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ティファニーで朝食を
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【この小説が収録されている参考書籍】
ティファニーで朝食をの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 41~54 3/3ページ
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「ティファニーで朝食を」は原作と映画がかなり異なるので、映画ファンの方は「えっ」と思われる作品だと思います。(逆に私は原作が先だったので、映画を見た時は「ええっ!」でした) 他に3編、龍口氏の翻訳と同じ作品が入っています。 龍口氏の訳を高校生の時から愛読していましたが、正直「うーん」と思っていました。翻訳された当時に「わかりやすいように」という工夫だとは思いますが"Champion"を「大関」など、世界観を損ねてしまうような言葉が次々出てきていました。 今回村上氏の訳でそういった点は改められ、戦中のニューヨークやハイチの雰囲気をきちんと出していたのがよかったと思います。 「クリスマスの思い出」も、龍口氏の「子供の視点からの語り口調」に馴染んでいたために、最初違和感を感じましたが、原文を優先して訳せばこうだよなあ、と思い直すきっかけになりました。 確かに「村上風」とでもいうのでしょうか、あっさりした文体や独特の言葉もありますが、完全に「村上春樹の文章」にはなっておらず、味わい深い仕上がりになっていると感じます。 | ||||
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夢の中を生きているいつまでも少女のままで時が止まった女性。ホリーはそんな女性だ。ホリーの家の表札にはトラヴェリングと何時も掛かっている。そんな個性的なというより少しお頭の弱いようにも思われる、どこかとらえどころの無いホリーは、女優の卵であるのにもかかわらず週一回刑務所に「空模様」を伝えにいくために出かけたり、軍人たちから法外なチップを貰い彼らは彼女の家へと押しかける…、そんな不可思議な謎に満ちている。そして主人公僕は彼女の上の階の高級マンションに住むようになって、彼女と出会う。 物語は何年も前に消息を絶った彼女に生き写しの木製の彫像を日本人のユニオシ氏が文明から遠いところにいて自然と共に暮らしているようなアフリカ人が持っていたのを目撃するところから始まる。僕は以前のマンションで行きつけだったホリーとの共通の親友であるバーのマスターからその話を聞き、彼女のことを回想するのだ。そこで彼女に振り回されながら、恋した日々を…。 物語としてはとてもコンセプトのはっきりした小説で、フィッツジェラルドのようなストーリーよりも描写の美しさを重視した小説とは異なっている。しかしホリーの天衣無縫さがとても愛らしく神々しささえ感じられる。扱っている宝石はどうでもよいがティファニーのようなところで過ごすことが出来たなら幸せだ、彼女は言う。ティファニーの落ち着いた佇まい。働く人間のセンスのよさ。牛革の財布やベルトの匂い…。それが彼女に人生の意味、生きがいを感じさせるのだ。しかしそのくせそこいら辺に転がっている彼女をシンデレラにしてくれるチャンスには目もくれようともしない。そして彼女はついにその機会を掴むことは出来ずに僕の前から姿を消すことになる。 彼女の相棒の猫とのお別れのシーンはほろっとさせられる。僕たちよりもかけがえの無い親友の彼に注がれたホリーの優しさは美しい。そんな猫氏はさておき、しかし男ならば読者として僕の立場に立てる僕らは喜ぶべきことなのかもしれない。天衣無縫の美女とのまさに特権的なトラヴェリングは想像力の豊かなカポーティによってしか実現し得ないだろう。実際にそんな体験が出来るなど望むべくも無い。この文明の世の中彼女のような天衣無縫な女性が生きていくにはアメリカのハリウッドはさぞ住みづらくなったことであろう。ホリーは今どこへとトラヴェリングをしているのであろうか…。 | ||||
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映画しか知らなかったので、読んでみた。 (恥ずかしながら) なんとも言えず原作の方が、淡く儚くて美しい。 旅に持って行こう。 何度でも、読み返したいと思った。 | ||||
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村上春樹訳ということで興味を持って読んでみた。主人公ホリーも物語も文体もすごくお洒落な、スタイリッシュな小説だった。もっともこのお洒落な文体がトルーマン・カポーティによるものなのか、村上春樹訳によるものなのか正直自分には分からないのだけれど、素敵なことに変わりはない。 他の方も書かれている通り、映画はまったく別物になっている。オードリー・ヘップバーン演ずる映画の主人公に原作のホリーが持つ自由奔放でありながらどこか寂しげな感じはないし、映画のジョージ・ペパードにも原作の「僕」が持つ振り回されっぱなしの華奢な感じはない。エンディングが異なれば物語も異なるわけで、どちらが良いという以前に、抱く感想は「まったく違うね」だった。 表題作に続く3つの短編の中では、切ないながら清々しさを残す『クリスマスの思い出』が良かった。 | ||||
