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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ
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【この小説が収録されている参考書籍】
ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.56pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全61件 21~40 2/4ページ
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映画「裏切りのサーカス」をなんとなく見ていてあまりにも面白かったので原作のこの本を購入しました。 英国作家独特の状況描写とプロット配置はじっくりと読むことの楽しさを改めて感じさせてくれます。 読むに足る本だと思います。 | ||||
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ジョン ル・カレの代表的なスパイ小説で、とても面白い内容のスパイ小説です。 | ||||
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Kindleで出版されているのを見てダウンロードしました。手軽に読めますが内容の重厚さはそれとは対照的です。個人的には旧訳に慣れ親しんでいるので若干、読みごこちが違いますが、仕方ないですね。 | ||||
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みなさんのレビューにある通り、新訳が酷いということで、この旧訳をあえて選んで購入した。しかし、この翻訳もちょっと難があった。 最初は読みにくく、ひとりの人物にも愛称やコードネームがあり、慣れるまでは大変だった。でも、映画の素晴らしさの記憶が、最後まで読む力を与えてくれた。 後半の何十ページかに差し掛かると、読む手が止まらなくなった。それまでの、読む苦労がいっぺんに報われた思いだった。スパイ小説というより、純文学というべき作品。 どんなに苦労してでも、最後まで読んでほしい。読んで、絶対に後悔しないはず! ただ、読むにあたっては、自分なりの人物のメモなど書いておいたほうがいいかも・・・ | ||||
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訳がひどいと言われていたので長いこと敬遠してましたが、映画のほうを何回も観る内に我慢できずに買ってしまいました。 買ったのは第6刷ですが、普通にストーリーに集中して読めました。私が鈍感で学がないなせいかもしれませんが、声を大にして文句を言いたくなるような、流れを台無しにするおかしなところには気づきませんでした。 どうしようもない違和感はなく、直訳調のところも何でそういう訳になるのか、原文が想像され親近感のようなものを持ちました。 組織に属する人間として(ただの会社員ですが)、いろいろ考えさせられるはなしです。 | ||||
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昔、「リトル・ドラマー・ガール」を読んで、カレは社会派作家かと思った記憶がある。パレスチナゲリラの訓練シーンが、今も頭の片隅に残っている。 さて、本作は純粋なるエンタメスパイ小説であるが、読者の想像力で補わなければならないストーリー運びで、2時間サスペンスドラマのくどくどしい探偵の説明になれきった我が頭は消化不良を起こしてしまった。東西冷戦を同時代で生きた小生には、時代背景は違和感無く入り込めたが、結末が一読ではよくわからず、第三部を読み返してなんとか理解できた。もぐら(ソ連スパイ)の殺害犯もしばらく見当がつかなかったが、ある朝、やっと閃いた次第である。前期高齢者にとって、なかなか刺激的な本であるが、消化不良を起こした分を減点とする。寿命のある間に読みたいと思っていたのでとにかく読めてよかった。次は「スクールボーイ閣下」に挑戦するぞ。 | ||||
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単純に要約すれば組織内の裏切り者、KGBへの内通者を捜す話だが、疑心暗鬼に満ちた人間関係の複雑な心理戦の面白さ、細部に渡るまでの緻密な描写が相まって読者を濃密で迷宮の様な小説世界に引きずり込む。 そして何より英国諜報部を立て直すべく立ち上がるジョージ・スマイリーの複雑なキャラクターが素晴らしい。この風采の上がらぬ、妻に去られようとする初老のスパイのうつ向きがちな肖像に秘められた、その意思の力に、あらためて魅了される。 なお新訳の文庫版に比べ、本版の菊池光の武骨な訳文がこの晦渋な作品には個人的には相応しい気がする。 | ||||
