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手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全538件 321~340 17/27ページ
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東野圭吾さんの本は初めて読みました。 映画化されていたことは知っていたのですが、話は全く知らずに読みました。 読んでいくうちに加害者側・被害者側の心情が汲み取れて切なかったです。 個人的に気になったのは中盤、主人公がどうなっていくかが簡単に予想できてしまうところ。 同じパターンの繰り返しだったように思います。 しかし加害者の家族も被害者でありながら、差別される。 社長さんの言葉がすごく重かったし、考えさせられました。 最後、本を読んで生まれて初めて涙があふれました。 映画の方は配役が合っていないように思ったのであえて観ないようにしようと思います。 | ||||
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「やるせない」小説を書くのが得意な東野さんですが この小説は最後の最後まで「やるせなさ」ばかりではありません。 人間の弱さを強さに変えてくれる優しさをこの小説は与えてくれます。 素晴らしい小説です。 | ||||
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ミステリーと呼ぶにはあまりにももったいない、良い社会派小説です。 と言っても、松本清張ほど固くなり過ぎず、登場人物の描き方、読みやすい文章、 幾重にも重ねられるエピソードが積もり積もって、ラストの「落ち」まで すいすい読めてしまいます。でも決して軽くない。犯罪事件の「加害者家族」について 改めて考えさせられました。 #個人的には、あの社長さんがすごーく小説っぽくって、「出なくていい」と #思ったのですが(笑)、あの人がいないと話が進まないですものね。 | ||||
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ミステリー・サスペンスの東野小説しか読んだことのない私にとってはとても新鮮な小説でした。被害者の立場、加害者の立場から犯罪というものを考えるよい機会となったのは確かです。しかし、メロドラマチックに感じられ、映画向け、お涙頂戴モノのように感じられました。とは言うものの、もっと泣きたいところでしたが、最後は案外あっさりと終わっていて、泣けなかったのは残念です。 | ||||
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本を読んではじめて泣いた。 文句なく素晴らしい傑作!!! 最近流行りの、ただ泣かせるだけの、 安直なストーリーなんかじゃなく、 日常にひそむ様々な問題を深く考えさせられる、 現代文学の最高傑作といっていい作品。 ぜひ読んでほしい、おすすめの一作。 冷徹なまでに徹底したリアリズムに基づいて書かれているのが、 何より好感が持てる。 本や映画にありがちな、絵空事的理想な話なんて、 そういう展開になりそうながら、 まざまざと現実社会の壁を見せつけられる。 しかもその壁をつくっているのは、 特定の権力者とかそういうことではなく、 私たち一人一人であることにまた愕然とさせられる。 でもそんな絶望的な世の中にも、 数少ない希望もあったりして、 そうした光を頼りに紆余曲折する主人公の苦悩と、 取り巻く周囲の人たち。 そして、ラストがほんとやばい! まさかこんなことになるとは・・・ あり得ない奇想天外な結末でもなく、 かといって予想しうる結末でもない、 なるほどそういうことだったのかと、 深く納得させられる実に示唆的なエピローグに、 私の目に自然と涙が浮かんできた。 | ||||
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東野圭吾さんの小説は初めて読みました。 犯罪加害者の家族の人生という極めて重いテーマでありながら 著者の筆致に暗さはあまりなく、一気に読めます。 社会派小説としてみると 法的な描写(裁判など)が少ない点、 主人公にボーカル(歌)の才能がありながら諦めざるえないシーン、 身分違いの恋愛で相手家族ともめるシーン、 幸薄い主人公を見守り続ける女性の存在など いささかわざとらしいトレンディードラマのような部分が見受けられます。 しかし、エンターテイメントとして見れば展開も 早く、飽きさせない構成は秀逸で、とても愉しんで読めました。 他の東野氏の小説も読んでみたいと思いました。 | ||||
