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渡された場面
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【この小説が収録されている参考書籍】
渡された場面の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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「犯人捜しを楽しむのがミステリー。犯人は既知で、その犯人をどう追い詰めていくかがサスペンス」という一つの定義がある。 それでいえば、この作品はサスペンス。 蟻の一穴天下の破れ、という言葉の通り、ほんの些細なことからアリバイが崩されたり、犯意が明らかにされる。これがサスペンスの本領。 「霧の旗」で初めてその面白さを知り、以来、清張作品を読み続けてきた。構成上の必要性・重要性はもちろんだが、どのように緻密な犯罪であっても、彼の犯罪小説の根底に「悪は許さない」「悪事は暴かれるべき」という清張の信念を感じる。 渡された場面とは象徴的なタイトルである。 「渡された場面」のようなことが起こるか、という議論はあるにせよ、こうした展開が異なる場所で起きた事件を結びつけ、解決に導くというプロットを思いつくのは流石である。作品としては言葉足らずな点も感じられるが、面白い作品だと思った。 昭和51年に書かれた本作だが、スマホなどを使ったやり取りがない点を除けば、古さを感じない。ただ、最後の下坂の尋問調書はカタカナ書き。戦前ならともかく、当時もこの書き方が公式だったのか?と思った。 余談だが、本書購入と前後し、たまたま再放送された本作のTVドラマを見た。 ストーリーが整理され、文字の不足部分も上手く補われ楽しめる良作と感じた。 下坂との将来に淡い期待を持ちつつも薄幸な人生を送る哀しさを、真野信子役の高岡早紀が好演している。 | ||||
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うな丼に「しのび」というのがあって上にのっている鰻を食べていくと まん中へんにもう1枚うなぎが入っていてびっくりさせるものらしいですが この作品はそんな感じです。 邪魔になった女を始末するといういつものテーマと、 もう一つの事件は犯罪実録風強盗殺人で そこから急にモノクロになったみたいな暗い陰惨な雰囲気が漂う。 事件と6枚の原稿とのつながり方が巧みでじわじわときたし 登場した子犬の運命も印象に強かった それしかないだろうな、と。 メインのストーリーの方は、冒頭から文学的香気が感じられる というのもこの作品は文学志望の青年や林芙美子を愛好する女中、 旅の純文学の中堅作家、文学愛好家の捜査一課長などが登場し 著者の文学論や、さすがプロ作家の力量を示す6枚の原稿 も公開されるので しっかりと大作家の実力を示さねばならぬ立場だからだろう 佐賀県が舞台で、 清張の本物の九州弁が味わえるのも見どころだ 献身的に尽くしながら殺される信子さん 同人仲間の漁師の古賀、 妻の座におさまったキャバレーの景子さん 登場人物が皆、良い人で 犯人の下坂でさえちょっと可愛げがあり 読んでいて楽しさも感じさせるのは 九州弁の会話の妙味かもしれない 近頃の小説は 登場人物の誰にも感情移入ができない というのが多いが そういうのに当たりたくないものだ 小説はやっぱり愛でしょう、共感でしょう と この「渡された場面」を再読して思った。 | ||||
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松本清張の長編推理小説の中では比較的短い作品。あまり古さを感じさせない。 四国と九州で起きた別々の事件が絡み合い、「渡された場面」によって終盤へ埋まっていく。日常的ないくつものディテールをうまく活かした展開や結末は、さすがに松本清張。 前半の佐賀の小さな港町での描写がとくに印象深かったです。 | ||||
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私が購入した新潮文庫版ですと全部で250ページくらいあるのですが、 下坂が「盗作」したとされる肝心の原稿の内容が明らかにされるのが だいたい140ページ目くらいです。 そこにたどり着くまで弁論要旨とか捜査記録とか裁判記録などの記述が だらだらと(笑)続きます。 もちろんストーリーに関係する話なので読んでも無駄ではないのですが なかなか原稿の内容が明らかにされないので、イライラしてきて、 危うく途中で脱落しそうになりました(笑)。 清張の作品には、よくこういう手法が使われますね。 大好きな「砂の器」でも、急に音楽評論の話になったり 音響機器とか音の周波数の話になったり。 また「遠い接近」でも印刷技術の話が長々と続いたり、 ストーリーに関係する話なので読み飛ばすわけにもいかず なかなか我慢を要するのですが でもそれを乗り越えれば、後は怒涛の展開で、一気に引き込まれます。 この「渡された場面」もそうです。 あと以前飼っていたペットの犬と同じ名前の犬が出てきて 懐かしいなあ、と思いながら読み終えました。 | ||||
