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とっぴんぱらりの風太郎
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とっぴんぱらりの風太郎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全120件 101~120 6/6ページ
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山田風太郎に慣れ親しんだ世代としては、若い作家がこのような忍法帖を書いてくれるだけでも、嬉しいものです。 実によかったです。 これぞ、エンターテイメントです。 軽薄そうな登場人物に、徐々に陰影を与えていき、最後はぐっと感情移入せざるを得ない筆運びは、お見事の一言です。 ここのところ、購入した長編小説で「ハズレ」が続いていただけに、このような本に出会えたことを、とても嬉しく思います。 草葉の陰で、山田姓の風太郎も、喜んでいるんじゃないでしょうか。 | ||||
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本が分厚くてなかなか持ち歩けないのでまだ、読み終えていませんが、読み応えあります。面白いです! | ||||
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風太郎の考察が意表をついた。 次はどうなるのか。何を考えるのかドキドキしながら読んだ。 | ||||
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主人公の風太郎は「忍び」として秀でた技や能力があるわけではなく、 おちこぼれ寸前、ギリギリ及第的な感じ。 食い物に釣られる!とにかく食い意地がはっている。 大事なところでは、なんとな〜く人まかせにするから後で後悔する。 そして「あいつが!」と人のせいにする。 「忍び」に固執するわりに そこで何がやりたいのかわからない。 …あまりに「主人公」然としていなくて、まるで「わたし」みたいなので、 前半はちょっぴりイライラしてしまいました。 そんな風太郎が、戦さでの経験を境に少しずつ変わり始め、 初めて自分の意思でやりたいことを成すのです! つい、思わず、どうしたって応援しちゃうでしょうよ! おもしろかった。 けど「ヴィトン風辞書」のようなこの本は長時間持っていられません…。 | ||||
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忍者、ひょうたん、大坂城。 時代小説を読んでいるのに、時代臭くない?! テンポよく読みきりました。 良かったです。装画も凄く良かったです! 意外と重くなかったのも良かったです(笑) | ||||
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“とっぴんぱらりのぷう” とは、秋田県地方で使われる昔話などの結びの言葉だそうな。 主人公の風太郎(ぷうたろう)は、忍者。主の命令に従いその覚えをめでたくすることだけを生きる忍びだ。 悪気はないお気楽な相棒・黒弓のせいで、伊賀から追い出され、京でぼんくらな日々を送るハメになる。 忍びであることにしかアイデンティティを見出せない風太郎は、主人に暇を出された『羅生門』の下人と同じく途方に暮れたまま過すしかない。 しかしそんな彼をまわりは放ってはおかない。万城目ワールドの面目躍如たる因心居士に翻弄されながら、未知の世間の荒波を、一癖も二癖もある面々を相手に、風太郎は泳いでゆく。 主の命令は至上、その枠内で自分が生き残ることしか考えない、風太郎をはじめとする忍びたちが、ひさご様との出会いを経て、それぞれに選んだ生き方は? 746ページに及ぶ波乱万丈の物語の旅の結末は、“とっぴんぱらりのぷう”が意味するように、単なる“おしまい”なのかそれとも“めでたしめでたし”なのか? | ||||
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この本を読み終わった後の余韻はすごいものがある。 万城目氏の今までの作品を全部もう一回見ようという気になった。 | ||||
