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呪われた町



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呪われた町の評価: 4.12/5点 レビュー 51件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.12pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全51件 21~40 2/3ページ
No.31:
(5pt)

田舎町!セイラムズロッドで巻き起こる、冒険、スペクタクル、青春、善と悪との戦い、そして、読み終わった後のフツフツ湧く、勇気、ノスタルジック、空しさ…キング!渾身の長編第二作‼︎

スティーブン・キングの長編小説第二作目‼︎

田舎町、セイラムズロッドにて、人間と吸血鬼との死闘を描いたストーリー。単純に言ってしまうとありがちな話。

だが、単純なストーリーラインの中に、全ての登場人物たちに味のある印象を付け、人物達に様々なドラマを持たせ、ドラマをダレさせないように綿密に骨組みを作っている。吸血鬼が町を侵食する前の、ロマンス、絆、別れ、決意、誓い等盛りだくさんに詰め込み散漫にならないよう、テンションを持続させる内容は見物。

そして、吸血鬼たちも、特に、吸血鬼のリーダー格。普通に人間を襲うのではなく、人間に成り済まし、人間的に事を済ませスッと町に入り込みそこから着々と人間を侵略していくという、唯の、ステレオタイプではない描き方も当時としては、新鮮!

そして、後半!人間と吸血鬼が繰り広げる一大死闘‼︎上下巻見逃せなくなりました!キングは、物語の冒頭、話で何が起きているか分からない状態で話を構築し、そして、様々な登場人物を出して、エピソードをふんだんに散りばめて、話の核を創り出していく。登場人物達の描き方は、最初は、地味に描いていくのですが、後々に、いつの間にか、不思議にも、人物達に感情移入している。そして、現実に起きるような作風に作品が変換していく。作中にも実在した人物を小出しに絡め、人物の回想で話の謎が浮き彫りになる部分も面白い!

決して、この作家を美化はしてないですが、初期はワクワクする作品が沢山、存在した!しかし、ブラム・ストーカーの吸血鬼ドラキュラとわが町という、作品で見応えのある作品をここまで創るのは凄いです。

オススメです‼︎
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.30:
(5pt)

初期のキング的作品

良いですね~
キングの初期の作品に見られる、一貫して暗い感じが。
デッド・ゾーンしかり、シャイニングしかり。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.29:
(2pt)

さすがに初期の作品

TVを思わせる細かな場面転換が多く、必然性の低いエピソードがてんこ盛りで、恐怖心もたいして感じることもなくスピード感も無くダラダラとした印象でした。
主役は誰だ?と思わせる中途半端な描写で、巨匠も初期の頃はこんなもんかなと割り切って我慢の読書でした。
吸血鬼の描写も意外性もなく、煽った割には強敵でもなく肩すかし。
今まで読んだスティーヴン キングの作品の中で一番がっかりでした。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.28:
(4pt)

発表当時に読みたかった

マスマーケット: 656ページ
Pocket Books; Reprint版 (1999/11/1)
ISBN-10: 0671039741 のレビュー。

 その後の〈キング節〉を知ってしまった者としては、やはり物足りない。おおぜいの登場人物を点描していく手法、商品名を列挙する描写、アメコミ風のギミック、いずれも発表当時は新鮮だったと想像できる。さらに当時のUSAの気分、ベトナム戦争後の暗い雰囲気がよく描かれていると思う。でも、その後のキングだったら、もっと堂々とバカバカしい描写をし、ギミックも多い作品になったと思う。
 もちろん、読んでよかった。シリアスな作家としての初期キングがわかった。それに、約40年前の作品を読む楽しみもあった。アメリカにも舗装されてない道路がたくさんあって、共同回線の電話を使っている地域があったのだ。書店はないけれど図書館はあって、新聞配達はないらしいが、朝のミルクの配達はある。そんな田舎町の雰囲気が楽しめる一冊であった。

 第2部のエピグラフにある詩 The Emperor of Ice-Cream 。最近、柴田元幸の翻訳が出たが、この難解な詩の解説は以下のページが参考になった。
http://www.poetryfoundation.org/learning/guide/248396
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
4087600866
No.27:
(4pt)

