■スポンサードリンク


新リア王



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
新リア王 上・下巻セット
新リア王 上
新リア王 下

新リア王の評価: 4.08/5点 レビュー 24件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.08pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

昭和ノスタルジーがあるかも

「冷血」を読もうとしたが、全頁二段組上下二巻のボリュームに気おされてしまった、
それで55年体制の終焉を描いたらしい梗概に惹かれてこちらを読み始めたが、さて、半分ほど読み進んだところでたいくつに負けて挫折してしまった、
松本清張も山崎豊子も実現できなかった微に入り細に入り詳細される国会議員の日常描写は面白いことは面白いし、80年代当時の実在の政治家たちがぞろぞろ登場し主人公に絡むので、昭和の終わりを知っている読者なら、あーあの頃はそうだった、と脳内にフラッシュバックするニュース映像と共に楽しめもするが、
私的にめったにないことだが、本作はここまででいいやっと投げやりな気持ちが湧いてしまった珍しい本ではあった、
それに書名が大げさすぎる私小説だと思う、

保守本流と反主流に関する主人公(つまり作者)の視点には興味深さを感じた、
P.58に”吉田・池田・佐藤・田中と続く保守本流” そして ”鳩山・岸・福田の反主流派”とある、
P.308では両者を主流・反主流とよび、さらに詳しい当時の背景が説明されている、
昭和の政治史を誰が語ってもその通り二つの派閥争いが連綿と続いたことは間違いないが、田中角栄は上手に立ち回って佐藤の後を継いだように偽装しただけの似非主流と呼ぶのが史実により近いように私は考える、
田中が金まみれの過ぎる似非主流であったからこそ田中以後の派閥政治の混乱が生じたと思えば、その後のバブル景気と景気後退時期の国政の混乱は回避不可能だったのだとも思う、
そう考えれば、世紀が変わり小泉→安倍に至り、取り合えずのかりそめの安定を取り戻した我が邦には政治家も国民にも誇るべき冷静さがあったのだとも思う、
それはただの偶然で褒めすぎでもあるが、失われた十年が必ずしも無駄だったわけではないと将来の歴史家が評価すると思う、

そして自民党の保守本流や主流が政治思想・政治哲学上の保守主義とはかんぜんに一致しないことも現在の視点からは明白なのだった、
現実の政治がそれでO.K.であることも改めて語るまでもない、

以下蛇足、

金庫番という懐かしい単語が頻出している、
政治家の金の出入りを把握・管理しているキーマンのことだ、
彼が押さえている金の出入りとはじつは大福帳形式の入出金のことなのである、
バランス・シート形式ではないことを知ったうえで本書を読み進まなないと誤解が生じるかもしれない、

著者の表現の上手さはここでも冴えている、

曰く、

平板そのものの陽だまりの縁台のような顔をして → 毎日見かけるとりあえず頭を下げながら、舌をだしている連中がそうである、

嗅覚は自律神経だから意思でどうなるものではない、
etc.
新リア王 上Amazon書評・レビュー:新リア王 上より
4103784040
No.1:
(3pt)

文学と政治と宗教を足してみたらこうなった

晴子情歌には日本近代文学を彷彿とさせる描写があり、リアリズムの描写もあった。内容は結局消化不良だったが、それはあつかっている時間が長すぎたのと、構成のバランスが悪かったからかもしれなかった。
新リア王は、文学と政治と宗教を強引に足してみた、という作品である。しかし、こうなると文学は政治と宗教という現実の前に肩身が狭くなってしまった印象がある。文学とは政治や宗教とは水と油なのかもしれない、とぼくは思った。文学は現実社会では政治や宗教と比して、こうも無力なのか、でも政治や宗教と相容れないからこそ文学は輝くのであり、政治や宗教を寄せ付けない文学の、決して社会に還元できないが人間が人間であるための孤高の強さや深さや純粋さを改めて考えさせられたのは、ぼくだけだろうか?
新リア王 下Amazon書評・レビュー:新リア王 下より
4103784059

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!