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ロジャー・マーガトロイドのしわざ
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ロジャー・マーガトロイドのしわざの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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発表当時に物議を起こしたアクロイド殺害事件のパロディーでしょう。 でも、それなりに本格の薫りがして私の好みに合った作品でした。 | ||||
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ほぼ同じトリックを使った日本作家によるミステリーが1992年に刊行されています。「閉ざされた雪の山荘」という設定まで同じです。恐らくアデアはその作品を参考にしたのでしょうが、換骨奪胎が不充分のように思えます。チェーホフの『狩場の悲劇』とクリスチィの『アクロイド殺し』の間にある画期的な飛躍が全く感じられません。真相が明らかになった瞬間の衝撃度も我が国の先行作品に比べて圧倒的に弱く、心寂しさだけが残りました。 | ||||
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推理小説的にどうかって言うと、レビュー書いてる他の人達の指摘が、大体その通りです。 なかなか面白い側面とおバカな側面が入りまじってる感じで、まあ推理小説なんてレベルは様々でピンキリですし、これはとりあえず普通のレベルすね。 そもそもギルバート・アデアって、ロジックだのトリックだのって理屈で勝負できる作家じゃないでしょうし、せいぜいトリックはそこそこ、ロジックはダメってタイプの人だと思います (この人が本気で論理に関心持つとは、到底思えないですもんね)。 だから、『閉じた本』で展開したような、そういう足りない面を補うブラックユーモアでも爆発しない限りは、平凡な推理小説しか書けないのはミエミエなんで、ブラックユーモアにだけ期待して読みました。 でも、閉じた本に比べるとびみょーでした。まあ、「普通の推理小説書いても、そういう下品な黒い笑いはちゃーんと書くわけね」と、ちょっと思ってニンマリする程度です。 ストーリーも、平凡な面白さに過ぎないって感じすね。まあまあ楽しめるとは思いますけど。 推理と言いストーリーと言い、全てにおいて凡作って意味で、☆3。 | ||||
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1935年、ある屋敷が雪で閉ざされ、殺人が発生、元警部が捜査を始め・・・というストーリーの推理小説。 あのポストモダン評論家のアデアが本格推理小説?というので若干驚きつつ、若干期待して本書を手に取りましたが、私の場合期待が高すぎたようです。解説の若島教授の指摘を参照すると所々本格推理小説へのオマージュやパスティーシュになっていて凝りに凝った作品だというのは納得できますが、余計な情報を取っ払って純粋に推理小説として読んだ場合、単に殺人が起こって、やがて大団円に向かうでけで、読者を驚かす仕掛けのような物がなく、暇潰しにはちょうど良かったですが、少々食い足りない感じを受けました。同じような著作にニコルスン「装飾庭園殺人事件」やマコーマック「ミステリウム」がやはりミステリの体裁をしたメタフィクション風の小説として面白かったので、アデアにも似たような現代性の期待をかけてしまい、それでこういう読後感になりました。一寸、眼高手低に思いましたが他の方はどうでしょうか。 まぁ普通の本格推理小説を読む気で読めばそれなりに楽しいでしょうが、私はちょっと・・・という作品でした。再読するかどうか、人に勧めたくなるかどうかは微妙です。 | ||||
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閉ざされた《雪の山荘》で起きた密室殺人――というベタベタな設定で、黄金期の 本格ミステリのパロディをやりつつ、同時に、周到な騙りの詐術も施している本作。 本作の大半が、殺人の動機を探るために関係者全員の前で行われる元警部の尋問 ――関係者それぞれの過去の秘密についての告白――で占められているのは×× と同じパターンの騙りを成り立たせるために要請された、必然的な構成だといえます。 一方、密室トリックは●●も吃驚! なトホホな代物で、しかも読者 には、事前に手がかりを示さないという確信犯的なアンフェアを断行w ただその代わり、読者には、前述した騙りがメタレベルの 手がかりにもなっていることを見逃してはならないでしょう。 探偵役と読者、それぞれに別の手がかりが用意されているというわけです。 ある意味では、日本の新本格作品を思わせるメタ趣向&パロディなのですが、 海外作家ということで、おのずと味わいに違いがあるのが興味深かったです。 | ||||
