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銃・病原菌・鉄



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銃・病原菌・鉄の評価: 4.05/5点 レビュー 465件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.05pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全465件 361~380 19/24ページ
No.105:
(2pt)

期待外れ!!

ピューリッツア賞受賞作と聞いて上下二冊を購入したが、人類学の学位論文の様で具体性に乏しい。 特にヨーロッパの白人が非白人を征服して植民地を獲得した際に無くてはならなかった銃の構造上の発達に関する記述が殆ど無く上っ面の歴史で誤魔化している。 恐らく著者自身の銃に関する知識の欠如か、又は意識的な忌避感情かは知らぬが、この本の表題としては購読者への裏切りと言って良いであろう。 全くの期待はずれ であった。 売国新聞の朝日がこの本を第一位にしたのは笑わせる!!
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
4794210051
No.104:
(5pt)

磨製石器や土器を世界で初めて作った民族は…?

2012/3/8読了。 なぜ、8万の兵力を擁するインカ帝国が、わずか168人の兵士を率いるピサロに敗れ去ったのか。 植物相、生物相、大陸の形状等々、様々な条件から論理的に答えが導かれる様はスリリング。 日本版への序文も興味深い。 磨製石器や土器を世界で初めて作ったのが日本人だって、知ってました?世界史の中の日本史という観点の欠けた日本の歴史教育の問題点も浮かび上がって来る。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
4794210051
No.103:
(3pt)

人間社会は環境によって多様化する

著者は欧米人で世界史には詳しいのだろうけど、日本と朝鮮と中国の関係や歴史を微妙に誤解している。私としては、日中韓の差異がどのようにして生まれたのかもっと詳細を知りたかった。
「日本人が効率のよいアルファベットやカナ文字でなく、書くのがたいへんな漢字を優先して使うのも、漢字の社会的ステータスが高いからである」
「中国文化の威光は、日本や朝鮮半島では依然として大きく、日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国発祥の文字の使用をいまだにやめようとしていない」
など。日本人の感覚からすると「そんな理由ちがう」とツッコミたくなる。
さらに著者は、「中国が欧州に先越された理由」として、「欧州は長期に渡って不統一だったが、中国はずっと政治的に統一されていたから」とし、
「中国は一人の支配者の決定が全国の技術革新の流れを再三止めてしまうようなことが起きたので、欧米に負けた。欧州は同時期に複数の王様がいたからあっちがダメでもこっちの王様で技術を受け入れてもらうことができた」と解釈している。
「複数の王朝か、一つの王朝か、という違いがあった」という意味の前提ならば間違いではないが、「中国の長い歴史を通じてほとんど分断されたことがない」と中国を一つの国として長く統一されていたと前提にする点は、間違い。
中国は王朝ごとに異民族支配され、歴史は完全に分断されている。皿まで割って徹底的に前王朝の文化を破壊し、歴史まで書き換え否定する。
だから四千年の連続した積み重ねの歴史などないに等しい。技術が継承されなかった理由は、この徹底した破壊による面が大きいだろう。

以下メモとしてこの本の主張をまとめました。
なぜ民族によって手にした権力と生活と富の程度が異なるのか?
その答えは、「人種的な差があったからではなく、地理的偶然と生態的偶然のたまものにすぎない。」とし、
環境が世界中の人類社会にあたえた影響について考察している。例えば「東西に伸びる大陸では技術が伝播しやすい」など、大陸ごとの環境の比較をしていく。
タイトルの「銃、病原菌、鉄」は、欧州人が他の大陸を征服できた直接の要因を凝縮して表現したもの。
では、欧州はどのように銃や鉄を製造する技術や、伝染病に対する免疫を発達させたのか。
食糧の生産が高密度の人口を支えられるようになり、細菌への免疫を発達させ、さまざまな発明や技術革新や、政治機構などを創り出したから。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.102:
(2pt)

やっぱり欧米人は日中韓を誤解している

この本は、朝日新聞が「この十年間の最も優れた書籍」としてプッシュしている。
また「東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊」の1位にもなっているそうだ。
しかしこの本は真実の中によけいな嘘を混ぜており、その嘘が本全体の信憑性を失墜させている。 残念です。

「日韓併合により日本は朝鮮の文化を根絶し、ハングルを教えず日本語を強要した。」
「日本人が効率のよいアルファベットやカナ文字でなく、書くのがたいへんな漢字を優先して使うのも、漢字の社会的ステータスが高いからである」
「中国文化の威光は、日本や朝鮮半島では依然として大きく、日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国発祥の文字の使用をいまだにやめようとしていない」
??

