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キトラ・ボックス
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キトラ・ボックスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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春、奈良に旅行して明日香村を自転車で散策した。 小山に囲まれ緑豊かな、長閑な里山だった。 1500年前も、ほとんど変らぬ景色が拡がっていたことだろう。 古代日本人はこのような地を選んで都とし、国造りを始めていったのだと思うと、何だか誇らしい気分になった。 興味が益々湧いて、題名に惹かれ本書を手に取ったが、全くの期待外れだった。 著者は世界文学全集を編纂していたのではなかったか。 主人公が石礫で暴漢を撃退する場面で馬鹿馬鹿しくなり投げ出しそうになったが、世界文学だ、きっと未だ何かあるはずと思いとどまり、最後まで読んだが何も無かった。 古代史にロマンを感じる大人が真面目に読むような話では無い。 いや、言い直す、大の大人が読む話では無い。 | ||||
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まだ途中ですが読み応えおります。 | ||||
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〇 文句なく面白いこの小説は、いくつかの物語が絡み合って進む。中心となるストーリーは、日月神社のご神体である鏡と剣の由来を研究する日中考古学者の物語であるが、これに兄がウィグル・チベット解放運動のリーダーであるために中国政府に追われる中国人考古学者の物語、さらに7世紀の昔に大海人皇子に仕えて律令制度の整備に力を尽くした阿部御主人の物語などが深くかかわってひとつの大きな物語となって行く。 〇 どのように面白いのか。第一に、ミステリーとして面白い。謎は深いし、アクションもあるし、悪党も登場するしで、ハラハラドキドキ追い立てられるようにページが進む。第二に、知的刺激に満ちている。キトラ古墳は誰の墓か、壬申の乱の立役者、古歌の読み解き、遣唐使メンバーの友情と生涯、中国の少数民族問題などがあちらこちらに盛り込まれていて、そうだったのか!そんなこともあったかもしれない!と常に知的興奮を味わえる。そればかりでない。登場人物は、国家とはどのようなものか、好ましい人生とは何か、人間の運命とは、というところまで想いを及ばせる。第三に、文章が端正である。明晰、流麗で明るくテンポが良い。描く対象と時代に即して見事に雰囲気を変える。現代の文章のお手本だと思う。 〇 話の進め方は映画を思わせる。ひとつひとつの場面は短く映像描写のようで、ひとまとまりの映像が描かれるとからりと次の映像に切り替わる。これもこの小説が読みやすい理由なのだと思う。 | ||||
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主人公の気持ちが多く書かれているのでやや冗長で,展開が遅くなる傾向があるが,題材が良いので大変おもしろい。1作目もおもしろかったが,2作目も期待を裏切られなかった。主人公の過去を掘り下げる作業は,1作目を読んでいる読者にとっては冗長でつい読み飛ばしてしまうので,そこだけマイナスです。 | ||||
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遺跡発掘で古代の遺物発見。という古代史テーマあるいは伝奇ロマン小説のパターンは、邪悪なるものが 覚醒し大いなる災厄が降りかかる・・・が定番。故半村良氏の作品や映画インディ・ジョーンズシリーズを 想起する。 しかし、本書はどちらかと言えば遺跡発掘と留学生可敦(カトゥン)の誘拐を中心としたノンストップ冒 険もの。SFのセンスオブワンダーやホラー色を期待する読者には、興味のポイントが少々異なるかも知れま せん。 | ||||
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問題無し | ||||
