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漆黒の森
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漆黒の森の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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因習と利害と、中世の森に迷い込んでいるよう。人間の根源的な姿がのぞく。事件も村人もおぞましいが、そこにきれいな花のように、ある少年の姿が浮かび上がる。ペトラ・ブッシュ のデビュー作品。 モーリッツ主席警部とライターのハンナは互いの反目から親愛に変るが、それ以上の進展はなく、ほどよくつつましい。ドイツの閉ざされた村での殺人、村の因習により隠された秘密。終盤カラスの行列する祭りは、ひたひたとぶきみさが押し寄せる。日本の祭りを思わせるため、どこかなつかしくもある。プロットは巧みである。こういう村の因習集団のおそろしさを、いかにもドイツ的に描いた。キリスト教ではなくあくまで村の掟を守ること、その裏に村人の利害もからむ。しかし、都会ではありえない、とは言い切れまい。ペトラ・ブッシュの描いた世界がおそろしいのは、中世の森のようでありながら、現代とつながることだ。 | ||||
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謎解きの部分は物足りないと感じる方も多いかもしれませんが、 全体としては、登場人物は個性的で好感が持て、舞台となる ドイツの小村の様子もよくわかり楽しめました | ||||
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いかにもドイツらしい重苦しい陰惨な連続殺人事件。 さすがはグリムの残酷童話の故郷である。 しかも、主人公の片方の女性編集者は頑固で意固地で、思い込んだらテコでも動かない、ドイツ女性の典型。 メルケル首相を思い浮かべてしまったほど。 グロテスクな事件を伝説に絡ませて起こすミステリの常道とも言えるデビュー作。 事件よりもコワイ人間関係。 楽しめるが、この主人公二人がカップルになることを想像すると、ますます怖くなる。 | ||||
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裏表紙から ************************* 取材で黒い森を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に 女性の死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て 帰郷したばかりの妊婦だったが、胎児が消えていた。 村に伝わる「鴉谷」の不吉な言い伝えや、過去の嬰児失踪事件と関わりが? ************************* 閉鎖的な村での捜査に苦労する刑事。 被害者の妊婦がなぜ10年前に村を出たのか? 鴉谷の言い伝えが明らかになっていくとともに さらに殺人事件が。 ドイツ推理作家協会の新人賞を受賞したとのことですが 横溝ミステリーを知る日本の読者には、物足りないかも? それでも、英米以外のミステリー小説が次々に翻訳されるのは 読者としてとても嬉しいと思います。 | ||||
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トレッキング・ガイドブックのための取材中に出版編集者ハンナ・ブロックは南ドイツの<漆黒の森(シュヴァルツヴァルト)>の一角、鴉谷(からすだに)で若い女性の遺体を発見する。腹部を切り取られ、臨月前に胎児が取り出されているという猟奇殺人事件であることが分かる。犠牲者は地元の小村の村長の妹で、ここ10年の間、消息不明だった人物だ。フライブルク刑事警察の主席警部モーリッツ・エルリンシュピールらが捜査を始めるが、他所者を受けつけない住民たちを前に、捜査は難航する…。 フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』、ネレ・ノイハウス『深い疵』、アンドレアス・グルーバー『夏を殺す少女』と、ドイツ語圏の秀作ミステリーを翻訳し続けて来た酒寄進一氏の手による、ドイツ・ミステリーの近刊と聞き、迷うことなく手にしました。 検視と鑑識という科学捜査技術が事件の真相を徐々に解明していく刑事小説の醍醐味。 ネレ・ノイハウス『白雪姫には死んでもらう』をどことなく彷彿させるような、閉鎖的な村を舞台にして、陰鬱な住民たちによって捜査の進展が阻まれ続けるミステリー。 あまりほめられない女性遍歴をたどってきたモーリッツと、野心家の取材者ハンナの人生が、猟奇殺人事件を背景に絡み合うという、独特のロマンス劇。 こうした、醍醐味あふれるエンターテインメント小説を予感させる要素が盛り込まれている小説なのですが、残念ながら事件の真相と、その解明に向けた犯人追求劇には、私が期待したようなカタルシスを味わうことができませんでした。 被害女性の弟で、自閉症と共に生きるブルーノが、事件の重要なカギを持つと思われる展開を見せるのですが、彼のこの事件への関わり具合の真相を知るにつけ、あまり現実味を覚えないと同時に、そしてまた、物語が見出した着地点はあまり愉快なものではなく、ご都合主義のそしりを斥(しりぞ)けるだけの力が備わっていないと感じたのです。 とはいえ、ドイツのミステリー小説が優れた翻訳で読めるようになった近年の日本の出版事情を私は大いに歓迎しています。 作者は2010年に発表したこのデビュー作が本国ドイツでかなり高い評価を受けたことで、順調に著作活動を続けているとのこと。東京創元社から続けて翻訳が出るのであれば、注視しておきたいと思います。 | ||||