「日本と韓国、北朝鮮は兄弟のようなものなのだから お互い仲良くすべき」などと欧米人に言われても、もう白けるだけ。
人気や権威にごまかされないよ!
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.101:
(4pt)

これがすべてではないが…

文明に対する、著者のひとつの見方として読んだ。 スペイン人がごく少数の兵で、インカ帝国を侵略したくだりは圧巻。 国民が崇拝している象徴を捕らえてしまえば、その国を征服するのは非常に簡単という話は、 薄ら寒い。 全体で言えば、やや増長で、 もう少し内容をしぼってすっきりさせて欲しかった。 今の日本人に本をゆっくり楽しむ時間がないのかもしれないが。 一読の価値は大いにあり!
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.100:
(3pt)

何故こんなに評価が高いのか?

内容はそれほど悪くはないのだろうがとにかく文章が下手。 翻訳の問題はさておき、学術書に最低限求められる客観的・批判的な論証・論考が決定的に不足しており、やたら読みにくいエッセイの域を出ないと言わざるを得ない。 まあ、朝日らしいセレクトではある。
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No.99:
(5pt)

世界の「不平等性」に迫る名著

「旧大陸」は「新大陸」に進出でき、またその逆はなぜ起こらなかったのか、という問いに対する、現時点ではもっとも説得的な、また読みやすい論考のひとつ。  同様の、現代世界の「不平等性」の起源を明らかにし、民族・人種・文化間には優劣はないことを示す著作は少ないが、明快な視点と文体が本書の特色である。  上巻では食糧生産のあり方が主に論じられ、農耕や牧畜などの伝播の違いが文明・技術の差につながることが極めて平明に、しかし知的興奮を誘う形で示される。  現代世界のあり方を明らかにした名著といえ、貧富の差や環境破壊などのグローバルな課題に関心を持たれる方は必読の古典的名著である。
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No.98:
(4pt)

文明の環境決定論

文明の違いは環境による違いが反映されているという、文明史の今や 必読書。 文庫本化された本書は、やはり単行本で読んだときよりは スケールが小さくなった感がある。 やはり単行本で読むことを おすすめする。  「文明は同じ文化の流れを持つものは似ている」とする説に真っ向から 挑んでおり、「伝統文化」と「文化変化」を考える上で重要な例がたくさん 紹介されていて中身が濃い。
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No.97:
(5pt)

ミステリーよりミステリー

地球上にはなぜ、持てるものたちと持たざるものたちが生まれたのか? 
人類史の特徴のパターンを明らかにすることで、この問いへの答えを探し出そうという意欲作である。
探究には、動植物相を含めた「地理的要因」がカギを握る。

著者は、ニューギニアなどで33年間フィールドワークを行なった経験を持つ進化生物学者。
従来のヨーロッパからの視点で書かれた人類史の本は、(中国以外の)東アジア・太平洋域を無視してきた。これでは本当の人類史がよく理解できない。東アジア・太平洋域からの視点で人類史にアプローチしてこそ、人類史の謎解きが可能になるという(「日本語版への序文」を読むと、どうやら奥さんが日本人のようです)。

ミステリー小説以上の「ミステリー」を読んでいるような気分で活字を追うことができた。中でも特に印象的だったのは、以下の話題。

●わずか百数十人の部下を引き連れただけのピサロがいかにしてインカ帝国を侵略したかとても臨場感に優れた記述となっているが、騎馬隊の存在が戦況を左右したというのは意外(しかし冷静に考えると、当たり前のような)。

