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エドウィン・ドルードの謎
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エドウィン・ドルードの謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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ディケンズは初めて読むが全体的におとぎ話か童話のような雰囲気があり登場人物も戯画化されその会話には誇張、比喩、逆説のような表現が多く読み続けるには忍耐力を要した。ただし各人は生き生きとして個性的に描かれており典型的な人物像としてのコントラストが鮮やかでわかりやすい。このへんは社会や文明に対する批判精神の表れと思われる。 小池滋氏による解説が秀逸であり、これによれば全体の半分ほどで未完となったようである。これから最も面白くなる所で終わっているのが残念である。全体が完成されていたとしたら推理小説としても非常に完成度の高い作品になっていたであろうことがわかる。単なる勧善懲悪ではなくある意味では現代的なテーマが推理小説の形で表現されておりこれがホームズ以前のポーの時代の書かれていることに驚いた。 未完の部分に関しては解説に述べられる内容で十分想像がつくが、残されている表紙絵や関係者の証言が重要な手掛かりになっているあたりはこれ自体が興味深いミステリとなっている。 他のディケンズ作品も読んでみようという気になった。 | ||||
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最大の謎はエドウィンが死んだか生きているかだと思う。で、謎は解決していないし、どの答えもたぶん推測の域を出ないから、いち読者として答えをひとつ。 というのは、ターターがエドウィンと考えてみたいのである。エドウィンが消えてから半年、生きていたとするならば変わることもできるだろうし、何しろ生死の境をさまよったのだ。何でもできるはず。 さらに、おじさんの能力であるメスメリズムでさえも習得しているように思われる。おそらく、殺されるとき強い念力を与えられて伝染したのだろう。 ある意味で、スーパーナチュラルなお話である。ジャスパーに超能力が備わっていることに加え、ディケンズが死んで結末が神のみぞ知ることになった。すなわち、人には解けないのである。 他方で、ディケンズの小説はパズルのようでもある。『荒涼館』のような重厚なものはさすがに余裕がないと精緻に読めないけれども、『エドウィン・ドルードの謎』は読み進めながらも何度か前に戻って読み返した。なぜなら、些細な描写――ひとつひとつのパズルのピース――にリアリティがあると思ったからだ。ターターの喉元は白いし、ダチェリーの眉毛は黒い。褐色の肌に白い部分、あるいは白髪なのに眉が黒いというのはおかしい。また、ダチェリーが帽子をかぶらないのは頭が蒸れるから。とすれば、ヘレナ以外には考えられない。グルージャスには暇がなさそうで、バザードには変装をする意味がない。 そして、Tarは黒い粘着性物質で、Tarredという形で動詞として使用すると汚名を着せられるという意味に、Tarpaulinには、あまり使われないが船乗りを表すこともあるらしい。Tartarという名前はエドウィン自身が芸名のような感じで付けたのではないか。変わりみのエドウィン・ドルード説を提唱したい。 最後に、翻訳はディケンズ研究者の小池滋さんで、挿絵はルーク・ファイルズによるもので、文章にイラストがあって筋が理解しやすくなっている。プロットも面白いし、いい小説だと思う。 乱文ですが、ご容赦ください。 | ||||
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ディケンズの遺作にして、友人ウィルキー・コリンズの諸作(『月長石』や『白衣の女』)に刺激され本格的な長編探偵小説を志向した作品。 たとえ未完であっても、作中に描かれた魅力的な「悪」は道徳的に抑圧されたヴィクトリア朝の精神の暗黒面を鋭く象徴しながらも、あまりに普遍的で現代的な存在感を持つ。 訳者によるディケンズの遺した構想を検討した詳細な解説、そして原著からの貴重な挿画が素晴らしく今回のエディションは理想的な出版と言える。 | ||||
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