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水中都市・デンドロカカリヤ
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水中都市・デンドロカカリヤの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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「闖入者(ちんにゅうしゃ)」が、読みごたえがある。 民主主義という戦後日本への「闖入者」への一考察が実に面白く、著者の社会的な事象への深い関心が窺われる。 ” これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、またこれからも過ちと悲哀にみちたこの世界中で試みられていくだろう。民主主義が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが ” ・・・この、ウインストン・チャーチルの言葉と共に味わうべき佳品と評し得よう。 | ||||
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知ってる人が居ないけど、好きな人は好き、レビューとかで本を選んでる人はたどり着かない本かも。 本を選ぶのは、表紙とかタイトルで直観購入するべきだ。 みんなデジタルに洗脳されてきているから気を付けて(笑) | ||||
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短編集です。 | ||||
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著者が20代後半の頃の作品を集めた短編集。同時期に有名な『壁』も発表されており、勢いの良さを感じる。 本書には「闖入者」「プルートーのわな」「鉄砲屋」など、侵略系の作品が多いことが気になった。ブラックユーモアを込めて強者の余裕とずる賢さの表現が非常に巧み。 | ||||
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この書名を長い間誤解していた。デンドロカカリヤという名の水中都市の話かと思っていた。 全然違う。二つの短編のタイトルだった。未読の人は同じ誤解をするのでは。私だけかな。 1949年から52年にかけての作品11篇を収録する。 新潮文庫は同時期の作品をまとめてくれるので、読書の助けになる。この時期は観念的な作品が多く、やや難解だ。 それでも気に入った作品がいくつかある。 『デンドロカカリヤ』はコモン君(普通の人という意味か)が観葉植物になってしまう。 不条理な運命にあらがえない無力感が広がる。 『水中都市』おやじは酔うと魚になる。今いるここは水中なのか。幻想小説の逸品。 『プルートーのわな』イソップ寓話の残酷な現代的変奏曲だ。 『鉄砲屋』馬の目島にやってきた外国人は、鉄砲を大量に売りつけた。雁もどきという鳥が大量に渡ってくるから、撃ち落とせば大儲けできるというのだが。必要もない武器を買わされ、経済が破綻する。言うまでもなくアメリカの対日政策のメタファーだ。驚くべきことに、現代でも状況は変わっていない。 | ||||
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期待を裏切らない安部ワールドです。短編なので、1つ読んで余韻を噛みしめながらだったので、長いこと楽しめました。 | ||||
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少し前から安部公房を何十年ぶりかに再読していて、やはりいいなと思います。 とんでもないところへ連れてゆかれるというか、持ってゆかれるという、この妙な不安感と、 それでいて、しっかりした文体で、比喩や表現が豊かで、言葉の運びが軽妙だから、つい笑ってしまう。 そして、原因と結果の積み合わせの結果で(言葉をかえるならば、ごくごく実存主義的なやり方で) いつのまにか、思いもよらない結末へと導かれてゆく、不安まじりのなんとも言えない快感が好きです。 さて、初期短編集だそうです。いろいろな雑誌に掲載されたものを収録したようです。 短編の作品も全体のプロットや緊張感が長編小説と同じくしっかりしていて、それでいて言葉が簡潔で小気味がいいです。 他のレビューアーも書かれていましたが、読んで一番に感じたのはメタモルフォーゼ(変身)です。 またイソップとか、プルートとか、ギリシャ・ローマ神話や古代西洋古典で見た名称があちらこちらにちりばめられています。 べつにそういう予備知識なしに、現代社会にあてはめて読んでも、遜色はないと思いますが、 こういったテーマの作品ばかりを一冊にまとめた人はえらいと思いました。 ときに難解と言われるようですが、私は好きです。 | ||||
