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(短編集)
初恋温泉
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初恋温泉の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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温泉を訪れるカップルの短編5を収録。わが家の近所にも温泉があるが、すれちがう湯上りのカップルの表情は、何かホッとしているというか、満ち足りているというか、無防備というか、とてもすっきりとした表情をしている。 「初恋温泉」にも様々なカップルが登場するが、どの主人公も、温泉にきて心が解放されるのか、素直に自分と彼女との関係を見つめなおす。過去の様々な場面が去来する。何もかも順調な筈なのに離婚を言い出した妻、しゃべり過ぎる2人が温泉で静寂を体験、不倫の終末、保険外交員の妻とのすれ違い、高校生カップルの初めての温泉旅行。どの話もしっとりとした良さがある。 個人的には、彼女にいいところを見せようと遮二無二頑張って都心に次々にダイニング・レストランをオープンさせたのに彼女の心が離れていってしまうタイトルにもなった「初恋温泉」が良かった。彼女の「幸せなときだけをいくらつないでも幸せとは限らない」との言葉が心に沁みる。この1話だけでも本を買う価値があるかな。 | ||||
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各地の温泉を題材に、男女の恋愛模様を描いている。 温泉に行くとき、大抵、癒されようとしている。 沸き立つような好奇心を抱いて行くことは、ほとんどない。 だから、そこでの会話や、情景の捉え方は穏やかなものになる。 でも、だから、思う。 疲れている関係、下降気味の関係の時、温泉に行って回復を求めるのは、難しいのではないだろうか。 流れを止めることはできない。その流れを穏やかなものにしたいのであれば、温泉宿というものの効力は大きい。 温泉は、健全なときに行ってこそ、醍醐味がある。きっと。 | ||||
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幸せなときだけをいくらつないでも、幸せとは限らないのよ。 なるほどなあ〜と思った作中の一文であります。 | ||||
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全部で五話あるのだが、どれもラストは余韻を残し読者の想像に任せるところがあります。 これは好みの問題なのでしょうが、私はあまり好きではないかな。 もうちょっと寓意がはっきり読みとれるものの方が好きです。 でも、芥川賞受賞作家の作品とあって、文学好きにはいいのかもしれません。 | ||||
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温泉旅行。 離婚や不倫、婚前、高校生のデート等で訪れる温泉地。 それぞれの想いをこの旅行でどう昇華させるのだろう? 最後まで読んでも その部分が曖昧で、 なんだか、後は自分で想像してくれと放り出された気分。 なんだか後ろめたく 苦しく辛い話が多かったな。 これが吉田さんの持ち味といえばそうなのかもしれないけど、 たまには からっとした話も読んでみたいと思う。 | ||||
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舞台となる5つの宿はどうやらすべて実在するようです 何気に検索してみたら、5つの旅館ともきちんとHPが存在してました。 しかも全部いい旅館・・・! 吉田修一さん・・・たぶん取材で訪れたんでしょうね。 いいな〜、羨ましいな〜。 温泉というと「非日常を求めて」行くというイメージがあるけど、 彼らは温泉で日常の問題に向き合う。 離婚、夫婦けんか、不倫・・・。 しかしそれらの難しい問題にも、 温泉は柔軟な考えと答えを導きだしてくれるようだ。 心のリフレシッュ?ってやつかな。 リウマチや婦人病に効くのはもちろんだけど、 温泉の目に見えない効能・・・それは「心に効く」ことなのかもしれない。 よく温泉の入り口に効能を書いた看板のようなものがあるけれど、 あれに書いてもいいくらい立派な効能じゃないですかね?? どのお話も明確な結論がなく、 行く末は読者の想像に任せるようなかんじで締められている。 お風呂からあがっても体のほてりがすぐには消えないのと似たような余韻が残ります。 この本を読んで、温泉がますます好きになりました(笑) | ||||