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そうしか生きられない人間の痛切な物語。映画化に当たっての改作に最後まで異議を唱えたという原作者カポーティー。ラスト、消息を絶ったホリーの、彼女が望む本当のしあわせを思う。ハリウッド映画には描けなかった本物の自由。ホリーに幸運を。 | ||||
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内容ではなく、このシリーズのよさについての評価です。 ペーパーバックの紙の悪さと開きにくさを、気にする人ならこれがおすすめ、文庫本のサイズで読みやすく紙の質もよく、おまけに脚注も最後についているので参考になる。ルビがふってあったり対訳だったりいろいろなシリーズが各社からでているがこのシリーズがおすすめ。このシリーズで何冊か持っているが、変色もせず何度でも読める。昔買ったペーパーバックの ”日はまた昇る” なんか変色だけならまだしも紙がくずれて読めないので、このシリーズを見つけ購入しました。名作はこのシリーズがおすすめ在庫がないのが多いけど、講談社も、もう少しがんばってこれに力を入れてほしいですね。 | ||||
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村上春樹の日本語訳と比べるとなかなか面白い。特に筆者本人が書いている「あとがき」には、映画版の辛辣な批判があり、とても面白い | ||||
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中篇というには長く、長篇というには短めの「ティファニーで朝食を」。 ニューヨークで作家修行中の「ぼく」が出会った超個性的で不思議な美少女、ホリー。自由気ままに、奔放に生きるホリーの言動と行状を「ぼく」の観点から描写するだけでストーリーが成り立っている。 ホリーの心理描写はいっさいない。それを短篇ではなくかなり長い話として見事に成立させている。展開のメリハリの付け方は巧いとしか言いようがない。 ある意味、ファンタジーとも言える物語だが、アラバマもの/ニューヨークものという観点からするとちょうど中間に位置するだろう。「ぼく」の年もたぶん20代だし、ホリーは20歳直前くらいだ。だから、ニューヨークものの特徴である「得体の知れない不安、恐怖」も一瞬現れるだけだ。 《 いやったらしいアカに染まったときどうする? いちばんいいのはタクシーを拾ってティファニーに行くこと 》 だから、タイトルは意味がある。《 自分とものごとが一つになれる場所がティファニー 》とホリーは思っている。 同じ理由で、アラバマものにみられる子供の目を通したピュアな美しさは感じられない。本来のカポーティからすればどっちつかずで中途半端だが、洒落て洗練された上質の都会小説ではある。 「花盛りの家」。 カリブ海(と思う)の島の港町の娼婦。美人で客には人気があったのだが、初めて恋した若者と田舎に所帯を持ち、お姑さんのブードゥ祈祷師にいじめられて苦労する。そんなとき、昔の親友(娼館仲間)がやって来て町に戻るように説得するが・・・。 南国の明るい風景の中で、気だてのいい少女の心理が的確に描かれる。細かな仕掛けも効果的で、後味の良い小品。 「ダイヤモンドのギター」。 99年の刑に服している初老の囚人が新入りのラテン系の若者と仲良くなる。彼は模造ダイヤを散りばめたギターを弾き、この模範囚に娑婆を思い起こさせる。ある日、作業に出た二人は脱走を決行するのだが・・・。人生の空しさを強調する作品でとても読みやすいが、結末は盛り上がりに欠ける。 「クリスマスの思い出」。 本当に美しい、心の底にまで染み通る傑作。 クリスマスの準備にいそしむ少年(作者)とスック叔母さん(本当は年の離れた従姉妹)の会話を通して心の交流が的確に描かれ、それに素晴らしい自然描写が加わる。スック叔母さんの無垢な心が印象的。 | ||||
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『ミス サンデー ゴライトリー トラヴェリング』 作中で主人公が一瞬で魅了された一文は私も虜にしました。 美しい響きに、きっと読者の全てが心を奪われるでしょう。 そして、作品を読みをおわったあとに この言葉の持つ深さに打ちのめされることでしょう。 ミス ゴライトリーが 『なんだかよくわからないけれどもキラキラした何か。』 だったり、 『大人になって失ったもの』 だったりの象徴であるのだとすれば このトラヴェリング(旅行中)という言葉はとてもしっくりくるのです。 もしかしたら 帰ってくるかもしれない。(でも、帰ってこないかもしれない。) 帰ってくるとしても、それがいつだかはわからない。 もし、帰ってきてくれたならば一瞬は自分を夢見心地にしてくれるかもしれない。 戻ってきてほしいかもしれないし、今の自分には必要のないものかもしれない…。 そんな複雑な哀愁をこの一文は見事に表しているような気がします。 作品の最後の猫の下りは『故郷は遠くにあっておもうもの』を美しく表していると思います。 大人になっても失われることのなかった瑞々しい感性の表現が簡潔な、無駄の削ぎ落とされた文章であらわされています。 美しくて、ちょっと切なくて、なんとなくオシャレな作品だと思いました。 村上春樹さんの作品は苦手なのですが、訳は とても瑞々しくて、素晴らしいと感じました。 映画のオードリーとは違う魅了が小説の中のホリーにはあります。 谷崎潤一郎の『痴人の愛』の中のナオミのような、捉えどころのない胡散臭くて瑞々しい愛しさに溢れています。 いつの時代でも新鮮さを感じられる数少ない小説の一つだと感じました。 | ||||