●家畜が人類にくれたとんでもない贈り物=病原菌が何をしでかしたかヨーロッパ人の持ち込んだ感染症によって、ひどい例では99%の先住民が死んだこともある。

●人類はどのようにして野生種の植物を栽培化したのか植物の突然変異種を選択して、農作物をつくり始めた。

他にも、動物が家畜化されるか、されないかは、「アンナ・カレーニナの法則」によってふるいにかけられるという話など、とにかく、知的興奮を覚える話、目からウロコの話が続々と登場する。土器や研磨した石器を世界で初めて使用したのは、日本人(縄文人)だということを本書で初めて知った。

記述はとても丁寧で分析的。丁寧に筋道立てて解説してくれるのはありがたいが、植物の話は、専門的な解説が多いだけに、ちょっと冗長な感じがした。同じロジックをくり返す文体がその冗長さを後押ししている。

総合評価は、★6−1=★5というところか(内容の面白さは5つ星を超える★6つだが、記述に冗長さが目立つ分、マイナス★1つ)。
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No.96:
(4pt)

特色は3つ

本書の特色は、以下の3点に要約できます。

○人類史の展開を、進化生物学、病理学、遺伝学、生物地理学、文化人類学、言語学といった広範な隣接分野の研究成果を踏まえて多角的に考察し、純粋な自然科学として歴史を探求するアプローチの有効性を検証してみせた。
○人類史の展開を、人種の優劣からではなく、環境要因が人間社会に及ぼす作用の累積の結果として捉える仮説の立証を試みた。
○人類1万3000年の歴史を「銃」「病原菌」「鉄」をキーワードに編纂し、文明の変遷を地球規模で探求する1つの壮大なストーリーに纏めてみせた。

『銃・病原菌・鉄』は、人類史をあつかっていますが、文系ではなくて理系の自然科学本です。とはいっても、読んで理解するのに特別な科学知識や素養は必要とされません。著者のJared Diamond氏がUCLAの教授であること、そして、人類史の自然科学的考察を試みていることで、ともすると学術書と思われがちですが、決してその種の無味乾燥なお堅いではありません。それではどんな本かというと、さながら学術書のように論理を緻密に組み上げ、展開するノンフィクション教養本です。

本書に記された内容は、極めて信憑性のある学術研究データに基づいて記されています。しかし、だからといって、本書を学術書とみなすのは誤解です。実際のところ、原書は、語彙においても言い回しにおいても、ノンフィクションとして楽しみ読めるように書かれています。日本人の読者もまた、邦訳を気軽に読んで、人類1万3000年の壮大な歴史ミステリーを楽しむべきではないでしょうか。

本書の魅力は何と言っても、読み進むにしたがい増幅されるスリリングな謎解きの妙です。読者は、著者Jared Diamond教授とともに時空を超えて地球を旅し、人類の文明が大陸ごとに格差ある展開をなした直接的要因を探ります。1つの謎に対する科学的な答えが、次なる謎を生み、次なる謎に対する科学的な答えが、また次なる謎を生むといった流れの中で、新たな知見と疑問の鎖を辿る謎解きの妙が次から次へと展開されます。しかもこのスリリングな謎解きは、人類社会が大陸ごとに異なる発展を遂げた究極の要因が明らかにされるまで続きます。次にどのような謎が解き明かされるのだろうかとの期待感でページが読み進み、本書が上下巻800ページ超の大書であることを時として忘れてしまうほどです。

まとめると、『『銃・病原菌・鉄』は、読み易く、その上示唆に富んだノンフィクションミステリーです。人類史という至って真面目なテーマをあつかっていますが、アメリカの大学の真面目な学者先生が書いた本とは思えぬほどワクワク、ドキドキ感満載の本です。人類史を史実や様々な分野の研究成果から科学的に解き明かそうとする本で、歴史ミステリー的に楽しめます。私の感想では、『銃・病原菌・鉄』は、膨大なフィールドリサーチと研究に基づき、人類の歴史がなぜこうも格差ある進展をとげてきたのか、という「1万3000年にわたる人類史の謎」を様々な自然科学の観点から解明しようと試みた、読んでお得な定価945円の文庫本と言えます。なお、後半部は前半部に比べ記述が中だるみ的になるところが欠点といえば欠点です。これだけボリューミーな本なので、そこに目くじらを立てる必要はないと思われますが、その分、評価は☆1つ減らさせていただきました。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
4794210051
No.95:
(1pt)

