■スポンサードリンク
丘の屋敷
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
丘の屋敷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「幽霊なんて連中は せいぜい人を驚かす位で -たいした悪意は無いのだ- 、本当に怖いのは人間だ... 」これは(名前は忘れたが)イギリスの怪奇作家の言葉だが、自分は既にこの本を読んだことがあり、映画「たたり」を購入したので、改めて読み直した。(映画自体は良くできている)結論は冒頭の作家の言葉に同意する。特にモンタギュー夫人の登場以後はそれまでの雰囲気を壊して作品をやや滑稽なものにしてしまっているのが残念だ。 同じ作者の「ずっとお城で暮らしてる」は「人間」がテーマなのでより怖いが、心を病んだ10代少女の1人称の語り(信頼できない語り手)なので、今一つ現実感が無い。 本当に「怖い本」を読みたければヘンリー ジェイムズの「鳩の翼」をお薦めする。このロマンチックな長編恋愛小説は「お城」以上の怪物で、人間の弱さ、あるいは醜悪と言っていい面をいやと云うほど見せてくれる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
"自分がいた部屋の窓を眺め、自分を静かに見守る屋敷の、どこか面白そうな"表情"を見つめ返した。そして、やはり待っているんだ、と思った。"1959年発刊の本書は幽霊屋敷テーマの怪奇小説古典。キングの『シャイニング』にも影響を与えた傑作。 個人的には著者の『ずっとお城で暮らしてる』がとても面白かったので、本書も手にとりました。 さて、そんな本書は80年前に資産家ヒュー・クレインによって建てられたという<丘の屋敷>。クレインの妻の死を始めとして、不幸が続いた屋敷に心霊学の研究者であるモンタギュー博士が屋敷調査のために超常現象の体験者。幼いころにポルターガイストの経験をしていた女性エレーナ、透視能力を持つセオドラ、屋敷の持ち主のルークといった協力者を呼び集めるのですが。 まあ『いかにもな設定』にも関わらず?物語的にはわかりやすい悪役や化け物が出てきたり、次々と死人が出ることもなく【スローテンポで進む】のですが。流石は少女の狂気を描いた『ずっとお城で暮らしてる』著者【じわじわとくる怖さ】に驚かされました。 また、本書では主にエレーナを語り手に屋敷の様子が語られているのですが。彼女が表面上は怖がりながらも、屋敷に対して【次第に妙な安心感を覚えて】精神的に常軌を逸していく様子は、本人の語り方自体は自然なままで、周囲の人たちの接し方だけが変化していく様子も含めて上手いな!と思いました。(これは確かにシャイニングぽいですね。。) 館テーマの怪奇小説の古典的傑作として、また心理ホラーが好きな方にもオススメ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
どうだろう、、ホラーではないですね。本の紹介に心理的とありましたが、う~ん、、主人公?のわからない心理が?みたいな感じでしたが、サクサクと読めることは読める。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
屋敷を中心に据えたゴシック・ロマンスのお手本のような正統的な作品である。ゴシック・ロマンスの系譜に連なろうとすれば、必ず古びた屋敷、出来ればゴシック風の塔や尖塔があれが言うことがない。それをふんだんに盛り込んだこの作品は、ウォルポール伯爵の正統と確かに言える。しかも何がエレーナにそうさせたのかを明かさずにオープン・クェスチョンの形で終わるのもとても素晴らしい。幽霊は出てこない分だけ、恐怖という点では通常のゴシック・ロマンスを遥かにうわまわる。結局は家に帰りたくない主人公エレーナの妄想のなせる業であろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いわゆる典型的なホラーではなく幻想小説カテゴリーらしい。 丘の屋敷で発生する心霊現象。解明する4人の中から、主人公のエレーナだけが徐々に浮いてゆく。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
旧タイトルは『山荘綺談』。 そのあと『たたり』を経て『丘の屋敷』となる。 スティーブン・キングいわく 「この百年間に世に出た怪奇小説で傑作といえるのは、わたしには ジャクスンの『たたり』と、『ねじの回転』の二作だけという気がする」 54年前のホラーである。 キングはけしておべっかをいっているのではない。 たたりものの先駆的な作品なのに貫禄を感じてしまうほどの重量感がある。 今風のビジュアル系ホラーとは真逆の静的心理ホラーである。 技法としてはこちらの方がよりテクニックを必要とする。 ただし、静的心理ホラーという点では、『丘の屋敷』よりさらに61年前に書か れた『ねじの回転』の方が勝っている。 根源的な「ぞくっ」とくる恐怖感は『ねじの回転』の方が格段上である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
