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バラカ
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バラカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 41~51 3/3ページ
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桐野夏生の本を出版したその時に読めるのが幸せだと思っている。それぐらい彼女の本は同時代に生きる人々への問題提起にもなっており、いつもリアルタイム、いやいやそんなことはあり得ないでしょう、と誰も否定できない。はたしてこの内容にしてもしかり、同時代を共有できる喜びなんて暢気なことを言っていられるか、と読みながら背筋が寒くなる。フィクションとノンフィクションの境目を超え、ありえないと思いつつ、読者の心の奥底まで踏み込んでくる小説の役目は充分に果たしているだろう。読み終えたままでは終われない。じゃあどうする、という重い宿題も背負わされて、まだ現実味をまともに受け止めきれないが、外国人が読んだら、すんなりああ、今の日本はこうなのね、と理解してしまうのではないだろうか、そんなことを考えていたら、もしかして桐野さん、ブッカー賞あたりを狙ってる?と思ったりもした。いよいよそのあたり? | ||||
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ひとりの女の子をめぐる、 しかしあらゆる故郷を失った人々の、 すでに今日どこかで起こっている、 もう明日起こるかもしれない 物語です。 ここに悪人はいない。 川島ですらただの手先に過ぎない。 彼は堕天使。 悪と闘うためには エゴを捨てた彼方にあるのだと思う。 勇気をいただきました。 バラカを待っててはいけない。 | ||||
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これが、現在私たちが生きているこの国のありようなのだ、と思った。私は、「バラカ」に手を差し伸べられるだろうか。そんなに強くなれるだろうか。 | ||||
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怒りに満ちた圧倒的な作品だ。桐野夏生の怒りは、どんなに巧妙に隠された悪意も見逃さない。 そしてその怒りの切先は、現代の日本だ。 物語は中東のドバイのショッピングモールにあるスーク(市場)で、品物の様に売られていた 一歳半の少女の話だ。その少女を、日本人の独身女性が、自分の生き方に必要だからといってブラ ンドのバックを買うように買う。そして、帰国した日本で大震災に遭う。原子力発電所四基がメル トダウンし、東京も含め東日本が住めなくなる。地獄だ。そこからサバイバルが始まる。 第二次大戦以降の大きな繁栄とともに、平成の日本人達はより個人主義的、利己的になり、欲望 に歯止めがかからない。その傲慢さや奢り、悪意が「澱」のように社会に溜まる。その悪意の「澱」 が「災い」をもたらす。 作者は、小説の登場人物達を通し、人々の渇望感の裏にある「悪意」を何度も何度も問いただす。 そして、その「悪意」の根源に果敢に迫る。現在の現実の政治的状況の「悪意」も例外ではない。 何という志の高い、力業であろうか!そして、難しい題材を高度なエンターテイメントとしても成立 させている。素晴らしい。 桐野夏生は大きく変わったと思う。何故なら、この作品で日本の行く末を見届けようとしている。 「バラカ」は私たち日本人にとって重要な「警世の書」だ。 | ||||
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おもしろい。通勤電車の読書が待ち遠しくなる程。福島原発の事故をきっかけに、大きく変わる日本。そこに信頼・友情などはない。事故を隠そうとする政府に、目障りだったバラカ。そんな日本で?幼いバラカを襲う危機を、毎回ハラハラどきどきで楽しんだ。いろいろな人間ドラマが、バラカを囲んで1つにつ結びつく。少し分厚い本で読破には時間がかかるが、読み始めるとあっという間である。 | ||||
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この本は小説なのだが、そう思わせない側面も持つ。 あの震災が素材になっていることは言うまでもないが、 この作家の想像力は並ではない。 震災前から物語は始まるが、 物語では震災のために原発4基がすべて爆発する。 そこへ人身売買、外国人差別、児童虐待などのダークな問題が これでもかと「バラカ」を襲う。 それはもしかしたら、「あり得たかもしれない」日本の未来である。 桐野夏生らしく、いわゆる「爽やかさ」はない小説だが、 そもそもこのテーマの物語に「癒やし」などを求めるべきではないだろう。 桐野夏生の真骨頂の一冊。 | ||||
