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スクラップ・アンド・ビルド
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スクラップ・アンド・ビルドの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.56pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全118件 81~100 5/6ページ
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| 私の前のレビューがかなり的確だと思う。その方以上の文章でレビューできる自信がない。少ない登場人物、変わりばえのしない場面、心理面にしても劇的な変化が起こるわけでもないこのテーマで、よくぞ読ませていると思う。 筋肉の超回復について毎時考えているのに治験のバイトをしたり、老人や国のあり方について精一杯考えを巡らしたあげくの行動が何も考えていない人と同じだったり、くすっと笑える面白みがある。 ただ、本当に些末なことだが一つだけ気になったので書く。 1歳半の男の子の平均体重は10kgくらいで、生後4ヶ月くらいの平均体重が5-6kg。 よって、1歳半にもなれば体重が5-6kgはある、という描写は子育て経験者からするとかなりの違和感を感じる。 全体からみれば取るに足らないことで、あげあし取りのようで申し訳ないが気になったので書いた。 | ||||
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| 又吉のより好み。 電車の中で何回も声出して笑いそうになりました。 | ||||
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| よくこんな話でこれだけの分量書けるもんだというのが率直な感想。 映像化はほぼ無理だろう。 それほど地味でじめじめした話に終始している。 主人公28歳の青臭い世間評が痛々しくもあり清々しくもある。 誰もが当たり前に感じている大枠への批判を、さも自分だけが感じているとでも言いたげな青臭さと、その大勢のなかでうまくやっていこうとするのではなく、その大勢に取り込まれまいとする稚拙さが非常に緩くて最初はイライラするのだが、ページが進むにつれてそんな彼の青臭さに好感を持てるようになってくる。 レイヤーで言えばほんのちょっと一段上がったところにいるだけの存在で、その上には幾つものレイヤーがあることにすら気が付いていない主人公の稚拙さと青臭さがワタシには心地よかった。 意図的に世間に対するこの微妙な理解度を描いているとしたら大したものだと思う。 「もうじいちゃんはだめだ。死んだらよか」 がしばらく癖になりそう。 | ||||
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| 主人公もおじいさんも、何もすることがないという生き地獄を生きている。 ただ生きているだけ、何の役にも立っていない、 社会の一員として組み込まれることもない。 死にたいが死ねない、死ぬまでの途方もない時間どうやって暇を潰せばいいのか。 どこを調べても健康体なのに、本人は大きな病気が隠れてると思い込んでいる、 そうしないと生きていけない。 何もないから。 おじいさんの心情がいま何もないただ息をしているだけの 自分と重なり考えさせられる内容だった。 何でもない場所の言葉の使い方も面白く 流し読みではなく、ゆっくり読みたい本だと思った。 | ||||
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| ふだんは、あまり小説は読まないのですが、同時に芥川賞を受賞した又吉にくらべて本書の著者羽田圭介のほうに余りにも世間が注目してないので どんなものかと思って読んでみました。 読み始めるとどうやら、本作品の主役の一人は87歳の祖父であることが分かりました。 私自身ももうじき81歳になる老人なので興味深く読ませていただきました。 本当の主役は孫息子の健斗君27歳。 時折登場する母は一人働きに出ている。父は健斗が小学校2年生の時にぽっくり逝ってしまった母子家庭です。 祖父には5人兄妹の子供たちがいたが、いろいろ事情があって子供たちの間をたらいまわしされ、今は健斗の母に面倒を見て貰っている。 一家の収入は母の給料22万円と祖父の国民年金。