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銃・病原菌・鉄
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【この小説が収録されている参考書籍】
銃・病原菌・鉄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全465件 381~400 20/24ページ
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実に面白かった。著者は医者であり進化生物学者である。その視点で人類の歴史を紐解く。 なぜ、近代化はヨーロッパから始まり、それ以外の地域ではなかったのか?ヨーロッパ人が世界を征服し、その逆ではなかったのか?著者は、「それは居住環境の差異によるものであって、民族間の生物学的な差異によるものではない。」と結論づけている。 決して、ヨーロッパ人に征服されたアメリカ原住民、オーストラリア・アボリジニ、アフリカの黒人が、生物学的に劣っていたのではない。東西に長いユーラシア大陸は、それ以外の地域と比べて、食料生産、家畜、病原菌、文字、技術などの伝播が有利であった、というのが理由である。 中米のアステカと南米のインカは交流することがなかった。植生が異なり、食料が異なった。家畜も少なく、病原菌も少なかった。文字も技術も伝播しなかった。銃・病原菌を持ち込んだスペイン人に短期間に滅ぼされてしまった。同じことは、オーストラリアのアボリジニにも言える。 | ||||
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本書の要約は著者がはじめの方にまとめてくれているので、全部を読むのが面倒な人はここだけ読めばいいので、とても楽である。 「歴史は、異なる人々によって異なる経路をたどったが、それは、人々のおかれた環境の差異によるものであって、人々の生物学的な差異によるものではない」。これが要約、以上終わり。 以上終わりで済めばこれで終わりだけど、なんで著者はだらだらと(上)(下)2冊にもわたって、書いてしまったのか、それには著者独特の考えがあり、地理学者・生物学者としてのこだわり・薀蓄もあり、ページ数を稼ぐ都合もあり・・・・・、それにしてもダラダラと・・・・。 読んでる分にはなかなか楽しいし、新たな知識、著者のお好きな薀蓄話等もふんだんにあって、これはこれで楽しい歴史読み物ではある。 しかし、所詮 結論は先ほどの「要約」に尽きる。 何回か繰り返されるピサロとアタウルパの邂逅の場面、ダイヤモンド先生はよほどこのシーンが好きなんだな。旧世界と新世界の衝突によってもたらされた、氷河期終了後の13000年間の人類史において最大の人口の入れ替えになるという・・・・そういう意味ではこの二人の出会いは凄いんだけど、やはり、それほどのことかなんかなって気がしないでもない・・・・・。 | ||||
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やや内容は高度だが、一般人にもとても読みやすく構成されており、人類の歴史がおもしろい観点から紐解かれている。 | ||||
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確かに、著者の様々な経験と幅広い知識に裏打ちされたユニークなエピソードや豊富な実例の質と量には目を見張るものがあります。 しかし、そこがウイークポイントにもなっているように思います。 時代や地域を隔てたいろんな例を列挙しすぎていて、文章の流れが阻害され、ひいては論旨がいまひとつ汲み取りにくくなっている。 あるいは、そもそもこの本で言いたいことは、他の方がレビューで見事に要約なさっていることが全てで、その論旨に説得性を与えるための肉付けがいささか多過ぎるように感じました。 あくまでも個人的な意見に過ぎませんが。 | ||||
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何故、世の中に先進国や発展途上国が存在するのか素朴な疑問を持ってました。 この本は、まさしくその疑問に対し、地理、気候などあらゆる面からの分析をしています。 「今、現在あるこの世のしくみは、そういうことだったのかあ」 と、納得させてもらえました。 | ||||
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上巻を読んだ後、すぐ下巻も読み始めました。 上巻を読んでいるときは、歴史のとても大きな流れを知ることが出来て、感心しました。 上巻に関しては文句なしの★5です。 しかし、下巻になってくると、同じロジックを繰り返し繰り返し述べているように感じることが多くなり、読むのがだんだん苦痛になってきました。 けっして厚い本ではないのですが、冗長な気がします・・・・ 上巻を読んだなら、わざわざ買ってまで下巻を読む必要があるのかは疑問です | ||||
