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世界を売った男



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【この小説が収録されている参考書籍】
世界を売った男
世界を売った男 (文春文庫)

世界を売った男の評価: 4.44/5点 レビュー 9件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.44pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

この著者の作品はハズレなし

色々と面白いポイントがありますが、ストーリーのテンポがよくてあっという間に読んでしまいました。
世界を売った男Amazon書評・レビュー:世界を売った男より
4163814507
No.8:
(4pt)

本格推理小説なんだろうけど設定に振り回される

話題作「13・67」でもそうであったように、著者の陳浩基はともかく設定を徹底的に凝る作家のようだ。この一見
変わった題名の作品でも(題名と話の筋は殆ど関係がないと言って良い)、読者が混乱するほどに設定が複雑に
されており、最後まで筋がなかなか読めない作品になっている。これは「島田荘司推理小説賞」を受賞した本格
推理小説であり、謎解きを大きな目的にした作品なのである。香港を舞台に、ある朝起きれば時が6年進んでいる
という刑事の独白で始まる。彼が担当した6年前の夫婦惨殺事件を舞台に、担当刑事の記憶喪失、真犯人と
思われる人物の精神的な病などを駆使しながら、この殺人事件の謎解きに迫るわけだが、謎解きのための謎解きに
なっているように、私には思える。ただ、いわゆる社会派ミステリーではなく本格推理小説の好きな人には、こういった
作品は待ちかねていたものに違いない。余り、本格推理小説を大好きだと言いかねる私には、とやかく批評できる
立場にはないかも知れないが、謎解きの要素に精神障害などを入れ込んで、人と他人が入れ替わるというトリックは
如何なものかという気はする。犯人が整形手術をして違う人間に入れ替わるという設定が、推理小説では禁じ手で
あるように。これをやると筋を追う読者の方にも読後の爽快感が残らない。まあ、本格推理小説ファンの方々には
お叱りを受けるかもしれないが。
世界を売った男Amazon書評・レビュー:世界を売った男より
4163814507
No.7:
(5pt)

意外な設定で面白かった

香港の刑事もの。大胆だが、意外に無理ではない設定で、非常に面白かった。
本当にいろいろなタイプのミステリーを書ける作家だと感心した。
世界を売った男Amazon書評・レビュー:世界を売った男より
4163814507
No.6:
(3pt)

アジア発推理小説という新たな世界

2年程前にYahoo!ニュースで紹介されており、気になって購入しました。再読して改めて感じましたが、一言で言うと、いやあすごいミステリ小説だ、と思います。特に後半の展開には驚きっぱなしでした。まるで映画を見ているかのよう。

刑事の許友一は朝起きるて、気づくとなぜか記憶がない。署に戻ると丁度自分に来客で、6年前にすでに解決したはずの事件について記者の盧沁宜が取材したいという。。。なぜ記憶がないのか、そしてそもそもその事件の真相とは・・・!?あとはご自身でご確認ください笑

今回の小説のテーマの一つが記憶、です。記憶というのはかなり重要なアイデンティティだと思います。名前や所属団体にアイデンティティを感じることも多いと思いますが、記憶は中でも最も重要なアイデンティティの一つだと思います。そのアイデンティティを失ったとしたらそのインパクトはどのようなものでしょうか。
また、思い込みとか勘違いというは我々の日常にままあることですが、事実と異なる記憶を本物として思いこんだとすると人はどうなるのか。
これだけで大分ネタを明かしてしまったようで申し訳ないのですが、この記憶の妙を上手に使ったのは本作の面白さだと感じました。

また本作は筆者が日本文化に結構通じていることを思わせる部分(古畑任三郎や青島刑事等)が散見され、日本人としては筆者にちょっと親近感がわいてしまうところです。また、筆者が香港人ということであり、香港の様子が細々と記述されています。香港に行ったことのあるかた、住まわれたことのある方は懐かしみと共に楽しめると思います。
・・・
まとめますと、非常に面白い推理小説でした。展開も良し、記憶など人間のアイデンティティにかかわる深いテーマも仕掛けられており物語に深みを与えています。香港という土地柄の描写も旅情を誘います。そして最後に大事なこと。アジアの推理小説という新しい世界に出会うことができます。題名が世界を売った男ですが、私には新しい世界がひらけました、おかげで笑
世界を売った男Amazon書評・レビュー:世界を売った男より
4163814507
No.5:
(5pt)

灰色の脳細胞を駆使せよ

香港を舞台にした驚くべき傑作ミステリー『13.67』で陳浩基を知り、さかのぼって本書を手に取った方は多いと思う。わたしの場合、本書のほうを先に購入していたのだが、読んだ順序としてはやはり『13.67』が先だった。つまり、買ったはいいもののずっと放置していたのだが、今あわてて読了し、不明を恥じているところだ。

『13.67』で炸裂する陳浩基の才能は、すでに本書にたっぷり詰まっている。読者は、ヘロヘロになるくらい鼻面を引き回されることになるだろう。灰色の脳細胞をしっかり駆使して、たっぷりご堪能いただきたい。本書は中国語で書かれた本格ミステリーに与えられる島田荘司推理小説賞を受賞しているが、さすが島田氏、名伯楽!

