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手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全538件 261~280 14/27ページ
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弟の大学進学の資金のために、ある家に盗みに入り、衝動的に殺人を犯してしまう兄。加害者側の家族である弟を主人公とし、強盗殺人犯の弟というレッテルを貼られ、周りからの差別や偏見を受ける苦悩を描いている。 主人公の気持ちもよくわかるが、周りの人々の気持ちもわかってしまうのが悲しい。自分は、周りにそういう人がいた場合、すんなり受け入れることができるか、と考えると率直に「ハイ」とはいえないのである。攻撃するわけではなく、守ってしまうと思う。変に気をつかってしまうような。 お兄さんの手紙は、とても気持ちのこもった手紙であるが、それを次第に弟が捨てていく描写が出てくる。とても悲しくなるが、同時にしょうがないのかもしれないとも思ってしまう。 罪を犯すときは、自分の周りの家族や友人が受ける差別や偏見を含めて罪であることを忘れてはいけないってことだね。法に裁かれるのは当人だけかもしれないけど、社会的に裁かれるのは当人だけではないのである。 | ||||
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この本を読んだ後、涙が出ました。とても深く、そして重い作品です。犯罪を犯した遺族の人生を描写しているのですが、そこには色々な障害があります。その障害を乗り越えるためのアドバイスをしてくださる方もいます。(私はそのアドバイスが本当に心に染みたんですが) しかし、それでも彼はこれからも苦しんでいくのでしょう。答えはないのです。 最後のimagineの終わり方は、何度読んでも泣けてきます。 読後いつまでも残る余韻、、、東野さんの本の中では白夜行と1、2を争う秀作だと思います。 | ||||
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「読んで泣ける本」と聞いたので本書を買ってみました。 泣くことはなかったけれど、考えさせられる本でした。 私にも10年以上会っていない兄弟がいます。会おうと思えば会える距離に住んで おり、喧嘩したとかでもないのですが、年賀状のやり取り程度しかなく、何か特別 な用事がないと会おうということにならないのかな、と不安もあります。 本書の設定は加害者の家族を取り巻く環境(=人生)への影響について、偏見、差別 を考えさせられる内容になっています。しかも、主人公を通じて読者が偏見や差別の 当事者となっている可能性のある社会に対して、どのように読者は考えるのか? 仕事や社会生活を通じて、きれいごとを言う人も多いけれど、人間の性悪説みたいな ものを感じます。私も仕事なんかで人格を否定されるようなことを言われたことが あるけれど、そういうあなた自身は完璧な人間なのですか? | ||||
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犯罪加害者の弟、直貴。 非常に重たい問題だ。それを小細工一切なしで真正面から受け止めた作品。 彼をとりまく環境を、ひたすらリアルに描いている。 綺麗事は一切ない。道徳なんて関係ない。 そこには、ひたすらに本音で接する人々がいる。 P173「直貴には幸せになってほしいと思ってはいる。だが、自分は関わりたくないのだ。誰か別の人間が助けてやればいいのに―それが本音なのだ」 こんなことが書いてある小説が、他にあるだろうか。 幸せをつかみかけては、それが台無しになる。 これの繰り返しだ。 だがそんなことを繰り返しながらも、状況は確実に変わってゆく。 大枠で見ればテーマはひとつだが、さまざま要素が絡まり合ってくる。 P319「我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる―すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」 差別の正当化とも言うべきこの発言は、非常に印象的でした。 とにかく、読者を物語に引き込む力がすさまじい。 では、あなたならどうしますか? そして考える。 その結論はすでに本に書かれているのだ。 自分もこの人達と同じような行動をとるだろうなー、と考えてしまう。 読者を当事者にする。これこそが読書の魅力でしょう。 娯楽としても楽しめるように、最後の結末もショックが緩和されるように作ってある。 素晴らしいですね。 それでもやはり、読んだあとは落ち込みました。 | ||||
