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土漠の花



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【この小説が収録されている参考書籍】
土漠の花
土漠の花 (幻冬舎文庫)

土漠の花の評価: 3.79/5点 レビュー 154件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.79pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全154件 21~40 2/8ページ
No.134:
(4pt)

理不尽な命令はだれに対する忖度か?

この小説を読む前に先ずアフリカにおけるソマリアの位置を調べた。よく見るとアフリカには直線で引かれた国境が多い。
西欧諸国のエゴの現われであろう。次に写真を探した。緑が少なくサンドベージュ色の景色が多い。で、ページをめくると
もうノンストップの世界。月村氏得意の戦闘シーンが次から次へと続く。自衛隊員の戸惑いや恐怖、煩悶と葛藤。アフリカ
の未来のために死んでいった仲間達。ハエやゴキブリを駆除するかのような殺戮・・・等々。
 誰に対する忖度か、自衛官による戦闘行為などなかったと釘を刺される無念さ。どこかの国の防衛大臣殿、胸が痛みませ
んか?ラスト、ハンカチの用意を忘れずに。
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4344026306
No.133:
(3pt)

いい意味でも悪い意味でも王道のストーリー

政情不安なアフリカで任務にあたっていた自衛隊が、当地の内紛に巻き込まれて孤立し、死闘しながら脱出するという話。つまらない訳ではないのだが、映画などでよく見るパターンを踏襲し過ぎてて先が読めてしまう。登場人物達がいわゆる死亡フラグを立たせるような行動をしたり、敵に追われる姫とそれを助ける戦士とが恋に落ちたり。
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No.132:
(1pt)

すごろくのような物語。1つ進んだり、戻ったりするけど、単調な1本道のストーリー

レビューが高評価だったので期待して購入したのですが、大外れでした。この本に関しては、少数意見の☆1つに同意します。
理由は、ストーリーが稚拙なこと。一本道のストーリーで工夫がありません。たとえるなら、すごろくのよう。あるコマに止まると「ロープを手に入れる」とあります。で、数ページ先にいくと「ナイフを手に入れる」とある。で、また数ページ先に行くと「危機を脱出するために、さっき手に入れたロープを使う。ナイフでロープをカットする」とある……なんだかなぁ。一事が万事、こうした流れで進みます。「隊員の中に自動車整備士がいる」→「(アフリカの荒野の中で偶然にも)壊れた自動車を発見して修理して脱出する」、「隊員の中に元暴走族がいる」→「(アフリカの廃墟の町中で偶然にも)バイクを発見して・・・」。こんなの、読んでいて恥ずかしくなる。あまりに格好悪いです。
途中から、どれくらい「すごろく」的なのかあてはめながら読みました。川が表れて前に進めなくなるのは「1回休み」で、忘れ物をして取りに戻るのは「1つ戻る」で、車を発見するのは「3つ先に進む」で・・・。
高レビューだったので、構成もきちんと工夫した作品を期待していた次第です。
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No.131:
(4pt)

戦闘シーンが多い

戦闘シーンが多すぎでした。
サクサクと読めて、面白かったですけど、これ以上長かったら、飽きてたと思います
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No.130:
(5pt)

怒涛の逃避行劇!です。

ソマリア氏族の紛争に巻き込まれた自衛隊員たちが、情け容赦も対話も通じない
凶悪なソマリアの武装集団に目を付けられ、ろくな装備や移動手段も無い状況で、
とにかく生きて自分たちの拠点へ帰ろう!と決死の逃避行を繰り広げる、
というのがこの作品の主たるところなので「自衛官の戦闘行為は許されるのか?」
とかそういう事をじっくりとリアルにシミュレートした作品ではございません。
そこはくれぐれもご注意ください。
私は、アクション活劇として大変楽しく読まさせて頂きました。なので☆5個。
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No.129:
(5pt)

エンタテイメント!ハリウッドで映画して欲しいです。

ページをめくるごとにスーパーアクションの連続、まさにエンタテイメント!ハリウッドで映画して欲しいです。
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No.128:
(2pt)