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安部公房は、「完璧な嘘」の構築に命がけだったと言ってもいい。 だが、完璧な嘘など存在するのだろうか。 完璧な嘘をつくろうとする自分は、いったい何者なのか。 こういった逡巡の痕が、『水中都市』にも顔を出す。 主人公の同僚が描いた三枚の絵画。二人の勤務する工場が、水に沈んでいる。 絵画に導かれるように、水中都市と化す世界。主人公に突きつけられる不条理。 「なぜ、こんな目に会うんだ。」 「君が現実を愛しているからさ。」 なんとも印象的な会話である。 この短編集におさめられた作品は、多くが1964年に書かれている。 『砂の女』(1962)と『燃えつきた地図』(1967)執筆の、間隙にあたる。 個人的な意見にすぎないが、 嘘を、嘘として提出するという方法論が、最も強く押し出された時期の作品群ではないだろうか。 設計図がはっきりと見え過ぎる作品は、文学上級者には毛嫌いされる。 だが、嘘としての潔さに見え隠れする、文学的テーマの奥深さには驚嘆せざるを得ないのだ。 ぜひとも、偏見を捨て、読んでみてもらいたい。 公房先生をはじめて読む場合にも、この短編集はもってこいである。 いきなり『箱男』や『密会』を手に取るよりも、これがいい。 長編であれば、『第四間氷期』あたりがいいだろう。 | ||||
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読んだのは云十年前だけど、その時から気味悪い小品として記憶の片隅に あった。民主党政権下で「在日外国人参政権」が実現しようかという状況下、 国民全部が「闖入者」の主人公のような恐怖を味わうことになるかもしれな い。地域によっては、日本人が「多数決」で劣勢になる事態も有り得るから だ。 | ||||
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安部公房の短編集。 全体的に不条理なストーリーが多く、他の小説(「砂の女」や「箱男」など)と比べると結末にも救いがない。また、ストーリーの底に流れる貧しさ、政治的な風刺を伴ったユーモアが強いという特徴を持っている。 たとえば、「資本家」と「労働者」、「富めるもの」と「貧しいもの」、「支配者」と「被支配者」など。寓話を元にしたものもあれば、現実への批判を物語を通して行っているものもある。 ある日突然、一人暮らしの男の部屋にやってきた家族が、さも当然のごとく居座り、「民主主義」を標榜して、すべてを多数決で決めることを「民主的生活」と呼んで家の主を搾取する『闖入者』は、読んでいるだけでも激しいストレスを感じるような迫力がある。 非現実的な物語でありながらも風刺的、それでいてユーモアと文学性を兼ね備えている。他の長編小説と比べると政治的意図が濃いのも、これらの小説が書かれた時代と作者の意図がそこからにじみ出ていて面白い。 | ||||
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常に人間の存在の意義・曖昧さを問い掛ける作者の初期の短編集。作者特有の寓話性の高い作品が多いが、「メタモルフォセス=人間の存在の危うさの象徴」と捉えている印象を受けた。物語は寓話的なのに、登場人物の視線は舐めるように読者に絡み付く点は常の如く。 タイトル作「デンドロカカリヤ」は人間の植物化をかなり戯画的に扱ったものだし、「手」の主人公は鳩だが、軍用伝書鳩→手品用鳩→剥製→鳩の像→弾丸と変形を繰り返す。そして、変形は"必然"なのだ。「飢えた皮膚」は、飢えた男が有閑女を"皮膚が保護色になる"と脅かす話だが、最後の一頁で作品の解釈を転回させる秀作。二重の意味で変形を扱っている。「詩人の生涯」では、詩人の老母(39歳!)はジャケットに変形するが、極寒の中、息子の身体を包む。そして、詩集が完成すると...又しても二重の変形。そして、もう一つのタイトル作「水中都市」では、音信不通だった主人公の父が魚に変形し、街自身も水に覆われるという異形の世界が、ありふれた物語のように淡々と描かれる。 そんな中、「闖入者」は、主人公のアパートの部屋が突然見知らぬ大家族に乗っ取られるという不条理的冒頭から、民主主義の多数決と無関心が"個"を押し潰す様を戯画的に描いた、作者の作風を代表する秀作。「鉄砲屋」は無垢な島民を、自由主義が席巻する様を皮肉タップリに描いたもの。 「変形」をキーワードに、高度な小説技法で人間の存在の意義を問い掛けた傑作短編集。 | ||||
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~カフカと比較されることの多い安部公房。確かに日本人離れした発想、人間が植物へ、都市が水の中へ、そして世界が永遠の雪に閉ざされる。しかし明らかな社会批判が読み取れるメッセージ性の高い作品もあれば「飢えた皮膚」の様にまるで人を馬鹿にしたかのような肩すかしのエンディングも用意される。そして何より、「詩人の生涯」の静謐と叙情性。強烈なイメ~~ージと心底からのヒューマニズムを詩的なレベルで融合した、日本文学史上まれに見る名著にして、世界史的な名作とも申せましょう。~ | ||||
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ユニークな発想に基づき、実験的な方法で描かれた初期短編11編が収録されています。『水中都市』『デンドロカカリア』などは意味を探らずに、素直に楽しんで読んでください。ほかに『闖入者』等の民主主義を批判する作品など、面白い作品がたくさん収められています。 | ||||
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