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次から次へと読み進みたくなる筋書きで、東野作品は初めて、且つ読書スピードが遅い私でも一気に読めました。背景も知らずに読み、メッセージを探ろうと深く読んでいたわけでもないのに、心に響いたし、結果として考えさせられる小説でした。 加害者やその家族が被害者(の家族)にわびる。当然のことだと思います。服役者が、刑務所から自分の家族や被害者の家族に手紙を書くのも、当たり前の事だと思っていました。でも、それが受け取った人間にどういう物理的・心理的影響を与えるのか、考えが及んでいなかった事に気づかされました。家族をいっとき助けるつもりの犯行がかえって、どれだけ長期間家族を苦しめる事になるのか。贖罪のつもりで刑務所から手紙を毎月書くことが、受取人に及ぼす影響は?結局、服役者は何故手紙を書くのか?最終的に、加害者家族と被害者家族それぞれが取る行動は・・・?この本は小説であり、あくまでもその一例と分かっていても、犯罪者とその家族、被害者とその家族の立場が少し分かるようになりました。 後ろめたい事も包み隠さず、差別や偏見の目と闘うという生き方や、もう少し広く言って正々堂々とした生き方は、大変な苦労を伴うし、世間では潔いと好意的に受け止められ、周囲の居心地を悪くすることも無いと思っていました。でもこれを読んだあとでは、そうとも限らないのではないかと思います。社会の中で、自分にとっても他人にとっても居心地良く過ごすためには、別の方法もあるのではないか。そしてその生き方を貫く方がむしろ、相当な痛みも伴うのだろう、と。 幅広い人に読んでもらいたい本です。 | ||||
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最初に、もしこの本を人に薦めるかと聞かれれば、答えは『はい』です。421頁(東野作品としては珍しくもない厚さですが)を一気に読んでしまいました。生意気な言い方ですが一読の価値のある本だと私は思います。ただ、東野作品を『放課後』『魔球』の頃から読ませて貰っている一読者としては、この作品を感動作品と形容するのもちょっと違うかなと言う気がします。氏の多くの作品のように、理不尽な運命の渦に巻き込まれ翻弄される人間の苦闘、そして人生の奇麗事でない現実に読む者の心が鷲掴みされるとでも言うのでしょうか。特にこの作品は犯罪加害者家族の目線で描かれていますが、彼に遭遇する様々な人間の姿がそのまま私たちの姿でもあり、読者にただの傍観者である事を許さない厳しさを感じさせます。最後に、これは文庫本の良い所ですが、井上夢人氏の解説も参考にされると更に作品が面白くなると思います。 | ||||
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作者は実際にこの弟のような境遇に立った事があるのだろうか?と思える位に 犯罪者の肉親としての立場を緻密に描き切ったと感じました。 ささやかな、やっと手に入れたと思った幸せがことごとく壊れていく。 そしてその境遇に立たされる弟に対して罪悪感を抱くこと以外何もできない 犯罪者の兄。 そして「差別はね、当然なんだよ。」というくだり。。 テーマは重く悲壮感が漂います。しかしとても面白い。 それは弟が人間としてどんな困難な局面に対峙しても立ち上がり成長していく 物語、そしてその弟の成長だけを生きがいとし、深い悔恨と懺悔の気持ちを 抱きつつ兄もまた成長していく、二人の愛の物語だからだと思う。。 | ||||
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有名なこちらをおくらばせながら読んだ。もっと早く読めばよかった。この作家を毛嫌いしていたが、このような作品を書いた人の小説は、全て網羅したくなった。すばらしい。の一言。内容も、構成も、余韻も。そして考えさせられた。 | ||||
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兄が殺人者ということで差別を受け続けている弟の話でした。幸せを掴みかけたらダメになり、それの連続でした。読みながら「あっ!」て独り言いってしまいました。差別はなくならないことが前提で生活していくことの重要さを感じました。今のイジメ問題も同じことかなぁ・・・。イジメはいつの時代も誰に対してもあるものですよね・・・。 | ||||
