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刺青殺人事件
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【この小説が収録されている参考書籍】
刺青殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.87pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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大戦後間もない1948年(昭和23年)に発表され、横溝正史の『本陣殺人事件』や角田喜久雄の『高木家の惨劇』などと共に日本の長編本格探偵小説隆盛の幕開けを告げた記念碑的作品。 占者の勧めで筆を執り、僅か三週間で書き上げた初稿を一面識もなかった乱歩に送りつけたところ激賞され、物資の乏しかった時代にいきなり単行本扱い(「宝石」別冊として刊行)の破格のデビューを果たしたエピソードなど振り返れば神話的ですらある。 怪奇的でケレン味たっぷりの作風と濃厚な不可能興味は『本陣』と共にその後の和製本格ミステリ、現代の新本格に至るまでの潮流を左右した。その影響力は大きい。 完成度では後の『人形はなぜ殺される』(1955年)にはやや及ばないが機械的な密室トリックと巧妙に仕掛けられた心理トリックの相乗効果が素晴らしく、さらに作中における刺青への偏愛も単なる装飾に留まらず物語と有機的に結合した魅力となっている。 新版を機に約30年ぶりに再読したが初読の際の興奮が全く失われる事なく、探偵小説を読む醍醐味を再確認することが出来た。 次は新興宗教内での連続殺人を描いた傑作『呪縛の家』(1954年)や密室トリックが秀逸な『死を開く扉』(1957年)の新版を期待したい。 | ||||
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戦後ミステリーを代表する古典中の古典。浴室内のバラバラ死体と密室状況というのがメインだが、今の視点からすると密室構成トリックはシンプル過ぎるくらいシンプルだが、トリックが判明してからの心理的トリックこそが本作が今も名作と言われる所以だろう。オーソドックス過ぎる論理展開と感じる人もいるだろうが、逆に言えば戦後すぐに本格推理に必要な要素を完成させてしまったとも言える。今読んでも十分楽しめる作品である。 | ||||
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著者のデビュー作であり、探偵神津のデビュー作でもある。著者の後の作品と比べると、筆がこなれていなくて文章は硬い。何より、人物描写がヘタだ。トリックだって決してほめられたもんじゃない。 しかし、それを補って余りあるミステリへの情熱、著者の必死な思い、そして何よりも本作を世に出したいという熱気が、文面から伝わってくる。そして、刺青をモチーフにした妖しい雰囲気と趣向、ミディレクションには、評価すべきものがある。本作が戦後日本ミステリのランキングで常に上位に位置する理由は、おそらくそのあたりにあるのだろう。 作品のスタイルなど、あまりにもオーソドックス過ぎて、確かに少々古くさいかも知れない。だが、これこそが本格ミステリなのだ。まさに王道のミステリとして、著者が本書をもって登場したことは、ミステリ界にとっての大きなポイントであり、本作の持つ歴史的意義も、本格ミステリとしての意義も、大きいものがある。 何より、犯人との心理戦、まるで「カナリヤ殺人事件」を彷彿とさせるじゃないか。神津の影の薄いのも、いかにも超人的な、神のごとき名探偵の雰囲気で、実に良い。時代を経ても劣化しない名作であり、著者の情熱共々、一読の価値がある作品である。 | ||||
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当然ですが、何もかもがかなり古いです。 トリックや真相も予想できる展開です。 近頃の多重人格やら快楽殺人やらの本よりは 理由も殺害方法も安心納得です。 文章も古いながらも読みやすく 苦にはなりません。 決して悪くはないんですが とにかく古き良きものを読んでおこう! という姿勢でないと、少なからずがっかりします。 | ||||
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刺青を題材とした連続殺人事件。しかも密室まで絡めてるのでたった1冊で贅沢に堪能できる。犯人の策略、様々なトリックは巧妙に張り巡らされ見破るのは至難の業。惜しむらくは犯人当てが容易にできたところぐらいか。さすが本格推理小説の巨匠、の一言。 | ||||