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2006年刊行の作品だが、ミステリ黄金時代へのオマージュの香りが濃厚。クリスマスの夜、閉ざされた雪の山荘で起こる密室殺人。被害者レイはゴシップ記者で、家人や招待客の醜聞を握っていた嫌われ者。招待客の一人である女流ミステリ作家イヴァドニは盛んにカーの名前を口に出す。そして、探偵役は近所に住む元スコットランド・ヤード警部。道具立ては揃っているが、重厚感や怪異性と言うよりも軽妙洒脱を狙った書き振りである。 山荘の主人ロジャー・フォークスの娘セリーナはレイに想いを寄せた事があり、招待客も女優、牧師夫妻、医師夫妻、セリーナの恋人のアメリカ青年、と多彩。各自が持つ古傷も絡んだ複雑な人間関係が予想される。そして全員の尋問の前、ロジャーが元警部に自分の姓が偽名である事を告白する。題名と合わせると、これって大胆なミスリード ? 何れにせよトボケタ味わい。尋問後、各自の醜聞と恐喝屋としてのレイの卑劣さが明るみに出る。だが、密室事件なのに、現場検証や犯行方法の検討シーンが出て来ないのは何故か ? 物語に緊迫感が感じられない。不自然な進行であり、"ミステリとしてのリアリティ"に欠けている。そしてロジャーが荒天の庭で銃撃され、重傷を負う。そして、ミステリ黄金時代を彷彿させるように、最後は関係者全員を集めてイヴァドニによる推理の披露...。 これを意外な犯人とか、工夫した密室構成と呼ぶのだろうか ? 最初から現場検証していれば、10頁で終ってしまう内容である。パスティーシュである事は理解できるが、ミステリとしての出来が悪ければ意味がない。狙いが空回りした残念な作品。 | ||||
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Gilbert Adairの『The Act of Roger Murgatroyd』(2006年)の翻訳。 だいたいタイトルから分かるとおり、『アクロイド殺し』をモチーフにしたミステリである。と思うと、いきなり乱歩っぽさが出てきたりして、びっくりさせられる。 アガサ・クリスティーの全長編66冊を読破してから書き始めたということで、密室、雪で通信も交通も断たれた屋敷、元名探偵、いずれも一癖ありそうな登場人物たちと、舞台だてはいかにも。小ネタも多い。 そこに、半分はパロディ的な解決が接合されている。試みとしては充分に面白いものだと思う。ただ、ミステリとして評価するといわれれば、答えはノーだろう。いま、これをやることの意味が分からないし、小説としての面白さもいまいち。 また、翻訳が良くない。 | ||||
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ポストモダニズムの才人アデアが、真っ向勝負で本格推理小説に挑戦した超意欲作です。ポケミスの帯には‘ミステリの枠を打ち破る超ミステリ’と書かれています。この文句は確かに当っている所も無くはありませんが、例えば超自然的な存在が出て来る可能性を連想させる意味で誤解を招きますので、やや不適当だと思います。実際はオーソドックスな正統派のパズラーで、作者はアガサ・クリスティー女史の全長編作品を読み返して研究し、ミステリの女王としての新作を書く意気込みで取り組まれました。とは言っても真面目なだけでなく、軽妙な遊びの部分もたっぷりと含まれています。本書の原題は名作「アクロイド殺し」のアナグラムになっていますし、作中に人気女流推理作家を登場させてクリスティー女史をライバル視させたり、登場人物の名をドナルド・ダックワースという名にしたりと、思わずにやりとさせられます。それから本書の最大の特徴は、「オリエント急行の殺人」や「そして誰もいなくなった」に見られる女史得意の‘複数動機を持つ容疑者’の趣向に挑んでいる事で、勿論そのままでは駄目ですので、そこをどう料理するのかが作者の腕の見せ所ですが、結果は見事に課題をクリアしています。その他、吹雪に閉ざされた邸、密室殺人、容疑者全員を集めての謎の解明、と本格派ミステリー・ファン垂涎のストーリーが凝縮されています。物語の舞台を1930年代のイギリスに置いて黄金期の推理小説の雰囲気を現代に甦らせる事に成功しており、作者の健闘努力は充分に讃えて良いと思います。唯、惜しい事に先達の残した偉大な作品と比べるとやや見劣りはします。トリックは驚天動地とは行きませんし、愛憎ドラマの小説としてのコクが今一歩という所です。大傑作とは云えませんが、大いに楽しめる秀作である事には間違いありません。尚、通の方は最後の方で乱歩とドイルを思い出されるでしょう。 | ||||
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