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双頭の悪魔
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双頭の悪魔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.98pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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推理小説やミステリーに関心を持ったのは、ごく最近のことで、読んでいる作品数はそう多くない。 「本格的な読み応えのある名作」を読みたいと思い、そういうサイトで『双頭の悪魔』を知った。 本作は、本文が700ページ近くある大作。内容的には、大雨で孤立した芸術家村とその対岸にある 地帯が、対になり話が進む。話者は、作者と同名の有栖川有栖(大学2年生で)。探偵役は、有栖の 2年先輩の江神二郎。これはシリーズ化されていて共通している。 ユニークなのは、話者・有栖が時折出してくるカルチャー・ネタで、これが世代的に近く、面白く 読める。中森明菜、ケイト・ブッシュ、ピンク・フロイド、アイアン・メイデン、アンドレ・ジッド、 アンドレ・ブルトン、高橋源一郎、シューベルト、グノー、ドビュッシー、黒澤明、「俺たちに明日は ない」などなど。最初の事件が起きるまで200ページ以上あるが、そこが間伸びして感じられない。 だが、殺人事件が起き、それが川を挟んだ両側で連続していくにつれて、興味は衰退していく。本来 なら、そこからミステリー度が上昇していくはずなのに。 それは、非日常的な以上な事件が身近で起きているのに、その切迫感が醸し出されないから(これが 不満が残るミステリー小説に共通する弱点)。目の前で背中にナイフを突き立てられて絶命している 死体があり、その殺人犯が自分の近くにいるのに、登場人物たちはいつもと変わらぬ口調で、事件に 関する情報を交換する。ドフトエフスキーは、たったひとつの殺人事件とその動機だけで、世界文学 『罪と罰』を書き上げた。それに近い読みごたえを、ミステリー作品に望む方が間違っているのかも しれないが、これならただの”謎解きパズル本”でしかない。事実、この本を読み終えた感想はそういう ものにしかならなかった。 そもそも、自分の生き方や作品にこだわり抜いている芸術家たちの個室に「鍵がかからない」という 設定は、あり得ない。その時点でトリックのすべてが破綻している。 関連する2つの場所が連絡が取れないという状況を打破するために、ニュースで殺人の詳しい状況 (細部)を言わせてしまっている。これもあり得ない。普通は、「何らかの事件に巻き込まれた」 「殺人事件として捜査を進めています」などとして、詳しい内容はメディアでは明かさない。 主な登場人物の1人であるマリアは、前作『孤島パズル』で描かれた惨劇で心的外傷に近いダメージを 受け、それが原因で本作の舞台となる芸術家村に身を寄せる。そのはずなのに、妙に軽いところがある。 自分のすぐ近くで連続殺人事件が起き、惨殺死体が転がったままなのに平然としているのは、人物描写 としても心理描写としてもあまりに拙い。それに緻密で複雑な殺人計画を、わずか数日で立案し、完全に 実行してしまうというのも非現実的。それと、ラストで犯人が自死するのを知りながら、それ以上 引き止めたり、犯行の実態を関係者たちに周知するといったことをしなかったのは、自殺の幇助にあたる。 それを行った江神とマリアの方が犯人よりも闇が濃く悪魔的だろう。 この本を読んで、「絶対に外さない名作」リストなどに頼ってはダメだという教訓は得られた。だが、 事件と謎解きが緻密であれば、ミステリー小説の名作にしてしまう評価の基準に、与することはできない。 | ||||
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信者には申し訳ないが今一つツメが甘い感じがする。 動機、犯人の心情、事の運び方、アリバイ等々。 後からとってつけたようなこじつけも、もうひとひねりほしいところ。 序盤の含みをもたせたマリアも活かせていない感じがする。 せめてロマンスぐらい挟めばいいのに。 所々に描かれる長い自己満足風のウンチクも読むのに疲れる。 あとがきを読んで納得がいった。 それらは作者の執筆スタイルに起因するものだと。 | ||||
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おもしろくなかったです。読むのが苦痛でした。スピード感がないし、学生たちの会話も不自然。有栖川さんの最高傑作とお聞きして購入しましたが、期待外れでした。細かいところをつっこみたくなる人には本作は向いていないと思います。 | ||||
