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Dの複合
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Dの複合の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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ミステリー作品なので、内容に踏み込んだことは記載を控えます。 昭和40年代初頭に、月刊誌「宝石」で2年半の期間で連載したものだそうです。 当時オンタイムで連載を読んでいた人たちは、続きを毎号楽しみにしていたことでしょう。 でも逆に疑問がなかなか解決しないことにイライラした人も多かったかもしれません。 著者自身、大まかな構想だけを持って、書き進めていく中でその後の展開を考えていったように感じます。 伏線を回収しているようで、かなり無理のあるところが多いと感じます。 登場人物についても、当初の構想とは違った役割に変えたように感じます。 読者の期待を膨らませすぎなのかもしれません。松本清張氏の作品には多い傾向ですが。 月刊誌の長期連載の場合、とにかく読者を引きつけることが重要なので、このようなスタイルになるのは仕方がないでしょう。 書下ろしが基本の現代の作品に読みなれている人からすると、少しスッキリしないかもしれません。 読者をできる限り引きとめるのが大命題となる月刊誌連載で、2年半という長期であったことを割り引いて読むべきものと思います。 しかし、2年半もの間、走りながら考えるというのは現代の作家にはなかなかできない芸当だと思います。 それでいて矛盾だらけにならずに作品をまとめあげるというのは、清張氏の並々ならぬ力量あってのことだと感心させられます。 ただ、「名作」とか「傑作」とかと持ち上げるつもりはありません。 清張氏の作品群の中では「並」の評価レベルではないでしょうか。 | ||||
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一気に読んでしまいました。最初の方はたしょう、堅苦しいというか日本の民話の話についてが多く、その知識がない私にとってはなかなか大変でした。しかし、その民話を土台にして、物語が作られているということが徐々に分かってからは一気に引き込まれてしまいました。さすが、松本清張だと改めて思いました。 | ||||
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しがない小説家と旺盛的な編集者が僻地を巡り伝承探しをしていたらとある事件を耳にし、 ちょっとしたオマケのネタを求めそれの調査を始めるという序盤は風情もあり面白いのだが、 中盤以降何とも煮え切らない浜中にぐだぐだ付き合わされる展開が延々と続くので どうにもすっきりしない 浦島伝説や羽衣伝説が現代の事件と関係しているわけではないというのも 流れ的にちょっと淋しいものがある 社会派的な作品としてもミステリとしてもいまいちなのでちょっとした旅情物として読むべき作品だろう | ||||
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清張氏の民俗学ネタを前半に絡めながら後半は復讐系ミステリーが展開する異色作である。 緯度と経度が重なる場所で次々事件が起こっていくという着想は非常に大胆で今読んでも面白い。かなり強引な符合も過去の事件の復讐譚としたことで不自然さを回避している。真相が最後あまりにかけ足過ぎる気もしないでもないが、複雑に絡んだ要素をうまく組み合わせて謎が謎を呼ぶ蘊蓄系ミステリーのクラシックと言っていいだろう。 | ||||
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売れない作家の伊瀬のところに創刊間もない雑誌から民俗学をからめた紀行文の連載が依頼される。それ以来伊瀬の取材先では奇妙な事件が起こり、果ては殺人まで。伊瀬は自分が犯人の企みに巻き込まれたことに気づく… 視点人物である伊瀬が、ワトソン役兼探偵役となる凡人探偵もの。随分久しぶりに読んだのですが、優れた作品だという印象を再確認しました。視点人物回りの造型が自然で、例えば伊瀬は売れない作家なので少々おかしな依頼でも受けますし、自分で動き回るだけの知識とコネと時間があります。奥さんの描写はさらに自然。状況の異常さを、仕事がらみの大量の蘊蓄と地に足の着いた人物で隠蔽しているわけですね。 この程度の蘊蓄推理ものは今ではよくありますし、本格として見ると、若干偶然に頼っている部分が多いことと細かな部分で情報の後だしがいくつかあることが気になります。それでも「社会派の旗手」である松本清張さんが1965年から1968年にかけてこういった水準の作品を書き、ベストセラーになったことを知れば、島田荘司さんや京大推理研を中心とした新本格作家たちがどれほどの覚悟で「社会派と戦う」ことにしたかを伺えるでしょう。そういう点では井沢元彦さんの「猿丸幻視行」(1980)も興味深いかと。 | ||||
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思いのほかつまらない。 とにかく旅先での電車とか地理の説明だけで何十ページもいく勢い。 鉄道好きなど、マニアックな方にはウケるだろうが、事件や人間関係の描写を主体にしたらもっと短い作品になったはず。 最後の種明かしはおもしろかったと思いますけどね。 | ||||
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先日宿泊した旅館が、松本清張さんがこの作品を執筆されたところでフロントで販売されていたので買い求めました。前半は旅行の情景を思い浮かべ、民俗学を学び、考えるのに精一杯で少しずつゆっくりと読み進めました。ですが後半は一気読み。綿密に張り巡らされた伏線に驚嘆すると共に作者の取材力、深い知識、文章力に感嘆いたしました。現代のリズミカルな作品と違うので慣れない分かなり読み終わるのに時間はかかってしまいましたが、たまにはこういった丁寧な文章にも触れていこうと思います。伏線が全て回収されたことも大満足。 | ||||
