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ムーンナイト・ダイバー



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【この小説が収録されている参考書籍】
ムーンナイト・ダイバー

ムーンナイト・ダイバーの評価: 4.31/5点 レビュー 26件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.31pt


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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 21~21 2/2ページ
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No.1:
(5pt)

筆者の優しさが詰まった小説

天童さんの3年ぶりの小説です。

私は天童さんの小説を好む理由の一つとして、
人が持つ言葉で表せない弱い心の部分、

それを安い売り物にせずに
真摯に書いてくれるところです。

言葉で表すことが出来ないから
それを行為で代償し物語にする。

包帯クラブでは、
心の傷を受けた場所を包帯で巻き、

悼む人では、
突然の死を迎えた人々に
ただただ祈りつづける。

ムーンナイト・ダイバーでは、
天災という憎むべき相手がいないものに
対しての
憤り、やるせなさ、無力感を
潜るという行為によって

必死に何かを変えようとします。

また、遺品を待つ遺族も、
行方不明者の遺品が出てくれば、
死の事実を受け入れなければ
ならない面もあり、ジレンマを抱いています。

物語が進むにつれ主人公は。

心は、暗い海に潜り、
死に近づいていくが、

それに反比例するかのように
体は、生を強く求めます。

それに対して、疚しさを感じながらも、
様々な人と関わり、潜り続けていきます。

やがて、自分が潜る理由がわかり、
前向きに生きようとします。

最後は暗闇に妙光が指したような、
穏やかなハッピーエンドだと感じました。

そんな内容の小説ですが、
正直、私自身主人公に共感できる部分は
少ないなぁと感じました。

私は生に対しての罪の意識は
偽善としか思えないわけです。

その様な生死に関わる体験をしていないから。

体験をしていないのに、罪の意識を抱くのは
生を差し出していただいてる動植物に
対しての冒涜でもありますし、只の自己陶酔だと思います。

結局、腹が減ったらメシ食うし、新陳代謝は止まらないし、
肉体は生を求める。

現実に体験した視点を持たない者が、
そういうことを言ったり、考えて悶々するのは
単にその狭間で葛藤することでナルシシズムに陥って、
気持ちよくなっているだけと思います。
(言い過ぎたかなぁ・・)

だから私はあまり共感できませんでした。

でも、苦しみを抱えた主人公が
死と隣合わせで潜り続け、様々な人との関わりにより、
立ち直っていく姿には勇気を貰いましたし、感動もしました。

また、こういう天災の悲劇を描く作品には
その悲惨さをセンセーショナルに伝えるため、
水死体などをリアルに描こうとするものもありますが、
この小説にはそういう描写が無く、

死者に対して、配慮を大事にした
作者にとても好感が持てました。

難しいテーマの小説でしたが、
読んで良かったと思う本でした。
ムーンナイト・ダイバーAmazon書評・レビュー:ムーンナイト・ダイバーより
4163903925

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