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毎日、読んでいるようです。 おもしろいと言っています。 分厚いのでなかなか読み終わらないよですが、 終わったら、自分も読もうかな。 | ||||
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久しぶりに購入して読み終えました。 分厚くって、持ちにくかったんですが。 「コレ、コレ!」っていう感触。 切り立った紙のザラっと感味わって読みました。 お初な時代物だった。から。 静かな万城目ワールドな、感じかな。 ゆったりとしてた。 太い帯にニート忍者風太郎って。 アタシはニートとは思わなかったんですが。 忍者としてみるならば「そぅ、ニートなの」かも・・・と。 伊賀から離れ。 京都の吉田山のあばらやで【ひょうたん】と、出会う。 ひょうんを育てる・・・。 柘植屋敷の仲間。 三寧坂の瓢六 ねね様とのお茶。 ひさご様との蹴鞠。 芥下 〜ならば、風太郎もいつか誰かを救えばよい〜 本阿弥光悦 〜悲しい刀じゃな〜 炎の中の大阪城は情景がアタシにはあまりに戦いも想像できず。 ひさご様とのお別れがよかった。ひさご様の描き方が好きでした。 静かに届いて泣きました。 風太郎に【母】を。って・・・。 感じていたのはアタシだけかしらん。 | ||||
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万城目氏よ、なんてものを読ませてくれた。 分厚いハードカバーに、これでもかという程の文字が詰まっている。 が、しかし。 最後まで、軽いページを捲るスピードが衰える事はなかった。 (余談だが、文字通りページが軽い。 比べてみたら、紙の厚さは他のハードカバーの半分程度のようだ。) 万城目作品の疾走感が好きで、この作品も手に取った。 これだけのボリュームであっても、疾走感は健在である。 だが、読後にあるのは何時もの爽快感だけでは無い。 苦しい程のえもいわれぬ気持ちに、暫く何も出来ずに本の前に端座していた。 ようやく我に返って、真っ先に浮かんだのが、冒頭の言葉である。 本当に、万城目氏はなんというものを読ませてくれたのだ。 ありがとう。 | ||||
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哀しい運命を背負った者たちの話です。笑いどころはあまりありません。真面目に書かれた時代小説+ファンタジー。万城目が得意とする分野でしょうね。 舞台は京都に大阪。土地勘がある人や万城目、森見作品を好きな方には、現れる過去と現在の風景が交差し違った面からも楽しめると思います。 己の運命を受け入れ覚悟する姿には涙させられます。ただ、いささか冗長。五章、六章までは、あまり読む手が進まず。 ひょうたんの育てかた云々。万城目ファン以外にはなんのこっちゃ分かりますまいて。 でも、以前、映画化された『プリンセストヨトミ』に比べれば良作です。この作品こそ映画化するべきでしょう。コンパクトにまとめた方が伝わりやすいこともあると思います。 | ||||
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幼い頃からしこまれ、生き残るために命をかけてきた忍びの道。 特段、他人より優れた能力があるわけではなく、なんとなく運で ここまできたような忍者・風太郎。 それが、ちょっと仕事でしくじって、生活が劇的に変化した。 命が来なくなり、やるべきこともなく、仕事もない。 忍びとは、命を受けて仕事を果たすもの。 命が来なければ自分の生きる道すら失ってしまう、風太郎の 忍びとしての哀しい性が、痛い。 風太郎に、ふたたび生きる力を与えてくれたものは何だったのだろう。 周りを取り巻く黒弓や常世、ひさごさまなどの生き方に、結局は 取り込まれてしまったのか、それとも風太郎は、自らその道を 見つけたと言えるのか。 感情は無用の忍びでありながら、瓢箪を育てるだけの風太郎に瓢箪の 生長を愛でる心を持たせたり、人としての喜びや悲しみを感じさせた 著者は、どちらを意図したのだろうか。 | ||||