非常に残念です

すでに単行本のレビューのほうで他の方から指摘されていますが、
原書(英文)の2005年度版からは本書に掲載されていない章が追加されています。

その追加された章は、日本について書かれたものであり、その章の題名は
「日本人とは何者なのか?」です。
そして、驚くべきことにその章には以下のような内容が書かれています。

・日本政府は現在においても在日コリアンの帰化をさせないようにしている。

・日韓併合により日本は朝鮮の文化を根絶し、ハングルを教えず日本語を強要した。

・16世紀の秀吉の話を持ち出し、鼻塚(耳塚)にまつわる日本の残虐性を
 細かく強調したうえで、韓国人と北朝鮮人が日本人を憎むのもむりがないとしている。
 しかし、対馬の日本人に対する虐殺行為とその残虐性については目を向けない。

・百済と新羅を別の国として区別せず、いずれも朝鮮人の国であるかのように
 記述している。

・李氏朝鮮による500年以上に渡り日韓併合まで行われてきた自国民への
 略奪、圧政、虐殺、重税、飢餓、ハングル文字使用を禁止、等々
 そうした朝鮮人自身による悪政、それによる人口の激減、国の絶望的な荒廃。
 それらには一切触れず、一方的に日本の残虐性と加害者性を証拠無に強調している。

・悪の枢軸国であり、今現在も圧政を敷き自国民を苦しめ、殺し、
 日本人を拉致し、核兵器開発を行い、国際社会を恫喝し、犯罪を繰り返す
 独裁国家である北朝鮮には一切触れず批判もしない。

・北朝鮮により拉致され、いまだ戻ってくることもできずにいる被害者がいて、
 他人の遺骨を送りつけられ、それがお前の娘の骨だと言い放たれた被害者がいて、
 そうした国の残虐性には目も向けない。

そして、そのうえで著者は日本と韓国、北朝鮮は兄弟のようなものなのだから
お互い仲良くすべきだと書いているのです。

著者は北朝鮮の将軍様にでも魅入られてしまったのでしょうか?
それとも誰かに吹き込まれたんでしょうか?

さらに、著者は日本神話についての信憑性をまじめに指摘しています。
しかし、神話は世界のどの国にも存在し、どの国の神話もみな一様に
ファンタジックであり、そもそも神話とはそういうものです。
それなのに、ある国の神話について、その歴史的信憑性に注目することに
何の意味があるのでしょうか。なぜ日本の神話を批判しようと
思ったんでしょうか。意味がわかりません。

大変素晴らしい本だと思っていただけに、このいい加減で嘘雑じりの
悪質な章の追加により、本書の存在意義に傷がついてしまいました。
ほんとに残念です。
著者にいったい何があったんでしょうか?
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
4794210051
No.94:
(5pt)

参考文献もちゃんと収録されるようになり、単行本よりずっとよくなった!

本書は世界各地の歴史一万年以上について扱う本なので、当然あらゆる研究を著者一人がやったわけではありません。したがいまして、著者がどんな論拠でものを言っているのかがとても重要になります。原著ではもちろん、Further readings として参考文献をちゃんと挙げ、疑問点やもっと詳しく知りたい人のために便宜をはかっていました。

ところが邦訳の単行本では、その部分がばっさりカッとされており、心ある読者は激怒して、それを勝手に訳出したりもしました。その後、草思社もあわててウェブにそれを掲載したりしていましたが、本としての価値は大きく下がっていたと言わざるをえません。