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テレビの特集で本書の内容が紹介されたのを見て読みました。 「人類の格差は起源より脈々と続く環境要因の積み重ねによるもの」 という著者の主張は、言われてみれば当たり前なのですが、 それだけに納得感が高いです。 冒頭に結論を述べており、その結論を踏まえて読み進められるので、 本書の内容がすんなりと理解できる。 難を言えば、ちょっと内容が長すぎないかということ。 ある日突然、人類の生活様式は農耕から狩猟生活から切り替わった、 という印象をもっている方にぜひ読んでもらいたい本です。 | ||||
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長いの途中で息切れしたが、なんとか読了。 そもそも、人類はアフリカから誕生し、世界中に広がった。 そして、武器を発明したものが征服し、種子をめぐって戦い、帝国主義まで進んでいく。 壮大な文明論。 DVDも出ているので、あわせてみると理解はさらに深まります。 | ||||
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歴史が異なる人によって異なる経路を辿ったのはどうしてだろう? ヨーロッパ人が優位に立てたのはどうしてだろう? その疑問を徹底的に検証した壮大な文明論。 歴史が異なる道を辿ったのは、人々の生物学的な違いではなくて、環境の違いによるものだ。 農耕、狩猟、植物学、動物学、病原菌を通じて人類の成り立ちを教えてくれる。 読み物として面白いのは当然、歴史を形作った要因を徹底して追求している姿勢には感動すらおぼえた。 知的興奮をかき立ててくれる傑作だ。 今後の世界を考えるヒントになるだろう。 | ||||
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本書の中心的アイデアは、ユーラシア大陸において他の大陸に比べ農業や技術が早く発達した理由は、1栽培や家畜化に適した動植物の野生種に恵まれていた、2東西に長く遠方の同緯度地域との行き来を阻む自然的障壁が比較的少ないので相互交流による発展が進んだ、というもの。 言われてみれば極めて自然な理論で、特に感動的とは思わななかった。 たったこれだけのことを言うのにこの分量は冗長で読んでいて少々うんざり。 事例は豊富だが説明の繰り返しが多い。 | ||||
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世の中の見方が大きく変わる、すばらしい本です。 いままでに読んだ中で最高の本かもしれません。 しかし、日本人は何故漢字などと言うやっかいな言語を使っているのだろう、絶対無くしてアルファベットのようなシンプル言語にすべきだ、と強く主張しているのは日本人として解(げ)せないので、星二つ。 中国から日本に漢字が入ってきた時、過去を記憶する言語である漢字が、怖い呪われた言語でもあるといって反対した日本人も多かったらしい。しかし、過去の記憶が漢字そのものに含まれているメリットは、漢字を見たら成り立ちの意味もわかるということなので、考古学的メリットは莫大です。考古学者なのにそこを見落とした著者は、学者としてダメ男ですね。 多方面の資料を基に著した本著作はすばらしいが、漢字の成り立ちを紐解いて議論する観点を見逃すとは、全く疎(おろそ)かです。よって95点から減点60点で星二つです。 | ||||
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本書にはタイトルにつけたようなことは触れていません。 しかし、その質問にYESと答えるような方にこそ読んでいただく価値はあると思います。 今まで常識と思っていたことを壊す快感を味わうのにはちょうど良いでしょう。 歴史変化においての一番の要因はマルクス主義的進歩観でも、進化論的歴史観でもありません。 このことを考えさせるのにちょうど良い教材です。 | ||||
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いい本だと思うが、しっかり読むには本当に時間がかかる。人類が蓄積してきた多彩で多面な知見がコンパクトに統合されていく快感に酔う。たこつぼ型の学者にはおよそできない所業であろう。 共著というアプローチを著者が拒否したことは正解だった(「本書の主題は歴史学であるが、アプローチ的には科学的手法、とくに進化生物学や地質学といった歴史科学の手法を用いて書かれている。・・・共著にならざるを得ないかの印象を与える。しかし、・・多彩な分野の知見を統合しなければならないことを考えると、共著というアプローチは失敗に終わる運命にあるだろう」)。 主題はといえば、プロローグにあるように、ニューギニアの政治家ヤリが持った「なぜ、ニューギニア人は白人と違って何物も発達させられなかったのだろうか」という疑問であり、「スペイン人がインカ帝国を滅ぼしたが、なぜ、インカ帝国がスペインを滅ぼさなかったか」であろう。 