さすがスティーブンキング

ヴァンパイアのホラーものなんて怖くないだろ…と読む前は思っていたのですが「キャリー」「ミザリー」を書いたスティーブンキングさんです。演出や表現にとても驚かされました。
なによりホラーシーンの演出はとても不気味で…
また生活環境や登場人物の構成にも凝っていて物語に引き込まれます。読んで決して損はしません
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.26:
(5pt)

展開が早く一気に楽しめた

「上」の方は割とヴァンパイアとの戦いよりもそれまでの経緯や構成にページを割いてありましたが、「下」ではラストまで展開が早くドキドキしながら読めました。
町が少しずつ、でも確実に襲われていく恐怖感を味わえました
呪われた町 (下) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (下) (集英社文庫)より
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No.25:
(5pt)

吸血鬼もの。

吸血鬼小説の印字等と言ってもいいと思う。面白かった。さすがステイーヴン キング。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.24:
(4pt)

読みやすい

読みやすい訳で、すいすい読めました。実際、アメリカの田舎には、このような雰囲気の町があるので
ちょっと怖くなりました。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.23:
(4pt)

40年前の作品とは思えない!恐怖と戦慄。

三谷幸喜氏が、朝日新聞のエッセイの中で、一番夢中になって読んだ本として
挙げていたのが、この「呪われた町」だった。
それゆえ、読書開始。
古きアメリカ田舎町、その日常に少しずつ生じる異変、それが事の始まりであった。
読んでいると、B級アメリカ恐怖映画を見ているが如く、映像が浮かぶ。
如何せん、上巻のセイラムズ ロットの町の人々の生活、様子の記載が冗長である。
下巻は、一気に、吸血鬼の首領バーロー対決までドキドキが止まらず読み進んだ。
Stephen King の恐怖の原点をみた気がした。
40年前の作品とは思えぬ恐怖と戦慄がそこにあった。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.22:
(4pt)

官能的

だけど、なぁーんか俺の感覚に届かないところがあって・・・w匂いとか、しゅうしゅうという音、とかそういうのが・・・もっとうまく処理できんもんかと。感覚を論理に徹して噛み砕いた箇所はクドくても入ってくるんだけど、「ボム!」とか「ズバング!」的な擬音描写はダメですね。

とはいえ、キリストとヴァンパイアのどちらの教化も受けていない我々土民をもそれなりに楽しませてくれる作品ではある。なにが魅力かといえば・・・あれ?なんだろう・・・台詞回しが粋なところかな。

でもほかの小説や映像作品を差し置いて、この作品に時間を割かなきゃダメ!という魅力がどこにどれほどあるのかと問われると・・・wうーんw

ファンのマニアックな視点から語らせてもらえば、ユーモラスなんですよね。この作品は特に。あるピンと張り詰めた、あるいは腐臭の漂うような胸の悪くなるような基調低音を崩さずに、首尾よく収まった酩酊状態の感覚にだけ響くようなオカシな描写があって・・・

たとえば町の最底辺の二人組がいて、そいつらが車に乗って話してる場面で、かたっぽのやつがつばを吐くんですけど、開いてると思ってた窓が閉まってて、その窓に垂れた唾をシャツでぬぐうところとか、え?これ彼らに忍び寄る何かの暗示?みたいなw

哲学と神学を突き詰めんとすると二つの真逆の地平のどちらを選択するかを迫られることになるかと思うんですが、キングは自身にもっともふさわしい不毛な荒野を吸血鬼と神父の対決の場面に用意してくれています。ありとあらゆる創作物の対決を扱ったもののなかで、一番好きな、一番腑に落ちる、もっとも頽廃的でセクシーな(ほめすぎかなぁ)シーンです。まったく暴力的ではないが、きわめて血生臭い。

所詮好みの問題なのかもしれませんが、キングの着眼点の鋭さと筆力は他を圧しています。それが細部にまで染み渡っている。キング自身は文筆活動を人工遺物を発掘する作業と語っておりますが・・・いやはや。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.21:
(5pt)

吸血鬼VS平凡な人間たちの死闘やいかに?

