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(短編集)
蛇行する月
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蛇行する月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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桜木紫乃さんの本です。この作家さんの本ははじめてですね。 最初、名前が「紫乃」とか、バブル臭のする80年代ふうのヤンキーっぽい香りのする名前でしたので、奥付にある経歴をみたら、1965年生まれですね。 なんとなく「あー、そういう世代かぁ」という臭いを感じるんですが、 意外と良い作品だったと思います。やはり、人を字面で判断したらあかんね。 1984年から2009年までの物語で、 それぞれ同級生たちの一人称で話がすすんでいく感じですね。 微妙にそれぞれがリンクしていて、一つの物語を形作る、というタイプの物語形式です。 主人公たちは、多くが北海道に住んでいるのですが、どれもが生活が苦しい感じです。 そういうなかで、物語が展開していくのですが、 すごく違和感があったのが二点。 一点目は、1984年の物語の、清美の話なんですが、この当時、不動産関係でバブル時代だったわけで、イケイケの好景気で、職業はたくさんあった気がするんですが、 清美は劣悪な職業環境で、若いのに就職できねー、みたいな話なんですけど、 これって、時代がなんか90年代以後、バブル後の感覚のように思えました。 時代の齟齬があるように感じないではないです。 あるいは、北海道という地方だから、バブルの時代でも不景気だったかも、と思わないでもないですが、 でも、それにしても、あのバブル時代に、こんなことってあったかいなぁ。 まあ、こういう人は、いつの時代でもいるんでしょうけど。 二点目は、手紙の書き方が一律なんですよね。そこが違和感があります。 手紙って、人によっては、「拝啓」とか、バチッと文語体でキメる場合もありうるのに、 みんな同じような書き方の手紙ばかりなんですよね。 だから、リアリティがないというか。 つか、北海道では、手紙の書き方も教育してねえのかよ、とか思っちゃいましてね。 一人くらい「拝啓 春暖の候いかがお過ごしでしょうか」みたいにバキッときめた手紙を書くヤツくらい、いてもいいように思えます。 とはいえ、各人のキャラや生き方、考え方がよく描かれていて、それが各章でコントラストを形作っていて、面白かったですね。 最後、角膜ネタのところ、185㌻あたりは、うるっときてしまいました。 人々は、みんな、一生懸命に生きているんだなぁ、と、人間のはかなさと愛おしさを感じさせる小説でした。 | ||||
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桜木紫乃女史は著名な直木賞作家なので、一度読んでみたいと思っていたのですが、何故か今までチャンスがありませんでした。 この人は不器用でも一生懸命生きている女性を本当にうまく切り取る人だなぁ、という印象を受けました。本作は高校の同級生のグループを中心とした女性達の生き様を赤裸々に語っているのですが、見事なまでに表裏を描き切っていると思います。代官山蔦屋書店の文学担当の間室道子さんと言う方が解説の中で面白いことをおっしゃっています。 男性を中心にした小説は目的を同じくした時に登場人物の男性達はグループになり、友情→裏切り→和解→団結と話は進むのに対し、女性のグループ小説はぐちゃぐちゃで、陰口を言いながらも一緒にいることを望み、同じ目的に向かう時も思いはバラバラ、友情と裏切りと団結が常時混沌としている。(あくまで、こういうのが小説のネタになるという話で、現実もそうだとは自分は考えておりませんので、悪しからず・・・。) まさに、本作はその後段的な作品だと思います。 「清美」、「桃子」、「美菜恵」、「直子」、順子はかつて道立湿原高校の図書部に所属した同級生。現在は、「清美」は酌からコンパニオンもどきまでさせられる場末の宴会ホテルの営業職。「桃子」はカーフェリーの乗務員で不倫中。「美菜恵」は学校の教師で嘗ての担任と結婚予定。順子は和菓子屋に勤務したものの、その店の女主人の夫である20歳近く年上の餡練り職人との間に不義の子ができてしまい駆け落ち。 彼女達に加え、順子の母の「静江」。駆け落ちされた女主人の「弥生」。彼女達「6名」が、それぞれ年代を追って、順子との関係を通し、各自の人生を語ります。 人生とは何なのか?男とはなんなのか?幸せとはなんなのか? 決して明るい内容ではありませんが、読了後、一筋の光が見えるような、そんな作品でした。 そのうち女史の代表作、「雪虫」と「ラブレス」「ホテルローヤル」あたりも読んでみたいと思います。 でも題名は何故、蛇行する川じゃないんですかね・・・?月イコール女性ってことなのでしょうか? | ||||
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評価が高かったので期待して読んだのですが、あまりに世界観が自分からはかけ離れていたため、うまく理解できませんでした。皆さまほど作品の良さが分からず、順子という登場人物のあまりの悲惨さに心がふさぎました。実際にこのような状況で幸せと感じられる女性が存在するのだろうか・・・。 | ||||
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ありがちな感じの構成ですが、楽しみました。好みから言えば、1、2編に顕著に漂う「部屋着スリップ感(←「キャミ」ではダメ。深い意味はないです。イメージ的な個人用語です)」は余り好みませんがw 多少引っ掛かったトコが「しゃべらない子」の病が「眼病」だという部分でした。もうてっきり脳障害だとばかり思い込んで読み進んでたんで「角膜」で治る病ってトコで「へ?」って感じがしてしまいました。 順子は「息子の手術成功を見る」のは意識が向かないんじゃなくて、「無理な事は選択肢に含まない」人なんだと思った。だから「しあわせ」でいられるんだろうと。息子が治ればそれで良いんであって。自分が動けなくなる前に、息子の手術手配しっかりしておきなよ、と声を掛けたくなった。 | ||||
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