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ミステリーと民俗学(民話)のミックスを意図したようだが・・・結局、民俗学のほうは何にも本筋に関係がなかった。あれほど多くの民話にページを割いたのはわずかにそれをいいたかっただけ?、と唖然。ストーリーを引っ張る最初の謎となる主人公の取材先に浮かぶ数字の合致の謎解きも、期待度に到底及ばず。手が込んでいるというより、とにかく回りくどいというか何というか・・・。それぞれが必要とする根拠をさっぱり感じない。謎解き全般が到底納得できるものではない。最初は・・・という計画だったけど、・・・で心変わりして、たまたま・・・という偶然が加わり・・みたいなグダグダ感で、ご都合主義に偶然の要素が山盛過ぎて。唯一面白いと思うのは、最後のどんでんがえしだけどねぇ。確かに当時は画期的だったかもしれないけど。「ポートピア連続殺人事件」で遊んだ世代は、アリャこのオチかぁ、とがっかりするはず。 | ||||
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宮部みゆきさんの書く小説は、登場人物と出来事の絡み具合の巧妙さにほとほと感心して、好きになったのだけれど。 その宮部みゆきさんが責任編集した松本清張傑作短編集というものを先日読んで、宮部みゆきさんが松本清張ファンということを知ったのだけれど。 この「Dの複合」、今まで読んだ松本清張作品の中でいちばん面白い。 というのは、登場人物と出来事の絡み具合の巧妙さにほとほと感心したからだ。 さすが、宮部みゆきさんがファンになるだけのことはあると思ったのだ。 所々にコミカルな部分を織り交ぜ、殺人事件を追い求めているというより、主人公伊瀬忠隆の好奇心とぼくの好奇心がぴったり一致して、伊瀬の「次はここに行ってみよう」とか「これが気になる」という筋の展開に疑いもなく同意し読み進めていくのだった。 517ページの長編なのだけれど、3時間で読み終えてしまった。 でも坂口みま子さんが殺されることはないと思うのだけれど。 | ||||
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浦島伝説に興味をもった編集者と、 それに振り回されながらも次第にドップリとのめりこんでゆく作家。 話しは浦島伝説だけで終わるはずはなく、 クモの糸のように張り巡らされた伏線が、 いつの間にかあるひとつの終着点へと向かうのである。 Dの意味と時刻表、日本地図・・・。 半世紀も前にダヴィンチ・コードをしのぐ名作が、 この日本にもあったのだと言ったら大げさだろうか。 温故知新の極み、これ極まれり!! | ||||
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高橋克彦氏絶賛の一冊でしたので、読むのが楽しみでした。 時間がとれたので一気に読みました。 面白かったです。 しかし… 多分、この小説が書かれた頃には、とても新鮮な題材とストーリーだったのだと思います。 民俗学・神話・歴史と推理小説の融合。 うん、新鮮だったのでしょう。 しかし… 正直なところ、この2008年の今となっては、このジャンルは余りに手垢の付きすぎたものになってしまったのかもしれません。 本当に、正直、「なんだ、これだけの話か、」と思ってしまいました。 本当に、現代の目から見れば、良くある歴史推理物のレベルでしかないのです。 多分、現代の眼から清張先生の作品をどうこう言うのは余りにも不公正なのでしょう。 先駆者たる者、幾多のフェイクを生み出してしまうことは仕方のないこと。 そして、そのフェイクにまみれてしまうと、誰が先駆者かもいずれ分からなくなってしまう。 かつて江口寿史氏がそんなことをつぶやいていたシーンが思い浮かびます。 しかし、この作品に現代のレベルから見ても超絶級の期待をお寄せになられる方もきっと少なくないと思います。 この作品は、文化遺産として考える限りにおいて、またこのジャンルの先駆的作品として見る限りにおいて、とてもすばらしいことは間違い有りませんが、 今の視点から見ると、正直余りにも「普通」「ステレオタイプ」な作品になってしまっていることに言及する書評もそれなりの意味があるのかもしれません。 ああ、出来ることなら、高橋克彦氏のように、この作品が出た当時に読みたかった… | ||||
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作家の伊勢忠隆は、「月刊 草枕」編集部の浜中三夫から原稿の依頼を受けた。紀行文と随筆とをまぜた読みもので、「僻地に伝説をさぐる旅」というテーマで書いて欲しいというもの。依頼を承諾した伊勢は浜中とともに、浦島伝説と羽衣伝説にゆかりのある土地を訪ねる。ところが取材旅行を始めてから、伊勢の身辺に奇妙な事件が起きるようになった。取材旅行と事件の間に、何か繋がりがあるのだろうか? 不審を抱き、あれこれと推測を巡らせる伊勢と浜中であったが、やがてふたりは殺人事件に直面することになるのだった。 とまあ、序盤の話の展開は、こんな感じ。話の経糸に、取材旅行の過程で起きる不可解な事件の謎を追いかけつつ、緯糸では、浦島や羽衣といった伝説の蘊蓄を傾ける趣向になっています。そして、このからくりに潜むあるキーワードが明らかになる件りから、思いがけない方向に話が転じていく終盤と、読み始めたら止まらない面白さ。 また、「ああ、あの時の描写には……そういう意味があったのか」と、後になって思い出される何てことない場面での、用意周到な伏線の張り方。なるほどなあ、巧いもんだなあと、ミステリーを読む醍醐味を堪能しました。 さらに、事件の渦中で伊勢がシャーロック・ホームズのことを思い浮かべる場面では、くすりとさせられました。そう言えばこの作品、あるホームズ譚と一脈通じるところがある話かなあと。そのホームズ譚のタイトルは、ぐっとこらえて言わずにおきましょう(笑) それと、本文庫の解説は先に読まないほうがいいですよ。作品のミソと考えられる点を明かしてしまっているので。本書の趣向にあっ と言わされるためにも、作品読了後にお読みになることをお勧めします。 | ||||
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