では、答えが、本の題名のように「銃・病原菌・鉄」かというとそう単純ではない。「栽培植物(小麦など)」、「家畜化できる動物(馬など)」、「文字」、「技術(車輪、武器)」、「政治機構(集落、国)」の発見(発明)・伝播も重要な要素である。 結局、食料生産や文字を見ると、オリジナルに発明された地域はきわめて限定的で、むしろ模倣(伝播)できる環境にあるかどうかが重要である。 東西に長い大陸は、同じ気候帯が繋がるため、往来が容易で、結果として伝播が容易である。ユーラシア大陸は、その意味で南北アメリカ大陸やアフリカより優位性を有しているというわけだ。 興味深い記述はあちこちにあるが、あえてあげれば、 ・人類の歴史は約5万年ほど前に大きく変化。現在の大陸ごとの差異は、1万3千年にあった地域間の格差が、この間に大きく増幅されることで生じた。 ・オーストラリア、アメリカにも大型動物(ゾウ、馬、ライオン、らくだ)がいたが、人類の移住とともに(家畜化されることなく)絶滅した。 ・馬は紀元前4000年頃、黒海北部の草原で飼い慣らされた。車輪は紀元前3400年頃に、これも黒海近くで最初に登場した。 ・インカ帝国の皇帝アタワルパは、アステカがスペインに滅ぼされたことを知らなかった。 ・人類は、今日では乾燥地帯に属していたり、環境的に農耕に適していない地域で食料生産を始めている。食料生産を独自に始めた地域は世界中に数カ所しかない。 ・どんな大型動物も家畜化されるわけではない。家畜化されない理由は6つ(餌、成長速度、繁殖上の問題(性習性)、気性、パニック性、序列性ある集団形成ができない) ・土器は、日本では約1万4千年前に、肥沃三日月地帯と中国では約1万年に登場している(ちょっと、びっくりの順序だが、ホントかな?三内丸山遺跡でも5000年前ぐらい) ・ニューギニアは起伏が多い地形のせいで何千もの小さな集団に分散。世界の言語6000のうち1000が使われている。 ・オーストロネシア人の拡散は、過去6000年に起こった最大の人口移動の一つ。マダカスカルからイースター島あるいは台湾に現在分布。拡散は中国南部から起こった。 ・アフリカは黒人が先住民で、白人が侵略者としてやってきたというイメージがあるが、数千年前まで分布していたのは、黒人とは全く違う人種だった可能性がある(例えばコイサン族。皮膚は黄褐色)。 ・世界の言語の1/4はアフリカでのみ使われている。ズールー族、ソマリ族、イボ族は、非常に異なっており、恣意的に黒人という人種に分類することは個性を無視することである。 ・1500に及ぶアフリカの言語をジョゼフ・グリーンバーグは5つのファミリーに分類した。ヘブライ語、アラビア語を含むセム語族は、アフロ=アジア語ファミリー構成する語族の一つに過ぎない。 ・三日月地帯は、多彩な栽培食物の存在というアドバンテージがあったが、降雨量が少なく森林再生速度が遅いため土地が荒れ、やがて先進性を失った。 ・人類史上よく知られている感染症が最初に登場したのは最近で、天然痘は紀元前1600年頃エジプトに、おたふく風邪は紀元前400年頃現れた。 ・家畜化された動物(既に9000年の付き合い)からの恐ろしい贈り物としては、牛からは、麻疹、結核、天然痘、豚からは、インフルエンザ、百日咳、などがある。群居性の動物が家畜化されたときに、病原菌が変化して誕生。 つまるところ、時間軸・空間軸を長く広く取れば、支配するのは「ダイナミズム」と「偶然」である。未来は現在の単なる延長線上にないと確信した。固定化した世界観は我が身を滅ぼすであろう。 本旨と全然関係ないが、読んでいて、ニューギニアに一度行ってみたくなった。 | ||||
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既に沢山の方々がレビューをお書きになっているので、くどくは書きません。 あるニューギニア人の「なぜ白人はたくさんのものを発達させたのに、ニューギニアには自分たちのものといえるものがなにもない。それはなぜか。」という疑問を出発点としてこの本ははじまります。ユーラシア、南北アメリカ、アフリカ、オーストラリアで文明の発達度が異なるのはなぜか。 この疑問に対して、食糧事情をはじめとする環境の影響が大きいと著者は言っています。そして、なぜ食糧事情が地域ごとに異なっていたのか、植物の栽培ではどうか、動物の家畜化ではどうかと、著者はさまざまな疑問を次から次へと提供しながら、彼自身の推論で回答していきます。 その意味では、さながら論理学の勉強をしているような感じさえ受けます。なぜ、オークが栽培されるようにならなかったのか、なぜシマウマは家畜化されなかったのか。本書は人類の歴史を説いているはずなのに、まるで植物考古学(そんな言葉があるかどうか知りませんが)、動物考古学を学んでいるような錯覚を覚えます。 「人類13000年の歴史」を読んでいるはずが、彼の論理的帰結を導入するために、動物学、植物学、気象学、地質学などありとあらゆる可能性を引っ張り出して、推論を組み立てています。 私には、この本が本当に「人類史に関する良書」なのかどうか分かりません。 ただ、ものの考え方、論理の組み立て方の勉強のためには最適の本と思えます。 歴史の本にしては、馬鹿に自然科学っぽい本だなと思っていたら、最期にでてくる「訳者あとがき」で、著者が「生理学科に所属する医学部の教授であると同時に、著名な進化生物学者でもある」と説明されている。納得。 | ||||