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バラカをドバイで買い、東京で捨て、閖上に移り、その日に津波に流された大手出版社編集の沙羅。悪魔になった川島の不気味。バウロの手からすり抜け、床に転がる、義眼。 登場人物のほとんどが死を迎え、裏切り、悪意で動く。死と、悲しみと、絶望は、背景にも塗り込められる。たとえば、津波の中、流される軽の中から叫ぶ幼い女の子のことだ。声は聞こえないない。沙羅からの距離は遠い。表情も見えない。しかし、母親と味わった絶望はいかばかりか。フクシマの毒の塔。雑草が覆う世田谷の住宅地。 暗闇を抜けたいと最後まで一気に読んでも、そこに、突き抜けた明かるさはない。私たちの住む世界の絶望性を自覚させられる しかし、困難の中心にいるバラカに、甲状腺癌の手術の傷が首筋にあるが、仄かな光がある。SNSのメッセージが外界の僅かな空気を伝える。30年後、出獄した健太との間に子どもが生まれている。 仄かな光、空気、物音、そうしたものの救いへの感受性を高めるためにも、私たちは状況の絶望性を知るべきであり、桐野のストーリーは私たちを鍛える。 | ||||
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物語は震災前から始められる。次々とバラカを襲ってくる困難は、大震災や原発事故が増幅したかも知れないが、それ以前から社会のあちこちで蓄積し、吹き出していた狂気や病理の延長にある。 だからバラカを怖じかせ、追い詰め、むごく苦しめるのは、直接には各登場人物たちで、それぞれにその病理や狂気の具現者であるが、そういう人々で構成されているという、幼いバラカにとってあまりに過酷な世界は、震災も原発事故も覆い隠しながら築かれていく実は壮大な虚構である。 しかし、小説自体が虚構と承知しつつ、「フクイチ」から60㎞地点に暮らし、3.11を迎え、汚染後も子供とともにとどまり暮らしている者にとって、本作を通した既視感は強烈である。それだけに、この現実世界が、本作が描く以上の欺瞞や悪意によって塗りたくられた虚構であると再認識せざるを得ない。原発再稼働やオリンピック招致などはまさにその虚構を飾るにふさわしい。 諦観しているのではない。バラカが痛ましい。代わって守ってやりたい思いが衝き上げる。こういう種類の感情も、虚構に押し潰されないためには必要だ。 事故後数ヶ月間の離ればなれに親子ともども耐えかね、フクシマでの暮らしを選択した際、娘の将来の結婚や出産を悲観したことを思い出す。その娘も中学生になって年頃なりの気難しさを見せているものの、無論、まだまだ親が必要だ。 なのにバラカの力にはなってやれない。もどかしさに息が苦しくなりながら読んだ。 | ||||
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「OUT」から18年、主婦から大作家に変態を遂げた桐野夏生。ずっと期待し続けて新作を読んでいる。が、色々、分野を拡大している試みは理解できるし、それなりの成果を上げているのは認める。グロテスク、ダークの系統の世界を描いた作品に比べると物足りない観が残る。「バラカ」は違う」。 前半、震災、原発、そして「結婚はしたくないけど子供は育てたい」という女性に翻弄される幼児のバラカ。40歳過ぎのキャリア女性がそう考えたとしても不思議ではないが、それを利用した川島と言う男の所業は残酷であるが、きちんとその背景が描かれているので、引き込まれてしまう。 原発爆発後は桐野SFワールドの展開であるが、リアルではあるが、陳腐であると言えば言い過ぎかも知れないが、今ひとつであったのが残念。 | ||||
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桐野夏生おそろし! ここまで書くのか。 次から次と展開がすごすぎて、とにかく、おどろかされた。 読みはじめたら、一息。 ほんとにこわい物語だった。 新興宗教、原発問題、震災、人身売買、外国人差別、DV,児童虐待などなど、あとからあとからおそろしい問題が提起される。 人の善意だったり、大人の思惑であったり 改めて考えさせられた。 本音で人と相対できる人は幸せなのかも。 こんな恐ろしい日本にはなってほしくない。 日本人の潜在的にもつ負の部分を描くことにかけては、この作家は今一番なんじゃないんだろうか。 桐野夏生さんには、本が出るたびに驚かされる。 H28.3.7産経新聞朝刊にちょうど、桐野さんが「バラカ」について語った記事が載っていたので、読める人はぜひ読んでみてください。 | ||||
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バラカ自体に、桐野さんの作品の「優しいおとな」みたいな、孤児だったり、「夜のまた~~~~~] も両親がいない、桐野さん的な、今の欧州の難民問題、もちろん、この書籍には震災や原発等の国内の抱える問題が山積みで、、、 そこに宗教だったり、陰と陽だったり、人間の内面の悪魔的な部分だったり・・・ もちろん人間には楽しい事やたとえ建前であってもポジティブに生きたい気持ちを持ち続ける、たい!と思う。 桐野さんの作品は、やはりとことん暗さを、キツイ文体でストイックに突き進んでいますね。 そしてそれが読み手にどう響くかは、人の心心。 表紙のインパクトはでかい。 今、現代社会、 顔は笑顔でも、精神はこんな表情の人多いのかもね。。。 ネットで会話して、絵文字で感情表現するからね。 まっ、とにもかくにもこういう小説、活字、等で本をよみ、自分自身で考える、 とても大事だと思う。 | ||||
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