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たんぽぽのお酒
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たんぽぽのお酒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「何かが道をやってくる」(以下「何かが〜」)に関して”NYC’s no lark”様がレビューを寄せられており、「原作は星5つ、翻訳は星1つで、総合評価3」と評価されています。全く同感。 翻って、この「たんぽぽのお酒」、訳書のカバー(旧版)には、『特に若い世代のために書き下ろされた』とのコメントが付されていますが、まずは、本国である米国を始めとして、「本作を、そのように位置付けている国は、日本以外には無い」ということを、指摘申し上げたいと思います(勿論、ブラッドベリ先生ご自身も、そんなつもりで執筆されたのではありません)。 我が国では、出版以来、米国で謂う処の、いわゆる「 ”young adult” 向け」の本 (我が国の風習に照らして喩えるならば、「文部科学省推薦図書」)の如き位置付けをされ、翻訳者の方も、出版社の企図に沿ってでしょうか、「子供向け」の文体で統一し、訳出されておりますが、原典から入った人間(或いは、将来的に、原典から本作に触れる方々)にとって、これ程、違和感のある翻訳はありません。 冒頭に「何かが〜」を引き合いに出しましたのは、以下のようなことを申し上げたかったからです。 即ち、 (1)「何かが〜」と本作(原典)を比べた場合、筆致、文体、表現、全てに於いて、全く「高低」や意図(「子供向けに平易にした」)は認められない。 それどころか、60年代に執筆された「何かが〜」より、1957年の発表である本書(原典)は、更に瑞々しい(+大人が「文学」として鑑賞するに足る)筆致で書かれている。 であるならば、「何かが〜」が「大人向け」の日本語で書かれ、本作が「子供語」で書かれる理由は全く無い。 (2)「たんぽぽ」は、いみじくも原典初版のカバーに印字されているように、(加えて、ブラッドベリ先生が、『「SF作家」という枠に嵌めるな』、と主張するかのように)”A NOVEL”であって、「少年少女向けに易しく書き下ろしたjuvenile」では、決してない。 以上、「何かが〜」の誤訳・不適切訳だらけの訳本とは若干趣を異にしますが、「本書が、我が国で初版の出た1970年代以降、極めて歪められた形で、日本の読者に伝えられ続けている」ことは、否めない事実です。 ⇒因みに、「少年が主人公ならジュヴナイルである」、或いは「『少年の感性』を語っていればジュヴナイルである」、と言うのであれば、例えばヘルマン・ヘッセの「車輪の下」も、「特に若い世代のために書き下ろされた」ことになってしまいませんか(笑)? 以上のことは当然、本作の続編である「さよなら僕の夏」(”Farewell Summer”)についても全く同様なのですが、ブラッドベリ先生のご訃報に接し、「日本に於いて、真価を問われる機会の無いまま」亡くなってしまった先生への哀悼の意を捧げつつ、投稿させて頂きました。 是非、原典をお読みになり、「レイ・ブラッドベリ」という、不世出の作家の「真価」を堪能されることを、お勧めする次第です。 | ||||
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