この文庫本では、ありがたいことに参考文献をちゃんと巻末に載せており、本としての価値は単行本をずっと上回っています。単行本を持っている人も、こちらを改めて買って損はしないでしょう。惜しむらくは、原著2005年版から追加された、日本人の起原にかんする章と2003年版エピローグについて、訳出されていないばかりか言及すらないことです。それで本筋が大きく変わるわけではありませんが、もう少し配慮があってもよかったとは思います。ご興味のある向きは以下を参照:
「・・・」
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.93:
(4pt)

地理上の発見がなぜ逆でなかったか。著者が大胆に解き明かしてゆく。

下巻の第12章では、文字の発明発展を考察する。文字は単純で限定的な使用から借用やヒント模倣などを経ながら伝播して形成されてきた。 紀元前1700年のものとされるファイストスの円盤はクレタ島で発掘され、印刷技術を推測されるが、今の印刷技術はその約2000年後の中国からである。
社会や集団の地理上の役割と技術の自己触媒的な発達において人口の多い地域でもっとも発達する。
このように、社会や集団によって文字や技術の受容が異なる事実からそれらの発展や衰退を考察している。
第16章では言語による人間集団の拡散を考察している。食糧生産や優位な技術を持った集団が殖民・拡散していき、もともとの小集団の地域を占拠同化していくプロセスを検証している。 
部族社会から国家へと集権的な社会を形成すると他の首長社会を戦争等により呑み込んでいく。1492年の新世界発見とその後の旧世界による支配が示すように、食糧生産や技術を発展させた社会は常に勝者となっている。
金属器や文字システムや複雑な社会システム発達させ、食料生産を行い、労働の分化が進んでおり多くの人口を擁している集団が、勝ち残っていき、逆に狩猟採集民や地理的に孤立した集団では技術の後退や放棄が起こっている。
アメリカ原住民やアステカ・インカ帝国がなぜヨーロッパを発見して植民地化できなかったか。当時最強の技術を誇る中国はなぜアフリカ・中近東まで船で訪れていながらヨーロッパまでこなかったのか。
著者はその答えを大陸の大きさ、地理的条件、人口の密度などから解き明かしていく。本著は医学部教授である著者が、人間の歴史や技術史という観点ではなく13000年前からの人類史としてまとめている。
各章ごとに考察をまとめているためか、翻訳本のためか、フレーズの重複を感じる向きもあるが、社会科学の好著である。
銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
479421006X
No.92:
(2pt)

気になる

著者の専門分野については、他の方の評価に同意する。
しかし、上下巻とも買って読んでみて、
十三章(下巻)で何とも納得できない点を発見したので、一部列挙する(「」は文庫版引用)。

技術の取得と放棄の例に、一六〜一七世紀の日本を取り上げておきながら、
・「日本には銃火器の受け入れに抵抗する社会的土壌」があった。
 →そんなものがあったのか? あったのなら、当時世界最大級の銃の保有数はありえない。
・銃は「一六〇〇年代以降に日本に伝来したほかのものと同様、異国で発明されたということで、所持や使用が軽蔑されるようになった。」
 →禁止はされたが、軽蔑はされていたのか? 「異国で発明された」から軽蔑というのは、
  一六〜一七世紀の日本における銃の普及を鑑みるとおかしくないか?
というもの。たった一ページの中に、何とも言えない違和感が詰め込まれている。気になる方はぜひご確認を。
できれば、この部分について解説してください。

当然、それ以上の詳しい説明や引用はない。
巻末の関連文献で、日本についてはNoel Perrin『Giving Up the Gun』(一九七九)を参照したらしい。
日本史の概説書でも読めよと言いたくなる。
日本のことが書かれていると序文にあって、ちょっと期待していただけにあまりのお粗末さに衝撃を受けた。

もちろん、著者は進化生物学者であって、歴史学者ではない。
ご自身の分野であるポリネシアのことは非常に詳しいし、そこは称賛されている他の方に同意する。
だが、日本史に興味を寄せているなどとは露ほども思えない該当箇所は、その部分だけが批判されるわけではなく、
この本に書かれている他の専門外の文章に関しても、精度を疑われてしかるべきものだ、と私は思う。