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状態は日焼けして非常に悪かった。 ただ読めればいいと注文したので別に問題なし! | ||||
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作者とはほぼ同年代。クイーン好きというのも同感。偉そうな物言いになって申し訳ありませんが、真面目に推理小説に取り組む姿勢のようなものも充分感じます。しかし、今回あるきっかけで本作を再読してみたのですが、やはり「弱い」。あのクイーン全盛時作品の、終盤、頁をめくるのが勿体ない、でも次読みたい、一旦本を伏せて落ち着こう、ハアハア、感がないのです。全体を通して、仮にも人を殺す動機としては不確実過ぎる気がしますし、洞窟もあれで追えるの?、空気も動いているし人間の感覚は麻痺するものだし、と思いました。無駄に長いのに加え、どうにも登場人物の関西弁口語体は好きになれません。ミステリ評論の才覚は抜群にあると思いますので、そちらを活かされては如何でしょうか。 | ||||
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【注意】「このレビューには本作の内容について触れられていますので、読了されていない方はご注意ください」 有栖川さんの作品は何作品も読み、またご本人にも実際にお会いしたこともあり、たいへん人柄が良い方なので、酷評したくはないのだが、少なくともご本人は、本格ミステリーを標榜される発言を各所でされているので、この人の書く作品が多くの読者にとって【本格ミステリー】のスタンダードだと解釈されては甚だ困るので書かせていただくことにする。 本書で「本格」に値するのはアリスがメモを解読する箇所だけである。この類似性はクイーンの「エジプト十字架の謎」を指摘する人がいるがほとんど関係はない。 それよりも動機や現場の状況や犯人が複数いる点などまったく「本格」の名に値しない。 唯一の犯人指摘の手がかりになる、香水を軸にした謎解きも、他にいくらも解釈が成り立ち、独自性がない。過去に他の作家による類似作品があるのだ。 さきの「エジプト~」も実にくだらない作品であるが、犯人指摘のロジックだけは素晴らしかったので、「本格」の名に値する。 あらためて宣言する。「犯人が誰であるか」のデータを過不足なくあらかじめ読者に知らせておき、結末でいろいろな伏線とともに回収し、意外性を演出するのが「本格」の最低条件である。 横溝正史『本陣殺人事件』 高木彬光『刺青殺人事件』 はその名に相応しい名作である。鮎川哲也先生の諸作もこれに該当する。 有栖川さんには、本格ミステリーを構築するだけの能力があるはずだが、根本的なところで、「本格ミステリー観」は、私とは齟齬があり、なかなか氏の「本格」作品に出会えない。現在のところ、まだ彼の代表作は「ない」と言わざるをえない。しかし、いつか逢えることを期待している。 | ||||
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三部作をまとめて購入したのが7~8年前です。最近やっと読み終わったのでレビューです。 なんか後回し後回しで他に面白そうなのを購入して読んでいたので。 はなしは良くできていてなるほどと思うのですがなにかなこの感じはなんだろう... そうそう おもしろくない のです。 三部作まとめて買ったのに最近やっと読み終わったのも一冊読み終わると次はまあ後でいいかなと 他の本を読んで他に読む本がなくなってやっと読み始めるからなのです。 読んでいて続きが読みたいとかわくわくするとかあまり思わないんですよ。 読書の楽しみというより 謎解きありき で小説のていをなしてるだけと感じました。 | ||||
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論理的と絶賛されているが机上のパズルで犯行の実現性に乏しい。 ヒロインの女性に魅力を感じないのも残念。 | ||||
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シリーズ3部作を読み切りました。 古典ミステリーとしてはいいのかもしれません。 ただ、第1の殺人の謎が生かされていないし、 計画的な設定の割に、婚約から第1の事件までの時間的に無理があるし そもそもヒロインがこの村にとどまった理由もかなり無理がある。 タイトルの割に悪魔的なのはひとりだけ。 登場人物が多いのはいいとして、 学生は今回こんなに必要なかったのでは? 書かれた当時はこれでも皆さん楽しめたのでしょうね。 今ならもっと面白い作品がいっぱいあると思う。 有栖川さんの作品なら児童向けの 「虹果て村の秘密」の方が、無理がなくて素直でとてもよいと思う。 | ||||