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冒頭に出てくる密室はおとりであり、密室を解くことが目的ではない。著者の弁によれば、本陣殺人事件のトリックを組み替えたとのこと。密室殺人にすることによって、仕掛けられた心理トリックの説明を読み落として、密室殺人を論じても意味はない。江戸川乱歩が文章がヘタだと評価したのは、この作品ではなく、この作品の初稿版である。 その後改稿され、およそ2倍の長さとなったのが、この光文社版である。初稿版は、扶桑社文庫から、刊行されているので、比べてみるのも面白い。横溝正史は「夜歩く」とトリックがダブったため、構想を変えたとも言われているので(旧角川文庫「夜歩く」解説)、これとの比較も面白い。 「夜歩く」は昭和23年2〜5月号の「男女」、改題後の「大衆小説界」の昭和23年6月号〜11月号、昭和24年4月号〜12月号まで連載された。途中に中断があるのは、「刺青殺人事件」のせいではなく、横溝正史が岡山から東京へ引っ越したためであると思われる。 「刺青殺人事件」は昭和23年6月に書き下ろしで刊行された。先に発表したのは、横溝だが、先に完結させたのは高木ということになる。なかなかビミョーな関係だ。 さらに「夜歩く」と「能面殺人事件」でもトリックのダブりがあり、横溝正史は大いに頭を痛めたことだろう。 | ||||
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坂口安吾氏の「不連続殺人事件」と乱歩賞を争い、惜しくも受賞を逃した作品。が、翌年「能面殺人事件」で雪辱している。 特別な刺青を体に入れた男女のバラバラ殺人というアイデアは斬新で衝撃的である。しかし、証拠となるべき刺青の入った男を調査する直前に、その男を殺してしまう等、逆に犯人を明示してしまうストーリー展開は稚拙という他はない。安吾の筆力に及ばなかったのは致し方あるまい。 しかし、作者のミステリに賭ける情熱はたいした物で、上述の通り翌年は乱歩賞を受賞する等、その後も上質のミステリを発表し続けた。本作はその出発点となる記念碑的作品。 | ||||
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坂口安吾氏の「不連続殺人事件」と乱歩賞を争い、惜しくも受賞を逃した作品。が、翌年「能面殺人事件」で雪辱している。 特別な刺青を体に入れた男女のバラバラ殺人というアイデアは斬新で衝撃的である。しかし、証拠となるべき刺青の入った男を調査する直前に、その男を殺してしまう等、逆に犯人を明示してしまうストーリー展開は稚拙という他はない。安吾の筆力に及ばなかったのは致し方あるまい。 しかし、作者のミステリに賭ける情熱はたいした物で、上述の通り翌年は乱歩賞を受賞する等、その後も上質のミステリを発表し続けた。本作はその出発点となる記念碑的作品。 | ||||
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密室殺人には大きく分けて機械的トリックと心理的トリックの二種類がある。元来後者が優れているとされ高木氏がデビューした頃はこの説の全盛時代あった。刺青殺人事件は機械的トリック、それも単純なものである。取り立てて凄いものではない。それよりもずるいのは文章に心理という言葉をこれでもかというほど使い読者に心理という言葉を植え付けたことである。まあ××××をくらますためだとも言えるが……まあ内容的には面白いしミステリーとしては上級の部類に入ると思う。京大出身ながら東大出の主人公が大好きな高木氏の神津恭介が探偵役として登場。 | ||||
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日本推理小説の大御所であった高木彬光の処女作。 私は初稿は読んでいませんが、トリックは秀逸。 しかしながら、そのトリックにすべてが呑み込まれています。 推理小説としてはどうでしょうか、と思われます。 江戸川乱歩は絶賛、坂口安吾は批判、と評価が分かれているのもこの小説の存在の大きさを物語っています。 それでも、横溝正史と並ぶ巨匠です。他作品も見逃せませんよ。 犯人探しが推理小説の醍醐味と思っている方にはあまりお薦めできません。 | ||||
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作品の舞台が戦後すぐであるように、何十年も昔の作品だが、すごく新鮮に感じた。トリックも鮮烈で、全編に彩られたペダンチックな雰囲気が刺青というモチーフとよくあっている。名探偵・神津恭介も魅力的である。 | ||||
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