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壷中の天国
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壷中の天国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1~20 1/2ページ
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筆力を感じさせる、我輩は猫である、を思い出させる作品です。 どなたかもかかれていましたが、この小説はミステリーとして評価されるより、社会派小説を狙ったものではないでしょうか。 疑問なのは、それほどまでに本格ミステリーとして高評価されるべき作品でしょうか? 第一回の本格ミステリー大賞をとった割には、コメント数も少なく、最後まで読んだ人が少なかったことを想像させます。 | ||||
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倉知氏が本格ミステリ大賞を受賞した長編ミステリー。 共通項のない連続無差別殺人の被害者の繋がりをメインにした作品だが、あまり猟奇的な雰囲気というのはなく、どことなくユーモラスでライトなのはいつもの倉知タッチである。 その点が評価の分かれそうなところでもあるが、著者らしい細かい伏線を最後で回収して論理的に解決する作風は安定している。 ボリュームに対してやや余計な描写が多く、真犯人も唐突な感じがしないでもないが、倉知氏の作品では他とはちょっと雰囲気の違う作品であるので、ファンは必読である。 が、あまり本格ミステリ大賞受賞作ということで期待値を上げすぎるとやや肩すかしかもしれない。 氏の作品としては星降り山荘殺人事件の方が本格ミステリとしては出来は上であろう。 | ||||
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今では千枚以上の小説でも超大作扱いされないのかも知れないが、それでも作家さんにも出版社さんにも、往年なら「ドグラ・マグラ」なり「細雪」なりのクラスだけが許された分量だという気迫が欲しいものだ。 もちろん、そこまでの高みに達しなくても、たとえばミステリなら 「解決はもっと先で構わないから、もう少しこの小説(描写でも、ギャグでも、ウンチクでも、エロスでも、執拗なトライアル&エラーでもいい)に浸らせて!」 というような、“読書に淫する楽しさ”がないと、長すぎる小説は辛い。結末もツイストを効かせたものでないだけに、すべてが伏線でしたと言われても、はあそうですかという感じで、再チェックする気力も沸かないのだ。怪文書とか、被害者視点の文体の描きわけとか、面白いところもあるにはあるが、何といってもヒロインとか探偵役が魅力不足だと思う。 | ||||
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だいぶ昔に面白く読んだ記憶があり(角川文庫だったかな)、創元推理文庫から再刊されたのを機会に読み直しました。 冒頭にいきなり「デムパ」な文がおかれています(あの頃流行ったなあ)。やがて開幕する物語は架空の街での連続殺人で、本来凄惨なお話のはずなのですが、何といいますか、緩い感じがします。 登場人物はどこか社会の本筋から外れていて、脂ぎった生き方をしていません。例えばヒロインは盆栽好きなシングルマザーですし、登場してくるその同級生も出世街道から落ちこぼれた人たちです。手がかりないし伏線の提示法と解決法も何か日常の謎系の作品を思わせるものがあります。 このような「日常の謎」系筆致と犯人像や事件の凄惨さとのアンバランスさが魅力ですね。主に探偵役の人物像に見るちょっとした闇の描写も見事です。 | ||||
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角川で出ていたものを上下2巻に分けて出版したようです。(1巻860円→上下2巻1480円。) 実は、柔らかでかわいらしい片山若子さんのイラストの表紙に魅かれて買ったのですが、 緻密な描写と伏線で高まる緊迫感。人の趣味のあり方といった、新しい気づきもあり、良い読書でした。 さて、キーワードは、本書タイトルにある「壷中天」で、登場人物は好きなことに没頭している人(いわゆるオタク)ばかりで、著者はこの描写に随分とエネルギーを注いでいます。 主人公:知子の友人である絵画教室を営む正太郎が、似たもの同志的な発想で、警察の捜査でも分からなかった犯人像を導きます。 人は自分の趣味に没頭できる夢のような世界を思い描きますが、普通の人々は、酔いを醒ませなければ狂気に至るといった所でしょうか。 小説家として、「壷中の天国」を実現しているのかなと思われる、著者の思いが伝わってくるような気がします。 | ||||