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京都に住むとある歌い手さんのブログをきっかけにこの本を読みました。 弟を思いやる気持ちから、やってはいけないことをしてしまった兄の過ちのために主人公の直貴が歯を食いしばって築き上げてきたものが崩れていくさまに何度も何度も涙してしまいました。 ワタシは主人公の直貴と同じ境遇ではないのでその気持ちがわかる わきゃ ないのですが......。・゜゜(>_<)゜゜・。とにかく涙がいっぱい出ました。 本当の優しさとは? ひとを思いやることの微妙さ? 誰が正しく、誰が間違っているのか? 考えさせられる一冊でした。 由美子が剛志に直貴の近況を知らせたことを知り直貴が激怒した場面がとっても怖かったです。 実はワタシも由美子と同じく“ワタシが誰に手紙を書こうとワタシの自由でしょ派”で、 良かれと思って見ず知らずのひと宛に手紙を出したケ〜ケンが(・_・;)ひぃ〜ふぅ〜みぃ...。 だから...めっちゃ怖かったです。 | ||||
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またも映像化されている作品です。 私は見ていませんので映画ではどんな話になってるのやら? 沢尻エリカは可愛すぎだと思うけど。 このお話は肉親のいないたった二人の兄弟のお話です。 始まりは身体を壊して思うように働けなくなってしまった兄が、弟をどうしても大学に行かせたくて結局は強盗殺人を犯してしまいます。 そして兄は刑務所に入ってしまいます。 その為、弟は独りで生きていかなくてはいけなくなり働き出します。 そして新しい道を切り開くたびに犯罪者の弟ということで道を閉ざされてしまいます。 読んでいると弟に感情移入するのですが、この物語の終盤の弟の考えがちょっと分かりづらいです。 電気メーカーの社長の言いたい事は分かるんだけど、はたしてそれが最良の道なのか。 罪を犯せばその分罰があるとは思うけど、たった独りの肉親に対して縁を切る事はできるのか? でも最後の弟の行動はいったいどういう考えなのか、私一人で考えてても答えが出ないんですよね〜。 | ||||
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犯罪加害者の弟を通して、必死に生きる青年の葛藤を描いた力作です。 純粋無垢な高校生が徐々に、狡猾に社会と渡り歩くことを覚え、そして兄との絶縁を決意するまでの心の描写は何とも秀逸。それらはすべて社会の中で、人並みの自由と幸福を切望するための、生きる選択。この心理描写がこの小説の醍醐味です。これらは、青春小説として読むのが良いのではないでしょうか。自我や社会との接点とともに、自らの家族を疎ましく思うあの感情。その周辺で変わることのない家族からの思い。 加害者と被害者、そしてそれに本人の意思とは全く無関係に巻き込まれてしまった周辺家族が、人間らしさを取り戻すまでの再生とすると、少し心理描写に物足りなさを感じてしまいます。それはややデフォルメし過ぎともいえる不幸の設定が、その部分を相対的に希薄なものにしてしまっているからかもしれません。母子家庭、恋愛と恋敵、職場、結婚、そして子供。人生ゲームのように進んで行きます。それに対応する多彩なチャンスカード。女性を惹き付けてやまない容姿、メジャーデビュー、逆玉、社長からのアドバイスに、イマジン。 実際に犯罪に巻き込まれた家族の方々は、この小説を通して私が伺い知ることのない、苦悩と葛藤を日々抱えていらっしゃることと思います。 | ||||
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普段ワイドショーでは犯罪加害者家族の その後はスポット浴びないですが、 実際きっとこんなかんじでどこへ行ってもレッテルを貼られ 差別を受けるんだろうなぁと、いかにその境遇が不遇であっても やりきれなくて悲しくなってきました。 加害者家族もその罪の責任を背負わされるということを 犯罪を犯そうとする人は考えて欲しいですね。 由美子が社長に送った手紙は感動のあまり涙しました。 また最後の弟の手紙は長い苦悩の末やっと本音が言えた、と。 兄の答えも納得のいく答えでした。最後のシーンは泣けました。 実に重いテーマです。社会派小説が好きならぜひ。 | ||||
