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歪んだ複写
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【この小説が収録されている参考書籍】
歪んだ複写の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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2つの点で「またか」と思った。 1つ。エリートはただエリートというだけでいたぶり苦しめればよい、とでも言いたげな浅ましさ。「霧の旗」などにも通底する感覚。文字の上でエリートを弄び苦しめ気晴らしをする筆者と、それを読んで鬱憤をはらす読者。健康な姿とは言えない。エリートはただエリートになった訳では決してなく、エリート社会では一般人には絶対ついて行けない熾烈な競争がある筈。第一、日本の税務署では汚職が横行し日常茶飯事になっているかのように書いてあるが、誇大妄想ではないか。日本の公務員の腐敗度は、先進国基準でも世界基準でもかなり低位とされている。もちろん不心得者はどの組織にもいるが、税務署には腐敗官吏が溢れ、汚職が蔓延し、収賄天国になっているかの如く描く作者のシンセリティを疑う。これも結局権威へのルサンチマン(憎悪)なんだろう。 2つ。タイトルとストーリーの齟齬・不分明。本作もそう。「歪んだ複写」というタイトルで予想される事象はどこにもない。ムード的に付けているだけ。とにかく清張の作品タイトルはこれが多い。「眼の壁」「ゼロの焦点」「砂の器」「影の車」「時間の習俗」「霧の旗」・・・・・枚挙に暇がない。「Dの複合」「球形の荒野」などタイトルの意味が小説中で説明されるものもあるが、これはこれで頷けないものや薄っぺらなものが多い。 清張ファンの憤激を買うようなことを書いてしまった。しかし、私自身高校以来清張の本を数百冊読んできた人間だ。清張の小説の面白さ(主に初期短篇)もよく分かっているつもりだ。しかし、自己を省みて言うのだが、暗い怨念を社会の上位者にぶつけ、自己の劣等感の憂さを晴らしてくれる清張の小説が多くの日本人に読まれた時代は、善悪正邪を大まかにでも分けることができて、かえって幸せだったのかもしれない。 庶民の嫉み、妬みの表れという面も強い官僚・役人バッシングは今も昔もあるが、私見では、このバッシングの陰で、本当に悪い奴はよく眠っている、と思う。 | ||||
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新潮文庫の場合、表4のカバーに本の紹介がある。それによると、 「税務署の驚くべき内情を描く」とある。 これにつられて読んでみたのだが、「ありゃまー」と思うことはあっても「驚くべき内情」と思う人はいないのではないかと思った。 こんな誘い文句を書く人がいるから、真っ当な誘い文句が埋もれていくのではないかと思う。 とまあ、悪口はこのくらいしか見たららないのがこの小説だ。 松本清張の小説をここ最近読み続けてきてようやくわかったことが、探偵役は出だしでは決まっていないと言うこと。 今回もいったい誰が犯人で誰が犠牲者で誰が探偵なのか、よくわからないまま1/4ほどを読んでしまった。 多分、この新聞記者が探偵なんだろうと思うものの、ほかの小説で裏切られたことがあるのだ。 そのくらい、松本清張は構成に凝っているので予断を許さないのだ。 しかし、終わり方はあっけない。 予想外の犯人が予想外の動機を示すモンだから、松本清張は人を信じる性格だったんだと思った。 | ||||
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新潮文庫の場合、表4のカバーに本の紹介がある。それによると、 「税務署の驚くべき内情を描く」とある。 これにつられて読んでみたのだが、「ありゃまー」と思うことはあっても「驚くべき内情」と思う人はいないのではないかと思った。 こんな誘い文句を書く人がいるから、真っ当な誘い文句が埋もれていくのではないかと思う。 とまあ、悪口はこのくらいしか見たららないのがこの小説だ。 松本清張の小説をここ最近読み続けてきてようやくわかったことが、探偵役は出だしでは決まっていないと言うこと。 今回もいったい誰が犯人で誰が犠牲者で誰が探偵なのか、よくわからないまま1/4ほどを読んでしまった。 多分、この新聞記者が探偵なんだろうと思うものの、ほかの小説で裏切られたことがあるのだ。 そのくらい、松本清張は構成に凝っているので予断を許さないのだ。 しかし、終わり方はあっけない。 予想外の犯人が予想外の動機を示すモンだから、松本清張は人を信じる性格だったんだと思った。 | ||||
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