にすぎない。その点だけでも、過度な期待は禁物。 | ||||
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本作最大の特徴である、クローズドサークルの状況を作り出し、殺人トリックの肝となる設定が、その詳細について語られないまま放置されてしまっている(あるいは続編への布石かとも思えるが)。 また、かなり異常で緊迫した状況であるにもかかわらず、だれもパニックに陥らず比較的冷静に行動しているのも妙な感じだし、中でも極めて時間と労力のかかるしかも時間が読めないトリックを行うのは、この異常な状況を利用して正体がばれないように殺人を犯すという動機からすると、リスクが大きすぎて整合性にかける。つまり、犯人に緊張感がまったくない。 さらに、文体も大学生の一人称視点とはいえ、緊張感に欠ける。 | ||||
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