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その罪のゆくえ
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その罪のゆくえの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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母親は泣く。にもかかわらず人生において母親であることは十分に報われるものだ、というのが作者のスタンスだと思われる。 セバスチャンは8歳の男児を殺害した容疑で被告となる。セバスチャンは11歳。頭の回転が速い無邪気な悪魔セバスチャンだが、本書の主人公は彼を担当する弁護士ダニエルだ。 過去と現在のシーンが交互に行き来するものの、視点を混乱させるなど小説として手の込んだ仕掛けは何もなく、その意味ではくつろいで読み進めることができるだろう。 ダニエルの「母」ミニーとのシーンは愛情あふれるものだが、一方でミニーに対する成人したダニエルの怒りが提示されるため、読者はそのギャップに気づき、不協和音の解決を求める自然な流れで作品に引き付けられるだろう。巧みな構成だと思う。 イギリスの裁判の仕組みは日本と異なるらしい。 イギリスでは10歳以上は成人と同じ刑事裁判を受けるという。 また、ダニエルは弁護士として被告少年やその両親に会って話を聞いたりするが、法廷で弁論を行なうのは別の弁護士だ。 有罪無罪は陪審員が決める。その陪審員を引き込むべく、被告側、検察側双方が弁論を闘わせるのだが、検察側も検察側の弁護士を立てて弁論を行なう。 検事vs弁護士ではなく、法廷で弁論を行なう専門職としての法廷弁護士同士の闘いが展開される。 映画では「潜水艦ものにハズレはない」そうだが、法廷ものの場合も結構それが言えて、とりわけ反対尋問をいかに切れ味鋭く見せるかが注目点。 法廷を仕切る裁判長がまた印象的で、老獪なのか天然なのか判じかねる。承認の意を表わすときの、手をひらひらさせる仕種がツボだ。 本書は作者の処女作とのことだが、「ダニエルの母」の対概念として登場する「セバスチャンの母」を主人公に据え、母親は報われると言えるのかを魅力的に描いた作品を期待したい。 | ||||
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