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トレッキング・ガイドブックのための取材中に出版編集者ハンナ・ブロックは南ドイツの<漆黒の森(シュヴァルツヴァルト)>の一角、鴉谷(からすだに)で若い女性の遺体を発見する。腹部を切り取られ、臨月前に胎児が取り出されているという猟奇殺人事件であることが分かる。犠牲者は地元の小村の村長の妹で、ここ10年の間、消息不明だった人物だ。フライブルク刑事警察の主席警部モーリッツ・エルリンシュピールらが捜査を始めるが、他所者を受けつけない住民たちを前に、捜査は難航する…。 フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』、ネレ・ノイハウス『深い疵』、アンドレアス・グルーバー『夏を殺す少女』と、ドイツ語圏の秀作ミステリーを翻訳し続けて来た酒寄進一氏の手による、ドイツ・ミステリーの近刊と聞き、迷うことなく手にしました。 検視と鑑識という科学捜査技術が事件の真相を徐々に解明していく刑事小説の醍醐味。 ネレ・ノイハウス『白雪姫には死んでもらう』をどことなく彷彿させるような、閉鎖的な村を舞台にして、陰鬱な住民たちによって捜査の進展が阻まれ続けるミステリー。 あまりほめられない女性遍歴をたどってきたモーリッツと、野心家の取材者ハンナの人生が、猟奇殺人事件を背景に絡み合うという、独特のロマンス劇。 こうした、醍醐味あふれるエンターテインメント小説を予感させる要素が盛り込まれている小説なのですが、残念ながら事件の真相と、その解明に向けた犯人追求劇には、私が期待したようなカタルシスを味わうことができませんでした。 被害女性の弟で、自閉症と共に生きるブルーノが、事件の重要なカギを持つと思われる展開を見せるのですが、彼のこの事件への関わり具合の真相を知るにつけ、あまり現実味を覚えないと同時に、そしてまた、物語が見出した着地点はあまり愉快なものではなく、ご都合主義のそしりを斥(しりぞ)けるだけの力が備わっていないと感じたのです。 とはいえ、ドイツのミステリー小説が優れた翻訳で読めるようになった近年の日本の出版事情を私は大いに歓迎しています。 作者は2010年に発表したこのデビュー作が本国ドイツでかなり高い評価を受けたことで、順調に著作活動を続けているとのこと。東京創元社から続けて翻訳が出るのであれば、注視しておきたいと思います。 | ||||
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<ローズ・オジリア> <知恵を絞った。この子を救う方法はまだある。この子の命を守ろう。> 謎めいたプロローグから始まる物語は、十年後、読者をさらに深い秘密の森の奥へと導く。 この「黒い森」からは、おとぎ話めいた雰囲気とおどろおどろしい空気があふれだしている。 森の中をトレッキング中だった女性編集者ハンナ・ブロックは偶然、女性の死体を発見する。 被害者の名はエリーザベト。旧姓をゾマーといい家族の住む村へ帰ってきたやさきだった。 発見者ハンナとフライブルグ刑事警察の警部モーリッツが村の捜査を始める。 <家族のあいだになにか微妙な力関係がある。> 森。鴉男が出ると子供たちが信じている場所へ、エリーザベトの弟ブルーノは恐れも抱かず分け入っていく。 自閉症でサヴァン症候群である彼が何のために。 <家族の大切な秘密が隠してあるかのようだ。> 村では過去にも赤ん坊が行方不明になっており、その十年後にエリーザベトは殺され、妊娠中の腹は切り裂かれ胎児が消えていたのだ。 <みんな疑心暗鬼だ。妻は夫を、息子は母親を、そしておそらく母親は誰も信用していない。> ブルーノの母親、フリーダ・ゾマーは差別とあきらめに対して憎しみをこめて言う。 <障害児を持つということがどういうことかわかるか。息子が人と違うというそれだけの理由で避けられたり、家に招いてもらえなかったりする。> 自閉症とサヴァン症候群患者の内面を見事に描き出した作品としても本書は評価されるべきであり、ミステリとしてラストで<ローズ・オジリア>の意味が明かされるとき、必ずや読む者の心をうつ傑作である。 ネレ・ノイハウスとともに、ペトラ・ブッシュの全訳を望む。 | ||||
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事件の舞台はドイツの小村です。 この小村の村長の一家や、幼なじみ、もろもろの村人たちの、閉鎖的な人間関係を背景に、凄惨な連続殺人事件が発生します。 この村では、無実の罪で死に追いやられた旅人の呪いにより、村人が連れ去られるという、不吉な言い伝えがあり、この呪いを鎮めるための村行事が行われています。ストーリーの展開は、この言い伝え・村行事、そして村内の人間関係とが巧みに、そして不気味に絡められ、ミステリの王道的な魅力があったと思います。 (クライマックスで、読み手に事件の真実が明かされるシーンも、ある意味、王道的な状況だったような気も...) ストーリの背景におどろおどろしさを持たせつつも、警察の鑑識技術、科学捜査について、緻密に描かれており、調査、分析結果によって、捜査陣が事件の真相に近づいていくさまは大変説得力がありました。 事件の真相を追う主人公の男女2人、女性記者のハンナ・ブロックと「フライブルク刑事警察首席警部」のモーリッツ、操作の本流とマスコミという相容れるのが難しい立場での、捜査情報の駆け引き、そして、男女関係の駆け引き、ジレンマが、この主人公2人も本作に大きな魅力を加えていたと思います。 日本人サッカー選手がドイツ国内で活躍する中、ドイツ国内の都市名や風情を耳にする機会も多いこの頃ですので、本作のような「ドイツ・ミステリ」について、非常に親しみを感じることができると思います。 すでにドイツ国内では、この2人を主人公にしたシリーズ作品がすでにリリースされているということです。 本作のシリーズ作品について、また、魅力的なドイツ・ミステリが、今後さらに多く、邦訳版で出版されることを、楽しみにしたいと思います。 | ||||
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