キング初期の傑作。オマージュの小野不由美「屍鬼」より長さも手ごろですし、遥かに出来が良いと思うので、
「屍鬼」を既読でつまらなかった人も面白かった人も、是非ご一読を。
私、「屍鬼」はまったく面白くなかったですが、こちらは大好きですね。

プロローグ。アメリカ西部に流れ着いたわけありの放浪者二人。
小説家志望の男性ベンと親族ではない少年マーク。
ベンが地元の神父に語った恐怖の体験とは?ベンが毎日、新聞をチェックしている理由とは?

話はベンの過去へ。彼の住んだ平凡で小さな町が吸血鬼に侵食されていく様と、真実を知ったベン含む住人グループとの死闘が繰り広げられます。

冒頭ではっきりしている様に、主人公たちは町を守るのに失敗、仲間たちも様々な理由で脱落していくのはわかっているのですが、それでも、町の住人の詳細な描写と崩壊劇、主人公たちの苦闘は読ませます!!

そして、エピローグ。プロローグ後へ話は変わり、何をベンが新聞で見ていたか?が明かされます。
過去編でも語られていたささいな伏線が最後にまさかこう生きるとは!
彼が狙っていた最後に放つ手段・・・。

少し複雑な変わった構成。匂わせるがはっきりさせないオチ、とキング作品でも、技巧に富み印象深いです。

続編を書く構想はあったそうで、つなぎに短編が書かれているのですが、その後の進展はなし。
主人公サイドの一人が「ダークタワー」に登場したり、「シャイニング」の続編も出た事なので、
これの続編も読んでみたいものです。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.20:
(4pt)

さすがは屍鬼の原作

大好きな屍鬼の元となった作品ということで読みました。上巻は町の背景や日常生活を徹底的に書き込み、舞台が現代であることを実感できているところで静かに恐怖が侵入する。故に後半の日常生活が崩壊していく様は迫力満点、さすがはモダンホラーの巨匠、スティーヴン・キング!この人の作家になる前の生活を頭に入れながら小説を読むとなんだか元気が出る。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
4087600866
No.19:
(3pt)

文学を書きたかった、のかな

S.キング=ホラー小説の帝王という定説を横目にウン十年。
もともとホラーというジャンルが映画、小説ともあまり好きではないので
50歳になるまでこの作家の小説は1作も読んだことがなかったが、
「屍鬼」(ウルトラ長すぎですが、前半までいい味出してた)の元ネタ、
として気になっていた、そこそこ評判のよい本作で、キング作品に初挑戦。

で、結論は、「吸血鬼の登場しない上巻の3分の2がおもしろい」

淡々とした田舎町の人間模様が妙に惹かれるんですね。
もちろん、この町が後で惨劇にみまわれるのだ、という
読者のみが知る前提が「今はそんな暢気なことやってるけどさあ」と
言いたくなるような、今風でない(70年代ですからねえ…)リズムと
風俗で展開するアメリカ人たちの日常が、不思議な「懐かしさ」と「安心感」を
感じさせるんですね、昭和生まれには。

吸血鬼が跋扈する後半は、はっきり言って少しも怖くない。
ネタバレになるといかんのであまり書きませんが、
血を吸われながら被害者が快感で勃起しそうになるとか、赤い眼がどうのという描写、
怖いかね?

放送中止になったPS「サイレン」の予告編やHPの方ががなんぼか怖い。
作中の吸血鬼よりバスの運ちゃんや間男いびりの旦那、ゴミ焼き場の管理人など
普通の人々の方が不気味。
最初の犠牲者が発生するシークエンスのみ、少し「あ、始まったな」という
感じでワクワクするけどね。

個々人がホラー小説に何を求めるかで作品評価はまったくことなるはず。
キング作品が好き、という人は著者の構築するキングワールドを
是とするがゆえに、ホラーの帝王と賞賛するのだろうが、
私の感覚からすれば、小松左京の「くだんのはは」、J.キャンベルJRの
「影が行く」を東西それぞれの恐怖スタンダード、とさせていただきます。

まさに小品、佳作という印象です。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.18:
(5pt)

恐怖王降臨

近年のキングのいささか冗長とも思えるヴォリュームの作品に比べ、ありふれたアメリカの田舎町が凄惨な恐怖の虜となる様を畳み掛けるが如きスピーディーな展開で描き、匂いたつような細部の徹底的なリアリティにただただ圧倒される。
古色蒼然たる吸血鬼伝説を最新式にアップデイトした最初期(長編第二作)の傑作。恐怖王の真髄ここにあり。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
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No.17:
(5pt)