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久しぶりに松本清張を読みました。最初に愛情のもつれから起こる殺人事件のストーリーが展開し、読者には犯人が明らかにされます。この殺人事件の真犯人に別の事件を捜査していた刑事が「渡された場面」によってたどり着くという凝った展開です。あまりにも偶然が都合よく重なりすぎているようにも思いますが、松本清張の手法なのでしょうか。 | ||||
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超・大家の作品として「えっ!この終わり方でいいの?」と思いました。失礼ながら、エンディングは三文小説的。「そんな女など知りません、存じません」で通したら、どうなっていたんでしょうかね? 週刊誌の長期連載小説なので、重複箇所も多い。中盤の捜査関係資料はいかにも冗長すぎる。 しかし、こんな瑕疵にも拘わらず、本作は実はなかなか面白いのです。その面白さの根幹には、地方在住の文学青年。その文学表現上の稚拙さ。中央文壇への捻れたコンプレックス。これらに対する清張さん自身の冷たい眼を感じるからでしょうか。 40年来の清張ファンとしては、「やっぱり清張は面白い」と確認できる好篇でした。 | ||||
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2つの事件が見事につながっていく。とても面白い。再読を何度もしています。 | ||||
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実に面白かったです。偶然なんでしょうけど、ちょっとした気の緩み、ここまで自分本位になれるのか。刑事さんが小説好きじゃなかったら全然ばれてなかっんでしょうね。超有名な清張の作品より新鮮味があって感心しました。読んで良かった。 | ||||
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松本清張は、高校時代に北九州の小倉に住んでいたこともあって当時ミステリーをたくさん読んだが、その後は「昭和史発掘」などノンフィクションを読むようになった。この本は兄が最近蔵書を整理したときに、読んだことがなかったのでもらった本の一冊だった。読み始めるとぐいぐい引き込まれて、後半は一気読みしたが、最近ではめずらしい出来事だった。 犯人は途中から示され、警察がどのように犯人を暴いていくかを描写する倒叙形式だが、それに二つの殺人事件を絡ませ、どうして二つの事件が結びつくのかの発想が素晴らしい。また清張のミステリーを読んでいこうと思った。 | ||||
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二つの殺人事件とある作家の小説内容が結び付き展開する筋書きは面白い。ただ殺人を犯した下坂と信子が知り合った経緯(過去)が分らない。この本は、自分の小説、随想を書く上で参考になるヒントがありました。感謝の一冊です。 | ||||
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数多い清張の中でも出色。 筋(プロット)の展開が凝っていて、社会情勢や風俗の描写には力が入れられていない。序盤に話を発散させて伏線を敷いておきながら、中盤で一山あって終盤に上手に回収していく。清張っぽくないけどおもしろい一冊。 | ||||
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渡された場面は、犯人は分かっており、これを捜査当局が一歩ずつ追い詰めて、言い逃れできないできない状態に持っていく倒錯ストーリー。 渦は、それとは異なり最後まで真犯人は明かされない。逆転満塁ホームランを喫した投手の心境になる読後感。本当にすごい。それにしても視聴率をめぐる暗躍が本編の背後にあるのだが、松本清張大先生は詳しい。いつもながら感服。 | ||||
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松本清張氏は、巧妙なトリックやアリバイを使った作品や、巨悪を痛烈に批判し奈落の底に突き落とす作品、又、悪女を描いてみたりと多彩な作風が有ります。本作はとても奇抜な発想で、実に面白&可笑しく読んでしまいました。信子の存在は水上勉氏の「五番町夕霧楼」の夕子に重なってしまいました。 本作は倒叙式で書かれています。所謂、刑事コロンボの様に、初めに事件と犯人が分かっていて、それを捜査役の刑事が徐々に犯人を追い詰めてゆき、その犯人が狼狽える姿を楽しみにする手法です。この形式のものでは、貴志祐介氏の「青の炎」もお勧めです。 更に本作では、それとは別の冤罪事件を解決するという、二つのプロットから成っていて、複雑に絡め合わせて、話を一層興味深いものにしています。この手の場合、梗概が分かってしまっては読む興味が無くなってしまいますので控えます。 若い女性二人を、もてあそび二人とも懐妊させ、邪魔になった女性を殺害してしまう有名陶芸店の下坂一夫を犯人役に仕立てます。