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「現在の世界情勢は、人種の優劣ではなく、環境によって左右されている」 上記要点を、計600ページもの内容に、言語学・生物学・歴史学等さまざまな分野からのアプローチで、著者は裏づけを試みています。 ・栽培穀物・飼育家畜の大半はユーラシア大陸が起源である ・南北より、東西に長い地域の方が文明の発展が早い ・旧世界(ユーラシア大陸)に住む人々のほうが新世界(南北アメリカ)より、疫病に強い など、私自身本著を呼んで初めて知る事柄も多く、非常にためになりました。 読む人の知的好奇心を満足させる、納得の一冊です。 | ||||
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300ページを超える厚さで上・下巻です。しかも非常に アカデミックで集中力を要求する内容なので、読むのに 2ヶ月以上かかりましたw。まったく新しい考え方と いうか視点で書かれた、壮大な歴史研究と考察なので とても興味深い内容ですが、やはり小説と違って、スラスラ と読める内容では無いです。夜読むと、あっというまに睡魔に 襲われます(笑)。しかしけっして難しい文章ではありません。 とても読みやすい文章になっています。説明用のイラストや 地図が豊富なので、文章の説明を視覚的にも理解しやすくなっ ています 副題に「1万3000年にわたる人類史の謎」とあるように 最終氷河期の終わりから近代までの超長期な人類の歴史を非常 に深く丁寧に考察した内容です。人類はどうやって人類となっ たのか?この素朴な疑問に感動的ともいえる答えを提示してく れます | ||||
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有識者が選ぶ「00年代(2000〜2009年)の最も優れた本」の中で、第1位に選ばれたのがこの「銃・病原菌・鉄」。 この本は、確かに凄い本で、知的好奇心を非常にかきたててくれます。 テーマは、「なぜ、地域によって、貧富や科学技術の差がこんなに大きくなってしまったのか?」ということです。 上記問いかけを受けると、「南方の人は、天然の果物や食べ物に困らないし、暑いから頭がぼーっとしている。一方、寒い地域の人は、頭使わないと生きていけないから。」と真顔で答える人がいますが、全く間違っています。じゃあ、なんで極地に住むエスキモーの人たちが世界の覇権を握らなかったの? 人類史での最初の文明、4大河文明は寒い地域で起こったっけ? というのがその間違っている理由です。 作者は、現代史にまで及ぶ決定的な地域差を生んだ原因を、表題の「銃と病原菌と鉄」に求めています。ちょうどスペインが新大陸を発見し、征服したことによります。では、なぜ、インカ帝国がヨーロッパ大陸を発見して、銃と病原菌を以て、スペインを征服することにならなかったのか? 元々は4大河文明として、人類の進歩の先陣を切って走っていたのは別の地域であり、欧州は遅れた地域でした。それがなぜ? ここに至る因果関係の糸を解きほぐしていくのが、この本です。 決して欧米人礼賛の書物ではなく、環境的な因子がどんな経路を辿って、その地域地域に住む人類の文化に影響を及ぼしていくか、極めて科学的に客観的な観点から書かれています。 それは、社会学という枠を超えて、生物学や医学など幅広い学問の範囲にまたがる総合的な考察が必要とされるもので、この本が凄いのは、それをやってのけているからです。 人類史を辿っていく過程で、人はどうやって狩猟生活から農耕生活に移行していったのか、あるいは移行しなかった地域があったのはなぜか?が明らかにされていきます。教科書に書いてあるような「発達、発展」で片付くような単純な話ではなかったことがわかります。 狩猟民族と農耕民族が戦っていったのが、人類史の側面ですが、どちらが「征服」していったか? そりゃ、槍を持った狩猟民族の方が戦士みたいなものだから強いでしょう?と考えた方は、単純すぎます。農耕民族が食料をたくさん得ることができるようになり、結果多くの人を養えるようになり、しかも職業軍人も養えるようになった点で、征服者は農耕民族です。 冒頭で、ポリネシア諸島における「農耕民族」による「狩猟民族」の虐殺と征服の話が出てきます。 元々同じ祖先を持つものが、船を作って海洋に出た結果、“気候の寒い”島々に住み着いた人たちは、環境に適応して、農耕から狩猟に戻ってしまいました。食料となりうる作物が育たなかったのです。その狩猟民族は、厳しい自然環境の中で生き延びていくために、部族間の抗争を武力で解決することをやめ、平和的に解決することで、部族間が長年共存共栄を図っていました。 