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『プリンセス・トヨトミ』に接続する作品。 『トヨトミ』が扱った過去の時代よりも、ほんの少し前の時代の伊賀と京都と大阪が舞台なので、『トヨトミ』を読んだことのない人は、まずこの『とっぴんぱらりの風太郎』を読んだ後に『トヨトミ』を読んでみると、『トヨトミ』をより一層楽しむことができる!と思います。 また、『風太郎』のテーマは“戦争”であり、それとの関係で読んだ後にストレスがたまります! なので、そのたまったストレスを発散する!ために、『トヨトミ』を読んだことのある人も、もう一度『トヨトミ』を読んでみる!のもありかな?と思いました。 ちなみに、『トヨトミ』の「第五章 栄光の五月」について、これを大阪国の“王女”に関わりを持ちそうな『風太郎』の登場人物たちが読んだとしたら、かれらも浮かばれる!のではないか?などと妄想してしまいました。 なお、『風太郎』の登場人物である風太郎と黒弓の一見殺伐とした友情は、『鴨川ホルモー』の安倍と高村のそれを彷彿させるものがあるので、安倍と高村のコンビが嫌いではない人は、すんなりと『風太郎』の世界に入っていける!のではないか?と思います。 ただ、すんなりと入っていけたとしても、『風太郎』の世界は阿鼻叫喚の地獄です! しかも、その阿鼻叫喚地獄の万城目先生の描写は凄まじい!の一語に尽きます。この凄まじい描写には、何か万城目先生の怒りが込められている!ように感じました。 たぶん現在の日本の社会の行く末について、万城目先生は危うい予感のようなものを抱いていて、その予感が的中したらどういうことになるか?ということを具体的に描いてみせたのだ!と思いました。 そして、阿鼻叫喚地獄を棚上げにしたり、うやむやにしたりせずに正面から見据えて、そのうえで自分たちの社会の行く末について決断せよ!と怒っている!ような気がしました。 このこととの関係で、本書307頁のつぎのセリフは肝に銘じておいたほうが良い!かもしれません。 「昨日まで何事もなく平穏だったものが、突然崩れてやってくるのがいくさじゃからな」 なお、大阪人と京都人が、互いに相手のことを好きというわけではない!遠因のひとつが、大阪冬の陣、夏の陣なのではないか?と本書を読んでいて思いました。 | ||||
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久しぶりの万城目本。楽しみにしつつページを開けば、先ずもって登場するのは、 能力はあるのだが妙なプライドとコミュニケーション能力の不足が災いし、まともな仕事につけないニート青年 海外での経験を生かしベンチャービジネスに精を出し、困難な時代を巧みに生き抜く帰国子女青年 生来の美貌と知性を活かし、器用に体制側に取り入りつつ自己実現を図ろうとするニューハーフ青年 不器用な生き方しかできないことを自覚しつつ、ひたすら体制内での生き残りをかけるバブル組青年 という四人の若者。 このままなら、あの*井りョウや池*戸潤あたりが書くような「凡庸な現代小説」になってしまうのだろうが、そんなことには決してならないのでご安心を。今回も「とんでもない大ボラ」をぶちかましては、登場人物たちをせちがらい「現実」から解き放し、自由奔放に走り回らせる万城目学氏の手腕にはまさに 脱帽! なのであります。それに加えて、今回の新作を読めば、そうか、あの万城目氏も、 バリバリのドラクエ世代・・・ であったのかということにも気づかされる次第。本編第6章あたりで、「おや?」と気づかされ、そして9章に入ると俄然、花開くドラクエワールド。これ以上書くとネタバレになるので、表現は控えますが、 そうかそうか、あの「プ**セス・ト**ミ」は実は「ド*ク*'1」で、今作が「*ラ*エ3」だったんだ・・・ ということに気づけば、最初にご紹介した四人の登場人物が、それぞれ「勇*」、「武*家」、「魔**い」、「*士」・・・なんて野暮を言うことはもうやめにしますが、先ずは終盤の100ページあたりを読みすすめていく、その頭の中では「すぎやまこういち氏」作曲の、あのなつかしいメロディが鳴り響き続けることになります。 賢明な読書士の中で、もし万城目氏の「プ**セス・・・」をお読みでない方がおられるのでしたら、先にそちらの方をお読みなってから、本作をご堪能いただきますよう、先ずはよろしくお願い申し上げます。 | ||||