この辺は自分の身と引き比べてリアルティを感じます。 母が働きに行っている間、健斗は宅建次に行政書士試験を受けるべく勉強に精を出している。その傍ら祖父の面倒を見たりデイサービスに送りだしたり、こまごまと面倒を見ている。その合間に恋人亜美とデイトする。デイトの時はしっかり3回くらいはセックスする。 3人の生活を見てみると、母は祖父を結構邪険に扱っている。 たんなる意地悪ではなくて、なんでも一人でやらせることにより、祖父の衰えを遅らせようと努めているようだ。 しかし、健斗の考えは老人は自ら鍛えて無理に長生きするよりは、十分面倒を見てやって段々老化を促進させる、そうすることによって穏やかな尊厳死を 迎えるべきだと思って、できるだけ老人の我儘をきいてやることにしている。 祖父はそんな健斗が可愛くて、なんでも健斗に相談する。自分自身は長生きする意欲満々で、家人の留守には家の中を歩き回ったり冷蔵庫の中を物色したりしている。しかし、家人がいると弱気になってなるべく面倒を見てもらいたがる。それにたいして母は邪険な態度をとるが、健斗はできるだけ面倒をみてやろうとする。そんな祖父と孫の間の心の交流が何気ない筆致で書かれている。そのやりとりをユーモラスととるかどうかは読者の心の問題だ。 生きる意欲満々でも一人で風呂に入るのが怖い祖父。そんな祖父を無理に一人で入浴させて、本当におぼれかけた祖父。 私自身も老人となって、足腰が思うにまかせず、これで浴槽の中ですべってもぐってしまった場合、一人で体勢を立て直せるだろうかと考えることもあるので 筆者は結構老人の生理や心理を研究しているのではないかと思う。 介護士の女性の腕を撫ぜてどうやら性欲を発散させているらしい祖父。 オナニーを3回続けてやって体を鍛えているつもりの健斗。 私自身の若い時の経験や今は老いての心身状態と引き比べて見て 両方とも良く書けていると思います。 老人とは生きる意欲には満ち溢れているし、頭脳的にもまだまだ大丈夫だと自分では思っていても、なかなか思うようにはいかない。 最後に健斗は就職して家を離れるところで終わっている。 これから祖父の面倒は誰がみるのだろうか、健斗が返ってくる日まで祖父は生き長らえることができるだろうか そんな風に考えさせる終わり方でした。 | ||||
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| 文藝春秋版で購入。 火花目的で買って、こちらの作品はおまけ程度に考えていましたが、実際はその逆でした。 いつもの日常生活の中で偶然垣間見える、ホラーのようなサスペンスのようなシーンが新しく、何とも言えない不思議な気持ちになりました。 ラストも希望と終焉が混在したような形で、すごく好きなテイストです。 0歳の赤ん坊から89歳の老人まで、全ての人間は無意識に創造と破壊を繰り返しているのでしょう。 | ||||
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| 今の日本で問題になっている老人介護の問題・・・ おかしみを漂わせながらこういう角度で切り込んでくるとは! これは著者が若いからこそだとできるものだと思います。 一見、ユーモラスにも読めるけど、介護経験のある者から見れば決してそうじゃない。 介護の壮絶さ、終わりも正解も見えない息苦しさもきちんと描いている作品です。 その苦しさ・厳しさをあまり深刻に見せず、ユーモラスに調理してるとこがこの作品のうまさなのだと思います。 実は昨年から私の実家でも祖母を引き取ることになり、介護生活がはじまりました。 なので、日常のささいな描写など「わかる~!」の連発! 特に祖父が主人公の留守中にピザを食べ、 見つかりそうになるとすごい勢いで逃げていった場面がありましたが、 あの薄気味悪さ・・・ウチでもよくあるんです。 体力は衰え、固いものが食べられなくなっても食への欲求は衰えたわけではなく、 人が見てる時はゆっくりのっそり歩くんだけど、一人でいるときはどうやらすんごいスピードで歩いてるっぽい。 まさにウチも祖母とおんなじなので「ウチだけじゃない!」と安心しました。 そして決して冷たくしてるわけじゃない母親と祖父の距離感もとてもリアルでした。 不思議なことにボケても覚えていることは覚えているし、ずる賢さや人間関係を円滑にする判別能力は残っているらしい。 はたしてこの祖父はどこまでそのへんを理解し、主人公に接していたのか・・・・。 そこがこの作品の最大の謎であり、読者自身が勝手に想像するにあたって最も重要な部分ですね。 実際に介護問題にぶち当たっている私達でも、暗い気持ちにならず共感しながら読めました。 | ||||