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DVDを観てから読んだので解りやすかったのかも知れないですが、面白かった。 イギリスのサーカスと呼ばれる諜報部にスパイが入り込んでいて、それが誰であるのかをスマイリーという諜報部を辞めさせられた元スパイが突き止めていくという話しです。 最初は登場人物の名前を覚えるのに苦労しましたが、ある時点で謎が解けるようにわかり、それ以後、内容がよく理解できました。二回目、読み返すと、いろいろなことが繋がっていて、その発見がまた面白かったです。 訳も解りやすいと思いました。言葉に二重の意味があるので、直訳っぽい方が解りやすいのではないかと思いました。何度も読みかえせる本だと思います。 | ||||
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2011年の映画『裏切りのサーカス』の原作です。 映画を見て消化不良だった人には、この原作がお勧め。 設定が全然変わってしまっている人も居ますが、絶対こちらの方が面白いです。 映画ではいまいちよく分からなかった、様々な伏線が、この原作を読んでようやく理解できます。 とにかく映画以上に伏線が多く、色々なシーンをシーン毎にどこに繋がっているかが全く明かされず、話すが進んでラストへと収束していくうちにようやく分かってくると言う複雑さ。 一枚一枚のシーンがパネルのようで、最後全部が分かった時点で絵になると言うイメージかな。 それでもこの回りくどい奥深さが癖になります。 | ||||
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スマイリー3部作の最初の1冊です。(スマイリー物は確か5冊あったはず) 3部作はこのテインカー、テイラー、ソルジャー、スパイから読むことをお勧めします。 とにもかくにも3部作の基調を決定づけるストーリ。相変わらずのディティールの巧さ。 英国の冒険スリラーのあまたある名作の中で一番地味ながら、一番面白い(読ませる)シリーズです。 | ||||
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映画化になったので、勉強しました。作者の体験だっただけに、 面白さが倍になります。 | ||||
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物語の舞台となった時代は、今では死語となった「冷戦時代」です。イギリス諜報部に長年に渡って在籍し、しかもソ連の二重スパイになっているという裏切り者を見つけ出すために、諜報部から追い出された元スパイが呼び戻されます。ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイはその二重スパイを見つけ出す、頭脳戦とも言える調査過程を克明に、そして極めて洗練された文体で著わしたスパイ小説の最高傑作と言える作品です。当時、イギリスは文化や工業製品という面でも、日本人にとって大きな憧れの的だった時代でした。またソ連や東ドイツがまだあり、日本人がBMWやメルセデス・ベンツなど「西ドイツ車」に21世紀の現在よりも別格のステータスを感じていた時代でもあります。 本書のすばらしさを言葉で表すには、私の文章作成能力はあまりにも非力です。しかし、少しでもこの作品の楽しさを理解してもらえれば嬉しく思います。 本書は何度読んでも、興味が薄れることがありません。それどころか、あらゆる所に伏線が巧みに配置してあり、読み返して伏線を理解するごとに、まるでジグソーパズルを組み立てているような、探していたピースがついに見つかり、ぴったりとはまるような楽しみを感じていることに気づきます。 和訳に対しては、低い評価を与えている方が何人かいらっしゃるようです。残念ながら、私も本書の訳は原書のすばらしさを伝える水準に達していないと思います。作品には疑いもなく☆5つなのですが、翻訳のために☆を一つ減らしました。ただし、新しい刷りになって誤りはずいぶん修正されているようです。私は、2013年5月にKindle版を購入しましたが、話を誤解させるような著しい誤りはないようです。 元々は1989年第5刷で初めて読んだのですが、正直言って、最初読み終わったときの感想は「よくわからない」でした。しかし、不思議な余韻の残る作品であったため、本を捨てることもなく、10年ぐらい経つとまた読みたくなる魅力的な本でした。そして、読むたびに巧妙に配置された伏線に気づき、さらにおもしろさが増すという、なかなか人生で出会うことのない希有な傑作です。 