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『週刊文春』で約二年に渡り連載された作品の書籍化.700ページを超える大作になります. きっかけとなる出来事を回想で語り,気になる言葉や人の名前を織り交ぜての一章は, いかにも始まりといった空気が漂い,これから先への広がりを期待させられ好印象です. 以降も,連載作品によくある都度都度での説明がないため,気持ちよく読み進められます. また,忍び,そして描かれる時代のせいか,生きること,死ぬことへの描写がかなり多く, これまでの著者の作品に多く見られた,明るさや楽しさといった要素はほとんどないものの, ただの生き死にだけでなく,忍び,人,己,意識を深めていく主人公の姿は魅力的に映ります. そのせいか,お得意のケレン味ある部分が,本作では時にマイナスとなってしまっており, シリアスな終盤での『登場』も都合がよいだけでなく,雰囲気的にも気になってしまいます. ボリュームがある分,こちらが動けばあちらが…と,ほかが置かれ気味になるのも引っ掛かり, いっそ忍びのみに焦点を絞り込んだ,もうちょっとスマートな物語でもよかったように思います. とはいえ,クライマックスではページを繰る手が止まらず,アツい生き様や温かいやり取り, 繰り返される興奮と緊張を経ての結末には,胸が締め付けられ,何とも言えぬ思いが残ります. そして多くによって繋がれた『命』は,小さいながらも物語を象徴するとても大きなもの. 悲しくも散っていった忍びたちも,わずかの時間ではありましたが,しっかりと生きて輝き, その立場上,本来は残してはいけないその存在を,強く,そして深々と読み手に刻み込みます. | ||||
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新刊が分厚くてうれしいです。 タイトルとは裏腹に、厳しい世界に生きる忍びの物語です。どの登場人物もキャラが立っていて会話が面白く、時代小説でもマキメワールドを楽しめました。都の華やかな空気や洛外の庶民の暮らし、戦場の血の匂いまで目の前にあるように描かれ見事でした。最後は睡眠時間を削って一気に読了。風太郎のくせにモテすぎだろうと思いつつ。久しぶりに大阪城や産寧坂へ遊びに行きたくなりました。 | ||||
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いつの頃からか、万城目の新刊が待ち遠しくてし様がなくなった。 何故か。答えは単純、次は一体どんな新しい奇想の地平線が待っていることだろう、と。 それは「鬼」だったり「鹿」だったり、「大坂城の地下」はては「琵琶湖に巣食う龍」であったり...奇想の上に立つ現実は、本作でもいかんなく発揮され、まさに紛うことなき「万城目ワールド(この言葉、個人的には嫌いですが...)」といえる。 しかし、本作。700ページを超える大長編ともなるとそうは問屋がおろさない。 前段はこれまで通りの万城目小説。しかし、「大坂冬の陣」に差しかかると、途端、雑兵目線の戦さの現実がこれでもかと読者に襲いかかり、非常に理不尽な、賛否両論必至なラストへとなだれ込む。 「これじゃあ、いつもと違う万城目じゃないか!」 そんな嘆き声が聞こえてきそうなほど、戦いを容赦なく描いている。北方先生真っ青のハードボイルドな展開はきっとこれまでのファンを戸惑わせるに違いない。 しかし、この展開、僕は好きだ。きっと僕も万城目と同じように日本の戦国史好きだからだろうと思う。 戦争反対、しかし戦車や兵器は大大大好きなスピルバーグ「プライベート・ライアン」のノルマンディ上陸作戦のように、思わず吐き気を催すがごとくに戦国の戦闘を活写したい。歴女と称する軽薄な女たちが発する「タイムマシンがあったら、私、絶対戦国時代に行って蘭丸君と恋に落ちたい!」的な言葉に鉄槌を下してやる。