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確かに物語としては感動的です。 一つ一つの人間関係の大切さや美しさを感じることができ、その意味では魅力的な作品だと思います。 ただ、この本はあまりに設定が現実離れしており、少なくともこれを犯罪加害者の問題を考える題材とすることは非常に危険なのではないでしょうか。 まず問題なのは、主人公の兄の犯罪の性質です。 反抗の動機に同情すべき点があるために、読者は主人公の兄弟を「(犯罪加害者という)重大な社会的責任を負う家族」というよりは「一つの過ちで人生を狂わせてしまった無念の兄弟」という感情移入のもとにこの本を読み進めてしまい、最終的に一定の幸せを得た主人公に共感してしまうことでしょう。 したがって、犯罪加害者の家族が受ける社会的制裁に対してどうしても反感を持ってしまい、「犯罪は悪い」という基本認識が抜け落ちてしまいがちです。 この社会的制裁に関しては、終盤現れる人物によって「当然のもの」と一応フォローが入りますが、付け焼刃の感が否めない上、言っていることがあまりに立派な正論であるため、逆に現実的な説得力がありません。 また、弟は犯罪加害者の家族としてはあまりに恵まれすぎています。 幸せをつかみかけたところでいつも逃げていく、という設定ですが、そもそも(たとえ一般人でも)こんなに多くのチャンスが訪れるものでしょうか。 犯罪加害者の問題をとりあげるにあたり、作者はなぜ加害者に同情の余地を残したのか。なぜ主人公をこんなにも恵まれた境遇においたのか。そしてなぜ被害遺族はこんなにも物分りがいいのか。 たとえばオウム・麻原死刑囚の子供の入学拒否や信者の居住拒否ならびに被害者の未だ峻烈な処罰感情をみてもわかる通り、現実は加害者・被害者双方ともにもっと絶望的かつ悲惨です。 この作品を題材にこの種の問題を考えるのは無理があるし、そこで得られた思考はおそらくかなり現実離れした思考となってしまうでしょう。 せっかく重要な社会問題を取り上げているにもかかわらず、結局物語の中のきれいごと、感動ありきのフィクションといわざるを得ない点が、非常に残念です。 | ||||
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弟・直貴の学費のため、衝動的に強盗殺人を犯してしまう兄・剛志は獄中。 直貴は兄からの手紙にはことごとく返信をせず、しかしある時期に思い直して手紙を書くも、 犯罪者の兄を持つゆえの不幸から逃れるため、絶縁を決める。 もし典型的なハッピーエンドストーリーを書くならば、兄を最終的には受け入れ、 被害者家族とも和解し、という物語になるのだろうが、 小説でなく現実の世界の典型的なハッピーエンドとは、この小説と同じく、 犯罪者と縁を切ることでもたらされる結末なのかもしれない。 小説の典型と現実の典型がなぜか噛み合っていないテーマを取り上げて、 現実を小説で書くことに成功している。 犯罪者の身内に感情移入することで初めてその立場に立てるので、 「考えさせられる」小説になっている。 普段は社会派小説(なんだそれ)などつまらんと思っている私のような人でも 考えさせられてしまいました。 しかしまあ、主人公に思いがけず歌の才能がカラオケで発見されて、 デビュー直前まで話が進むなんてのは、子供だましじゃないんだからやめてくれーと思った。 あと、女の子の描写にリアリティがあまりないかも。由美子。 東野圭吾の恋愛なしミステリーを読んでみたいと思った。 | ||||
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『1987年にTBS系列で放映され好評を博した同名ドラマ(主演:村松雄基、伊藤かずえ、他)のノベライズ版ーーー』 なんていうと怒られるんだろうか。 でもとにかくそんなくらいにこの小説のディテールが<安手>なのだ。 富裕層の家族は田園調布に住んでいて、 そこの若い親族は紺色のBMWに乗っている。 主人公は初めて行ったカラオケで秘めた実力を見初められてバンドに加入し、 所属事務所もないそのアマチュアバンドはいきなり大手のレーベルから声がかかる。 しかもコンドームに穴を開けたらばっちり見つかった! 一事が万事この調子だ。 ばかばかしいにもほどがある。 これが二千年代に入ってから書かれたなんて 呆れるなというのが無理な話じゃないの? あんま読者をばかにすんなよおー、と。 で、それを置いといたとしても テーマの重さからして すべからくもっと粘液質な表現になるものだと思っていたが ずいぶんさらさらと話は進んでしまう。 でもこういう境遇に置かれた者の葛藤っていうのは もっと濁った沼地の藻みたいに ねっとりと足下に絡まりついてはなれないようなものじゃないのか? (そういう意味では兄や妻のホラー級な無神経ぶりは秀逸だけど) そして極めつけがこれ。 でたーーーー!!!こまったときのジョン・レノン!!! しかもやっぱり『イマジン』!!!!!! オノ・ヨーコはもっとこういう表現に異議を唱えるべきだと思うなぁ。。。 | ||||