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キトラ古墳を舞台に壮大な歴史ロマンが広がっていき、魅了される。 7世紀末にタイムスリップ。 672年の壬申の乱。 阿倍御主人をはじめ、高市皇子、竹田大徳。 友情の絆。 日本とウイグルに架ける橋。 その天文図は生き続けている。 一方では、ドタバタのエンターテイメントが加えられて、小説はふくらみを増している。 | ||||
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こちらを購入した直後に文庫版が出て軽いショックを受けましたが、「アトミックボックス」の続編の本作は、時空を超えた歴史ロマンに、結構ハラハラドキドキの逃亡劇も加わり(前作も同じ)、物静かな池澤作品の中のエンターテイメント部門といえます。氏が楽しんで執筆されてるのを感じながら読んでいます。 | ||||
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三面の禽獣葡萄鏡の関連性の謎を、キトラ古墳の被葬者、壬申の乱の最大の功労者高市皇子、そして高市皇子の参謀であるウイグル出身のヤグラカル(竹田大徳)の3人の交情に絡めた著者の設定は、如何にも小説的ロマンに溢れ見事なものだと思いました。キトラ古墳の主の独白、遣唐使の一員(留学生)としての見聞とヤグラカルとの出会いが印象に残っています。 銅剣に象嵌された北斗の謎を剣の柄を分解しX線撮影、ファイバースコープによる観察などの科学的調査を行い小さな書簡体の古文書を発見し、前記3人の交流が確認されるという巻末の謎解きの構成も知的で素晴らしい。三次郎が可敦に話した百万頭陀羅尼(お経が入っている)が伏線として効いている。 古墳や考古学と言う硬いテーマに、新疆ウイグル自治区という民族問題を絡めながらも読みやすくエンターメント性溢れる小説になっているのは、時折見せる著者のユーモラスにして、軽妙洒脱な筆致にあるんでしょうね。民博の女性研究者可敦を誘拐し監禁した二人のチンピラの思惑、所作には笑ってしまいました。 殺人などの無い知的な考古学ミステリー、良かったですな! | ||||
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予備知識無しに読み始め、一気に読んでしまいました。 これが真相なのでは?と思ってしまいます。 考古学ファンでなくても、とても面白く読めました。 | ||||
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キトラ古墳の埋葬者を探求する歴史ロマンと、国家レベルの陰謀の渦巻くサスペンスが、ちょうどよい組み合わせで描かれたエンターテイメントでした。 登場人物たちの学ぶこと、研究することに対する姿勢がとても素晴らしいし、自分の仕事に誠実に取り組む人たちもかっこよかったです。 いろいろな役割を持った人たちがこうして1つの物語を作り上げている光景は感動的でした。 | ||||
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一気呵成に読んだ。最後は不覚にも涙した。これは見事なエンタメである。 「こんな結果になって驚いていることと思う。また私と君の仲だから悲しんでくれていると思う。これは定まったことではなく、私が選んだ道だ。この国で長寿の果てに身罷るはずもなかったのだが、他ならぬ今というのは私が決めた。人には死ぬのにふさわしい時というものがあって、私の場合はそれが今だった」(147p) この世界には、これが見つかれば考古学的大発見、歴史が一瞬にして変わるというものが幾つかある。例えば雄略天皇の実在が確定された稲荷山古墳の鉄剣もそれに類似したものだった。しかし何よりも欲しいのは邪馬台国時代の封泥。それによって、8割ぐらいの割合で邪馬台国の場所を確定できる。 もちろんそんなありきたりな物語を池澤夏樹は作らない。ここで出て来たのは、キトラ古墳の被葬者を特定し、なおかつ当時の最大事件である壬申の乱の新解釈を呼び起こし、なおかつ当時の人々の想いさえも再現する超一級の遺物であった。 因みにここで出てくる遺物や遺跡が、あまりにも真に迫っていたので、日月神社の存在、そこから見つかった鏡と銅剣、トルファン出土の禽獣葡萄鏡と大三島の大山祇神社の禽獣葡萄鏡が同じ鋳型だったこと、岡山県美作市の鍛冶屋逧古墳の存在、それらは検索してみたら見事な「ウソ=創作」だった。 