展開が王道すぎて一から百まで予想がつく

数人の日本兵がとある女性を助けたことがきっかけでその辺一帯を根城にする一族に追われるお話。最初から最後まで命がけの鬼ごっこ。ハラハラドキドキするストーリーのはずなんですが、全体的にどこかテンプレっぽくて意表を突く展開というものはなかったです。
文章は読みやすい方ですが、リアリティはあまりないですね。絶体絶命・極限状態の時ほど人間の汚さが見えるものですが、本作はまあお綺麗な人達ばかりです。仲間のために躊躇せず自分の命を捨てる、今さっき会ったばかりの女性を守るために命をかける。人殺しになるのが怖くて銃が撃てないというキャラが浮いて見えるほど聖人君子が多い。ここら辺は好みの問題になりそうですが個人的には泥臭さが圧倒的に足りないので共感性に欠けます。
王道展開をなぞってるだけなので途中から飽きてパラ読みになってしまいました。こういった極限状態の追跡系小説を読み慣れている方にはおすすめできませんが普段馴染みがない方ならちょうどいい刺激かもしれません。
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No.127:
(4pt)

軍隊であって軍隊でない組織

ストーリー自体は冒険小説の王道で、命を狙われてる一人の女性を守って、四面楚歌の状況下を何度もピンチを切り抜けながら敵と戦い、生還するというもの。
このストーリー自体も面白い。
数々の絶望的なピンチを知恵と運で切り抜けていくのはハラハラさせられるし、極限の状況下での隊員同士の人間関係や人間性が描かれているのも面白い。

しかし、本書で一番考えさせられるのは自衛隊という組織についてだろう。
これが普通の軍隊なら単なる冒険小説なのだが、戦闘に巻き込まれているのが日本の自衛隊というのがポイント。
御存知のとおり、日本の自衛隊という組織は、軍隊であって軍隊でない特殊な組織。「軍隊」ではなく「自衛隊」。
建前と欺瞞に満ち溢れた組織であり、あくまでも軍隊ではないし、あくまでも戦闘はしないという前提のもとに成り立っている。
どう見たって軍隊なのだが、日本政府は憲法解釈でごまかし、よくわからない組織になってしまっている。
それゆえに矛盾が起こる。

本書は、ソマリアに派遣されている自衛隊員が激しい戦闘に巻き込まれ、何人もの死者を出しながら生還するという話である。
自衛隊員も何人も殺されたし、自衛隊員も敵兵を何人も殺す。
この隊員たちは自衛隊史上初めて戦闘によって敵を殺した隊員になる。

その結果、日本本国ではどういう報告をする事になるかというと、
「自衛官による戦闘行為などいっさいなかったという事で公式発表はしない。生還した隊員には厳重な箝口令をしき情報操作を行う。」
「戦死した隊員達はヘリ墜落事故の救出作業中の事故で全員死亡という事にする。遺体を回収しようとしたが、岩盤の落下によりやむを得ず断念。マスコミや遺族にはそう伝える。」
「ソマリアは世界でも有数の危険地帯であり、遺体回収作業の続行も遺族やマスコミが現場に来ることも不可能。だから嘘がばれない。」
という事になる。

今まで自衛隊の存在を憲法解釈でごまかし、戦闘には参加しないという前提での自衛隊海外派遣を行ってきた日本政府にとって、自衛隊が海外で死者が出るような戦闘に巻き込まれたなんてあってはならない事だし、ましてや戦死者が出るなんて事は絶対に許されない事である。
だから戦闘など一切なかったとして嘘をついてごまかす事にした。

これは現実世界でも起こり得る。
昨年、南スーダンで自衛隊が戦闘にまきこまれた疑惑があるが、政府は「戦闘ではなく大規模な武力衝突」などという言葉遊びで逃げた。
もし、自衛隊に戦死者が出たとしても本書のように政府はごまかすであろう。
本書で主人公が「戦場で勇敢に戦って死んだ隊員が報われない。その行為は広く讃えられるべきではないのか!少なくとも遺族には伝えるべきではないか!」と考えるシーンがあるが、まったくそのとおりである。
これなら戦前の方がはるかにましである。
戦前は任務遂行中に戦死した兵士は靖国神社に英霊として手厚く祀られていた。
国のために命を捨てた行為に対し最大限の敬意を払っていた。
一方、今の時代、自衛隊員が戦死してもなかった事にされる可能性が極めて高い。