ところで、本書は、アレック・ギネス主演の1979年イギリスBBCドラマ「Thinker Taylor Soldier Spy」とゲーリー・オールドマン主演の2011年映画「裏切りのサーカス(原題Thinker Taylor Soldier Spy)」と、2回映像化されています。どちらもすばらしい作品です。通常、原作と映画があるような時は、どちらがより面白いかという議論になるのですが、こと「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」に関しては、それぞれがすばらしい作品で、映像を見れば、原作を読みたくなる、原作を読めば、その場面を映像で見たくなります。娯楽作品としては、どれもすばらしい出来で、決して、読者を、視聴者を飽きさせることがありません。NHKのBSで放送してくれそうなドラマなのですが、まだ見たことがありません。日本語吹き替えで是非このドラマを見たいものです。 ドラマを見て気づいたのですが、登場人物の読み方が若干異なっています。パーシイ・アレリンはアレリンではなくアレライン、トビー・エスタヘイスはエスタヘーゼ(映画ではエスタハース)、ピーター・ギラムはグィラムです。 Kindleのおかげで、出張するときもいつでも本書を持ち歩いて楽しむことができます。老眼になってきたために、文庫本の字が小さすぎると感じていましたが、この問題もKindleが解決してくれました。 超絶技巧による伏線埋設満載の文学的傑作スパイ小説です。ソ連や東ドイツを知らない若い世代の人でも楽しめます。言葉で作られたパズルに魅力を感じる人には特にお勧めです! | ||||
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ル・カレは損をしています。会話の部分の文体がどうにも不自然で、どうしようもない。たった1行で物語りをどこへでも持ち去ってしまう作家のすごさを僕たちはこの翻訳によって堪能できるのか、と考えるとはなはだ心もとなくなるのですが、それでもよしとしましょう。少なくとも、日本語で読めるのですから。それでも、何度も読み返したくなるというほどに、この翻訳が一定の質を維持しているとは思えません。前後の脈絡を取り去ってしまった物語を訳す難しさは並大抵のものではないと思いますが、これではル・カレのル・カレたるところが味わえないのです。それでも、星は4つです。 | ||||
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スマイリー三部作の第一作で、映画「裏切りのサーカス」にもなりました。二作目「スクールボーイ閣下」に続き「スマイリーと仲間たち」で完結します。約20年前に購入した英語版と菊池光訳の単行本を併せて何回も読み返しています。文庫版は読んでいませんが、ストーリーは同じと思いますので、ここでレビューさせて頂きます。 英国情報部(サーカス)の長であるコントロール(本名は部の誰も知らない)は部内の高級幹部の中にソビエト情報部(モスクワセンター)のスパイ(もぐら)が潜んでいると考え、自分のオフィスに籠もって一人だけで部の膨大な資料を調べ始めます。しかし、もぐらの正体にあと一歩で辿りついたという時、心臓病で急死します。前コントロールと対立関係にあったアレリンが後任のコントロールに決まると部の体制は一新され、スタッフも整理されます。ジョージ・スマイリーもこの時に退職することになりました。 そのうちに、引退したスマイリーは内閣直属情報担当官レイコンとかってスマイリーの忠実な部下であり現在も情報部の幹部であるギラムに呼び出され、秘密の会合に出席します。その席で、三人はペナン駐在の諜報員であるターから情報部内にもぐらが居るという証拠を示されます。レイコンは大臣と相談し、もぐらの正体をあばくことをスマイリーに頼みます。そこで、スマイリーはギラムの協力のもと、部外から調査をすることになり、ギラムとレイコンが秘密裡に持ち込む機密資料を解析しはじめます。また、彼は前資料室長でソビエト専門家であった超人的な記憶力の持ち主コニーに接触します。彼女は、独自の調査でもぐらの存在とソビエト大使館内の連絡係と思われる人物の名前を割り出し、新コントロールに告げますが、調査の打ち切りを命じられ、解雇されるに至った経緯を話します。 もぐらの存在によりサーカスの情報はソビエト側に筒抜けになりますが、モスクワセンターの高級幹部でスマイリーの長年の仇敵であるカーラは更にサーカスを混乱させ打撃を与えるための謀略を行います。チェコの将軍でモスクワセンターのスタッフでもあり、英国情報部内のもぐらの正体を知っていると称する暗号名テスティファイが亡命を希望しているという情報を得たコントロールはそれに乗り「テスティファイ作戦」を実行します。本書の冒頭に登場するジム・エリスが彼を引き取るためチェコに派遣されますが、待ち伏せに会い負傷して捕らわれます。スパイ交換で帰国しますが、彼は部内の裏切り者に対する復讐を誓います。