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ごく平凡な地方都市で発生した連続通り魔殺人事件。しかも犯人は、事件のたびに 怪文書――電波妄想に侵された犯行声明が綴られている――を配布していた……。 本作のミステリとしてのテーマは《ミッシング・リンク》。 通り魔に殺された被害者たちの共通点を探っていくのですが、その時の 推理と、最終的に提示された真相には、思わずずっこけてしまいましたw 意味不明に見えた怪文書の文章や、被害者たちが死に至るまでを描いたパートなどに さりげなく伏線を張り巡らせている手際は流石ですが、本格ミステリのロジックとしては 弱いといわざるをえませんし、ダジャレ的真相――嫌いではありませんがw――には 脱力必至です。 まあ、作者自身、本作のミステリとしての弱さには十分自覚的で、 作中でも再三、登場人物の口を借りてエクスキューズしています。 それに、本作で作者が力を注いだのは、謎解きの構築ではなく、現代人の病理 ――市井に暮らす人々がそれぞれに持つ“壺”(=自分だけの世界)――という 主題の追究なので、ミステリの完成度だけを問題にするのは酷かもしれません。 そして、そんな本作が、高度な謎解きの構築を至上命題としているはずの 本格ミステリ大賞の受賞作であるというのは、作品にとって、逆に不幸なの ではないかと思います(力作であることを認めるに吝かではないのですが)。 | ||||
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ある地方都市で起こる連続殺人。 被害者に共通点は無く、 事件後に意味不明の怪文書が犯人によって公表される。 「大宇宙の意思を通信するのを妨害するものを排除した」と この事件が地方都市に住む主婦目線で語られる。 また、知人、家族などとの日常生活における事件による影響などがつづられていく。 謎解きはラストで一気に語られる。 それまではマスコミがどのように反応しているかが描かれるだけである。 この話の「ツボ」は 「異常犯罪」でも「マスコミ批判」でもなく まさにタイトルの「壺中の天国」である。 中盤でちょっと説明をしてくれるのであるが、 中国の故事である。 誰もが持っているであろう「壺中の天国」 しかし人はその中だけでは生きていくことは出来ないのだ。 | ||||
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架空の町を舞台に「宇宙の意思を遂行する自分を邪魔するものがいる・・・」などと云った怪文書がばら撒かれる。やがて、それが先に起きた女子高生殺しの犯行声明文ではないか?という疑惑が警察、市民の間で持ちあがる・・・しかし、犯行は一度で、すまず第二、第三と事件が起こってしまう。その度に発見される『怪文書』。被害者同士に関連は一見わからない。彼ら彼女らは「宇宙の意思」を妨害したため、排除されたのであろうか? 怪しい館の連続殺人、鉄壁のアリバイ、密室殺人・・・そんなものは、一切ありませんが、これぞパズラーです。パズラーは、読者に興味を抱かせる「謎」があり、それが論理的に解かれたとき、意外性があれば、よいのです。別に先にあげたギミックはパズラーを面白くする要素ではあっても、必要条件ではありません。凝った構成と練れこまれた伏線。読み終わって作者の用いた仕掛けのすごさに仰け反ってしまった。読み手によっては、あほらしいといわれるかもしれませんが、ここまでくるとただ感動あるのみです。作家の『法月綸太郎』氏は倉知さん(あえて、さん付けで呼びたい)を評して「天然カー」を云っておられるが、うまいことを言うと思う。個人的な好みでいうとオールタイムベストに入れたい一品です。 加えて言うなら、ある意味長すぎるともいえる日常の描写がたまらなく、いいです。出てくる人、出てくる人のキャラがきちんと立っている。ゆえに、読み物としても大変おもしろい。作者の冷静でありながら暖かい視点を感じると、「ああ、この人はほんと人間に興味があるのだなぁ・・・」と思えてなりません(好きかどうかは、別にして)。 登場人物のすべてが何かしらに執着している(犯人も含めて)。ゆえに、みんな狂っている・・・現代の狂気だぁ・・・なんていう人いませんか?そうでは、ないでしょう。むしろ、みんな正気(犯人も含めて)いわば、「現代の正気」を描いた作品なのです。 | ||||
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文章が読みやすく、内容も面白いのだが、本質から乖離した無意味なパーツが多すぎ。 | ||||