坊ちゃん息子の下坂は道楽(?)で小説を書いていて、殺された信子が下坂の為にと、密かに著名作家の原稿六枚を下坂に与えてしまうのです。下坂は、何食わぬ顔でその原稿を盗用してしまい、それを香春刑事が発見する処から話が展開します。これからは読んでからのお楽しみです。是非お勧めします。 少し違和感を思うのが、身籠った若き女性を殺害し土中に埋めてしまう下坂の事や、冤罪事件では、強盗に入り金品を奪い、更に、その女性被害者を姦淫してしまう鈴木延次郎の事を本来なら凶悪犯罪者であるべき二人を、清張氏はあまり酷く書いていない処です。 他の作では、世の中の悪習で利益を貪る者達に対しては強く糾弾していますが、この二人の罪に関しては、それ程に悪人扱いせず、むしろ少しユニークに感じる程に書かれている事でした。“罪を憎んで人を憎まず”と言った事なのでしょうか?それに対して、殺され土中に埋められた女心溢れる信子は、余りにも可哀そう過ぎました。 自らの悪行に怯えながら、犬すら嫌悪する下坂が六枚の原稿の盗用により、その罪が暴かれてゆく過程も楽しく読めました。更に、冤罪事件を晴らされる鈴木は「霧の旗」にも有る様な供述書の矛盾をコツコツと解明してゆく手法とが絡み合って、読み応えあり、実に充実した話だったと思います。 清張氏の多彩なジャンルの一片を伺った気がして他の作品も次々と読んでいってみたいと思わされてしまいました! | ||||
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松本清張ファンです。今まで200冊以上読んでいます。この作品は読んでいませんでしたがテレビドラマの再放送があり購入しました。清張の本は何冊読んでも外れはありません。この本もお勧めします。 | ||||
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一つの強盗殺人がもう一つの失踪事件に繋がっていく倒叙形式の作品で、 伏線が露骨に示されているので犯人がどう追い詰められていくかを推理する要素などは存在しないが、 話としては面白い 特にあれだけ男に尽くしたのに殺されてしまう女中が何とも切なくて哀れ ただ中盤の供述調書とラストの漢字とカナのやり取りは読んでて疲れるので、 その辺を読むのは少々気合が必要かもしれない | ||||
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先日亡くなられた坂口良子さんが、愛する男に殺される<哀しい女>を見事に演じていました。 とても印象深い作品でしたので原作を探していました。 さすが松本清張、…と言いたいところですが、それでもそつなくまとまった松本清張作品。ある意味「期待通りでした」。 ひときわ女優・坂口良子さんが際立った、といったところでしょうか。 | ||||
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清張の70年代後半の作品。社会的なテーマ志向ではなく、純粋な推理志向の作品である。 地方のアマチュア文学界を舞台にしているのも面白いが、完全に無関係の二つの殺人事件が主人公の小説盗作がきっかけで次第に結びついていく過程は倒述的な面白さもあり、さすが清張と言ったところだ。 ラストの犯人の追及過程が捜査資料という体裁になっていてカナと漢字交じりで書かれているため読みにくいがここは頑張って読むと最後の最後でボロを出す犯人の姿がより印象的に記憶されるだろう。 | ||||
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個人読書履歴。一般文学通算101作品目の読書完。1976/12/27 | ||||
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全く別々に起こったとされる二つの事件を、巧みに結んで物語を進めていく因果関係の妙味が醸したされた地方色の強いミステリー。中央文壇志向の青年の盗作した小説が事件のキーワードになっている作品。清張氏は、色々な作品に、「盗作」をうまく使う作家で、話を構成する力に人一倍長けていて、この作品にも随所に取り入れられて流石に面白く読ませてくれます。お勧めの本です。 | ||||
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ある旅館に一人の作家が宿泊した。係の女中としてついた信子は貧しい暮らしの中で文学に憧憬を持ち、『放浪記』を愛読し、恋人が作家として大成することを夢見ていた。 作家が部屋に残した草稿を見たとき、彼女はあることを思いつく。これがやがて起こる二つの事件を微妙なポイントで結び付ける。 松本清張作品は人物や情景の描写が素晴らしいが、中でもこの作品は漁村や旅館の景色が見えるくらいに精密で、情緒がある。 1つの事件が起こり、誰の眼にも留まらずに終わると思われた時に登場するのは、文学を愛する一人の刑事である。彼はたまたま見つけた文学雑誌の記事から事件の核心に迫っていく。 | ||||
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