この失敗は前コントロールに大きな衝撃を与え、彼の死期を早めます。 もう一つの仕掛けは前コントロールの死亡直前からの「ウイッチクラフト情報」で、モスクワセンター内の(自発的)もぐらだとする暗号名マーリンから突然大量の重要な情報が定期的にサーカスに届くようになります。内閣と部内でこの情報の信憑性について慎重な検討が行われ、結局信用出来ると判断されます。しかし、これが偽情報であることが後に判ります。モスクワ・センターがこの情報を流した真の目的は、米国の秘密情報を入手するための主要手段としてサーカスを仕立てることでした。 前コントロールは、もぐらの容疑者として部内高級幹部5人(アレリン、ヘイドン、ブランド、エスタヘイス、スマイリー)に英国の古い童謡にちなんで、ティンカー(鋳掛屋)、テイラー(洋服屋)、ソルジャー(兵隊)、プアマン(貧者)、ベガマン(乞食)という暗号名を付けました。このことについて知っているのはチェコに派遣される際に裏切り者の暗号名をテスティファイから聞き取ることをコントロールから指令されたジムだけでした。情報部を辞めたジムはそのことを後にスマイリーに話します。 さて、スマイリーは除くとして、果たしてもぐらは誰でしょうか? 最終章で、もぐらはスマイリーにその正体を暴かれることになります。そして、最終場面に登場するのはジムです。 この小説は三部作の中でも最もプロットが錯綜していますので、簡単に読み流せるものでなく、じっくり読みこむタイプの本です。私としては、一度読んだ後で再度読み返されることをお勧めします。読み返すことにより、ああそうだったのかと伏線の緻密さに驚かれることと思います。また、登場人物が多いので、自分でリストを作りメモを取りながら読まれると理解しやすいです。 薄明の中を何かに取りつかれた人物達が彷徨するル・カレの世界をお楽しみ下さい。そして、三部作の全篇を通じて通奏低音となるのは貴族出身で美貌のスマイリーの妻アンの存在です。 | ||||
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スマイリー三部作の第一作で、映画「裏切りのサーカス」にもなりました。二作目「スクールボーイ閣下」に続き「スマイリーと仲間たち」で完結します。約20年前に購入した英語版と菊池光訳の単行本を併せて何回も読み返しています。新訳の文庫版は読んでいませんが、ストーリーは同じと思いますので、ここでレビューさせて頂きます。 英国情報部(サーカス)の長であるコントロール(本名は部の誰も知らない)は部内の高級幹部の中にソビエト情報部(モスクワセンター)のスパイ(もぐら)が潜んでいると考え、自分のオフィスに籠もって一人だけで部の膨大な資料を調べ始めます。しかし、もぐらの正体にあと一歩で辿りついたという時、心臓病で急死します。前コントロールと対立関係にあったアレリンが後任のコントロールに決まると部の体制は一新され、スタッフも整理されます。ジョージ・スマイリーもこの時に退職することになりました。 そのうちに、引退したスマイリーは内閣直属情報担当官レイコンとかってスマイリーの忠実な部下であり現在も情報部の幹部であるギラムに呼び出され、秘密の会合に出席します。その席で、三人はペナン駐在の諜報員であるターから情報部内にもぐらが居るという証拠を示されます。レイコンは大臣と相談し、もぐらの正体をあばくことをスマイリーに頼みます。そこで、スマイリーはギラムの協力のもと、部外から調査をすることになり、ギラムとレイコンが秘密裡に持ち込む機密資料を解析しはじめます。また、彼は前資料室長でソビエト専門家であった超人的な記憶力の持ち主コニーに接触します。彼女は、独自の調査でもぐらの存在とソビエト大使館内の連絡係と思われる人物の名前を割り出し、新コントロールに告げますが、調査の打ち切りを命じられ、解雇されるに至った経緯を話します。 もぐらの存在によりサーカスの情報はソビエト側に筒抜けになりますが、モスクワセンターの高級幹部でスマイリーの長年の仇敵であるカーラは更にサーカスを混乱させ打撃を与えるための謀略を行います。チェコの将軍でモスクワセンターのスタッフでもあり、英国情報部内のもぐらの正体を知っていると称する暗号名テスティファイが亡命を希望しているという情報を得たコントロールはそれに乗り独自に「テスティファイ作戦」を実行します。本書の冒頭に登場するジム・エリスが彼を引き取るためチェコに派遣されますが、待ち伏せに会い負傷して捕らわれます。スパイ交換で帰国しますが、彼は部内の裏切り者に対する復讐を誓います。この失敗は前コントロールに大きな衝撃を与え、彼の死期を早めます。 もう一つの仕掛けは前コントロールの死亡直前からの「ウイッチクラフト情報」で、モスクワセンター内の(自発的)もぐらだとする暗号名マーリンから突然大量の重要な情報が定期的にサーカスに届くようになります。