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題名は、作者が尊敬するクィーンの短編「双頭の犬の冒険」から採ったものだろう。四国の山奥にある"芸術村"に逃げ込んだマリアを連れ戻すため、芸術村に乗り込んだアリス一行を襲う連続殺人事件。アリス達が泊まる夏森村と江神が残る芸術村の間には"双頭の龍"伝説がある龍森川と言う川があるが、豪雨のため架橋が落下。分断された二つの地域で、各々殺人事件が起きると言う趣向。 芸術家の卵が集まっている芸術村を創造したり、芸術村の屋敷の裏に大鍾乳洞があったりと、オドロオドロしい雰囲気を出す素地が揃っているのに、作風からか物語は淡々と進んで行く。芸術家の卵達の造形が弱く、動機や伏線の面で物足りないものを感じる。芸術村の創設者の未亡人で村のパトロン菊乃の婚約発表の直後、その婚約相手で村開放派の小野がまず殺されると言うのもルーチン的。この最初の殺人まで200頁掛かっているのは、上記の条件を考えれば流石に冗長だろう。そして、夏森村側で起こる第二の殺人。被害者は芸術村に潜む元アイドルを狙うスクープ記者で、この時点で既に両村は分断されている。夏森村の郵便局員の室木が菊乃の甥というのも微妙な設定。ここで挟まれる二つの「読者への挑戦状」。だが、江神の推理は、色覚と嗅覚の違いこそあるものの、クィーンのある短編と同じ趣向で興醒め。一方、アリス達の推理は稚拙過ぎる。第三の事件は完全な付け足し。全体構想が脆弱なため、最後の解決部分の迫力・説得力に欠ける事、甚だしい。 私は二つの村の事件は同一犯ではと秘かに期待していたのだが、そんな離れ技は望むべくも無かった。「この分量で、この中身の薄さは何なんだ」、と言うのが率直な感想。 | ||||
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題名は、作者が尊敬するクィーンの短編「双頭の犬の冒険」から採ったものだろう。四国の山奥にある"芸術村"に逃げ込んだマリアを連れ戻すため、芸術村に乗り込んだアリス一行を襲う連続殺人事件。アリス達が泊まる夏森村と江神が残る芸術村の間には"双頭の龍"伝説がある龍森川と言う川があるが、豪雨のため架橋が落下。分断された二つの地域で、各々殺人事件が起きると言う趣向。 芸術家の卵が集まっている芸術村を創造したり、芸術村の屋敷の裏に大鍾乳洞があったりと、オドロオドロしい雰囲気を出す素地が揃っているのに、作風からか物語は淡々と進んで行く。芸術家の卵達の造形が弱く、動機や伏線の面で物足りないものを感じる。芸術村の創設者の未亡人で村のパトロン菊乃の婚約発表の直後、その婚約相手で村開放派の小野がまず殺されると言うのもルーチン的。この最初の殺人まで200頁掛かっているのは、上記の条件を考えれば流石に冗長だろう。そして、夏森村側で起こる第二の殺人。被害者は芸術村に潜む元アイドルを狙うスクープ記者で、この時点で既に両村は分断されている。夏森村の郵便局員の室木が菊乃の甥というのも微妙な設定。ここで挟まれる二つの「読者への挑戦状」。だが、江神の推理は、色覚と嗅覚の違いこそあるものの、クィーンのある短編と同じ趣向で興醒め。一方、アリス達の推理は稚拙過ぎる。第三の事件は完全な付け足し。全体構想が脆弱なため、最後の解決部分の迫力・説得力に欠ける事、甚だしい。 私は二つの村の事件は同一犯ではと秘かに期待していたのだが、そんな離れ技は望むべくも無かった。「この分量で、この中身の薄さは何なんだ」、と言うのが率直な感想。 | ||||
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世間では評判の高い作品のようですが、とてもそうは思えません。最後に明らかになる真相、見事に辻褄が合っていません。(例えて言うなら)「夜店でロレックスの時計を前金で買う人」など、存在しようがないのです。着想に肉付けをしていく過程で、リアリティを疎かにしてしまったということでしょうか。追記 「なぜ第一の被害者は珍妙な状態になっていたのか」に対して用意された答えは・・・ 「ロレックス、どうせ買うなら一流店、しかもできれば後払いで」というのが、合理的な考え方ではないでしょうか。 | ||||
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世間では評判の高い作品のようですが、とてもそうは思えません。最後に明らかになる真相、見事に辻褄が合っていません。(例えて言うなら)「夜店でロレックスの時計を前金で買う人」など、存在しようがないのです。着想に肉付けをしていく過程で、リアリティを疎かにしてしまったということでしょうか。追記 「なぜ第一の被害者は珍妙な状態になっていたのか」に対して用意された答えは・・・ 「ロレックス、どうせ買うなら一流店、しかもできれば後払いで」というのが、合理的な考え方ではないでしょうか。 | ||||
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