読み終えて、ふとこれは映画にしたら面白いんじゃないかなと思った。現在『13.67』の映画化が進んでいるそうだが、本書のほうが話としては映画化に向いているのではないか。もちろん叙述トリックの部分は映像化が難しいだろうけど、そこを捨てても面白い作品になりそうな気がする。力のあるスタッフとキャストで実現してほしい。
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4163814507
No.4:
(4pt)

本格派の謎解きとサスペンスの緊迫感

許友一刑事は、車の中で自分が六年間の記憶を失っていることに気がつく。
見慣れた警察の受付が新しくなっており、追いかけていた事件は解決済みだという。
事件の決着に納得のいかない許は、ニュース雑誌の女性記者と共に六年前の事件を追う。

主人公が記憶喪失というのはよくある設定だが、本書は過去作より更にひと捻りもふた捻りもしてある。
実は複雑なプロットなのだが、どこにも引っかからず一気読みした。
シンプルでスピード感あふれる文章のせいでどんどん読まされる。
終盤で驚きの爆弾が立て続けに炸裂して、唖然とした。

本格謎解きの妙味とサスペンスの緊迫感を併せ持つ傑作である。
最高点でもいいのだが、確率の低い現象が続けて起きるのがやや不自然なので、星4個で。
世界を売った男 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:世界を売った男 (文春文庫)より
4167911825
No.3:
(5pt)

心意気を強く感じた

面白いなあと思ったのは、6年前からの記憶がない、でもなく、この6年より前の記憶がない、でもなく、6年“間”の記憶がないという設定。
この“間”がさりげなく強調されるので、どういう理屈建てで落とすのだろうと思って、強引に話を持っていくなとか、ちょっとこの訳の日本語表現は・・・とか感じる部分もありながら、急ぎ目にページを繰った。
つまりは、惹きつけられた、ということになるのかな。

ああ、そういうことなんですね。自分が興味を持っている分野が理屈建てに使われていたこともあって、ニヤリとしてしまった。一方、“理屈”をちゃんと説明しなきゃねという、それは誠実さでもあるのだろうけれど、そこにまどろっこしさを感じもした。

ミステリーは最近あまり読んでいなかったし、本格モノと言われるものはさらにそうだったので、何度も前に戻りながら読んだこともあって結構疲れたし、も少しココロの部分を深入りして書いてもいいんじゃないかなあとか思ったりして、評価「4」にしちゃおうかと思ったのだけど、パワーアップしたこの人の作品を読みたいなとも感じたので「5」。

なんというか、心意気を強く感じた。
世界を売った男Amazon書評・レビュー:世界を売った男より
4163814507
No.2:
(4pt)

いい意味で読者を裏切ってくれます

「記憶喪失モノ」の必須要素である「夢オチ」で終わりそうな予感や急に飛び込んできた登場人物が絶対怪しい説、精神科医院で交錯する2人の接点、香港の街並みの細かな地理や人物描写でのトリック、香港映画へのまなざしなどなどじゅうぶんな「伏線」がビシビシ張りめぐらせされています。詳細な内容はぜひお読みになってお楽しみください。

「本格派推理小説」の生命線は、「日常の当たり前」からほど遠い「違和感」をまき散らしながらも、よくよく読み返してみると確かに「書いてある!」ことであり、すべての情報を平等に読者に与えきることに尽きると思いますが、この基本は忠実に守られていますので、香港風の味付けを堪能しながら行きつ戻りつしてご自分なりの推理をお試しください。
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4163814507
No.1:
(5pt)

イノセントな倫理を描く挑戦作

もしもあなたが陳浩基の代表作となった『13・67』をまだ読んでいないのであれば、ひとまず本書ではなく、迷わずに『13・67』を読むことをお勧めする。『13・67』の半世紀にわたる香港の歴史と謎を解き明かすバルザック級の人間喜劇を読まないことは、きっとミステリ小説好きに限らず、あらゆる小説好きにとって大変に残念なことだからだ。その上で陳浩基の想像力の源泉を知りたく思ったのであれば、本書を購入しても後悔することはないだろう。このようなお節介を述べるのは、現在の洗練された陳浩基の小説技術とは比較にならないほどに、本書が未熟で異質な挑戦作であるからだ。私見では本書は『13・67』の完成度にはほど遠い、強引なトリックと牽強付会な推理で構成されており、『13・67』を読む前に本書を読んだ時には、不十分な謎解きと不合理な展開があるたびに、3回ほど壁に初版本を叩きつけたほどである。それでも本書を読破できたのは、必ず犯人を捕まえてみせると、惨殺された被害者に誓う、主人公のイノセントな倫理が示される冒頭の描写が、実に見事であったからだ。本書の本当の魅力は事件の真相よりも、記憶理論や心理学を駆使しラカンの「人は他者の欲望を欲望する」という言葉さえも暗示して、主人公のイノセントな倫理がどこから来るのかを想像させる、人物描写の深層にこそある。陳浩基が本書で描いた、イノセントな倫理という古くて新しい物語は、『13・67』でクワンとローの2人の刑事によって本格的に展開されるものであり、おそらくはその関心の範囲でのみ、本書は未熟な作風でも、やはり必読のミステリ小説となるのである。
世界を売った男Amazon書評・レビュー:世界を売った男より
4163814507

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