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霧の旗
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【この小説が収録されている参考書籍】
霧の旗の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 1~20 1/3ページ
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現代、ここまで執念を持つ人間が居るだろうか?居るとしたら怖いし、まったくいないとなるとそれも恐ろしい | ||||
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社会からも法律からも拒絶されたとき、弱者はどう生きるのか。仮構としての法治主義に敢然と挑む少女の相手は法治の一方の象徴でもある高名弁護士だった。復讐譚として片づけられない彼女の苦悩。 | ||||
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文庫本で、344ページありますが、文章が簡潔で読みやすく、物語の世界に入りやすいです。 1959年に「婦人公論」で連載されたらしく、女性の読者に向けて書かれたのかと考えると、とても興味深いです。 主人公、桐子の、ちょっと理不尽な物の見方を、当時の女性たちはどう捉えたのだろう。 この桐子というキャラクターは、むしろ21世紀における現代社会のほうが現実的ではないだろうかと思いました。 闘う相手は、社会的に何不自由のない地位に立つ、有名弁護士。 正義感、道徳、社会的な信頼、全てに於いて申し分ない、模範的な人間です。 そんな人間だからこそ、心の内にある、良心、正義感、誇り→(これが恥へと変化)という弱点をつかれ、その隙間から倫理観を追求され、自ら身を滅ぼしてしまう結末です。 大塚弁護士には、桐子の問題について、何の落ち度もない。 大塚が桐子を助ける理由はどこにもないのです。 でも、社会的地位の低い、弱者という立場の人間、特に女性からすれば、そんな人間が許せない。 第二の殺人を機に、今度は大塚が、何よりも大切なもの(それは愛人の径子)のために、桐子と同じ立ち位置につく。 決して、桐子は許さない。 それはとうに、兄は死んでいるから。 大塚弁護士が自ら崩壊していく様は、女性読者からすれば、これは少々残酷かもしれませんが、気持ちがいいのかもしれません。 第一、第二の殺人事件は共に、犯人が特定されないまま、暗示だけで終わってしまうのも、桐子の心境に注目して欲しいという作者の主張が伝わってきます。 1965年に、山田洋次監督、橋本忍脚本で制作された映画は、最後に、桐子の手紙を読む検事を前にする大塚弁護士に少し脚色がつけられています。 原作では、桐子の偽りの手紙の内容を聞いた大塚が、桐子が身をもって復讐に挑んだ、彼女が自身の純潔を捨ててまで復讐を果たしたことに対して、潔い罪悪感をもって、罪を認めるのです。 一方、映画では、強姦されたという桐子の手紙に動揺した大塚が、身の潔白を訴えようとします。 そして、映画の台詞には、「純潔」という言葉を「処女膜」という露骨な言葉で表現しているのです。 ここは、如何にも男性が書く脚本、映像で表現するのに面白いアレンジだなと思いました。 映画について気づいた点は、映画版のレビューも書かせていただいたので、目を通していただけたら幸いです。 文庫本の解説(文・尾崎秀樹)はとても面白かったです。 「一見偶然ともみられる出会いのなかに、現代社会における必然性なありかたをもりこもうとする意図。 それは作者の現代の悪との対決でもある」 もう一つ松本清張が、「黒い手帖」に書いた一節というのが面白いです。 「今まで推理小説と申しますと、大抵、ピストルが鳴ったり、麻薬の取引…… (中略) それよりも、生活に密着した、われわれ自身がいつ巻き込まれるかわからないような現実的(リアル)な恐ろしさを描いたほうが、どんなにそれが淡々と静かな文章で書かれていても、ずっと大きな戦慄を感じさせることになるのではないかと思います。 この考え方を発展させてゆきますと、将来の推理小説というものは、個人的な動機のみならず、社会的な組織の矛盾を衝くことによって、もっともっと押し広げられ、もっともっと大人の鑑賞に耐え得る文学にまで高められうると私は考えております」 解説の中では、他にも「裁判制度の矛盾」「社会一般の事なかれ主義」「なれあい主義」にたいする容赦ない批判という言葉が目に止まりましたが、21世紀の現代社会でも、SNSでは「正義」の名において、無敵の「矛」と「盾」を振り回すユーザーたちが、いずれ自分に戻ってくるであろう、巨大なブーメランを、この作品は既に予言しているのではないかと、自分勝手に解釈してしまいました。 | ||||
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登場する弁護士は,悪徳弁護士ではない、しかし依頼を断わられた彼女からすれば、怨みがすべて弁護士にいくのは、世間知らずからくるものとは考える事が出来ないのがつらい | ||||
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凄く素晴らしかったです | ||||
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説明の通り帯の焼けはあったものの、経年を考慮すると大変状態の良いものでした。 本自体は、もっと状態が良く使用感の無い大変良いものでした。 | ||||