これなら共著にすればよかったんじゃ。
というか、「妻は日本人」とか書いておきながらこの体たらくなのか。

正直、日本の部分だけは読まなくていいんじゃないだろうか。
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479421006X
No.91:
(3pt)

全体的に面白かったが・・・

人類史としてはそれなりに納得で、面白かった。 大雑把に言う東洋と西洋の歴史比較(東西だけではないが)も面白く、なるほど!と頷く事も多かったが、 こと、日本に関する記述が頓珍漢で、本の内容を、頭から鵜呑みにして信じる気にはなれず、話半分で読みました。 でもそれなりに面白かったです。
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4794210051
No.90:
(4pt)

シヴィライゼーションがしたくなる一冊

文庫になったのでようやく購入
内容に関する比較的真面目なレビューはハードカバーのレビューにお任せしまして
私の非常に個人的な感想を書かせて頂きたいと思います。
全然参考になりませんが参考程度にどうぞ。

めっちゃシヴィライゼーションしたくなります。civilizationてゲームです。
読んでいるとこれが無性にしたくなります。マジです。
シヴィライゼーションしたことがある人でこの本を読んだ人は首肯すること請け合いです。
読んでいる途中に何度始めそうになった事か。
(ちなみに品種改良のくだりを読んでいるとアストロノーカしたくなりますが、これは私だけでしょう)

俺の文明が東西に伸びた大陸から始まらなかったらリセットや!!

そんな気持ちになる本でした。
それでは下巻を読んできますね。
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4794210051
No.89:
(5pt)

文庫本になった名著。大変面白い

「人類社会の歴史の各大陸ごとの異なる展開こそ、人類史を大きく特徴づけるものであり、本書のテーマはそれを解することにある」。

ピュリッツァー賞、コスモス国際賞を受賞した名著。単行本よりお安く、かさばらない文庫版が登場したのを機会に読んでみた。過去の欧米の歴史書はヨーロッパ史を中心に展開しているものが圧倒的に多いが、本書はかならずしもそうではない。1500年当時の力関係が現代社会の不均衡形成に大きな影響をもたらしたことを認めながらも、なぜそのような地球上の各地域における違いが生じたのかという理由について的を絞っている点が特徴である。

とても面白い。最後の氷河期が終わった13000年前から、人類の文明の進歩には地域によって大きな差が生じるようになった。それを、ユーラシア大陸、南北アメリカ大陸、点在する太平洋のミクロネシアの島々、オーストラリア大陸といった地理的な特徴の違いから読み解いてゆく。日本も時々登場する。重要なのは、元々の環境の違いであり、各地域の特性の違いによる農業や技術伝播のしやすさであり、各民族や人種それ自体の才能や資質の違いではない。

狩猟採取と農耕は2者択一で選ばれたわけではないようだ。栽培可能な野生種と気候条件に恵まれていたことが、農業に基づく本格的な定住社会の形成の下地になる。肥沃三角地帯はこの点でまさに好条件が重なっていた地域である。一般的に気候をはじめとする自然環境は南北より東西の違いの方が違いが小さく済むから、東西に長いユーラシア大陸はタネや技術の各地域への伝播には有利だった。家畜化に適した動物の存在の有無も重要。そして、動物と人間が一緒に住むことで様々な病気が人間社会に広がり、それに対する免疫を獲得できた人々が新大陸に進出したときに、南北アメリカ大陸では大きな悲劇が生まれる。

銃・病原菌・鉄というタイトルにある3つは、地球規模の大きな歴史の流れを解き明かすための推理を行う上で、名探偵が着目した重要なキーポイントである。知的好奇心を満足させる見事な一冊。
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4794210051
No.88:
(5pt)

文明の進歩の違いは人種や民族の優劣ではなく、環境によって生じた

地球上の各地域における文明の進歩の違いは、民族間の優劣の違いによって決まったのではなく、環境によって生じたものであることを壮大なスケールで検証している大著。こちらは下巻である。