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「秘密」ではサイドストーリーとして描かれた加害者家族の物語を真正面から描いた力作。差別を扱った内容は重いが、ぐいぐい引き込まれた。 強盗殺人犯の兄が刑務所から主人公である弟に宛てた手紙を中心として様々な手紙が出てくるが、なかでも主人公が兄に送った最後の手紙がリアルで心打たれた。 加害者家族に焦点を当てる一方、被害者家族は序盤に軽く触れるのみで終盤近くまであえて描写しない構成がよかった。気が滅入る内容だが、どこか妙な爽快感(あまり適切な表現ではないが)を感じたのは、卑屈になったり無力感に負けたりしながらも、基本的には真面目に苦悩し続ける主人公の心情を淡々と丁寧に描いているからだろうか。 | ||||
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憎むべきは犯罪、それを犯す人間、と前置きしとく。東野作品の、一つの方向性における最高峰。読み手を選んでやむをえないし、教育的な意味で取り上げるのには賛成しかねるわ。知らなければならなくなったときに知ればいいんだこんなこたあ。世間知らずの甘ちゃんが、ちょっと答えの出しにくい現実を見つけるたびに「ぜひ教材に」ってのは、作品の影響力というより正直ヒトの感性を侮っていると思う。 あえてひとこと、圭吾こんなもんやないやろと言いたい。☆4つも☆5つもつけられてたらあかんやろと。そういうやり方でこの挑戦的な作品にボクなりの賛辞を贈りたい。 いわゆるフィクション、いわゆる物語からここまで大きくはみ出そうというのなら、もっと面白くなくてよかった。由美子はいないし、寺尾も社長もいない、主人公の心もここまで強くないし、容姿にだって恵まれてはいない、そんな作品は全く面白くもなければ一人の読者もいない。誰も知らない場所で、どんな光も届かず、人が殺され人が差別される。それがぼくらのすべてのはずだ。それがこの社会、現実そのものだ。 そのクソ現実に、いまだに奇跡のようにあたたかさが宿っている。現実を知らない人たちが灯す明かりを頼りに、なんとかぼくらは生きている。だから主人公はもっと救われなくてよかったし、ぼくらはもっともっと困惑してよかった。迷い続けるよりは、偽りの光でも見えていたほうがいい、というのがこの作品のラストだと思う。いびつな解釈だと自覚して。 この世界はクソだ。はずみで人が殺されるし、意味なんかない悪意が渦巻いている。 そのことを、あたたかな家庭を持ってさえ、ボクはひと時も忘れない。 | ||||
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弟の学費のため、強盗殺人を犯した兄。刑務所から月に1度、弟・直樹のもとへ手紙が届く。直樹は、進学、恋愛、就職等ことあるごとに強盗殺人犯の弟のレッテルがつきまとう。到底、兄の手紙など、煩わしい過去を思い起こさせる材料に過ぎない。幾多の困難を乗り越え、やがて直樹は犯罪者の弟であることを無理に脱ぐことをやめて、いきようとした。だが、堂々としていることが果たして本当に潔いのか。愛する家族を守れるのか―。葛藤の末、直樹はある選択をする。全てを悟った兄と弟の思惟が複雑に交錯し、また直樹を支え続けたひたむきな妻の優しい心に感動する。犯罪者の家族が負う辛苦を痛烈に描き、犯罪者が背負うべき罪は、被害者への贖罪で終わらないことがよくわかる。著者は本書の中で、殺人の最大の悪は被害者の人生を奪うのは勿論のこと、人との繋がりを強引に絶ってしまうことと教えている。物語もさることながら、殺人行為は、自死であるとともに「社会性」の死という事実を顕然と示しており、犯罪の側面を見るにも恰好の良書である。 | ||||
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読みすすむうちに、一つの殺人事件を思い出した。ニュースなどで事件を知らされる一般人は、被害者の視点から事件を捉える。よって、いかなる償いをしようとも、家人を殺された恨みは晴らされないものと思う。 ところが、この物語は、加害者側の論理で始まるため、加害者側に感情移入してしまう方は少なくないと思われる。普通の人、むしろ社会の底辺に生きる彼が、意図せずして弾みで犯した事件だから、贖罪はできるのではないか、ましてや加害者の弟「直貴」は兄の犯罪と無関係に生きていってほしい、社会もそれを受入れるべき余地があっていいのではないかと、やや義憤を感じながら読む。弟に連帯責任はないのだからと。 しかし、被害者家族との対面により、僕は、はっと我に返った。