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| 現在、介護してる自分には、沢山、勉強になりました。 何度も読みました。 | ||||
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| 第153回芥川賞受賞作品です。雑誌「文學界」2015年3月号に掲載された作品で、 羽田さん自身、芥川賞4度目の挑戦で、又吉直樹「火花」と同時受賞しました。 又吉さんの作品が、大ベストセラーになっているのと比べ、少し割を食っている感は否めません。 主な登場人物は、3年前に会社を辞め、現在は司法書士の資格を得るため、独力で日夜勉学に励む健斗(28歳) 生計を支えるため働きに出ている健斗の母親、介護が必要で「死にたい」が口癖の健斗の祖父、 そして、健斗のセフレ?の亜美 の4名です。 以下、少しネタバレがりますから、未読の人は注意してください!!! 一種の介護小説で、内容的にはかなり暗い作品だと思いますが、読後、どこかしらある種のユーモアが漂います。 認知症は出ていませんが、老い先短い祖父、仕事に挫折はしましたが、まだ前途がある28歳の健斗、 介護を通して、この2人の世代ギャップを描いた作品と考えてよさそうです。 しかし、作品を読み進めると、「死にたい」を口癖にしている祖父は、実は生への執着心が強く、 そして、健斗は祖父の介護を担当しているわけですが、祖父の身体の衰えを反面教師にして、 自身は体を鍛えることに励み、1日3回示威行為をする姿は、どこか奇妙なユーモアが漂います。 私達ががこれから直面する、介護する人間、介護される人間、題材だけを考えると暗い話になりがちですが、 どこかユーモアが漂うのは、登場人物のキャラクターのため、それとも作者の力量??! 考えてみると」スクラップ・アンド・ビルド」、このタイトルもかなり皮肉が効いているように思います。 羽田さんの次回作に期待します!! | ||||
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| 火花が酷かったのであまり期待もせず読みましたら これは本当の意味で芥川賞に見合う力作でした。 世間によくある介護の話ではなく、若者と老人の 双方から見た、生への本質をしっかりと突き詰めた 作者の、世間に媚びない勇気に思わず拍手です。 | ||||
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| 介護がテーマなのかな?ということで かなり暗い話を想像したが想定外に明るい話で面白かった。 明るいというよりもはやコミカルといった内容で意外。 主人公や登場人物は作者の自己投影かな。 趣味も共通しているし。 「火花」にこの二つが共通しているし、審査員の趣味が出てて、選考は単なる話題作りではない感じ。 良作。 | ||||
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| 羽田さんの小説は初めて読みましたがファンになりました。 他の作品も読んでみようと思います。 | ||||
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| 「スクラップ・アンド・ビルド」レビュー /本文引用部分は: :で表記します。 主な登場人物 健斗(28歳・無職)、健斗の祖父(87歳)、健斗の母(祖父の娘)、健斗の彼女(恋人) 粗筋 健斗は自宅で祖父を介護している。 祖父が事ある毎につぶやく「死にたい」を真意であると感じた健斗は:苦痛のない穏やかな死という理想形:を実現しようとする。 そのために意図的に手厚い介護(:プラス介護:)を行い、祖父が脳や身体を使わなくても済むようにし:弱体化させ: :恐怖と痛みのない死:に導こうとする介護譚。 読み始めた当初、私は2つの不満を感じました。 1つ目は粗筋に対する不満で、 健斗が祖父の「死にたい」を真意だと確信する迄の必然性が弱いように思え、もう少し頁数を割いた方がいいのではないかと感じた点です。 2つ目は技法に対する不満で、 「セリフ」の後に「セリフを吐いた思い」が書かれていることが多く、それが少し説明的でくどく感じた点です。 ただ、逆に言いますと、上記不満1は、:プラス介護:というメインストーリーに早期に突入するテンポの良さともいえます。 上記不満2は登場人物の心情がわかりやすく読み進めやすいメリットともいえます。 