前回の「アトミック・ボックス」の登場人物が出てくるとは知っていたが、まさかこんなにもゾロゾロ出てくるとは予想していなかった。嬉しい誤算であり、それだけでもワクワクしながら読んだ。 ストーリーはきっちりエンタメ・考古学サスペンスの部類に入るのだが、前回と同様に幾つかの瑕疵があるのを指摘せざるを得ない。中国政府やウィグル独立運動当事者は、ここに描かれているほど甘くはない、と私は思う。しかし、そんなものは私には決定的な瑕疵ではない。 ここにあるのは、あり得たかもしれない歴史の中の「友愛」である。それは信じることができる。それだけでも嬉しい。 2017年10月、日本の歴史の曲り角になる選挙が終わった翌日に読了。 | ||||
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「キトラ・ボックス」という題名を見れば、誰でも「キトラ古墳」を想起する。本作はその「キトラ古墳」の謎の被葬者に纏わる古代ロマン・考古学ミステリ風の作品かと期待したのだが、その安っぽい創りにはガッカリさせられた。 上述した「キトラ古墳」の被葬者に関しては、作者のアイデアが一応は披歴されるのだが、作中、唐突に(時間を越えた)"被葬者自身"の語りが入るという、誠に稚拙な技法で披歴されるので、読者にとっての興趣が極めて薄い。後は、ウイグル自治区から民博に留学生として来日した可敦という若き女性考古学研究者の拉致を中心としたサスペンスもどきの物語が展開されるのだが、この拉致事件の真相も薄っぺらで、読み応えに欠ける事著しい。 古代ロマン・考古学ミステリと、現在の中国の民族問題とを併せてサスペンス風物語に仕上げようとの欲張った意匠だったと思うが、何一つ成功していない。古代の「ウイグル-唐-倭」の関係という格好の題材があるのに、それを全く活かしていない駄作だと思った。 | ||||
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文学界の重鎮が書く考古学ロマンミステリーという感じでしょうか。『アトミック・ボックス』に続く第二弾という位置づけで、登場人物も多数被るようです。前作を未読でも本作は十分楽しめますが、前作の内容が少し語られますので、それが嫌な方は順番に読むことをお勧めします。 ウイグルと西日本を結ぶ鏡と、可敦という中国人女性研究者の正体の2つ謎がメインとなります。大化の改新後の勢力闘争や大陸との関わりが、前者の謎と絡み、もう一つの謎は中国の自治区独立運動という政治情勢に取り組んでいます。大きなテーマながら、エンターテインメント性を重視し、敢えて読みやすくサラリと書かれているとこは、上手いと思ってしまいます。 | ||||
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想像とは少し違った内容だったが、十分に面白い作品。映画化すればヒットするかも。 | ||||
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本書は、キトラ古墳にまつわる謎解きと、主人公の一人であるウイグル人の女性のバックグラウンドに関する謎解きが並行して走る構成になっており、かなり魅力的な設定だと思うのだが、前者の方は一応楽しめたが盛り上がりに欠けたし、後者に関しては中国のウイグル自治区の問題を軽く触ったという感じの浅薄な内容で、この程度かと正直がっかりした。 以前、松本清張氏の「火の路」という古代イラン文化が日本に与えた影響を題材にした作品を読んだが、題材の掘り下げ具合から、日本の学会への鋭い批判まで盛り込まれた社会性といった観点まで、本書と段違いの内容であった。マニアック過ぎて読みにくい部分はあるが、古代ロマンに興味のある方には一読をお勧めしたい。 | ||||
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エンターテイメントとして、いまひとつ面白くない。 わたしは池澤氏の熱心な読者ではありませんが、何冊か読んではいます。 それでおおざっぱな感想なのですが、 なんだか文体に色香がないんですよね。 だからなのか、登場人物が魅力に乏しい。 可敦さんなんて、辻原登氏が描けば、もっと魅力的なキャラになったと思うし、 脇役の行田だって、大沢在昌氏が描けばどんなふうだろうと考えちゃう。 ちょっと贅沢な不満ですが…。 二つの謎が絡みながら物語は進んでいきますが、それを物語の進行とともに 一緒に追っていく楽しみはありません。 考古学上の謎は、古代日本の物語を現代と並行させて描くことで読者には謎でなくなります。 それはまあいいのですが、 美汐が可敦に対して抱く疑念は、具体性に欠いていています。 いったい可敦のどういった点に不信感を抱き、その不信がどんなふうに膨らんでいったのか、 それを読者も一緒に体験するように描いてくれれば、 もっとスリリングな気分で読み進んで行けたような気がします。 | ||||