読後、自衛隊という組織について深く考えさせられた。
そろそろ自衛隊員が報われ、誇りをもって働いてもらえるような組織にする時期だと思う。
「軍隊ではない」なんていう詭弁はいいかげん通用しないだろう。
きつい任務をこなし、日本を守ってくれている人達に正当な評価をすべき時期にきていると思った。

冒険小説でありながら、深いテーマを内包した小説だった。
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No.126:
(4pt)

今一番タイムリーな海外遭難フィクション

あらたに任務に追加された駆けつけ警護、
17年3月に発表された南スーダンからの撤退、
組織的な隠蔽が図られたとも指摘される現地部隊日報・・・

小説も斯くやの怒涛の現実ですが本書もそんな現実に優るとも劣らず、
もしかしたら南スーダンでは今こんな事が起きているのかもとすら感じてしまう
手に汗握る海外遭難フィクション。同じミリタリーフィクションでも、
フォーサイスが戦略的なら、こちらは戦術メイン。

南スーダンでは文字通り「命懸け」で平和に貢献しているはずなのに、
「命懸け」とは言ってはいけない歪んだ現状に想いを馳せつつ、
そして何より無事の帰国を祈りつつ、
日本では空気の様な扱いの平和な世界とは違う世界への関心をひらく一助になります。
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No.125:
(4pt)

集団的自衛権の時代に自衛隊は…

本書は、もともと2014年9月に単行本として刊行されたものの文庫化。
この同じ年2014年7月に集団的自衛権の行使容認が閣議決定されたことと、無縁ではないでしょう。
本作品で活躍する、陸上自衛隊第1空挺団は、現実に行われているソマリア沖海賊の対処活動のために派遣されている部隊という設定。
集団的自衛権容認という新しい時代に入った自衛隊の活躍を、あくまでエンターテイメントではありますが、緊迫感ある筆致で描いていきます。

このジブチに拠点を置く、第1空挺団のもとに、ソマリアとの国境付近で連絡ヘリが墜落したとの報がもたらされた。
ただちに捜索救助隊が編成され、12名の隊員が70キロ離れた現場に向かう。
そこで待っていたのは、乗組員全員死亡の墜落した機体であった。
そこへ3人の現地女性が姿を現す。
女は、ピヨマール・カダン小氏族のスルタン(氏族長)の娘で、あとの二人は親類の者だと言う。
彼女たちは、別の氏族に追われており、救助を求めてきたのだった。
保護すべきかどうか、隊員たちが迷っているうちに、早くも追っ手が銃で攻撃を仕掛けてきた!
こうして、活動拠点まで70キロの、長く困難な逃避行が始まった…。

次から次へと迫る民兵たちと、前に立ちはだかる、自然の脅威。
まさにノンストップ・アクションの連続で、最後まで飽きることはありませんでした。
攻撃を受けたから、やむを得ないとは言え、彼らは、戦後初めて民兵を殺害した自衛隊員となってしまいます。
集団的自衛権かどうかは明確ではありませんが、そのあり方に一石を投じる物語展開と感じました。

著者の力量は、「機龍警察」シリーズで、その手堅いエンターテイメントの筆さばきは実証済み。
ノン・シリーズの本作品も、アクションシーンもさることながら、隊員それぞれの人物像も見事に書き分けられていて、読みごたえは十分。
刊行時2014年の出版社主催のミステリランキングで上位に位置するとともに、日本推理作家協会賞受賞も納得の一冊としてオススメします。
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No.124:
(5pt)

評判通りの名作でした。

スピード感ハンパありません。
ただし、ある程度、武器とか、自衛隊の組織とかの知識がないと小説では、理解しにくいところもありますね。
むしろ映画化向きの内容
映画化をお待ちしております。
土漠の花 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:土漠の花 (幻冬舎文庫)より
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No.123:
(4pt)

考えるな!感じろ!