もはや現代の古典ホラー

原著刊行から36年も経つのに些かもふるびていない現代の吸血鬼小説。私が初めて読んだのが中学生くらいで、今回20年振りくらいで読み返しましたが、当時と比べても面白さは全然変わっていず、逆に新しさすら感じて2日くらいで一気読みしてしまいました。興味深いのは後のキングの作品ででてくる、共同体の崩壊等特徴が既に幾つか垣間見られる処。既にこの時点でキングは完成していたと思わせます。「シャイニング」を初期の頂点とする人が多いと思いますが私は本書と甲乙つけがたいです。これがなければ「屍鬼」も「殺戮のチェスゲーム」なかったはず。まさに現代の古典。

昔、聞いた話だと続編の噂もあったそうですが、残念ながら今のところ実現していず、残念。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.16:
(5pt)

ホラーであり冒険もの

映画(最初のもの)を先に観てから原作を読みました。本の方が良かったです。この内容のまま映画化してほしかった。確かキング氏は不満で映画を作り直したとも聞きましたが。
ただ映画のビジュアルを観たから、情景が思い浮かび臨場感が味わえたのかも。
狡猾で残忍な吸血鬼にヤラレッぱなしでなく、徒党を組んで立ち向かう彼らに痺れました。特に、最年少のマーク坊やに。素晴らしい!吸血鬼さえ彼には対等に闘える初めての好敵手(キリスト以前から居たのに)として敬意を払っていましたね。マークに惚れました。
ただの怖い話で終わらず、愛する者(失った後でも)の為に闘い続ける。ホラーというより、私には冒険ものでした。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
4087600866
No.15:
(4pt)

「古い皮袋に新しい酒を注いだ」現代的人間ドラマではあるが...

「シャイニング」と並んでS.キングの代表作とされる作品。欧米で良く採り上げられる題材を、S.キングの筆力で、あたかも実在の物語であるかの様な印象を読む者に与える辺り流石と言える。特に、写実的な描写の積み重ねで、まずアメリカ東北部に架空の町を創ってしまう点が作者らしい。しかも、邦訳ではジェルーサルムズだが、そのものズバリの名前エルサレム(Jerusalem)と言う町を。
町の呪いの中核はかつて忌まわしい事件が起きたマーステン館。主人公の作家ベンは子供の頃、その現場を観た事がある種のトラウマとなって、町に舞い戻り、町をそして館を描こうとする。ベンが町に来た事がキッカケとなったように、犬の惨殺、町の若い兄弟の失踪と不審死、死んだ少年を埋めた墓堀人の不審死と不気味な雰囲気が次第に盛り上がる。そして、その墓堀人を教え子に持つ老教師マットが怪異現象を体験するに及んで、事態は最早錯覚とか妄想とは言えない現実の恐怖となる。この辺の展開は巧いと思うが、キリスト教徒以外にとって両刃の剣でもある。十字架とか日光、杭、ニンニク、聖水と言った御馴染みのアイテムを持ち出す程、形式に拘る必要があるのだろうか ? 魔の伝説を「古い皮袋に新しい酒を注いだ」現代的人間ドラマとして再構築したいとの意図は分かるが、少年マークの造形を除くとさほどの新鮮味は感じなかった。ホラー作家の第一人者として、「神と悪魔」の二元論以外の新しい恐怖の源泉を創り出す事は出来なかったのだろうか ?
町とその歴史を創り出し、更には町の住人達とその様々な人間模様を創り出す筆力がありながら、肝心の「恐怖」がゴシック・ホラーの域を出ないと言うのは(意図したものであっても)如何なものか。物語の細部が良く出来ているだけに惜しい。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
4087600866
No.14:
(4pt)

「古い皮袋に新しい酒を注いだ」現代的人間ドラマではあるが...