内閣と部内でこの情報の信憑性について慎重な検討が行われ、結局信用出来ると判断されます。しかし、これが偽情報であることが後に判ります。モスクワ・センターがこの情報を流した真の目的は、米国の秘密情報を入手するための主要手段としてサーカスを仕立てることでした。 前コントロールは、もぐらの容疑者として部内高級幹部5人(アレリン、ヘイドン、ブランド、エスタヘイス、スマイリー)に英国の古い童謡にちなんで、ティンカー(鋳掛屋)、テイラー(洋服屋)、ソルジャー(兵隊)、プアマン(貧者)、ベガマン(乞食)という暗号名を付けました。このことについて知っているのはチェコに派遣される際に裏切り者の暗号名をテスティファイから聞き取ることをコントロールから指令されたジムだけでした。情報部を辞めたジムはそのことを後にスマイリーに話します。 さて、スマイリーは除くとして、果たしてもぐらは誰でしょうか? 最終章で、もぐらはスマイリーにその正体を暴かれることになります。そして、最終場面に登場するのはジムです。 この小説は三部作の中でも最もプロットが錯綜していますので、簡単に読み流せるものでなく、じっくり読みこむタイプの本です。私としては、一度読んだ後で再度読み返されることをお勧めします。読み返すことにより、ああそうだったのかと伏線の緻密さに驚かれることと思います。また、登場人物が多いので、自分でリストを作りメモを取りながら読まれると理解しやすいです。 薄明の中を何かに取りつかれた人物達が彷徨するル・カレの世界をお楽しみ下さい。そして、三部作の全篇を通じて通奏低音となるのは貴族出身で美貌のスマイリーの妻アンの存在です。 | ||||
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この本はイギリスの歴史に残るほどの名作で、一冊は持っていたいと思い購入。本棚にあるだけで嬉しいので購入しましたが、今回初めて本を開いてみると。。。なんとページはボロボロの乱本。送料まで払って購入したのにこんなものを送ってくるなんて酷い!!だからここからは本を購入は気をつけて下さい | ||||
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緻密なプロットで、裏切り者を追い込んでいくあたりが、すごくよかった・・。 文章の流れが、ゆっくりとしている感じで、最近のスパイものよりスピード感がない感じなのですが、それがモノクロな感じというか、重苦しい感じがして、それだけで普通の人々が知ることのない、闇の世界を描き出している感じでした。おもしろかったです。 | ||||
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いやあ、シピれました。 高校時代、いあん・フレミングの小説を、夜通し読んで以来。 時代背景が、実際と呼応していて、すごくリアル。 ジョン・ル・カレ、恐るべし。 いままで知らなくて、ソンした気分。 スマイリーのように職務に忠実でありたい。 そういえばうちの職場にも、腹黒いのやらオベッカ使いやら。 一般人の現実社会にもダブる、スパイの人間模様。 病みつき。 | ||||
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ル・カレのスパイ小説はかなり前に『寒い国から帰ったスパイ』を読んだという記憶だけがある。代表作といわれている「スマイリー三部作」のうち、最近になって『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の新訳が出たと聞き、このガチガチの筋金入りに挑戦してみたくなったのだ。この作品は「なにがなんだかよくわからない作品」といわれているからだ。 ル・カレはリアルな人間洞察によって、冷戦下の諜報戦の実相を描いてきた。これまでのヒロイックなスパイとは対極にある新しいタイプのスパイ小説だった。また「スマイリー三部作」がソ連情報部の首脳カーラとイギリス情報部の死闘であることもわかっていた。 英国情報部(サーカス)の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明らかにされる裏切り者の正体は?スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。 表紙カバー裏のこの解説はストーリーの全体構図になっているはずなのだが、いつまで読み進めても「なにがなんだかわからない」のである。 登場人物は多数であり、それが苗字、名前、あだ名、コードネームが入り混じって、時と場所を違え、しかもあとでわかることなのだが全員が重要な役割を演じている。しかも著者が客観的に語る部分はわずかであり、それぞれの情景はそれぞれの人物の視点で語られる。読者にとってスマイリーだけはソ連の二重スパイ・X(作品ではある呼称が使われているがここではXとしておく)ではないと確信しているのだが、あとの人物はすべて怪しいのだ。 