いかなる償いも、殺された人を蘇らせることはできない。母を失った者の願いは「母を戻せ」だけだろう。刑期が終われば罪のすべてが、霧が晴れるように消えてしまうのではない。それと同様に、加害者の弟が背負わされる有形無形の社会的制裁も容易に消し去ることはできない。 この小説ではなく、現実の殺人被害者家族にしても、警察やマスコミからの接触を受け、あの家の人は殺されたんだと言われ続け、近所の方や知人と談笑することも憚られるだろう。それまで親しくしていた者も、どう声をかけてよいものやら当惑するだろう。死者を除いた残された家族が、例えば遊園地で楽しそうに遊ぶことはできるのだろうか。そんな気分はいつ取り戻せるのだろうか。そうした二次的な被害を、被害者側も生きている限り引きずっていく。これに刑期はない。 被害者側は、加害者に関係する全ての事を忌避するだろうし、たとえ謝罪の言葉でも、聞くに堪えないだろう。虚しいだけだ。今頃謝罪するのなら、殺さないでほしかったと。それらを感じながら、罪の重さを読者は傍らから体験することになる。そして、息のつまるような感動のラストシーン、しばし絶句である。 | ||||
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身内が犯罪者になった家族の物語です。 とても現実感があって、引き込まれました。 罪を犯してはならない社会と差別のなくならない社会は表裏一体かもしれないと思いました。 | ||||
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可もなく不可もなく。 つまんなくもないけど読んで得るものもないといったかんじ。 殺人犯の家族からの視点という設定は斬新だったけど、リアリティーが 感じられなかった。いかにも「つくった」感が強くのめり込めなかった。 また同じパターンの繰り返しも多く、登場人物の性格の整合性のなさも目についた。 重いテーマを選んでいる以上、もう少し深い考察がほしかった。 明らかに取材不足だし、内容も皮相。 「差別」というのがひとつのテーマになっているが私は差別より「偏見」といったほうが しっくりとくる気がした。。 多様性よりも協調性、個性よりも他の人と同じでないと安心できない 日本の国民性、社会の未成熟さがこの作品の評価を上げたのかもしれない。 | ||||
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人の感情が色々であるように、それぞれ意見は様々だと思いますが。。 私はこの本を旅先の移動のバスの中で読み、涙が止まらなくなって困ったくらいです。 兄の弟を強く思う気持ちが罪を起こし、弟にとっては非情なくらい重い事となり、そのお互いの通じない思いが切なくもあり、弟が最後には兄を自分の枠から排除。しかし、兄の思いを本当はよくわかっている弟が最後に取る手段にも涙。。その時の兄の思いを想像しても涙。。切なくて切なくて仕方ありませんでした。。今、内容を思い出しても胸がキューっとなります。。 | ||||
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本作は、犯罪加害者の親族という十字架を背負うことになった青年の、 過酷な青春と自立を描くものです。 卒業間近で成績も良い高校生の直貴は、孤独な再出発を余儀なくされる。 大学進学を断念し、その日の糧を得るために働きに出る。 人並みの青春を送りたい、己を向上させたい、素敵な女性と出会いたい…。 誰もが描いて当然の人生計画を頓挫させるのは、 服役中の兄から送られてくる手紙、そして、兄の存在そのものであった。 ひたむきな努力と持ち前の才能や容貌、 反面、兄のせいで不条理な差別にぶつかることの繰り返しから生ずる卑屈さや諦念…。 直貴の青年期の激動は、たしかに紋切り型の一面も見られるし、 特に朝美とのくだりは単純に嫌悪感を覚えずにいられないのですが、胸を打たれます。 ちなみに、由美子というかけがえのない存在が常に伴走してくれる点については、 ちょっと恵まれ過ぎではないの、と言いたくもなります(笑) なお、重大な意味を持つ後半の平野社長の差別論、 また、始終顔を出す世間の反応については、私自身消化しきれない部分もあり、 再読する機会があれば、よく考えてみたいと思います。 最後に、兄弟それぞれにとっての手紙の意味合いに気づかされる終盤、 特に兄の受ける衝撃については、悲しくはあれど最も感動させられました。 | ||||
