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赤と白
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赤と白の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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レビューの評価も高く、装丁にも惹かれて購入してみました。 北国で暮らす少女たち。 すれ違っていく想いと鬱積する瘴気がだんだんと爆発してく様子が 安定した筆致で丁寧に描けています。 冒頭の新聞記事が常に念頭にあり、どのような過程で 新聞記事の事件へと至ったのか、どんな爆弾を作者仕組んでいるのかと 考え、期待をしながら読むとページ捲る手が止まりません。 引き込まれながれスラスラと読めました。 正直、最終的な驚きは期待するほどの衝撃はありませんでした。 それでも安定した筆力で登場人物たちの葛藤や動きをしっかり読ませてくれました。 | ||||
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主人公は、女子高生の小柚子。 また、同じく女子高生で、小柚子の友人の弥子、苺美、京香が登場する。 小柚子たちは、北国で暮らしている。 時は折しも冬。常に雪が降り積もっている。 そんな寒く暗く閉ざされた世界で、彼女たちは表面上「女の子」を演じつつも、 心に潜む暗い感情や辛い現実に心を苛まれている。 微妙なパワーバランスの陰で、登場人物たちは表面上は平静を装いつつも、 徐々に狂気にとらわれていく。 「木も恋人もまがいもので、世界は偽ものばかり。」 小柚子が好きな曲の一説。 タイトルの「赤と白」の白は雪の色。そして、赤はおそらく炎の色。 その残酷な炎の赤を見て小柚子は思う。 「死ね。みんな消えろ。居なくなれ。」 近づきたいけど、近すぎると苦痛を感じるような人間関係の難しさや、 女子高生特有のパワーバランスの微妙さを描いている。 ただし、テーマとしてはよくあるものだった。 また、ラストは若干強引な気がした。 | ||||
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まず、この本を手に取る人は装幀に目を惹かれて、かと思います。 「この二人に境界線はあるのか?」とまじまじと眺めてしまうかと思います。なんとなく内容を暗示させる、不吉なデザインだと思います。 我々人間は社会的な動物なので、他者を観察した上で行動しているわけですが、しかし同時に、いやそれ以上に自己も見つめながら行動しているわけで。 それはもうヒゲソリ、オケショウ、車のサイドミラー・ルームミラー等等、いたるところで物理的に、あるいは観念的に自己を見つめているわけですが、 しかしながら忘れがちなのはそれは偏見であるということ、本来の姿から見れば左右逆となっているという点を、ついつい失念してしまうわけでして。 例えばこの話に出てくる4人の主たる少女達も、互い互いに相手を誤解しているし、またそれ以上に自己を誤解していたりします。 自らの美点を欠点として捕らえ、ジョークで自分のことを落として言っているんだな、と思いきやソレはマジ、そんなすれ違いの連続です。他人の家の芝は青いとは言え、ここから発生する狂気を読者たちは半ば悲しみながら、半ばやけっぱちになりながら見届けるというわけです。『いいぞ、もっとやれ!』、そんな具合に囃し立てながら。 出来としては悪くはないのですが、個人的にこうしたネガティブ系は激戦区だと感じているので、青春的側面のウリを抜きにすれば「そんなでもないかな」と感じてしまったのが正直な所でした。 | ||||
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読みやすいが、こういう内容はすでに数多く書かれている。 キャッチーな冒頭は効果的だが、読み終わってみると ヘビーな設定のわりにやたらあっさり決着した気がする。 辻村深月と比較すると、やはり出来は劣る。 北国の暮らしの辛さは、心に残った。 この作家はミステリーではないジャンルの方が上手いんじゃないかな。 | ||||
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ほぼ、新品同様で、満足しました。 新聞広告を裏切ら無い、作品でした。 | ||||
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物語の舞台は新潟県中越地方の街である。豪雪に見舞われる人々の、雪による閉塞感は、それを経験している者にしか分かりはしない。雪国に育った者の実感が込められた小説である。物語の冒頭には、新聞記事が・・・そこで報じられているのはある人家の火災であり、それは物語のエンディングを暗示させる。そして、続く、何気ない女子高生の日常の描写。著者は、彼女たちの密やかな狂気が雪だるま式に巨大に膨張してゆく世界を緻密に描写している。そこが読み処であろう。彼女たちにはそれぞれの事情があるが、それぞれが自分なりに不安定なバランスを取りながら日常をやり過ごしているのである。しかし、その不安定な状況が、自然災害、学校生活でのもめごと、友人関係の行き違いなどで崩壊した時、事態は最悪の状態へ遷移していかざるを得ない。狂気が狂気を生み、たたみかけるような展開はなかなか読み応えがある。それがエンディングに向かっての事件、火災につながってゆく・・・。本書の内容から、「赤」は・・・炎の色、彼女たちの怒り。狂気などの象徴であり、「白」は・・・彼女たちの日常の雪の世界の色であろう。登場する女子高生たちの記述は是非お読みください。著者の彼女たちの描写・記述こそが、本作のメイン・ディッシュですから。暗いネガティヴな作品の印象を持つかもしれませんが、エピローグからは、青春群像劇小説にふさわしいポジティヴ・メッセージが読み取れるでしょう。 | ||||
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第25回小説すばる新人賞受賞作。 本当にこの賞の作品とは相性が良い。 まったく救いの無い青春小説なのに、読む手が止まらない。 映像化したらしらけてしまいそうな描写の数々も、この作者の文章だと、目が離せなくなってしまう。 大雪の街に住むという設定が、女子高生たちの、この物語の凄惨さを引き立てる。 好きな小説、と言って良いジャンルなのかわからないけれど、どんと胸を打つものはあった。 最後の40ページは冷たい熱気に冒された気分になる。 読むのがつらい、つまらない、きもちわるい、と思わせない手腕を讃えたい。 この賞の傾向としては異例なのかもしれないが、なるほど、納得の受賞だ。 | ||||
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帯に「カタルシスのかけらもない」と書いてありましたが、 個人的には充分カタルシスを感じました。 むしろ、もっとやれ!やれ!と思ってしまった位。 最終40ページのスピード感と、怒涛の崩壊っぷりは爽快ですらあった。 「キャリー」で、ヒロインが豚の血を浴びせられたあとの展開にも似て、 バッドエンドではあるかもしれないが、それまでの鬱屈が一気に晴れるような爆発でした。 突き放したようでいて優しく、それでいてやっぱり冷たいラストシーンも、余韻があって良い。 | ||||
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