ところが時代を3世紀ほど下って18世紀頃、元々祖先であった「農耕民族」たちに発見され、「武力を持たない弱い部族がいる、近くにはいい漁場がある。」と農耕民族たちが攻めて来たのでした。狩猟民族は、漁場を共有する前提の平和的な解決を提案するのですが、農耕民族達は提案を一蹴。武器を持って狩猟民族を全員虐殺、島ごと奪ってしまったのでした。しかも、農耕民族の伝統に基づき、虐殺された住民達は、女も子供も全員「食べられて」しまったのでした。 なお、ショッキングな食人については、タンパク質が極めて少ない地域に特徴的な風習だということが述べられています。 これを読んだ時、正義という思想だけで人が幸福になれるのか?という点で、深く考えさせられました。そして、いわゆる「平和ボケ」ほど危険なものはないことを再認識しました。平和を目指すのは当然としても、それを達成するためには、相当な知力が必要だということです。パワーオブバランスのための策謀、いざという時の脅しに使わざる得ない軍事力も、やはり必要だという事実です。人間の本質は、生活がある程度満ち足りた上で、少しずつでないと変わっていかない。 人間とは何かということに関して、考えさせられる本だと思います。イデオロギーの本でない点が、特にいいです。 | ||||
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本書は、鳥類の進化を研究をしていた著者が、研究先のニューギニアで 「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか」 と、「えっと」としばらく立ち尽くてしまいそうな質問をされたことから始まる。そしてそこから、大陸ごとの文明の発展の差異は何によってもたらされたのかという壮大な謎を解き明かしていく。地理的差異、食糧生産開始の要因と伝播、家畜はどのように選ばれたか、病原菌はどのように広まるのか、文字のはじまり、発明品の受容のされ方、部族社会から国家の成立までなどと各章は分類され、内容的にほぼ独立して無関連のように見える。しかし、そのひとつひとつが謎解きの過程に実は不可欠であり、何度読み返しても勉強になり飽きることは無い。 「なぜアメリカ先住民のほうが逆に旧大陸を征服できなかったのか」というのが本書のメインテーマではあるが、それだけの結論の提示で終われば、壮大な展開の割りに、どちらかと言えば欧米人読者向けを対象としただけの著作で少し残念、と思う。しかし本書は、食糧生産性が高く技術的にヨーロッパをリードしていた中国が、なぜヨーロッパを支配できなかったのかという、東アジアからヨーロッパに向けた視点までカバーしている。せっかくの日本語版であり、中国と歴史的文化的な結びつきのつよい日本としては、そこにもっと注目していいし、実際一つの結論として提示されたものは、とても論理的で納得させられるものである。 そして本書により、もっと詳細に文明や文化の衰亡について知りたくなった読者は、次の渾身作である文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)が最適と言える。 | ||||
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高校の地理の授業で先生が言った、「地域による文化の違いは地理的な理由によるものではない」。 日本好きのアメリカ人の友人が言った、「南米人と日本人が人種的に同じなんて信じられない。 文化の程度が違いすぎて」。 文化の違いは人種なの?とずっとずっと疑問だった、その疑問を解き明かしてくれた本です。 大陸の形や、その場所に人間が住みついた時代の違いが、大きな意味を持っていたなんて! オーストラリアにもニューギニアにも、いつかは鉄器が生まれていたはずだったとは! 歴史の知識はあまりないのですが面白く読めました。 下巻も楽しみです。 | ||||
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下巻最初の第3部までは、人類史においていかに「社会」が構築されてきたのか、 食料、文字、技術などの発明を経て、最終的には国家につながる社会の形成について語られる。 ここまでが一番大きなテーマである、世界の地域格差を作ったものは何だったのかを理解するための基礎である。 下巻第4部からは実際に各大陸の分析が行われる。 筆者の圧倒的な調査量・知識量を踏まえた緻密な論証の積み上げは、読むものを圧倒する。 (個人的には、ちょっと緻密に積み上げすぎて、いささか間延びする感もなくはなかったが。。。) 人類そして世界がいかに進化を遂げてきたのか。 今なお続く民族紛争についても、そもそもなぜ各民族に違い・格差が生まれたのか? 人類が発展する過程で内在してきた問題を理解する上でも、非常に有効な一冊である。 | ||||
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