「シャイニング」と並んでS.キングの代表作とされる作品。欧米で良く採り上げられる題材を、S.キングの筆力で、あたかも実在の物語であるかの様な印象を読む者に与える辺り流石と言える。特に、写実的な描写の積み重ねで、まずアメリカ東北部に架空の町を創ってしまう点が作者らしい。しかも、邦訳ではジェルーサルムズだが、そのものズバリの名前エルサレム(Jerusalem)と言う町を。

町の呪いの中核はかつて忌まわしい事件が起きたマーステン館。主人公の作家ベンは子供の頃、その現場を観た事がある種のトラウマとなって、町に舞い戻り、町をそして館を描こうとする。ベンが町に来た事がキッカケとなったように、犬の惨殺、町の若い兄弟の失踪と不審死、死んだ少年を埋めた墓堀人の不審死と不気味な雰囲気が次第に盛り上がる。そして、その墓堀人を教え子に持つ老教師マットが怪異現象を体験するに及んで、事態は最早錯覚とか妄想とは言えない現実の恐怖となる。この辺の展開は巧いと思うが、キリスト教徒以外にとって両刃の剣でもある。十字架とか日光、杭、ニンニク、聖水と言った御馴染みのアイテムを持ち出す程、形式に拘る必要があるのだろうか ? 魔の伝説を「古い皮袋に新しい酒を注いだ」現代的人間ドラマとして再構築したいとの意図は分かるが、少年マークの造形を除くとさほどの新鮮味は感じなかった。ホラー作家の第一人者として、「神と悪魔」の二元論以外の新しい恐怖の源泉を創り出す事は出来なかったのだろうか ?

町とその歴史を創り出し、更には町の住人達とその様々な人間模様を創り出す筆力がありながら、肝心の「恐怖」がゴシック・ホラーの域を出ないと言うのは(意図したものであっても)如何なものか。物語の細部が良く出来ているだけに惜しい。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
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No.13:
(4pt)

キングの描く吸血鬼の恐怖。映画の中のモンスターを信じられるか?

本作は、S.Kingにとって「キャリー」に続きかかれた2作目であり、初期の傑作のひとつだろう。いわゆるクリストファ・リーが演じたような古典的な吸血鬼が現代に現れたとして、我々はそれを信じられるほどの余裕を持っていない。アメリカでは、まだ多くの国民がキリスト教徒で神を信じており、非科学的な事柄についてもそれを受け入れる宗教的な土壌を持っているが、無宗教な日本人はもはや吸血鬼やゾンビなどの存在など、冗談かパラノイヤとしか感じられない.小野不由美が「屍鬼」で、日本における吸血鬼、Living dead像を示そうとしたが、相当苦しいものとなって、ぜんぜん恐怖の対象とならなかった。しかし、この小説の中では、吸血鬼は悪であり、悪魔に近い存在で、Living Deadは厄介な怪物で、大陽の光でも、十字架でも、ましてや杭を打ち込んでもかんたんには消え去らない。未知なもの、不確かなもの、常識と違うものがおこったときにそれをありのまま受け入れ、常識を覆すのは非常に難しい。そういう人の心の弱さにつけ込む恐怖を描くKingのイマジネーションには毎回、感嘆させられる.
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
4087600866
No.12:
(4pt)

キングの描く吸血鬼の恐怖。映画の中のモンスターを信じられるか?

本作は、S.Kingにとって「キャリー」に続きかかれた2作目であり、初期の傑作のひとつだろう。いわゆるクリストファ・リーが演じたような古典的な吸血鬼が現代に現れたとして、我々はそれを信じられるほどの余裕を持っていない。アメリカでは、まだ多くの国民がキリスト教徒で神を信じており、非科学的な事柄についてもそれを受け入れる宗教的な土壌を持っているが、無宗教な日本人はもはや吸血鬼やゾンビなどの存在など、冗談かパラノイヤとしか感じられない.小野不由美が「屍鬼」で、日本における吸血鬼、Living dead像を示そうとしたが、相当苦しいものとなって、ぜんぜん恐怖の対象とならなかった。しかし、この小説の中では、吸血鬼は悪であり、悪魔に近い存在で、Living Deadは厄介な怪物で、大陽の光でも、十字架でも、ましてや杭を打ち込んでもかんたんには消え去らない。未知なもの、不確かなもの、常識と違うものがおこったときにそれをありのまま受け入れ、常識を覆すのは非常に難しい。そういう人の心の弱さにつけ込む恐怖を描くKingのイマジネーションには毎回、感嘆させられる.
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