シャーリー・ジャクスンの小説を読むのはこれが初めてで、結構良かったので、『ずっとお城で暮らしてる』も読んだ。私としては、後者の作品のほうがオススメだ。しかし、この作品もなかなか面白い。幽霊屋敷ものなので、ちゃんとゴシック小説のお約束も踏まえられている。主人公の台詞か内面描写に、ジェーン・オースティンの『ノーサンガ・アビー』のオマージュがあったと思う。しかし、そんなことよりも、この小説が恐ろしいのは、主人公が少しずつ自意識過剰になり、他者に嫉妬深くなっていくさまである。徐々に病んでいくさまが実に巧く書かれている。この辺りは、『ずっとお城で暮らしてる』に通じるものがあるのではないだろうか? 『ずっと』も病んだ少女の一人称小説であるが、こちらの方が露骨に病んだ人間の内面描写が書かれていて、病んでいる人間の思考過程が手に取るようにわかる。どちらも良作である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
スティーブン'キングが過去100年の怪奇小説で最もすばらしい と絶賛した小説で 本書を読むとキングがこの作品に影響を受けてシャイニングを書かれた事が解ってしまうぐらい 設定に類似点があります。 このホラー小説は上手く書き表す事ができませんが脳に来る怖さです。 読後何とも言えないもぞもぞした気持ちの悪い怖さを感じました。 まず主人公のエレーナは母親の介護に11年費やし、これといった職の無い独身の32歳。 幼少期体験したある出来事がきっかけで心霊学研究のモンタギュー博士の目に止まり、 心霊現象で有名な田舎の町から遠く孤立した丘の上にある屋敷の研究に協力してくれないかと手紙が来ます。 数ヶ月前に母が亡くなり自由になるも、彼女に与えられた場所が姉夫婦の子供部屋だったり 車の使用についても買うのに半分お金を出したエレーナに「子供が病気になったら車が無いと大変」だとか、 車を使わせない姉夫婦のやり取り等見ていると本当にいたたまれなくなります。 そんな姉夫婦の言葉を遮りこっそり車を使ってモンタギュー博士の招待した丘の屋敷へ行くのです。 そこで出会ったセオドラ(テレパシー能力者)、ルーク(屋敷の所有者の甥、博士の助手として)、タドリー夫妻(管理人)と出会います。 登場人物もみなどこか嫌な人達でセオドラは意地悪だし、ルークは放蕩息子、タドリー夫妻は呪われた屋敷の管理が嫌なのか 時間外の勤務を異常に嫌い、モンタギュー博士は研究の事ばかり、、。とにかく皆どことなく冷たく感じる人です。 そして登場人物達も読み進めるとエレーナが閉鎖的な世界で育ったせいかエレーナが感じ取った人物像がより一層胡散臭く見えて来なくもありません。 もちろん屋敷で心霊現象が多々起こりますが幽霊本体が訪れた者の前に出てくる描写は一切無く そしてあろう事かこういった怪奇現象の元(例えば娘の怨霊が原因でした。とか)は明かされていません。 なのに怖かったのはところどころに張り巡らされた恐怖材料が色々と想像を書き立てられるのでしょうか、、ぐいぐいと一気に読んでしまいました。 終盤のエレーナの行動に至っては居場所の無い人が 幽霊屋敷と呼ばれてる屋敷の調査へ姉夫婦から逃げ出したい気持ちで飛び出したは良いが この様な結末に気分がとても沈みました。そして屋敷に飲まれてしまったエレーナに怖く感じました。 もっと周りがエレーナに優しかったらこのような事にはならなかったかも、、。とも感じます。 シャーリィー先生の もし自分がこの人の立場になったなら ぞーっとしてしまう心理描写は凄いと感心します。 45歳でお亡くなりになられたのがとても惜しいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
幽霊屋敷に集ったものたちに迫り来る怪異という典型的なゴーストストーリー。 心霊学研究者モンタギュー博士は、<丘の屋敷>の不可思議な現象を調査するため、協力者としてエレーナ、セオドラ、<丘の屋敷>の持ち主の甥ルークを呼び集めた。八十年の長きに渡り来るものを拒むかのようにひっそりと佇む<丘の屋敷>は、迷路のような回廊と歪んだ構造、そして不気味な装飾で4人を戸惑わせる。母親からの精神的な呪縛から逃れるため調査に参加したエレーナ。お互い初対面のモンタギュー博士、セオドラ、ルークは、引っ込み思案なエレーナを暖かく迎え入れる。しかし、<丘の屋敷>に怪異が訪れるとき、4人の関係は徐々に変化していくのだった。 ・・・ 本書は、派手な演出で読者を震え上がらせる類のホラーではない。油断しているとフイと視界を横切るものがいる といった得体の知れない不気味さである。怪異な現象も、直接的に人々を攻撃するものではなくて、精神へ影響を及ぼしていくのだ。 ストーリーは、過去に心霊現象を体験したエレーナを中心にして展開する。<丘の屋敷>の意思に共鳴するがごとく、醜くゆがんでいくエレーナの心理状態に、じわじわとした恐怖を感じるだろう。深夜に大きな音を出して部屋叩きまくる何ものかがいる。部屋の壁を真っ赤に塗りたくった何ものかがいる。一晩中手を握っている何ものかがいる。しかし、怪異な現象を巻き起こす真の正体は分からない。はたして、エレーナはどうなっていくのだろう。 本作品は、登場人物たちの個性がきっちりと描かれている。だから、エレーナが、親しみさえ覚えていた美しいセオドラへ、徐々に憎しみを掻き立られていく様が面白いのだ。女性作家ならではの感性で、ふとした所作への嫌悪感を巧みに表現している。屋敷の管理人ダッドリー夫妻の冷淡さ、途中から調査に参加するモンタギュー博士夫人、その友人のアーサーの俗物さなどは、ストーリーへの隠し味のようだ。こんなバケモノ出てきました〜 というのが苦手な方にも楽しめる作品だと思う | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!