チェコでの作戦<テスティファイ作戦>、ソ連の情報源とされる<マーリン>とか<ウィッチクラフト>などのいかにも核心である言葉が説明のないままヒョイと顔をだし、読者には説明済みかのごとくに動き始める。そこで読み飛ばしたかと、ページをさかのぼってみるのだが、それが無駄玉になる。「それはあの木曜日のことか」「そうだあの木曜日だ」と会話に出くわせば、当然に私は「あの木曜日」とはなんだったかと後戻りする。ところが、見当たらないのだ。 とにかくこういう始末の悪さがいたるところに散在する。 ここをなんとかクリアしよう。そうすればおよその全体構造が浮かび上がってくる。 過去の事件で追放され、いまは引退しているスマイリーはXの探索を命じられるのだが、もともとXが存在するという情報自体が正しいのかどうか?もしかしたら、それが<サーカス>を混乱させるためのニセ情報かもしれないのだ。<サーカス>の幹部たちはXの存在など念頭にないので、ニセ情報だったとすれば探索というスマイリーの行動自体が裏切り行為となる。 スマイリーの敵カーラとXの浸透工作はあまりにも巧みなものだから、<サーカス>全体が彼等のために知らず知らずに汚染されている。英国情報局が正しいと確信する愛国行為が実はソ連の思う壺で英国民に対する裏切り行為であるとすれば………。カーラの企みは<サーカス>を機能不全にすることなのか?そうではないだろう。これだけヒトモノカネと時間を費やした大仕掛けである。採算にあうカーラの究極の企みとは?当時の国際情勢を思い浮かべれば、なるほどと単なるスパイ冒険小説では味わえないその迫真性のインパクトは期待通り確かなものだった。 ところで、これがこの小説の全体構造なのだが、わたしの場合、物語の半分近くまですすんでようやくたどり着くことができたのだった。この歳になると丹念に読むのは実につらいことである。眠くなっておろそかになる。だからなんど読み返したことだろう。 だがこれは正しい読み方であった。後で気づいたことだが、まさに五里霧中でさまようスマイリーその人になっていたのだ。 枝葉末節を微細に象ること延々としてみえるが、実はどこにも隙がない完璧な伏線なのだ。その積み重ねでやがて森が見えてくることになる。タイトルの意味することが知らされる。 これほど緻密な構成のミステリーは珍しい。 本格のハ−ドコアスパイ小説だった。 情報機関をシステムとして浮き彫りにして、リアルに詳述している小説はほかにあるまい。 システムの構成は幹部上級職と現場の工作員に分かれるが、ここは日本の警察組織と同様、本部と現場の確執、忠誠と裏切りと功名争いが混沌とするところだ。現場工作員にも情報収集と首狩りと言われる実行部隊のふたつがあるようだが、詳細は私には理解できていない。 現場工作員は対象国内にそれぞれ独自のネットワークを築き上げている。これが彼らの主要任務であり、彼らのパワーの根源である。情報ネットワークには対象国の要人が組み込まれている。当然、情報源は内部でも秘匿される。もしリストが敵の手に渡れば容赦なく抹殺される。 そして工作員はシステムの一員でありながら、システムとは距離をおいた単独行動は、成功を前提にして暗黙のうちに認められている。大きな成果はそういう独自の判断からうまれるものだ。 幹部上級グループは原則として現場の情報を集中させている。一方、工作員は上級幹部から指令を受け、忠実に実行する。ただ、何のための行動か、指令の目的は知らない。 要は、個性を捨象したところで機能するシステムでありながら、個性の働きに負うところが大きいという矛盾をもつのが情報機関である。システムの一員として沈着冷酷に任務を果たしながら、死地に向かっては自分の判断がすべてになる。ましてやシステムそのものへの猜疑心が芽生えれば、寄って立ってきた基盤が崩れ、自己喪失する。このギリギリの葛藤を一人一人の深層部までメスを入れて細やかに描いている。 これがル・カレの魅力なのだ。 読者はスマイリーとともに雲をつかむような謎へじわじわと迫るのだが、スマイリーではないのだから、いらいらがつのる。読むことを放棄したくなるかもしれない。 だが、そのストレスを三分の二まで我慢すれば、あとは疾走感が残されている。 そして間違いなく読み通したことの醍醐味が味わえるだろう。 | ||||
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第3刷で読みました。 何人かの方が書かれている530ページの文言は「幻想をすてた男の最後の幻想」になっています。 他の箇所も修正されているようです。 訳の評価を読んで購入をためらっている方は、購入されていいんじゃないかと思います。 面白い小説でしたよ。 | ||||
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