農業や畜産を元に定住社会ができたからこそ、文字や様々な発明が生まれることになった。ユーラシア大陸は横に長いので、同じ農作物が広まりやすかった。様々な文化も伝わった。しかし、他の大陸では事情が違った。

特にこの下巻では、オーストラリア大陸とニューギニア、アフリカ大陸、そして中国とその周辺国の文明発展の特徴について解説している。首長社会が国家形成へとつながったことやその条件。「必要は発明の母」ではなく「発明は必要の母」という例が歴史上は多くある。4万年前には最も進歩した人達が住んでいたオーストラリアは、乾燥しているうえに気候のバラつきが大きいことがアボリジニたちの生き方を制限することになった。ニューギニアのマラリアなどの病気がヨーロッパ人の本格的な進出の妨げになった。エスキモーは生存できても西洋文明が根付くことができなかった北極圏の厳しい自然。中国の南部と北部はかなり違うが、相互に移動が簡単で比較的早くから統一の試みがなされてきた。実はかなり多様なアフリカ大陸の人種間の移動の歴史と言語の関係。

大変見事で、一読の価値のある本である。しかし、何度も何度も同じ話が出てきて、下巻になるとちょっとくどさを感じる。ちなみに、この著者は文系出身ではなく、カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部の教授だということだ。
銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
479421006X
No.87:
(5pt)

100年後に残るであろう社会科学の書

とても簡単にこの本の内容を言ってしまうと
今の地球上の人類がどうしてこういう関係になってしまったのか?
どうして白人が世界を支配し、黄色人種、黒人やインディオたちは虐げられてきたのか、
ということを数万年単位で検証しているというのが本書である。

ダーウィンは進化論で人類史を考察し。マルクスは社会構造で考察し、和辻哲郎は風土で考察した。
ジャレド・ダイアモンドはタイトル通り「銃・病原菌・鉄」で考察したわけである。

ところどころ内容が重複する場所もあるが、読みやすく、本当に素晴らしい本だった。
その視点、論点、発見の斬新さ、素晴らしさもさることながら、
根底に人間への愛があるところがマルクスやウェーバーなど、社会科学の偉人らに近いと思った。
彼らのように、間違った知識に基づいた偏見、人種差別、社会格差をなくそうとする著者の強い意志がそこにあった。
様々な社会科学の名著と並んで100年後にも岩波文庫となって本屋に並んでいそうな姿が想像できる、後世に残る名著である。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎Amazon書評・レビュー:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎より
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No.86:
(5pt)

様々な人(人種)を見る目を変えてくれる一冊

アメリカに住んで、よくメキシコやブラジルに出張に行きます。そこには黒人、インディオ、そして白人たちが、豪華な家から、スラム街まで様々なところにすんでいます。何が彼らを隔てたのか?まさに、この本は、13000年の歴史をさかのぼり、その疑問に答えてくれます。
結論は、「人の優劣に差はない。それを隔てたのは、まさに、東西に長いユーラシア大陸と、南北に長い、アメリカ、アフリカ大陸、の違い」です。
農耕のための種子や家畜は、大きな気候の差を隔てて伝播しない。農耕や家畜がなければ、一定の人口密度での社会が築けない、まさにそういう差に現れます。
上巻では、ニューギニア人ヤリとの会話。聡明な彼と自分との差は何もないと実感できるシーンと、スペイン人ピサロとインカ帝国皇帝アタワルパの戦いのシーンのコントラストがとても印象的です。食料生産に関わる記述もきわめて論理的であり、とても納得感があります。下巻は、食糧を獲得した社会で、文明の基本となる文字を持った文化と持たなかった文化の差を、また、地理的状況から鮮明にしていきます。「文字を伝えるには、サハラ砂漠、北メキシコの砂漠、未開のジャングルを行くしかなかった。」というのはまさにその通りです。後半は、ニューギニアとオーストリアの違い、中国がなぜ中国になったか?など、それぞれの地域に即した具体例を示してくれます。

世界の人々への見方を変えてくれる、本当に勉強になる、そんな貴重な一冊だと思います。
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