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初めて彼の作品を読みました。5組のカップルの話。恋愛と温泉ておもしろいなと思いました。古風なようで古くない、恋愛の親密さが出ていてこういう恋愛もいいかなと思いました。のんびり、ほのぼのが好きな人にはいいかもしれません。 | ||||
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この人の書く主人公達が、日本人の代表的な男性像だとしたら がっかりです。 どうして こんなに コミュニケーションが下手で、威張っているんでしょう? 読み始めて直ぐ、女性に対して “お前” “女” という言葉が繰り返し使われているのが とても苦になりました。 もしかして、 著者は 女性に対する恨みでもあるんじゃないかと 思ってしまうほどでした。 日本人の女性は、こういう男性の偉そうな言葉遣いに慣れっこ になってしまっているのでしょうか? 一般的な日本人の男女間で、こういう会話が ごく 当たり前のように受け入れられているとしたら、ちょっと怖い気がします。 あまり楽しめる 本ではありませんでした。 その反面、日本社会を学ぶには参考になると思います。 | ||||
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最後の息子・パークライフとう日常生活の断面に一寸だけ分け入ってみると得体の知れぬ何かが、という作者の手法がよく生かされている短編集でした。一見、作者の描く舞台としては異質な感のある温泉ではあります。勿論それぞれの話が「温泉」でなくてもいいんだろうけれど、やっぱり「温泉」でなけりゃなぁとも思えてくる、そのバランス感覚がこの小説のミソなのでしょう。ひとつだけ作品を挙げてみると最後の「純情温泉」。可愛らしいストーリーにほほえんでしまった方も多いでしょう。私もそうでした。けれど読み返して3回目、全く別の容貌が現れたのです。それは30歳ほどの一人の男の姿です。「この気持ちがいつかなくなるなんて、いくら考えても想像できなかった。」、高校生の彼にはできなかった。けれど年を取って「想像」てきちゃうのがわかったんです。悲しいことにわかったんです。「純情」は美しくとも、喪失の痛みと背中合わせなのです。万華鏡のように角度によって変わる世界、作者らしいですね。なくしたものを、私も一人、指折り数えてしまいました。 | ||||
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恋愛感情と人を好きという気持ちは違う。 離婚寸前の夫婦。別れ話がでたからといって、1か0で終わってしまう仲ではない。 多くのことを一緒に経験してきたのに、最後に気になってしまうことは限られている。 かける言葉が別の言葉だったら結果は変わっていたのだろうか。 もしそうだとしたら、きっと相手を好きなのではなく、 そんな言葉をかけられる自分が好きなのではないかと疑ってしまう。 例え結婚したとしても恋愛感情は永遠ではない。 相手を好きな気持ちが欠けた部分を補っているだけ。 | ||||
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吉田修一さんはどうも終わりに余韻を残し、「だっ、だからどうなんだー!」ってとこで終わる作品が多い気がする。それはそれで、読者それぞれ、自らの経験に思いをはせたり、自分だったらこうするな、とか、うーん、そういうものかなど、「幅」を作れていいんじゃないかと思う。私も、この本ずーっと、「うーん、そういうものかあ」と思って読んでいて(男性側からの心理描写は特に)、最後の「純情温泉」はもう単純にかわいくてピュアで、久々にほのぼの、よい気分にさせられました♪ | ||||
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それぞれ実在の5つの温泉を舞台にした短編集。不倫カップルや離婚直前のカップルが、温泉宿という秘密めいた空間を舞台に、微妙に陰影のある愛憎劇を繰り広げる。題名が、象徴的だったり皮肉だったりして、作品の一部になっている。 最後の最後に「純情温泉」でういういしい高校生カップルを登場させるところがニクい。高校生の真っ直ぐな思いが描かれるたびに、読者が「今の君はそう思っていても、人生イロイロあるんだよ」とツッコミを入れてしまう仕掛けだ。この前の4作で、さんざんそんな感情の変質を描ききっているだけに。 | ||||