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我欲ではなく、弟のためにどうしようもなく選んでしまった、資産家老女宅への強盗。そこではずみから犯してしまった殺人。兄・剛志は服役し、心から悔恨する。しかし、強盗殺人犯の家族という肩書きは、弟・直貴にどこまでもどこまでもついてまわる・・・。 兄・剛志は思慮浅薄ではあるが、決して悪い人間ではない。そんな「根は朴訥で真人間なんだけど、境遇に恵まれず、不運が重なって起こしてしまった事件」であるから、読者は同情し、弟・直貴が受ける差別を、より理不尽なものと感じる。 だが、それは本当に理不尽なものなのか? どんな事情を抱えていようと、彼には人殺しと同じ血が流れているのに?もし、自分が彼の隣人だったら?もし、自分が、被害者の家族だったら? 「差別は当然なんだ」と、社長・平野は言う。だけど、もし、自分が直貴の立場に立ってしまったら?その言葉を甘受できるのか?自分は何もしていないのに? アンビヴァレントな感情は、どこまでいっても収束せず、人間のあいまいさと複雑さを浮き彫りにする。 ひとつの犯罪は、被害者関係者はもちろん、加害者の関係者までもを苦しめ、広く強く影響を及ぼす。どんなに後悔しても、つぐなっても、何をしても、取り返しのきかないものがあるということを、剛志の、直貴の、そして緒方の苦しみは訴える。 | ||||
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本書は、犯罪加害者の家族(特に弟の直貴の人生にどう影響するか)を描いたものです。 もし、殺人者の親類が現れたときに、自分は彼らを差別しない自信はないだろう。変な違和感といいますか、何か意識してしまうことがあるだろう。騒がず、何も内容に扱うんだろうし、当事者になりたくないといって避けるだろう。 殺人を犯すということは、自分のみならず、加害者家族の社会的な死を意味する。だから、加害者家族が社会的に差別を受けるのは、ある意味においては当たり前なのだ。つまりマイナスからのスタートになる。それを解消するには、一から社会的なつながりをひとつずつ築く必要がある。 主人公の直貴は、兄の殺人を抱えながら生きていかなければならない。うまくいったかと思ったら、兄の殺人がばれた途端地獄へ突き落とされるような日々が続いている。家族を持ったとき、どう生きるのかを決めないといけないんだろう。家族を守るためにはどうすればいいのか。兄とどう折り合いをつけていくのか。 やはり、兄と精神的につながりを断ち切ることは出来ないんだよね。兄の最後の手紙や刑務所でのボランティアを見ると明らかである。最後では、何気なく兄とつながったんだろう。最後は感動したなあ。 | ||||
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弟が大學に進學するための費用をなんとかして作りたいと働く兄。 しかし、ハードな仕事で腰を傷めてしまひ、日々の暮しを支へるだけで精一杯。 魔が差したといふのだらう。 以前に引つ越し屋の仕事で行つたことのある裕福な家に空き巣に入つたのだが、そこには老婦人がゐて、その老婦人を殺してしまつた。 弟はその後の人生の至る所で、兄が殺人者であることによつて不利益を被る。 さうした經驗を重ねるに從つて、兄から毎月送られてくる手紙が次第に、弟にとつて不愉快なものに思はれてくる。 そして、弟は結婚し家族が出來ると、つひに兄に手紙を出すのだ。 「この手紙は私から貴方に送る最後の書簡です。また今後は、貴方からの郵便物は一切受け取りを拒否いたします。」 綺麗事ではなく、實際にさういふ境遇になれば、弟の決斷は非難することは出來ないだらう。 さうは思ひながらも、わりきれない、哀しい思ひに捉はれてしまふ。 弟は兄が殺した老婦人の息子のもとへ謝罪に行く。 氣にかかりながらも、兄の行爲を詫びることになかなか踏み切れなかつたのだが、兄の事件を自分の中で清算するためには避けて通れないのだつた。 そして、弟は、そこで兄が被害者の息子に出した手紙を見せられる。 その最後の手紙を讀んで、弟が取つた行動は・・・ さすがに東野圭吾である。 讀者のわりきれない思ひをそのまま放置はしない。 ジョン・レノンの「イマジン」のイントロがいつまでも流れてゐる。 やはり、人といふものはかうであつて欲しい。 | ||||