とは言え、せっかく純文学を読むのですからメタファーをこそ楽しみたい、という主義の私には不満であることに変わりはありません。よってこれらの点を不満と感じるか満足と感じるかは読書各人に依ると思います。 また4分の1程読んで、これほどまでにメタファーのない作品がなぜ芥川賞に選ばれたのか?この徹底的にメタファーを排除した点が逆に新進性と評価されたのか?それとも他に何かあるのか?というストーリー展開とは別の興味も湧き読み進めました。 すると、様々な「対(比較)」が重層的にどんどん積みあがっていくことに気付かされます。 対1 ・元特攻隊員だったが今は:ゴボウのような:陰部をもつひ弱な祖父 ・ひ弱な祖父を毎日見るうちに、ジョギング、筋トレ、オ○ニートレーニングを始めるようになり、逞しい身体及び彼女と連続2回をこなす精力を得た健斗 対2 ・祖父(母から見ると父)ボケないように、口や態度は悪いのだがなるべく自分でやらせようとする母 ・祖父が自身で出来ることでも、率先して行う優しさを見せているが、内心は早くボケさせ理想の死を達成しようとしている健斗 対3 ・:肉体的疲労を嫌がり楽したがり::「どうせ私はデブだし」「もっとかわいい人と付き合えば」:と言う健斗の彼女 ・自分が出来ることでも健斗にしてもらおう甘えながらも「自分は死んだ方がいい」と言う健斗の祖父 (他にも対はありますが長くなるので割愛します) この対については直接的な説明はなく、全てメタファーとなっています。 セリフ :白けるほどに説明的(メタファーなし) 対(比較):説明は排除し徹底的にメタファー という構造です。 これにより、「対」に気づきやすいという効果を上げていると思います。おそらくこの構造こそが「新進性」と評価され、介護を掘り下げた「時代性」と相まって芥川賞に選ばれたのだと思います。 前半感じていた不満は消え、非常に技巧的で野心的な作品で流石芥川受賞作だと感じながらさらに読み進めました。 (注)以下●●●の間20行程ネタバレあり ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● すると、健人の祖父は死にたいはずだという:確信:に疑義が生じる出来事が起こっていきます。(本レビューでは単純に列挙しますが、実際は巧妙にちりばめられています) ・健斗が予定時間より早く帰宅すると:黒く小さなものがすごい勢いでリビングから台所に駆け抜けてゆく:台所に行くと圧力鍋で柔らかくしたほうれん草でさえ「固い」と文句を言う祖父がピザを焼いて食べた形跡がある ・5,6kgある曾孫を祖父が抱きかかえる ・緊急入院し予断を許さない状況下で「特攻隊所属していた時に死んでおけばよかった」とつぶやいた祖父の言葉が嘘だった(特攻隊に所属した事実はない)とその後わかったこと (ピザの部分はゾッとしました) 極め付きが ・目を離した隙に祖父が風呂で溺れ健斗が助けた。:「死ぬとこだった」「健斗が助けてくれた」:と言う祖父が:生にしがみついていることに気付く: 直接的な表現はないですが、これに前後して健斗は彼女に振られています。 ・イケメンの俺と別れる筈がないと思っていたのに彼女に振られる ・「死にたい」筈だと思っていた祖父が生に執着していることに気づかされる ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 健斗の確信が崩れた瞬間でした。 ここまで読んで、健斗の内心以外他の誰の内心も説明されていないことに気づきそのことに私はまたゾッとしました。 当然これも作者の計算でしょう。セリフ説明、対構造メタファーに加え、健斗以外の内心の徹底的な秘匿、と非常に技巧的な純文学です。 大衆文学(直木賞系)は登場人物に起こる「出来事」の因果により筋を進めます。一方純文学は登場人物の「心情」を重ね筋を進めます。 それを主人公以外の「心情」は隠して進めているところが非常に野心的だと私が思う点です。そして巧みだと思います。 その後健斗も自分の人生を ビルド します。(具体的内容は割愛します) 最後の1文は割愛しますが、見えていたものが近づいてくる、そして離れていく、この小説最大のメタファーで非常に爽やかな余韻を残します。 この小説の醍醐味は、純文学の原則を壊す(=主人公以外の心情を隠す)ような野心的なその構造にある、私はそう思います。 | ||||
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| 少子高齢化社会。 団塊ジュニアは働き盛り、 ゆとり世代は人口が少なすぎる。 介護のつらさを文字に表してくれた作品。 火花の裏で、ホンモノを読ませていただけた。 こういうのを求めていました。 次回作は、自身の愛について書いてくれそうな気がする。 | ||||