タイミング的にはなんとも象徴的な選挙戦結果の日に読了となり
両国の関係の行く末も含めて自衛隊について思いをめぐらせる
というのが分別のある本好キーなのであろう。
ですが実は意外にこの本はそのようなちゃちな秀才君目線を見事に
スカしたところに立脚しているのでありますよ。

ソマリアで突然武装勢力に襲われた自衛隊と少部族の生き残りの
女性。孤立無援の彼等はどう生き延びるのか?命がガソリンの一滴
よりも軽い世界に武器を使うことを禁じられていた男達はある者は
逡巡し、ある者は臆し、ある者は克己し覚醒する。

面白く興奮させられる作品。ある意味で考える本ではなく感じる本
であります。
誤解を覚悟で例えればアメリカンスナイパーやアポカリプスナウでは
なくてランボーでありダイハードである。
いやストリートオブファイヤーとウォリアーズが構造的にもっと近いか
も知れませぬ。
順番的には僕はこの後の月村作品を先行で何作か読んでしまっていたので
インパクトは幾分薄れてしまったものの、後の作品パターンの原型とでも
いうべき荒削りの魅力に溢れていて、確かにこの作品から本屋大賞の選考で
一気にブレイクしたのも頷ける、と思いました。
土漠の花Amazon書評・レビュー:土漠の花より
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No.122:
(4pt)

誰のために、何のために闘うのか。。。

もしも、自衛隊の海外派遣で戦闘に巻き込まれたら?

想定すべきケースとして議論する必要があると思いました。

世界情勢が不安定な昨今、リアリティを帯びてきた一冊です。
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No.121:
(3pt)

良いとは思うが

海外派遣されている部隊が紛争に巻き込まれるというストーリーは良いと思うが、設定に無理と言うか「??」と思う箇所が多々ある。
大味の軍隊アクション物として読むならばいいのかもしれません
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No.120:
(4pt)

往年の少年漫画を彷彿させる

ソマリアへ派遣された自衛官が、小氏族長の娘の助命を受け入れたことを契機に、氏族間の紛争に巻き込まれるという冒険小説。

熱砂に咲く一輪の花を守るため、男たちは命を賭し、脱出行を繰り広げていく。次々に斃れていく仲間たち。絶望的な状況の中、軋轢が生まれ、それを乗り越えて絆を強くしていく様は、往年の少年漫画を彷彿させる。

冒頭から畳み込むようなアクションシーン満載で、飽きさせることなく、ラストまで一気読み。

ただ、頁数の関係からなのか、気持ちを通い合わせる過程での踏み込みが甘くて、感動を削いでいるように思う。ちょっと残念。
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No.119:
(4pt)

往年の少年漫画を彷彿させる

ソマリアへ派遣された自衛官が、小氏族長の娘の助命を受け入れたことを契機に、氏族間の紛争に巻き込まれるという冒険小説。

熱砂に咲く一輪の花を守るため、男たちは命を賭し、脱出行を繰り広げていく。次々に斃れていく仲間たち。絶望的な状況の中、軋轢が生まれ、それを乗り越えて絆を強くしていく様は、往年の少年漫画を彷彿させる。

冒頭から畳み込むようなアクションシーン満載で、飽きさせることなく、ラストまで一気読み。

ただ、頁数の関係からなのか、気持ちを通い合わせる過程での踏み込みが甘くて、感動を削いでいるように思う。ちょっと残念。
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No.118:
(4pt)

これでもかとアクションを盛り込んだ一冊

劇的なアクションをこれでもかと詰め込んだ一冊で、おもしろかった。
少々の無理設定などお構いなし。おなかいっぱい。
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No.117:
(5pt)

久しぶりに読み応えあり!