「お前らなんか、戦国に行ったら、1分1秒たりとも生きちゃいねぇぞ」そう断罪してやりたい。 ...と、まぁ、万城目がこんな感情を抱いていたかはともかく、他の戦国小説が活写するぬるい描写をあえて嫌ったこの展開は、十分新しい時代小説の地平を見せてくれたと思う。 かつての京極や船戸本のように、本で人を殺せそうなほどの大作(...といっても、1日で読破できます)。 700ページを決して飽きさせることなく物語を構築する才能にはもはや脱帽。 そういう意味でも、エンターテインメントを突き進む万城目作品は、いまなお外れなし。 ただただ念じるのは、これを実写映画化しないでほしい(アニメ化は歓迎)。 こんな大スケール、在りし日の黒澤でも難しいと思うから。 大駄作「梟の城」の二の舞は勘弁願いたい。 | ||||
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骨太のとてもいい小説です。 万城目さんの小説は 大人が読むのにはちょっときついものが ありました。 例えば 鴨川ホルモー や、 偉大なる、しゅららぼん。 上手に乗らないと、置いて行かれてしまう。 端的にいえば、 万城目学さんの作品は若い人が読む。 そういうイメージがあります。 それを覆したのが 中島敦さんへのオマージュ、「悟浄出立」です。 この小品を読んで 「これは若いもんに独占させてはならじ」と 興奮していた時に 週刊文春に万城目さんの連載がはじまったわけです。 連載が終了し、今か今かと単行本化を待っていました。 この物語は 直木賞をとるであろうと期待される、大人がひきこまれていく 上質の時代小説です。 本の造りも、今までの本がペーパーバックの感があったのですが 今回はとても重厚感のある造りのうえに 中川学さんのイラストが入っています。 ささ、その物語の名は 「とっぴんぱらりの風太郎」 というけったいな名前です。 笑 どうも万城目さんは ネーミングがフェイントの人です。 しかし内容は、読ませます。 簡略すれば、 伊賀の忍者屋敷から火事により生き残った 若い忍者たちの生き残ろうとする青春群像といってよいのですが、 2年間の連載、単行本にして746ページですから話はいりくみ 迷路のようです。 登場人物も 妖術使いなのか実在なのかと混沌とした因心居士や 虫けらのように人を殺す残虐なかぶきものたち、 ねね様、 本阿弥光悦や 「ひさご様」(←読んでのお楽しみ)と、 豪華なメンバーです。 彼らは死闘を繰り返しながら あるいはのんきに瓢箪をつくりながら 大坂冬の陣、夏の陣に容赦なくまきこまれていきます。 そして「あるお方」のために捨て身の攻撃を繰り返し 「ある方」の願いを聞き入れるために身を捨てます。 そのうちの一人は平気で人を裏切る狡猾な蝉左右衛門。 そのうちの一人は男なのに、幼いころから女として忍者修行に励んだ常世。 そのうちの一人はポルトガルに奴隷となって生きている母親を買い戻すために せっせと商売に励む黒弓。 そして忍者として第一線で戦いたいと思いながらも、 利用され続けるお人よしの風太郎。 せつない場面が最初の章から次々にでてきます。 はっきり言いましょう。 人がころされる場面です。 特に第六章の戦闘シーンはやりきけれません。 鍬しか持ったことがないようなお百姓が 「おっかあ」とさけびながら死んでいく。 膝から下を失った男はなきながら 地面をはって逃げている。 その体に無数の矢がつきささるが男は それでも肘を前に進もうとする。が、 男を銃がとらえる。 このように、抜き書きするとうまくつたわらないと思うのですが 今までたくさんの時代小説を読んできましたが 合戦のシーンの無情さをここまであらわしたものは初めてです。 最後は全員生き延びて欲しいと願ったのですが・・・。 どうなるや!? 最後の行は 身体の深いところからゆっくりと這い上がってきたあたたかいものに、 なるほどこういうものか、とひどく腑に落ちた気分になって、 誰にも気づかれぬよう静かに目を閉じた。 で終わる。 切ないですねえ。 しかし、 よくよく読めば死んだとは書いていない。 生きているに違いないと私は思っています。 何故こう思っているかといますと、 終盤になんの脈路もなく 「小介」 「佐助」 「才蔵」 という名前がでてきます。 これは 真田十勇士のなかの人物です。 が、名前がでてくるだけで、 あとさきの説明がまったくありませんでした。 私自身、この小説を読みながら 昔観た東映映画の「真田風雲録」を思い起こしていたので、 これは続編への伏線なのかと今も考えている次第です。 今も切ないものが残る万城目さんの渾身の作だと思います。 ナオキショウナオキショウ! | ||||