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直貴。 殺人の罪で刑務所に服役している兄をもつ。 直貴は、兄が殺人を犯したということで、周囲から疎んぜられる。 何かが、成功しそうになっても、もろくも崩れ去っていく。 「幸せ」を決してつかむことができない人生。 直貴自身が罪を犯したわけではない。 再度確認するが、兄が罪を犯したのだ。 しかし、社会は決して直貴を受け入れようとしない。 社長が、一本一本人と人との絆を紡いで信用を得ていくことで社会に少しでも理解されるように なるのではないか、というような言葉を発したときはそうかもしれないと思った。 しかし、殺人をした兄という、あまりに甚大な出来事に対して、 直貴がオープンにしたところで容易に受け入れられるものではない。 大多数が受容できない。 実直に生きることの価値について考えさせられた。 今度は、「兄が殺人をした」という事実を隠しながら生きていくことを選択する。 実直な生き方をしないことに対して、後ろめたい気持ちはあるが、 家庭を守るための直貴の選択は間違ってはいないと思う。 様々な苦しみを経験しながら、選択したのであるし、必ずこうした方がよいという マニュアルは決して存在しない。 本書の最後に、直貴は千葉刑務所でコンサートを開くくだりが書かれている。 兄に絶縁状を書いたので、もう二度と会いたくないという心情だったに違いないが、 直貴が、兄の罪から逃げることなく、殺人を犯した家族のところに謝罪に行く場面がある。 直貴は、兄が刑務所から被害者宅に手紙を出していたことをそのときに知る。 そのことでいろいろな気持ちを抱いた。 それもあって、以前の音楽の関わりもあって、刑務所で慰問コンサートをすることになった。 これは偶然ではなく必然であった気がする。 刑務所でコンサートを開くことの意味を直貴はどう理解していたのか。 そのコンサートを聞く兄は何を思ったのか。 「手紙」は、手元に残る。 筆跡からも、気持ちを考えることができる。 「手紙」がこのストーリーの中でもつ意味は果てしなく大きかった。 | ||||
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おもしろかったです。読みはじめからグッと惹き込まれ、 途中で止められず最後まで読みました。久しぶりに おもしろい小説を読んだ感じの満足感です。 身内の犯罪によって、どれだけ人生が狂わせられるか・・・ いくつかの実際の凶悪犯罪を思い浮かべました。犯人の弟は 就職などのとき、兄の事を隠すべきか公表すべきか・・・ 考えさせられます。未読の方はぜひどうぞ。おすすめします。 弟には、兄のことを話しても受け入れてくれる本当の味方が 2人いるのでよかった。 | ||||
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兄弟だけの家庭を守るために兄は必死に働き、ついには犯罪にまで手を染めてしまった。弟に対する思いから犯してしまった犯罪は兄の想像を超えて凶悪犯罪となってしまう。 この本は強盗殺人という凶悪犯罪を犯した弟の人生を描いた作品。主人公は凶悪犯の弟という理由だけで進学、恋愛、就職と次々に運命が閉ざされていく。 獄中からは毎月、弟を思う兄の手紙が届く。弟を愛してやまない兄。 しかし、その兄によって運命が閉ざされていく弟。 人は宿命とどう付き合い、生きていけばいいのか、また人の絆とは何か、ということを問いかける作品です。 凶悪犯罪犯の弟として生きる人生の苦渋を描いた名作。 150万部も売れているらしいです。 | ||||
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東野さんの本、好きかも!! って思いました。 今まで読んだ東野さんの本は、はずれがないもん! 手紙は、すごく色々考えさせられる内容。 兄が殺人犯であることに苦しめられる主人公。 そして、まったく関係ないその妻と子ども。 差別はいけないんだって教えられるけど、 必要な差別だってあるんじゃないかってちょっと思っちゃった。。。 いや、もちろん差別はいけないんだけどね。。。 場合によっては。。。というか。。。 上手くいえないけどね。 人の幸せを奪った人は、 やっぱそれなりの苦しみを味わう必要がある。 人の幸せを奪った自分は、 もっともっと自分に厳しく生きなきゃいけない。 やったことが倍になって自分に返って来るってのは、 本当なんだなぁと実感。 いいことも悪いことも、、、 悪いことはしちゃいけない。 人の幸せを奪っちゃいけない。 人に幸せを与えられる人になりたい!! | ||||
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