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殺人犯の濡れ衣を着せられた兄柳田正夫の無実を信じて高名な大塚弁護士に弁護を依頼するも、足元を見られて断られた柳田桐子。獄死した兄の無念を晴らすべく桐子はホステスとなり復讐の機会をうかがいます。 ふとしたきっかけで柳田正夫の事件を大塚が調べてみて正夫の無実を確信するところから事態は転回。殺人犯扱いされた大塚の愛人の冤罪を晴らすために、現場に居合わせていた桐子に証拠の引き渡しを「眼や耳から血が噴き出る思いで」懇願、ことを終えた後桐子の遠大な意図に気づいて「身体の血が逆流する」思いに囚われる場面が最大のみどころ。 殺人犯の真犯人は仄めかされはするものの明らかにはならず、人間関係の偶然が重なりすぎているのではないかという点はさして重要ではなく、思い詰めた女性の執念に戸惑い恐怖する男性を清張は描こうとしたのでしょう。 ストーリー自体はわかりやすいもので、何度も映像化されていることも納得できます。 | ||||
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松本清張ファンです。サッと一日で読めました。内容は冤罪を晴らす目的で上京する所から発展しますがその時の若い独身女性の描写が上手くできていると感じました。それと弁護士の本質もまたよく掴めていると思いました。何しろ読むに越した事はなく特に法律家は一般の方より知識に長けていると多くが鷹を括っていると思われますから自らその先をいくに越した事はありません。私は読んで良かったと思っています。杉の木があるところに霧はかかりやすい。霧は杉に近寄らない方が良いですね。木の名前にも注目しています。霧は桐とも置換えられ、例えば武者小路実篤の友情の杉子と武子。余り書きますと失礼になりますね。すみません。山村美紗さんの京都祇園殺人事件も女の復讐というおなじテーマに思えました。しかし、事件に発展する前に何らかの解決で留まって欲しいものですし、私もどうすれば良いか考えながら読みました。 | ||||
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弁護士は意外に脆い | ||||
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キンドルで字を大きくして読んでます、何十年振りに読んでますが、松本清張の初期の作品でもここまで複雑に出来たのかと驚いてます。 | ||||
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テレビドラマ3本(古谷一行・海老蔵・椎名桔平)をみた後、原書を読みました。人間共通の性(さが)として、ことの正義不義を問わず恨んだ相手を落とし入れたいとの心理状態はしばしば発生し、それが増育して喧嘩仇討ちテロ戦争に発展するが、それには自己犠牲が伴う。自己犠牲を伴わない方法は相手を冤罪に仕立てることで、それに無意識に気が付いた柳田桐子が湧き上がる気持ちを昇華させながら犯行に至る過程を松本清張はものの見事に描いている。殺人だけでなく冤罪捏造犯罪を題材とするミステリーはもっとあってもよい。モリカケを冤罪に仕立てようとした一部の新聞報道に賛同して攻勢を強める野党の有様(ありよう)を、それをネタにして儲けようとした週刊誌を含めて小説化したら素晴らしいと思う。松本清張・山崎豊子亡き後、誰に期待すればよいのか。 | ||||
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何度も映画化、テレビドラマ化された中で私が視たのは、大竹しのぶ主演と堀北真希主演の二つだけだが、印象に強く残っていたので今回原作を確かめてみた。 驚いたことに、作者清張の力点は全く違っている。一言で言えば、それは無実の罪は許されないということだった。 これに対し、ドラマでは社会のいい加減さ、中途半端さが強調される。弁護士大塚にせよ不遇の桐子にせよ。最新作に至っては桐子の純愛、純潔の話になってしまっている。堀北ファンにはそれが望みかもしれないものの、木村佳乃扮する径子までが女の正義で締め括って女の言い分の方が正しい、という露骨なエンディングを見せ付けられると、そりゃねぇだろと逆に思ってしまう。これは清張の意図、主張からかけ離れている。 清張が「好き」としか表現していないものに対して、つまり愛などという言葉は一言も出てこない原作で、堀北に「愛て永遠のものでしょ」とまで言わせている、墓の話までにしているディレクターも解ってやっているには違いないだろうから、大胆と言えば大胆、圧巻と言えば圧巻、やり過ぎと言えばやり過ぎであろう。 | ||||
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後味の良さ、清々しさとは無縁の本です。 復讐の標的とされる高名な弁護士と巻き添えを食う愛人のレストラン経営者の女性からしたら災難以外の何物でもないのですが、一方で、裕福であるか否かによって有利不利が生じる裁判制度の理不尽さが、真実の追及よりも弁護士を完膚なきまでに叩きのめすことに執念を燃やす主人公の行動に単なる逆恨みとして無視しきれない説得力を与えているような気もしました。 弁護士が調書を読むところと、人間関係の偶然が折り重なるところは自分には少々くどい感じがしたので星を一つ減じました。 何年か前に、この小説を原作とする市川海老蔵が弁護士役のテレビドラマを見ましたが、制作サイドの良識というか常識が働いのか知りませんが、ラストが改変されていました。しかし、やはり原作のような復讐の貫徹がこの物語の核心だ思います。 | ||||