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日曜日に購入して、今朝、まさに50時間後に読み終えた。興奮がおさまらないので、レビューを書く。 高校生ぐらいの頃、『竜馬がゆく』を寝食を忘れて読みふけったことがある。あの頃の体力はもうないよな、と思っていたけれど、この本はあの時感じた面白いものを読む興奮とともに、自分の中の「読む体力」を呼び起こしてくれたような気がする。 まず、その分厚さに驚く人がいると思うが、大丈夫。あっという間だ。 重たい? そう、重いと言えば重い。でも、ほかの同じくらいの本と比べると、存外に軽い。 装丁も、もしかしたら軽量化の一助となっているかもしれない。カバーがないのだ。その代わりというか、本自体がつるつるしていて触ると気持ちがいい。某ブランドの某文様のような感じで、家紋だったり、しゃちほこだったり、爆弾だったり、手裏剣だったり、この物語に関係のあるマークがきれいに並んでいる。モノとして美しい。うるしぬりの箱のようだ。 さて冒頭のアクションから(かっこいい!)しばらくは、『鴨川ホルモー』のぼんやり大学生たちのような、主人公風太郎と相棒黒弓ののどかな日々が続く。なるほど、戦国時代が終わってしまうと、忍者は活躍の場を失い、生きる目的もなくぼんやり過ごしてしまうのかもしれない。 このあたりは、いまどきのダメ人間と変わらない。あほな会話、あほな主人公。万城目作品の通奏低音。 そしてひょうたんが出てきてからは、いつもの万城目ワールドど真ん中へ。 やっぱり万城目作品はこうでなくっちゃ!という展開になってくる。ああ、どうしてそっちに話が行くのか。そして、どうしておもろいのか。 想像力をどういう方向にかたむけると、こういう物語が生まれるのだろうか。この人の頭の中は、きっと妙なことになっていると思う。 しかし後半、これまでの万城目作品にはなかった、ピンと張りつめたようなムードが出てくる。 いくさのシーンにそれが顕著だろう。いとも簡単に、人は死ぬ。その無情さは、これまでの万城目作品にはなかったものだ。 そして、最後の200ページほどは、もうページを繰る手を止めることができなかった。 やる気に乏しいぼんくらニート忍者だった風太郎が、こんなにもたくましく雄々しく、最後の決戦に臨むとは。。。。。 図らずも、涙が出た。そういうエンディングだった。風太郎よ、おまえ、かっこいいじゃないか。 今までの万城目作品を読んだ人には、こう伝えたい。「万城目ワールドは健在です。万城目ファンでよかったと思える一冊です」と。 これまで万城目作品を読んだことのない人には、こう伝えたい。「是非ご一読を。小説の力、物語の力が、この本には詰まっています」と。 最後に。もしキャラクター人気投票があったとしたら、うーん……。僕は蝉に一票入れよう。ひさごさまと、迷ったのだけれど。 | ||||
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前作の「偉大なる、しゅららぼん」等は全く作風が違います。今までのマキメワールド的な趣きはありません。登場人物の魅力や会話にキレはなく「人間とは・・この時代の生き様とは・・」ばかりにスポットがあてられています。丁寧な文献調べや取材への力の入れようは凄いですが、肝心の発想力・ストーリー展開・クライマックスがホルモーシリーズ、鹿男、プリンス・トヨトミの1/10以下です。描写のリアリティをUPしても、他の本格ミステリー作家の二番煎じです。今までこの作家の新刊をワクワクして待っていましたが「これからもこんな作風で・・」と思うと切なくなってしまいます。万城目さんらしさを失わないで下さい。 いちファンより | ||||
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