自衛隊海外派遣において、こんな事態になり得るのか?仮になったとしても、こんな対処をするのか?不明である。しかしながら、本作では 充分に研究された対処可能策に基づき作成されたストーリーである。これが、1日かそこらの短期間に起こったことなのか?!、読了後あまりにも詰まった内容であり、そう思った
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No.116:
(3pt)

概要は十分おもしろい。

未読 字がちいさいので老人には他の本もそうだが、キンドル等を検討したい。
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No.115:
(5pt)

生きるも死ぬも紙一重の壮絶な戦闘に巻き込まれた自衛官たち

年下の親友Oから「戦闘小説だが、海外に派遣される自衛隊に起こり得るケースだから、ぜひ読んで、書評を書いてほしい」と強く薦められた『土漠の花』(月村了衛著、幻冬舎文庫)を手にしました。

アフリカの土漠(どばく)地帯・ソマリアの国境付近で墜落ヘリコプターの捜索救助活動に従事していた陸上自衛隊第一空挺団の野営地に、敵部族から命を狙われている現地人の若い女性が逃げ込んできたことから、12人の自衛官は命を懸けた壮絶な戦闘に巻き込まれていきます。

興奮の坩堝の中、一気に読み終わって感じたこと、考えたことが、3つあります。

第1は、集団的自衛権の行使に突き進んでいる日本にとって、これは小説に止まらず、現実に起こり得る悲劇だと、心が震えました。「気がつくと原田の生首が転がり、吉松3尉が射殺されていた。国際貢献のための海外派遣。やりがいのある仕事であると上からも周囲からも言われてきた。様々な危険の対処法についても日々訓練を積んできたが、こういう死に方は予想もしていなかった。陸上幕僚監部にとっても防衛省にとってもまったくの想定外だろう」。しかし、これは悲劇の始まりに過ぎなかったのです。「無念にも頭を撃ち抜かれた吉松隊長。首を斬り落とされた原田。抵抗する間もなく射殺された戸川と佐々木。なぶり殺しにされた徳本。そして――新開、市ノ瀬、梶谷、由利。皆戦場で勇敢に戦って死んだのだ」。一方、彼らに殺された敵の数は数え切れないほどです。さらに、敵の手にかかったその敵対部族の死者は数知れません。このように、敵に殺され、敵を殺す惨劇が延々と続く、これが戦争です。そして、「それらの悲劇の背後には、利権を求める大国の思惑がある」のです。

第2は、絶体絶命の環境で生き延びるとはどういうことか、襲いかかってくる敵を殺すとはどういうことか、仲間を救うために命を投げ出すとはどういうことか――を真剣に考えさせられました。「心を平静に保ち、極限まで集中する。これまでの訓練で積み上げてきた成果を、自分の持つ資質を、最大限に発揮するのだ。それが自分の任務である。人として、今日まで家族や仲間とともに生きてきた自分の」。「これは時間との戦いでもある。一秒を争う戦いの意味に、変転する戦況に、気づくのが遅れた方が死ぬ」。

第3は、次から次へと息を呑む、臨場感溢れるストーリー展開に、小説を読む醍醐味を存分に味わうことができました。わだかまりを感じている仲間と心が通じ合う瞬間。仲間意識が生み出す不動の使命感。共に生き延びようという強烈な仲間意識。仲間を救うために自ら死地に飛び込んでいく勇気――が心に迫ってきて、何度も涙しました。「友永は決断した。何かを躊躇していたら死ぬ。それだけは確信できた。『作戦変更だ。ただちに撤退する』。振り返った部下達に、決然と告げた」。「あいつ(梶谷士長)だけではない。友永曹長、新開曹長、朝比奈1曹、津久田2曹、市ノ瀬1士。みんな最高の男達だ。霞ヶ浦駐屯地の警務隊でなく、最初にこの男達と出会っていたら、自衛隊での自分の人生はまるで違ったものになっていただろう。少なくとも、高塚を見殺しにするような最低の人間にはならなかったはずだ。この仲間達と会えてよかった。たとえソマリアの地に果てるという運命が待っていたとしても」。

戦闘物を好まない人も含めて、全ての日本国民に読んでもらいたい作品です。
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