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もうこの作品は何度読み返したかわからないくらい読みました。清張の本はほとんど(と言うか全て持っていた)のですが、引っ越しの際なくしてしまった作品も多数あることには変わりありません。本当の事を言えばどういう展開になり、最後に何が起こるのまで知っているのですがあえて購入に踏み切りました。追伸:以前買った文庫本より活字が大きくなっていますね〜。 何故なのでしょうか | ||||
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桐子は径子を無実の罪で陥れるだけではあきたらず、自分の肉体までも犠牲にして、さらなる復習を大塚弁護士に対して遂げる。ある程度この結末は予想できるが、最後に本当は大塚弁護士を助ける方向にいくのか、さらに陥れる方向に行くのかわからないまま読み進める緊張感はたまらない。 | ||||
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真実はいかに K市の老婆殺人事件の真犯人は さらに山上はどうなるのか | ||||
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ヒロインは無実の兄を救いたい一心で主人公の弁護士に弁護を依頼します。でも多忙を理由に弁護を断ります。そして、兄は無実なのに獄死しますので殺人犯の汚名はとれません。ヒロインの怒りは弁護士に向けられます。そして今度は立場が変わって主人公の愛人の無実を証明するためにヒロインの証言が不可欠になります。 ヒロインは嘘の証言をして愛人だけでなく主人公の弁護士をも破滅させるのです。それは文章化できないくらいアクドイ手法です。 これはもうたまりませんね。救いようのないラストです。 過去に倍賞千恵子、山口百恵で映画化され、最近では、城北真希(名前の字、間違えていたらすみません。)の主演でテレビドラマ化されました。まあ、ヒロインは悪女です。被害者転じて加害者となる典型的ドラマです。 松本清張はこういう話を書かせたら本当にうまいです。原作、是非読みましょう。救いようのない面白さです。 | ||||
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「霧の旗」とは何の謂か。清張は意味不分明なタイトルをつける悪い癖があるが、本作もそうですね。思わせぶりの良さもいつもいつもではねぇ。 脂の乗り切った時期の作品なので、筆致は読みやすく流麗。ただしテーマとなると?ヒロイン桐子の復讐は、要するに逆恨みに過ぎないし、大塚弁護士はその被害者と言えるのではないか。大塚の愛人の絡んだ事件を併置することで辛うじて因果物語としては成り立っているが。 「エリートはエリートというだけで庶民の憎悪の対象とすべき」とでも言いたげだが、これって浅ましくないのか?清張の人気を支えていたのが、庶民のある種の妬み、嫉みだったとは言え、こうまで理不尽でエキセントリックな復讐は「とてもついて行けんわ」と思う人(特に男)は多いと思う。 大塚に弁護を断られても他の弁護士は大勢いるのに、ただ一途に大塚を怨む。殺人現場で工作までする。偽証する。兄の冤罪などもうどうでもよいとまで絶叫する。女を武器に大塚を籠絡し罠にはめる。自分の処女まで投げ捨てて大塚の名誉を汚す。桐子はまさに異常者である。異常者に痛めつけられる大塚欽三が可哀想に思われてくる。清張さん、この物語、これでよかったんですか?いくら「婦人公論」連載小説でも、このヒロインは「自立する強い女性」ではなく、魔物。これでは女性蔑視ですよ。国家権力を支える法体系や裁判制度を批判するには、異常者の狂気によるしかない?私にはそうは思われませんが。 | ||||
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高校生だったある日新聞で所得番付けに目を通すと松本清張が首位に立っていた此奴は何者なのだ? おとうに聞くと作家だと教わった。その後彼の作品を全て読破したつもりだった二か月前テレビで清張特集があった懐かしさのあまり思い出しながら視聴させて貰ったが何処か違うストーリーはほぼ同じなのに脚本が現代風に差し替えられていたのだ、その日は何も考えずに眠った 翌日眼を覚ますとネットでキンドルを取り寄せている己がいた。出会いから45年ぶりに再読すると全ての疑問に解決した自分がいた。 清張生誕105年で時代は大きく変わった半生の記を読み彼の生き様は貧困 差別 戦争の体験を味わった苦い思いをペンで発散した天才だつたのだ学歴なくとも努力さえすれば道は開かれるという事を不語実行した凡人には近寄りがたい類を見ない才人ではなかろうか 再度全作品を読まずに死ねるかという結論にいたった。 | ||||
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もしも、身近な人が冤罪になり、 そのまま冤罪を晴らされず亡くなったら…? それからはじまる怖い復讐の物語です。 純粋な心を持って有能な弁護士に頼んだ若い女性。 しかしながら、有名・有能ゆえのプライドゆえに それを断られてしまいます。 その結果彼女の兄は汚名をそそぐことができずに 亡くなってしまいます。 本来ならば弁護士側には 多忙、金銭面の問題から 非はないはずですが、実はこの男は 決定的な弱みを持っています。 (グレーなことをやっているのと倫理的に…) 結局偶然によりその女性に 弱みを握られることとなります。 そして… この作品ほど「もしも」があればと思いました。 ラストの究極のことは 虫唾が走るかと。 | ||||
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