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「まとも」部分の表現が冗長で斜め読みをしても全然オッケー。「電波」部分のロジックは作り込みがいまいちで本物の電波のざらざらした感じは、みじんも感じられません(知らない人には十分かもしれないけど)。 現実と妄想との乖離は中途半端、「探偵」の推論は隙だらけで、電波系としてもミステリーとしても平凡。あえて評価するならミステリーで電波を扱ったのが珍しいってだけで、それ以上でも以下でもない。 | ||||
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日常描写を、私は、飽きずに読了しました。(あくまでも、私は、です) 特に、雑多なことに時間を要する日常生活の中で、趣味を楽しみにする人々。その喜びとマニアックさを満喫しました。フィギュアの色やら曲線へのこだわり、とか、盆栽の枝振りや、鋏に対するこだわりなど、(分野は違っても)マニアならわかる喜び・楽しみだと思います。フィギュアや盆栽などには興味はありませんでしたが、ちょっとかじってみようかな、という気分になりました。実際に手を出すことはないだろうと思いますが、少なくとも視点はかわったと思います。 また、登場人物によって、地の文章の変化にそれぞれ特徴があり、それぞれ楽しませていただきました。 肝腎の推理小説、という部分は、他の方もおっしゃっておられたように、前を読み返し、やられたー、と思わず笑ってしました。 個人的にはツボにはまって面白いのですが、万人におすすめできるかというと、ちょっと苦しいので、☆4つで。 | ||||
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倉知淳が好きなので、読んでみた。いつも思う事だが登場人物が一癖も二癖もあって面白いし、会話のやり取りがまた楽しい。今回は主婦が主人公だが、子を持つ親の心境なんかは絶品である。物語は連鎖的に殺人が行われていくが、主婦には直接関係無くまさに対岸の火事を見るように進む。それでいて日常の面白さも並行して、特に同級生の正太郎がまたいい味を出している。最後はおそらくハッピーエンド(再婚)になると思うが、うまくまとめた作品といえる。 | ||||
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2000年に出た単行本の文庫化。 倉知淳らしさが存分に発揮された一冊だと思う。登場するのはネジの外れたマニアばかり。巧みな性格描写。文体模写による遊び。常人には思いも突かないような動機。猫丸先輩シリーズとかが好きな人には、嬉しいばかりの本だろう。 私は倉知淳は好みではないが、その手法にはいつも感嘆している。読んで損のない本だとは思う。 結末がハッピーエンドなのか、はなはだ疑問。 | ||||
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この一言に尽きます。 これまでの倉知作品はほのぼのしてたんですが、この作品は禍禍しさすら漂ってます。 今まで溜めておいた人間の嫌な部分を、どばーっと噴出したかのような隠鬱さ。 更に、主流となる主人公の目線に、友人目線、4人の被害者目線に犯人目線と、移り変わっていくのですが、怪文書も含めてめちゃめちゃ読みにくい文章があって、読み終わるのにめちゃくちゃ時間がかかりました。 手に取るのが億劫でw まるで苦行のようじゃった… 犯人はわかっても、なんだかすっきりしませんでした。 二度と読みたくないです(-"-;) | ||||
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家庭諧謔探偵小説。なんじゃそりゃ?ピンとこないなぁ。ユーモア家族小説のミステリ版ってことか?それにしては、ずいぶんもってまわしたネーミングだ。そこには作者のたくらみが隠されているはず。ううーん、いったいどういう話なんだろう?それに加えて本書は第一回日本ミステリ大賞を受賞している。ということは、ミステリとしてもかなりの出来ということではないか。そしてそして、この1000枚以上という長さはどうだ。すごく期待値が高まるではないか。でも、この表紙はちょっと変だ?なんとなく『萌え』キャラっぽくないか?ていうか、そのものじゃないの?これがちょっと引っかかるなぁ。 以上のようなことを読む前に思った。手を出していいものかどうか躊躇した。ええい、ままよと読み出した。 なるほど、こういうことか。おもしろい。おもしろすぎるぞ。新書版でもいいくらいの題材が、圧巻の書き込みで1000枚を越す大作になっている。小説としてのおもしろさはたいしたものだ。本書のミステリは連続殺人。被害者に共通するものは何か?いわゆるミッシング・リンクものだ。地方都市を舞台にマニアな人たちばかりが登場し、犯行声明も電波系の怪文書。そのままいけば、立派なオタク小説になりそうなのだが、それが、そうはならないから素晴らしい。このミステリ以外の部分がかなりおもしろいのだ。 倉知淳は本書がはじめてだったが、この人の文章はかなり好みだ。安心して読める。非常に読み難い「怪文書」でさえもあまりにもリアルな質感に驚くばかりだった。だが、ミステリとしての出来はいただけない。はっきりいって真相はスカもいいとこだ。伏線は十二分に張られていたのだが、カタルシスはまったくなかった。これはちょっとキツいんじゃないの? だが、それでも本書は好きだ。ミステリ部分を評価の対象にしなければ100点満点だといってもいい。小説としての醍醐味は素晴らしいかったというわけだ。他の作品も読んでみたいと思った。 | ||||
