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完璧な母親
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完璧な母親の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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まさきとしかさんは「あの日君は何をした」で知り、過去作の本書も読みました。 本作品もどんでん返しというほどの展開はないですが、バラバラのピースが少しずつ繋がっていき、関係のなさそうな二つの家族がだんだんと関わり合う伏線の解き方で、続きが気になり一気読みしました。 幼い息子を亡くした母。 そのあとに生まれてきた娘を亡くした息子の生まれ変わりだと信じて、息子として育てます。 そんな母の愛を超えた狂気、自分ではない兄として愛情を注がれる娘、そのストーリーに関わってくる別の家族。 それぞれの想いが交錯してどんどん繋がっていく構成は惹きつけられます。 スッキリはしないけど、ラストはすべて真実が分かります。そして、読後感はなんとも言えない感情になりました。 素晴らしい作品です。 | ||||
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とってもいいです。 男の僕達が 巡り会いにくいジャンルのミステリーですね。 文章はくどくなく とってもスピーディーなのですが、 登場人物の心情 とても切なく とても納得できる描写で しっくりきました。 それだけに 次はどんな展開になるのか? 物語はどこに着地点見いだすのか ハラハラしながら 一気に読破できました。 でも 前半によく来ていた 変な、幸せを疑問視していた 丸文字の手紙 あれは 答え合わせできてませんねー | ||||
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無くなった兄の代わりに育てられた波琉子、正しくは無くても母親の愛情が注がれるその幼少期の様子は読んでいて痛々しい限りですが、どこに物語が向かっていくのか全く読めません。 第二章からは、何故か母親からの愛情が受けられず、家族の愛を知らない新聞社に勤務する成彦が登場。成彦が波琉子に会ったことがきっかけで、それぞれの過去が繋がるというのは正にミステリー仕立てです。 最後は成程と合点がいきますが、あまりにも不幸であり哀しき登場人物たちに同情したくなります。 | ||||
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著者初のミステリー小説、だという。確かに、「事件」の「真相」はページをめくるたびに少しずつ明らかになる。でも、読了した後もパズルを解き終わったような爽快さはない。そのはずだ。なぜならそもそも本書において解かれることを待っている「謎」は一度も明示されていないのだから。 本書では、幼少期に母親から愛されていなかった男女が出会うことで、少しずつかつての自分の「困難」の理由を知っていく。自分が生まれる前に亡くなった兄の一文字違いの名前を与えられ、「お兄ちゃんがいたから、あなたがいる」と日常的に言い聞かせられてきた波琉子。激愛されてきた姉の対照的に、「姉を殺す気でしょう」と憎悪を向けられた成彦。ふとしたきっかけで出会った二人は、互いの家族がかつて同時期に近所に住んでいたことを知り、自らの過去を再び探る。 そもそも、単に不適格な母親に生まれてしまった不幸として、彼女たちは自らの幼少期を片付けられないのか。それは彼女らもまた母親が抱えていた何かしらの「困難」の存在を予感しているからだ。<―お母さんは、いいお母さん? 頭の中で響く聞き慣れた言葉。いいお母さんでなければ、子供を守れない。いいお母さんでなければ子供を幸せにできない。いいお母さんでなければ子供を失ってしまう>波琉子は、母親の「完璧な母親」への強迫観念を知っている。<ごめんなさいごめんなさい。赦してください赦してください。私を赦して。ごめんなさい>成彦は虐待したあと、こう懇願する母親を知っている。だから波琉子たちは、その理由を欲する。 でも、しかし。一体その理由が今更わかったところで何が変わるというのだろう。探偵のように依頼者がいるわけでもなければ、母親への復讐を企てているわけでもない。事件の真相に近づいていくたち自身からもその理由が語られることはない。真相がわかったら、何がどうなるのか。波琉子らとともに空白地帯に取り残された読者は、同じように戸惑う。 このミステリー小説としての謎への吸引力が欠落した「わかりにくさ」「居心地」の悪さこそが、家族小説としての吸引力へとつながっている。 「原因」が解明されても、ミステリー小説のように、親子は、家族は「解決」へと導かれない。ただくずぐずと居心地悪く、わかりにくく、関係性を模索し続けるしかないのだ。読後感がとびきり悪い最終章を、単なる因果関係で回収できない親子関係の複雑さとともに噛み締めてほしい。 「親はその子供を持ったことで償い、子供はその親の子であることで償う。彼らの間で何が行われようと、どんなことを起こそうと、彼らの間だけですべてのことは片が付いてしまう。外側のものからはとやかくいわれることは何もない」(安岡章太郎「海辺の光景」より) | ||||
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