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「キトラ」という語にはなにか異国情緒を感じていたが、「北浦」が転じたという有力な説があるようだ。奈良のキトラ古墳。 最初に耳にしたのは小学校の授業で習う仁徳天皇陵といわれる前方後円墳。これら古墳の中はどうなっているのだろうか。誰の遺体があり、まわりにどのようなモノが置かれ、どのくらいの広さで、天井には何が描かれているのだろうか。考古学者やその周辺の人か、あるいは盗掘者でもない限り、直接見る機会はまずない。それ以外の者は、許可を得たカメラを通しての写真や映像に頼るしかない。 けれども、池澤夏樹は墓の入口に横たわる巨大な石を転がしてみせた。イエスが死後三日目に復活したときの天使のように。時間と空間の境を越えることによって。さらには、死と生の境を越えることによって。 文学とは越境することだ。読書もまた越境だ。ならば、ぼくたちも、思考と想像によって、古墳の中にお邪魔することは可能ではないか。盗掘などはしないけれども。 近畿。ウィグル。瀬戸内海。この三箇所から、千数百年前の同じ鏡、つまり、同じ型から生まれた鏡が出てきた。三枚の鏡の生家はどこで、その後そこを発ちそれぞれはどのような旅をして、この三箇所にいたったのだろうか。鏡もまた時空と生死を越える。 ならば、人はどうなのだろう。大阪・千里の国立民族学博物館の若いウィグル人女性研究員が、瀬戸内の神社の境内で何者かに拉致されかける。ウィグル人、漢人、日本人は、たがいに垣根を越えて、友となることはできないのだろうか。 池澤には「アトミック・ボックス」という前作があり、そこでは、若い女性社会学者が原爆開発という日本国家の秘密計画を知り、権力と闘うのだが、今回の作品にも、この社会学者が主役女性のすぐ脇役として登場したり、主役も国家の闇に苦しめられたりし、テーマが継続されていると言えよう。とうぜん、第三作が期待される。 | ||||
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「アトミック・ボックス」に引き続き、またまた池澤先生がエンターテインメント分野でやってくれました。今度はキトラ古墳の謎に迫る考古学ミステリー。中国国内での民族紛争の問題を絡めて、時間と世界を股にかけたスケールの大きな物語に仕上げられています。ウイグル出身の女性が主人公ですが、「アトミック・ボックス」の美汐や三次郎らも再度登場します。巨大な国家権力と一人の女性の対峙という図式は前作と共通するところがありますね。国際的視点や科学的視点などを織り交ぜた小説構成は、まさに池澤氏の本領発揮といったところでしょうか。 瀬戸内海を舞台に活劇が繰り広げられるあたり、谷崎潤一郎の「乱菊物語」も連想させますね(池澤氏の日本文学全集に取り上げられています)。文学界の大御所による一流の娯楽小説、ぜひご堪能ください。 | ||||
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「アトミック・ボックス」に続く設定の中で、今度は考古学をめぐる冒険物語になっています。池澤ファンなら心くすぐられますね。 ひとつの軸は、7世紀のウイグル~中国~日本にまたがって、最終的に壬申の乱にまつわる歴史上の人物たちが繰り広げる物語。歴史ロマンの要素も感じさせます。 そこに考古学や中国とウイグルの政治状況など、現代の物語がからまり盛り上がっていきます(現代の物語がメイン)。 もともとの知識の幅広さと深さがあるため、本を書くために付け焼刃の知識で書きあげた、という感じがありません。さすがですね。 欲張りなファンが気になるのは、シリーズの第3弾があるのかどうか・・・。 | ||||
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