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主婦の日常の描写が大部分を占めていますが、電波怪文書の凄みは十分。フィギュア製作の描写といい、主婦の日常と正反対なため良くメリハリが効いています。結論は予測できませんでしたが、特に意外とは感じませんでした。思わせぶりな伏線が多い割には、常識的な結論に納まってしまったような。ページ数はもうちょっとコンパクトにまとめられたはずで、無駄に長いと感じてしまいます。平凡な話をここまで読ませる筆力は見事ですが、手放しで絶賛とまではいかないところです。 | ||||
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出版物としては、一応ミステリの分類として売られていると思います。ちなみに、作者が扉に書いたサブタイトルは「家庭内諧謔小説」です。読んでいる間が実に楽しい小説です。読了してのけぞりました。本の前のページをひっくり返して読み直しました。間違いなくフェアプレイのミステリです。でもクリスティの「アクロイド」が発表当時非難されたこともあるように、この作品を嫌う人もいるでしょう。私からのコメントとしては、「のけぞるほど、精緻で狡猾で、それでいて楽しい作品です」とだけお伝えしたいです。 | ||||
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出版物としては、一応ミステリの分類として売られていると思います。 ちなみに、作者が扉に書いたサブタイトルは「家庭内諧謔小説」です。 読んでいる間が実に楽しい小説です。 読了してのけぞりました。本の前のページをひっくり返して読み直しました。 間違いなくフェアプレイのミステリです。 でもクリスティの「アクロイド」が発表当時非難されたこともあるように、この作品を嫌う人もいるでしょう。 私からのコメントとしては、「のけぞるほど、精緻で狡猾で、それでいて楽しい作品です」とだけお伝えしたいです。 | ||||
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おしゃまな小学生の娘の母、和子は仕事先のしがらみから、あまり興味の無い「送電線鉄塔建設に反対する市民の会」に出席する。そこで珍妙なビラを受け取った和子。デンパな内容に苦笑する和子だが、それ以来無差別としか思えぬ通り魔殺人が相次ぐのだった。 読みにくい本であった…。 まず良いところ。電波さんの文章が見事です。ホンモノみたいです。著者、なりきっておられます。その本物かげんが読みにくさを倍増している、とも言えるのですが。 そして、著者の持ち味である、ホノボノした人格の善良な人々の描写がイケてます。ヒロインの和子とか、彼女の信頼する彼とかですね。ムードはいいと思います。 最後に、関係無いような些末なことに、伏線が巧妙に隠されていること。見事です。 こっからはイマイチだったところ。人々それぞれになりきって文体が変わっていくわけですが、これが読みにくい。人物の独白であるから、読者サーヴィスなんてものはなく、つまらないことをくだくだしく述べるので辟易する。これだけ文体を書き分ける作者の技量には敬服するけれど、それが面白いかというと違うような。 そして、衝撃の真相。納得がいきにくい…。読者が予想出来ぬ結末で、それだけにサプライズも大きいのですが、どうもすっきりしない。案はすごいと思うので、もうちょっと枝葉をそいで中編に仕上げてくれたらオオッと思ったのに、と思います。長編でこのやり方では、飽きてしまいました。 | ||||
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私はわりと好きでした。舞台的には普通の公団住宅、その中での訳のわからない事件。さまざまな視点からのさまざまな心理。そういう人たちの思わずこういう人いるいる、みたいな考えなど面白いものがたくさんあった。ただ頷けないのは主人公らしき女の人の○○○が事件を解決してしまう事。いまいち必然性も見当たらない。その人の言っていたことは多少興味深いものがあったが・・・。 | ||||
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