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当たり前だけど、“自らの体験を言語化できて他者にちゃんと伝えることができる”ってのが文筆業の基本だと思う。吉田修一はそこの能力が高い。独身男だったら「どうせアパートへ帰っても、返し忘れたアダルトビデオをもう一度早送りして見るような毎日」なんて表現にきっと唸ってしまうだろう。 この短編集は「温泉とカップル(しかも子供のいない)」しばりの連作なんだけど、いきなりどアタマの作品の舞台が熱海「蓬莱」で、おまえは田中康夫か秋元康か小山薫堂かってバブリー感もある。そうした田舎者、成金批判もちゃんと想定内って気もするけど。 「たとえばさ、自分が一番幸福な瞬間を見せたいって思うような男、お前にはいる?別に付き合ってなくてもいいんだよ。遠くでその瞬間を喜んでくれるだけでもいいんだけど」って言葉が出てくる。片思いや遠距離恋愛は、離れているからこそ「幸福」が保たれるのかもしれない。「幸福」って独りよがりな“気持ち”であって、二人の“関係”ではないのかもしれない。でも、人は独りでは生きていけないから二人の関係、状態に幸福を見出そうとする。難しいんだよなぁ“気持ち”と“関係”はリンクしないから。そして“気持ち”も“関係”も持続しないから。最後に収められている短編「純情温泉」の高校生カップルが5年後、いや3年後、1年後に今の“気持ち”と“関係”を保っているとは思えない。 5つの短編は男女の“気持ち”と“関係”のズレを巧妙に描いている。 主題とはズレるけど「ほら、基本的に主人公って鈍感な人間じゃない」「鈍感だから、事件に巻き込まれたり、不倫したり、されたりするわけでしょ?」っていう小説論は結構鋭い。あと、いつもながらの観察眼。新幹線の電光掲示板ニュースとかね。今回はそれと、「風が見えた」だったり、逆に無音状態だったり、山のにおい、波の音だったり...といった5編に通底した自然に対する観察、表現もうまいなぁと思った。軽く読めるけど、結構深い短編集である。 | ||||
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温泉を舞台にするせいか、短編5作品とも男女の話だ。 夫婦3組、不倫1組、17才の高校生1組。 表題の『初恋温泉』は以外にも高校生ではなく夫婦の話で、 個人的には一番胸にグッときた。 守りたい高校生の頃から好きだった女を妻にした夫が がむしゃらに働いてきたのに、二人の間がいつの間にか変化し 元通りにする方法さえ思いつかないくらいすれ違ってしまった。 仕事や世間を理由に逃げられない温泉宿で、喪った現実を受け入れるしかない男。 男女の艶を、温泉を舞台に、吉田修一の文才が光る。 | ||||
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温泉を舞台とする短編集です。 しかも実在する温泉で話が展開するので、「どんな温泉なんだろう、いつかいきたいなぁ。」と思いながら読みました。 逆に、いつか訪れることになったら、湯に浸かりながらあんな物語の舞台だったなぁ、なんて思い出すんだろうなと、楽しくなってきました。 でも、お話は湯のように温かくほんわかするものばかりでなく、ちょっと心冷えてしまうような男女関係も描かれています。 おすすめです。 | ||||
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緑がきれいな表紙にフォーク・ミュージックみたいなレトロなタイトル、今年またまたな吉田修一の新作です。文章表現はもちろん、少しもレトロではなく新鮮ですが。というか、このレトロなタイトルのレトロさがなぜか新鮮なんですが。男女のいつもの心の行き違いや、ごくたまにある気持ちの重なりが、憎らしいまでにセンスゆたかに表現されています。今のところ、著者ベストの恋愛小説ではないでしょうか(異論歓迎)。 それぞれの事情を抱えたカップルたちが、温泉でディープな会話や沈黙の対話を繰り広げていきます。温泉宿をとりかこむ美しい自然が五感を楽しませながら思索を深まらせ、温泉の骨身にしみる熱さが登場人物たちの感情や思いを嫌でも高まらせていきます。彼らの恋の始まりの記憶が呼び起こされるのも、そんな温泉ワールドの非日常さ(高校生の女の子がいうように、ちょっとエッチな)のなせるわざでしょう。本当の主人公は温泉たちなのかも…。 | ||||
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