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小説としては非常に面白く、読み出したら止められなくなって、 一晩で一気に読んでしまった。色々な面から深みがない、浅いという 評価も多いが、面白いか面白くないかで言えば間違いなく面白い本だ。 しかし読み終わって、どうしても納得のできないことが一点残った。 例の差別についてである。 東野圭吾が本気でそう言いたかったのか、単に小説の材料として使った だけなのかは定かでないが、「犯罪者はその家族も含めて社会的な 罰を受けるべきで、それが犯罪の抑止力となる」という主張がされて いる。これだけはどうしても受け入れられない。 私はこの世に生を受けてからもうじき50年になるが、幸か不幸か身内に 犯罪者がいるという人と接する機会はなかった(あるいはいたのかも 知れないが、それを告白されたことは当然だが一度もなかった)。 だからこのような差別があると言うことをにわかに信じられないのだ。 確かに今の世の中、面倒なことには関わり合いたくない、自分のトクに ならないことには距離を置く無関心な人々は多いだろう。また、実際に 世の中には様々な格差があり、決して平等ではない現実も知っている。 口では奇麗事を言っても、いざ自分に関わることとなったらあっさりと 差別をする人がいることも知っている。私だって正直に言えば、そういう ことが皆無だとは言い切れない。しかし決して多数ではないが、世の中の 矛盾に関心を持ち、立ち向かって行こうとする人々がいるのも間違いのない 事実なのだ。 例えどんなに抑止力になろうとも、犯罪を犯してもいない犯罪者の家族が 社会的制裁を受けるというのは間違っている。こういうことで犯罪が 抑止されているというなら、それは暴力すなわち力による抑止である。 こういう事がもし本当にこの日本で行われている(それも無意識に)と すれば恐ろしいことだ。私たちはそれを認めてしまうべきではない。 犯罪者本人だけでなくその家族も不幸になって欲しいというようなことを 本欄に書いた人がいたが、私にはその意見に何の正当性も見つけられない。 犯罪者の家族が社会から何の差別もなく生きていくことは、現実的には 難しいだろう。しかし私たちはそれを公に肯定すべきではない。やはり 長い目で見れば、否定し是正していくべきなのだ。例え犯罪率が少々 上がって世の中が物騒になったとしても、自分が犯してもいない罪で 社会的に罰を受けるような世の中より遙かに良いではないか。 | ||||
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読みやすくて引き込まれるけれど、一度読んだらもういいかなと思いました。そういう点でドラマっぽい本です。 すなわちこの本には奥行きが感じられません。登場人物の心情を丁寧に説明してくれる代わりに、こちら側がそれ以上想像する余地を遮断しています(たとえば恋人の父親に主人公が「つきあっていたことを言いふらす」と言った時の、父親の表情が変化する様の描写など)。結果的に、登場人物が全て「この人はこういう人なんです」という状態になってしまっています。また、意識的なのかどうかわかりませんが、情景描写が乏しいのも作品の平坦さに拍車をかけています。何度も読んで、「この人はこの後どうしたんだろう」だとか「この人はこのときどんな気持ちでこの言葉を言ったんだろう」などと考えることはないです。 この作品は社会問題にメスを入れるためのストーリーではない(社会派小説としては現実性に乏しい箇所が多いので)と私は理解していますが、そうであるならばエピソードを少し減らしてでも人物やその心理描写にもっと深みを出してほしかったです。 | ||||
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私個人の感想としてはあからさまに感動を促し涙を誘う小説ではないように思う。したがって、感情移入をして泣きたいがためにこの小説を読むと期待外れに終わってしまうのではないかと思う。だが、この小説が取り上げているテーマは重要なことである。普段ワイドショーなどで頻繁に人々の不幸が伝えられる。あまりにも頻繁過ぎてその事実の不幸さを油断すると忘れてしまう程である。この小説では、そのような犯罪が一つ起こることによりその被害者のみならず加害者にも多大な影響が与えるのかということを再認識させてくれる。また、日頃全ての人は平等であり自分は差別などはするはずがないと思っている人はこの小説を読んだ後、より深く差別について考える機会を持てるのではないか。 | ||||
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