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| 今の日本で起きているリアリティある内容が、ユーモラスに書かれていて面白いなと思いました。 | ||||
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| 純文学と言うのは、自分の内側でウジウジ悩んでいることを語って行くのがスタイルかと誤解してました。 主人公には行動力があり好感が持てました。 とても、面白かったです。 暗くなりがちな介護をテーマに、これまた暗くなりそうな就職活動中の若者の視点から描くと言うのは、とても新鮮でした。 そして、暗くならずに明るく読めてしまいました。 賛否あるかも知れませんが、私は、ラストが爽やかでスッキリしました。 作者の他の作品も読もうと思いました。 | ||||
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| 介護職としては祖父の状態に時々首を傾げたけれど、全体は面白く読めた。 主人公と恋人の関係がどうなったのかも気になるところ。 ただ芥川賞を読んだのが何十年ぶりで、最近はこういう傾向なのかと驚きもした。 | ||||
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| 読後感が良く、読んで良かったと感じられる作品でした。題材は暗いにも関わらず、“おじいちゃん”も“孫の健斗”も生きることについて貪欲で前向きだという共通点があると感じました。 私は健斗ほど若くはないけれど、だからこそ身体を鍛えたり、学んだりすることは必要なことだなと改めて感じさせられました。 芥川賞同時受賞の「火花」を先に読んだのですが、「スクラップ アンド ビルド」は流れる様なストーリーや登場人物の魅力もあり、流石にプロだなと感じました。比較すると「火花」は素人感が拭えませんでした。違いを感じたのは女性との別れの場面でした。本作ではさりげなく別れを連想させるのですが、「火花」ではこれでもかといったしつこさがありました。読後感も全く違い、読んでよかった本作と、読まなくてもよかった「火花」ぐらいの差がありました。(又吉さんごめんなさい。) | ||||
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| 28歳の健斗が主人公です。 務めていた会社を辞めて、中途入社の応募と資格取得で日々を過ごしています。 そんな彼と毎日過ごすのが、87歳の祖父です。 祖父の介護に明け暮れる中で、「早う死にたか」と言う祖父の言葉に、介護の中で「安楽死」と言う言葉を胸に秘めます。 実際、「介護」の場面にあたるといろいろな問題に直面します。 この物語にある様に、自分の実の娘に介護される場合には、どうしても甘えようとする病人と、それに対しきつく当たる娘と言うのは、良くあることです。 それに対して、主人公が甘えさせて体力や精神力を萎えさせる方法を取ったりします。 この物語は、祖父の面倒を見る孫と言うスタイルをとっていますが、実は、孫にこそ「スクラップ・アンド・ビルド」が起こっています。 祖父の介護をする中で、主人公は自らの生活を再建してゆきます。 それまでの甘ったれの若者から、責任ある社会人への成長の物語と言えると思います。 | ||||
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| 芥川賞受賞作。 「火花」を読み終え、やはり、もう1作も読まねば、片手落ちかと購入。 読み始めて、買ってよかったと思った。 いい小説だと思う。 最初、題名がめんどくさいと思ったが、読後に納得した。 平易な文章ながら、静かに深く描かれていていいと思った。 「火花」はいいのだが、どこか、過剰な修飾がされている文章だなと思えたのだが、この小説は、「abさんご」の雰囲気に似ていて、できるだけ平易な文章で書くというような決心を感じさせた。 そして、この決心は、この主題を見事に浮き上がらせていると思った。 終盤の仕舞い方も無理がなく、過剰に書きすぎてもいないところがよかった。 とても読後感のいい作品だと思う。 | ||||
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