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村上春樹の手による新訳版が出ているそうだが、どういう訳か旧訳版が家にあったので、そちらに手を出してみた。 「ティファニーで朝食を」 「わが家は花ざかり」 「ダイヤのギター」 「クリスマスの思い出」 の四篇に龍口直太郎氏の解説が添えられた作品集である。 翻訳体はたしかに今どきの文章と比べれば古かったが、読みづらく感じるほどではなかった。 個人的にもっと読みづらくてタイクツな日本人作家の文章を読んだことがあった為かもしれない。 「ティファニーで朝食を」は、若い女優:ホリー・ゴライトリーをある作家志望の青年の目線から描いた作品。 ホリーの能動的かつ自由奔放な姿勢がなにより素晴しい。 こう言ってはカポーティファンに悪いかもしれないが、「ノルウェイの森」の緑の性格の元ネタとなったことは間違いないと思う。 実在の固有名詞がたくさん散りばめてあるのも大きな特徴で、たとえば本書に出てくる語学学校のベルリッツは今は日本でも有名である。 強いてケチをつけると、語り手の青年の妙なボンクラ臭い雰囲気だろうか。 終始受動的で全てを他人事のように語る彼が、自作をとやかく言った女に対して手を上げるところには小さな違和感を覚えた。 「わが家は花ざかり」はドミニカで娼婦として生活しているハイチ人女性の話。 これは純粋に意味が分からなかった。山家生まれだから山家生まれのボンクラ男に惹かれる?エー。 「ダイヤのギター」は収監された老人と少年の交流を描いた作品、 「クリスマスの思い出」は、とある少年と信じ難いほど年の離れた従姉の交流を描いた作品である。 | ||||
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オードリーの発音の綺麗なことに驚き! 真似てみたくても、聞き取れないと不可能なので、本があると理解でき助かっています。本当の英語に親しめた感じです。 | ||||
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言わずと知れたカポーティの代表作。 ヘプバーン主演で映画化もされていますし、 村上春樹による新訳も発売されていますので、 内容の良し悪しに関しては書きません。 読みやすさ・携帯性に関しては文句ありません。 文庫サイズですし、薄いので気軽に持ち運べます。 ただ、彼独特なのか、言い回しが難しく、 巻末のセンテンスの訳を度々見る必要があります。 そういう意味で読むの時間がかかる本だと思いました。 しかしこの本の一番の魅力はジャケットでしょう。 このヴァージョンのものに限定されてしまいますが、 ヘプバーンを意識しつつもホリー・ゴライトリーです。 僕はジャケ買いでした。 | ||||
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カポーティのキャリアを見た時に中期に当たるのでしょうか。作品数がそんなに多くなく、ひとつひとつに粒が揃っている作品を残したカポーティにしては比較的軽めで、瀟洒な感じにまとめられた一冊です。ヘップバーンの主演の映画やそれにまつわる話題の影響かもしれませんが、この作品の成立には、この作者の他の作品に見られるような、作者に内在するものだけではなく、外的な要因もあるような気もします。それに、海外の名作と言われる作品の多くが改訳される昨今の状況から考えて、本書なんかもぜひ俎上に載せてもらいたい作品です。 | ||||
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最初の1〜2ページを読んだだけでこの作品の素晴らしさがわかりました。とにかくこの物語の中の人々は実際に生きていたんじゃないかと思うほど、顔かたちから、髪の揺れ具合までクッキリと浮かび上がってきます。ただただ、カポーティの才能に驚くばかり。ややシニカルに、ほとんどは淡々と、語り手の目線から主人公ホリーを描写する手法ですが、いとも簡単に僕の心は弄ばされてしまいました。本来のハードボイルドの姿なんでしょうね。 もともと苦手な英語を独学ではじめて5年、ラジオ英会話だけの勉強方法ですが、語彙的にはまったく心配なし。ルビが多すぎると感じたくらいでしたヨ。 | ||||
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